コロナ禍でなかなか海外に行けなかった人も、そろそろ海外旅行に行きたいと考えているのではないでしょうか。海外旅行に行くなら、円安か円高かをチェックしておくのがおすすめです。今回は、海外旅行と為替レートの関係について説明しますので、参考にしてみてください。
円安と円高。意味や違いを知っておこう
円安、円高という言葉はよく耳にするでしょう。しかし、どういう場合が円安なのかよくわからない人も多いかもしれません。まずは、円安、円高の意味や違いについて、基本的な内容を説明します。
円安、円高とは?
世界にはたくさんの国がありますが、国によって使われている通貨は違います。国際的な取引は、通貨の交換比率を決めて行わなければなりません。この交換比率のことを為替相場(為替レート)と言います。為替相場は、需要と供給のバランスで決まる仕組みになっています。
米ドル(以下、単に「ドル」と表記します)と円を交換する場合でも、1ドルと交換できる円の量(額)は常に同じではありません。1ドル100円のときもあれば、1ドル150円のときもあります。円高、円安は、ドルなど外国の通貨からみて、円が高いか安いかで判断します。
円の価値が上昇したか下落したか
1ドル100円だった為替相場が、1ドル120円に変動したとしましょう。この場合、同じ1ドルで買える円の量(額)が増えたことになります。つまり、円の価値が相対的に下がった状態です。この状態を円安と言います。
逆に、1ドル100円から80円になったとしましょう。この場合、1ドルで買える円の量(額)が減っています。これは、円の価値が相対的に上がった状態です。この状態を円高と言います。
円安のメリットとデメリット
為替相場は2022年(令和4年)の3月から急激に円安が進み、同年10月には一時1ドル150円台と1990年8月以来、約32年ぶりの水準を記録しました。その後多少の変動はあったものの、2023年(令和5年)11月現在も円安水準が続いています。
今回の円安では物価が上昇したため、円安に良いイメージを持っていない人もいるでしょう。しかし、円安、円高はどちらが良いというものではありません。円安が生活や経済に与える影響から、メリット、デメリットを確認しておきましょう。
円安のメリットとは?
円安時には、海外で日本の製品が安く買えるため、輸出企業の業績向上につながります。日本を訪問する外国人観光客も増えるので、観光業界も活性化するでしょう。このように、円安には景気回復につながる側面もあるのです。
また、円安になると、外貨建てで持っている資産の価値が上がります。外貨預金などを保有している場合にも、円安はメリットとなります。
円安のデメリットとは?
円安の状況では、海外からモノを買うときにお金がかかってしまいます。
たとえば、海外から1ドルのペンを買うとします。
以前、1ドル100円だった時期ならば、そのペンは日本円換算で100円で買えていました。
しかし1ドル150円程度となっている今は、そのペンを買うのに150円程度必要になっている、ということです。
日本は資源や食料などの多くを輸入に頼っています。円安になると原材料コストが上がり、物価上昇につながるのもデメリットです。
為替相場が海外旅行に与える影響とは?
