2022年(令和4年)以降、食品や日用品などの生活必需品の値上げが続いています。相次ぐ値上げにうんざりしている人も多いのではないでしょうか。本記事では、2024年(令和6年)4月までの値上げ情報を紹介します。今後の値上げの動向を知っておき、家計管理に役立てましょう。
2024年値上げラッシュはどうなる?
2022年から2023年(令和5年)にかけて、さまざまな商品が値上げになりました。特に、食品の値上げは家計にとって大きな打撃になっています。
帝国データバンクが主要食品メーカー195社を対象に行った調査によると、2022年及び2023年の値上げ品目数累計及び1回あたりの平均値上げ率は次のとおりです。
2022年 | 2023年 | |
値上げ品目数 | 2万5,768品目 | 3万2,395品目 |
値上げ率 | 14% | 15% |
出典元:帝国データバンク:「『食品主要195社』価格改定動向調査―2023年動向・24年見通し」(2023年12月29日)をもとに筆者作成
2023年はまさに記録的な食品値上げラッシュでした。では、2024年の食品値上げはどうなるのでしょうか。
2024年もまだ食品の値上げは続く
2023年末の時点では、2024年5月までに値上げが予定されている食品は3,891品目にとどまり、値上げはペースダウンするものと思われていました。しかし、2024年1月の値上げは310品目にとどまったものの、2024年2月には1,626品目が値上げとなっています。
2024年1月時点で、2024年1月から5月に主要食品メーカーで値上げが予定されている品目数は次のとおりです。
年月 | 品目数 |
2024年1月 | 310品目 |
2024年2月 | 1,626品目 |
2024年3月 | 676品目 |
2024年4月 | 1,765品目 |
2024年5月 | 179品目 |
出典元:帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2024年2月」(2024年1月31日)をもとに筆者作成
2024年1月から5月までに主要食品メーカーで値上げになる商品は4,556品目、値上げ率の平均は17%にのぼっています。2023年の同時期の値上げ品目は1万6,106品目であったため、前年に比べると値上げは鈍化しているように見えます。
しかし、上記は1月末時点のデータです。値上げされる食品の品目数は、今後も増える可能性があります。
4月には値上げ品目が増加する見込み
特に多くの食品の値上げが予想されるのが4月です。4月の食品値上げは3,000品目に到達する可能性も指摘されています。今年も値上げの春がやってくる見通しです。2024年も引き続き値上げラッシュが続くことを想定し、心構えをしておきましょう。
2024年の値上げは物流費や人件費の上昇が原因
2022年からの値上げの原因の1つに、円安の影響がありました。わが国では、食品の原材料を輸入に頼っています。円安になると輸入コストが増加するため、その分を商品価格に反映させる必要が生じるのです。
しかし、2024年には円安は終わりを告げるとの見方もあり、輸入原料高騰を理由とした値上げは減る見込みです。2024年の値上げの主要な原因は、物流費や人件費の上昇と考えられます。
「物流の2024年問題」とは
2024年4月以降は、働き方改革関連法施行により、トラックドライバーの時間外労働の上限が年960時間に制限されます。これにより、輸送能力が低下するなどの「物流の2024年問題」の発生が懸念されています。物流費の上昇により、値上げが行われる可能性が高いのです。
人件費に関しては、賃金上昇の影響があります。2023年には約30年ぶりの高水準の賃上げが実現し、2024年も同程度の賃上げが予想されています。賃金上昇によるコスト増加も商品価格に反映せざるを得なくなっているのです。
>>物流の「2024年問題」について掘り下げ。業界が抱える課題と一般消費者への影響とは?
2024年4月までに値上げになる食品は?
