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住宅ローン控除の条件と申請方法は?確定申告の流れや注意点も紹介

公開日 2025.12.15

住宅ローン控除は、家計の負担を大きく減らしてくれる心強い税制優遇です。一方で、適用には細かな条件があり、申請のタイミングや必要書類を理解していないと控除が受けられないケースもあります。本記事では、住宅ローン控除について、控除の仕組みから適用条件、確定申告の流れ、注意点までをわかりやすく解説します。

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除の条件と申請方法は?確定申告の流れや注意点も紹介

福岡県内でマイホームを購入する際、アクセスの良いエリアでマンションを購入したり、自然豊かな郊外で戸建てを購入などいろいろなパターンが考えられますよね。
いずれの場合でも、改めて確認しておきたいのが「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」についてです。

住宅ローン控除は、住宅取得やリフォームに伴う家計負担を軽減する大きな税制優遇です。制度の仕組みを理解することで控除を最大限に活用し、安心して返済計画を立てられます。

住宅ローン控除の仕組み

住宅ローン控除は、住宅ローンの年末残高に応じて税金が軽減される制度です。一定の条件を満たす住宅を取得・増改築し、その際にローンを利用している場合、年末時点のローン残高の0.7%を所得税から控除できます。

所得税で控除しきれなかった金額は、翌年の住民税からも一定額まで控除される仕組みになっています。住宅ローン控除は減税効果が大きく、ローン返済中の家計の負担軽減に役立つ制度です。

控除の対象となる金額と適用期間

住宅ローン控除の控除額は、「年末の住宅ローン借入残高 × 控除率(0.7%)」で計算します。ただし、借入残高については、住宅の種類ごとに上限(借入限度額)が設定されています。借入残高が借入限度額を超える場合、超過分には控除の適用はありません。

住宅ローン控除の適用期間は、対象となる住宅に入居した年から一定の年数です。2025年に入居した場合、控除期間は新築住宅が13年、中古住宅が10年となっています。

新築・中古・リフォームで異なる控除条件

住宅ローン控除の借入限度額や期間などの控除条件は、新築か中古か、省エネ基準を満たした住宅かなど、住宅の種類によって変わります。なお、2024年以降、省エネ基準を満たしていない新築住宅は住宅ローン控除の対象外となっています。

2025年に入居した場合の新築住宅(買取再販住宅含む)、中古住宅の控除条件は、それぞれ次のとおりです。

新築・買取再販住宅

 

借入限度額(一般)

借入限度額(子育て・若者夫婦世帯)

控除期間

長期優良住宅・低炭素住宅

4,500万円

5,000万円

13年

ZEH水準省エネ住宅

3,500万円

4,500万円

13年

省エネ基準適合住宅

3,000万円

4,000万円

13年

中古住宅(既存住宅) 

 

借入限度額

控除期間

長期優良住宅・低炭素住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅

3,000万円

10年

その他の住宅

2,000万円

10年

住宅ローン控除は、新たに住宅を取得した場合だけでなく、一定の要件を満たしたリフォームを行った場合にも適用可能です。リフォームの場合には、借入限度額2,000万円、控除期間10年となります。

住宅ローン控除を受けるための主な条件

住宅ローン控除を利用するためには、住宅の広さや入居時期、借入条件など、いくつかの基準を満たす必要があります。ここでは、制度の中心となる要件を整理し、対象となるかどうかを判断しやすいように解説します。

住宅の床面積・居住要件

住宅ローン控除の適用を受けるには、住宅が一定の要件を満たしていなければなりません。主な要件は次のとおりです。

住宅の主な要件

  1. 床面積が50㎡以上で、床面積の2分の1以上が居住用であること
  2. 住宅取得後、6ヶ月以内に入居し、その年の年末まで居住していること
  3. 新築住宅については、一定の省エネ基準を満たしていること

なお、合計所得金額1,000万円以下の世帯については、2025年12月31日までに建築確認を受けた新築住宅について、床面積要件を「40㎡以上」に緩和する措置が設けられています。

年収・所得税額による適用上限

控除を受ける人の年収の要件もあります。控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下でなければ、住宅ローン控除を受けられません。

借入金の返済期間・名義・入居時期の条件

住宅ローン控除を受けるには、借入そのものや入居時期にも条件があります。主な条件は次のとおりです。

借入や入居時期の条件

  • 返済期間が10年以上であること
  • 住宅取得者本人がローン債務者であること
  • 住宅の引渡し・購入から6か月以内に入居すること

なお、親子リレーローンやぺアローンを組んでいる場合には、債務者それぞれが条件を満たせば適用可能です。

住宅ローン控除の計算方法

住宅ローン控除の金額は、年末時点のローン残高や控除率によって決まります。制度を正しく理解しておくことで、どの程度の節税効果が期待できるか見通しを立てやすくなります。