為替相場は、生活や経済に影響を及ぼします。とはいえ、普段の生活で、円安、円高を直接的に実感することは少ないかもしれませんが、海外旅行の時は為替相場の影響を実感する人も多いのではないでしょうか?円安、円高で、海外旅行はどう変化するのかをみてみましょう。
海外旅行は円高時がお得
海外旅行の際には、海外でお金を使います。海外で同じ金額を使っても、為替相場により実際に出て行くお金には差が出ます。円高になれば出て行くお金は少なく、円安になれば出て行くお金が多くなります。
現地通貨を多く得られる
海外旅行に行くときには、円を現地の通貨に両替します。1ドル100円の場合と1ドル80円の場合で比較してみましょう。
1ドル100円の場合、8000円を80ドルと交換できます。円高になって1ドル80円の場合は8000円は100ドルと交換可能です(※両替に係る諸手数料は考慮しないものとします)。同じ金額を払っても、円高なら現地通貨を多く得られ、円安時には得られる現地通貨が少なくなります。つまり、現地での買い物や食事、移動などが割高になってしまうのです。海外旅行に行くなら、円高の状況の方が得をします。
日本円に戻すときは円安を狙う
円から現地通貨に両替するときには円高の方が得ですが、現地通貨から円に両替するときには円安の方が得です。円高の時期に海外旅行に行く場合でも、旅行が終わって円に戻すときには気を付けておきましょう。少しでも円安になるタイミングを狙うのがおすすめです。
円安でも海外旅行を楽しむコツ
海外旅行に行くなら、円高のときの方がメリットがあります。しかし、円高の時期を待っていれば、いつまでも海外旅行に行けないかもしれません。円安でも損を少なくする方法や対策はあるので、知っておきましょう。ここからは、円安のタイミングでも海外旅行を楽しむ方法について説明します。
円安の影響を受けにくい旅行先を選ぶ
国によって通貨の種類は違い、通貨によって価値も異なります。円安と言っても、すべての国が関係してくるわけではありません。旅行先を選ぶことで、経済的な損失を少なくできます。
欧米は円安、円高の影響を受けやすいですが、アジアには影響の少ない国もあります。日本より物価の低いタイやフィリピンなどを選べば、少ない予算でも旅行を楽しめるでしょう。
現地ではクレジットカードで支払いをする
円安のときには、通貨を両替する際に損をしてしまいます。両替は必要最低限にし、現地での支払いはクレジットカードにするのがおすすめです。クレジットカード払いをすると、次のようなメリットがあります。
両替の手数料を抑えられる
通貨を両替するときには、手数料がかかります。海外旅行のために両替する場合、円からドル、ドルから円の2回分の手数料が必要です。クレジットカード払いにすれば、手数料を抑えられます。
現地でクレジットカード払いをする場合には、通貨換算の事務処理費用として、カード会社から海外手数料(※)を請求されます。しかし、海外手数料を払っても、両替の手数料を2回払うよりは安く済むのが一般的です。
(※)「海外手数料」の名称はカード会社により異なります。
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現金を持ち歩くよりも安心
海外旅行の際には、盗難に対する対策も考えておかなければなりません。現金を持ち歩くと、盗難のリスクは大きくなります。クレジットカードの場合、紛失に気付いた段階ですぐにカード会社に連絡し、カード機能を停止できます。万一不正利用されても、補償が受けられるケースもあります。
ポイントが貯まる
クレジットカード払いをすれば、ポイント還元が受けられます。ポイント還元は利用金額に対する割合で受けられるため、たくさん利用すればたくさんポイントが貯まります。円安で旅行費用が割高になったら、ポイントで取り返す方法を考えましょう。
海外旅行傷害保険が利用できることも
クレジットカードの中には、海外旅行傷害保険が付帯しているものがあります。別途保険に入っていなくても、クレジットカードの保険が利用できれば安心でしょう。
クレジットカード付帯の海外旅行保険は、旅行代金などをカードで決済していないと適用されない場合があります。事前に確認しておきましょう。
>>海外旅行傷害保険もついているオールインワンカードです^^)。
日本でも買えるものは買わない
円安の状況下では、現地でお金を使うほど損をしてしまいます。しかし、観光や食事など、現地でしか体験できないことには、お金を使いたいでしょう。出費を抑える対策をしやすいのは、買い物です。
海外のものであっても、日本で買えるものは多くなっています。インターネットを利用すれば、簡単に取り寄せできるケースもあるでしょう。日本でも売られているものや取り寄せできるものを買わないようにすれば、出費は抑えられます。
まとめ
海外旅行に行くなら、円安のときよりも円高のときの方がお得です。円安のときに海外旅行に行くと、旅行費用が割高になってしまいます。ただし、物価が安く円安の影響を受けにくい国に行く、支払いはクレジットカードを利用するなど、出費を抑える方法や対策はあります。無駄を省いて賢く海外旅行を楽しみましょう。
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森本由紀
AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士、夫婦カウンセラー
大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。