2024年1月から4月までに値上げになる食品は、1月末時点に発表になっているものだけでも4,000品目を超えています。4月までにどんな食品が値上げになるのかをみてみましょう。
加工食品
2023年は世界的な猛暑だったため、トマトが不作となりました。これにより、トマトの値段が高騰する「トマトショック」が起こっています。加工食品の中では、トマトを使ったパスタソースなどが値上がりしています。
その他に値上がりしている加工食品としては、冷凍惣菜、冷凍野菜などの冷凍食品、常温の加工食品などがあります。
調味料
トマトショックにより、トマトケチャップやトマトソースなどのトマトを使った調味料の価格改定が相次いでいます。その他には、削り節などのだし製品、ごま油などが値上がりしています。
酒類・飲料
酒類では、国産ウイスキーや洋酒を中心に値上げが発表されています。その他の飲料では、トマトジュースが値上げになっているほか、コーヒー飲料や紅茶飲料も値上げになっています。
お菓子
アイスキャンデー、アイスクリーム、ガム、各種キャンディ、チョコレート菓子などが値上がりしています。価格を改定する商品のほか、内容量を変更してコスト増加に対応する商品も多くなっています。
4月までに値上がりする主な食品の一覧を、表で確認しておきましょう。
メーカー | 商品目・商品名 |
キューピー | サラダクラブ素材パウチシリーズ、玉九 うずら卵水煮 |
ニッスイ | ほしいぶんだけ口どけなめらかコーンクリームコロッケ、自然解凍でおいしい!3種の和惣菜、塩あじえだ豆タイ産 など |
ニチレイ | 家庭用・業務用の冷凍食品・常温食品 |
日本ハム | ハム・ソーセージ、冷凍食品など |
はごろもフーズ | シャキッと!コーン、削り節など |
キッコーマン | デルモンテブランドのトマト調味料・飲料・おろしシリーズ、キッコーマンブランドのソース |
カゴメ | トマトケチャップ・トマト調味料類・ソース・パスタソース等、トマトジュース・野菜飲料・果汁飲料など |
キリンビール | 輸入洋酒(フォアローゼズ)、RTD |
サントリー | 国産プレミアムウイスキー(響、山崎、白洲など) |
アサヒビール | 国産ウイスキー、テキーラ、ラム |
森永乳業 | マウントレーニアカフェラッテ、リプトンレモンティーなど |
赤城乳業 | ガリガリ君シリーズ |
ネスレ日本 | キットカット |
不二家 | サンリオキャラクターズチョコレート、カントリーマアムなど |
ロッテ | ガム、キャンディ、ビスケット、アイスクリーム |
【参考サイト一覧】
・キューピー(株):家庭用商品 価格改定のお知らせ(素材食品)
・(株)ニッスイ:ニッスイ家庭用・業務用冷凍食品の出荷価格改定
・(株)ニチレイフーズ:商品価格改定のお知らせ
・日本ハム(株):商品規格変更および商品価格改定のお知らせ
・はごろもフーズ(株):製品の価格改定のお知らせ
・キッコーマン(株):デルモンテ トマト調味料・飲料等の価格改定について
・カゴメ(株):【家庭用】 一部商品の出荷価格の改定について
・キリンビール(株):輸入洋酒、RTDの一部商品の価格改定について
・サントリー(株):国産プレミアムウイスキー 一部商品の価格改定について
・アサヒビール(株):国産洋酒・輸入洋酒の一部商品の価格改定について
・森永乳業(株):飲料一部商品価格改定のお知らせ
・赤城乳業(株):アイスクリーム一部商品価格改定のお知らせ
・ネスレ日本(株):菓子製品の価格改定ならびに内容量変更について
・(株)不二家:菓子商品の価格改定及び内容量変更のお知らせ
・(株)ロッテ:価格改定及び内容量変更のお知らせ
食品以外で4月までに値上げになるものは?
値上げが実施されるのは食品だけではありません。食品以外で4月までに値上げになるものの一覧をみてみましょう。
電気料金
資源価格高や再エネ賦課金の値上げ、国内の電力供給力不足などを原因に、2021年以降電気料金が上がっています。2024年上半期にも、電気料金の値上げが行われる予定です。大手電力会社各社は4月までに、電気代の単価の改定を発表しています。
4月の電気料金改定には、託送料金の値上げが関係しています。託送料金とは、各家庭に電気を送るための送配電網の使用料金です。九州電力でも4月以降、託送料金の見直しを電気料金に反映させると発表しています。
参考:九州電力(株):「お知らせ(2023年12月25日)」
5月以降さらに電気代が上がる可能性も
2023年1月以降、政府の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」により、電気料金の値引きが行われています。これにより、今日まで電気料金の値上げは抑えられてきました。
しかし、電気・ガス料金の激変緩和措置は2024年4月使用分までとなっています。5月使用分は激変緩和の幅が縮小される予定です。その後は電気代が大きく上がる可能性もあります。今後の動向に注目しておきましょう。
参考:資源エネルギー庁「電気・ガス価格激変緩和対策事業」
宅配料金
ヤマト運輸及び佐川急便では、2024年4月1日からの宅配便料金の値上げを発表しています。ヤマト運輸で平均2%、佐川急便で平均7%の値上げになる予定です。宅配便2社で値上げされるサービスの一覧は、次のとおりです。
ヤマト運輸 | 佐川急便 |
宅急便(180サイズ、200サイズ) クール宅急便 ゴルフ宅急便 | 飛脚宅配便(飛脚クール便含む) 飛脚特定信書便 飛脚国際宅配便 |
参考:ヤマト運輸「2024年4月1日から宅急便の届出運賃・料金を改定」
参考:佐川急便「2024年4月1日付宅配便届出運賃等の改定のお知らせ」
まとめ
2024年も食品や飲料の値上げラッシュが続きます。特に、4月には多くの商品が値上げされる予定です。ストックしておく食品は早めに買うことも意識しておきましょう。宅配料金や電気料金の値上げも予定されています。値上げに対応できるよう、家計の見直しもしておきましょう。
森本由紀
AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士、夫婦カウンセラー
大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。