控除額は「年末ローン残高×控除率」で計算

住宅ローン控除の基本的な計算式は、「年末の住宅ローン残高 × 控除率」です。所得税から差し引かれるのが原則で、所得税で控除しきれない場合は住民税から一定額を控除できます。ただし、借入限度額を超えた部分については控除の対象外となります。

控除率・上限額の確認

住宅ローン控除の控除率は、2022年以降は一律0.7%となっています。借入限度額は住宅の種類によって異なるため、住宅の種類と一緒に確認しておきましょう。

共働き・ペアローンの場合の計算の違い

夫婦で住宅を取得する場合、住宅が共有名義であっても、住宅ローン控除を受けられるのはローン債務者のみであり、双方が必ず控除を受けられるわけではありません。

例えば住宅ローンの名義が夫のみであれば、控除を受けられるのも夫のみとなります。夫婦双方が住宅ローン控除を受けられる可能性があるのは、共働きで収入を合算してローン審査を受けているケースに限られます。

収入合算で住宅ローンを組む場合、契約形態は「連帯保証」「連帯債務」「ペアローン」のいずれかになります。このうち、連帯債務とペアローンは夫婦それぞれが控除を受けられる仕組みです。連帯保証の場合、控除を受けられるのは主債務者のみで、連帯保証人側には適用されません。

夫婦が住宅を取得する場合の住宅ローン控除

 

ローン本数

控除の適用

単独ローン

1本

債務者のみ可

連帯保証

1本

主債務者のみ可

連帯債務

1本

夫婦共可 (負担割合をもとに控除額を計算)

ぺアローン

2本

夫婦共可 (各自の借入残高で控除額を計算)

借り換え・繰上返済・名義変更時の扱い

住宅ローンの借り換えを行った場合、新しいローンが当初の住宅ローンの返済を目的としており、かつ住宅ローン控除の要件(返済期間10年以上など)を満たしていれば、控除を引き続き受けられます。なお、控除期間は最初に入居した年からカウントされるため、借り換えによって延長されることはありません。

住宅ローンの繰上返済により返済期間が短縮し、当初からの返済期間が10年未満になった場合には、それ以降控除の適用が受けられません。控除を継続できる場合でも、借入残高が大きく減ると控除額は小さくなります。繰上返済する場合には、事前に住宅ローン控除によるメリットと比較して検討するのがおすすめです。

住宅の名義変更を行う場合は、ローン債務者を新しい名義人へ変更することで、その名義人が住宅ローン控除を受けられる可能性があります。ただし、住宅ローンは本人居住を前提とした借入であるため、居住者以外への名義変更は認められません。離婚や相続などで名義変更が必要な場合も、金融機関の承諾が必要です。

住宅ローン控除の申請・手続き方法

住宅ローン控除の適用を受ける初年度は、会社員であっても確定申告が必要です。初年度の申告で必要書類を揃えられていないと、控除が受けられなくなる可能性があります。ここでは、初年度と2年目以降の手続きの違いを整理し、スムーズに進めるためのポイントを解説します。

初年度は確定申告が必要

住宅ローン控除を受ける最初の年は、勤務先の年末調整では控除の手続きができません。初年度は確定申告をして、税金を還付してもらう仕組みになっています。なお、税金の還付を受けるための還付申告は、対象となる年の翌年1月1日から5年以内であれば可能です。

必要書類一覧

住宅ローン控除の申告に必要な主な書類は以下のとおりです。

住宅ローン控除初年度確定申告の必要書類

  • 確定申告書
  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 住宅ローンの残高証明書
  • 登記事項証明書
  • 売買契約書・工事請負契約書の写し
  • 住宅性能を証明する書類(該当する場合)
  • 本人確認書類(マイナンバーカードなど)の写し
  • 源泉徴収票

確定申告する場合、税務署の窓口へ書類を提出または郵送する方法以外に、スマホやパソコンからe-Taxを利用して申告する方法があります。

確定申告で住宅ローン控除を受ける方法については、こちらの記事でも解説しております。ぜひご覧ください。

>>確定申告で住宅ローン控除を受けよう!必要書類から申請方法までわかりやすく解説

2年目以降は年末調整で控除が受けられる

初年度に確定申告を済ませると、翌年以降は勤務先の年末調整で住宅ローン控除を受けられます。会社員の場合は、税務署から送付される「住宅借入金等特別控除申告書」と、金融機関から届く「年末残高等証明書」を勤務先に提出するだけで手続きは完了します。

住宅ローン控除を申請するときの注意点

住宅ローン控除は大きな節税効果が得られる一方で、入居時期や手続きのタイミング、ライフイベントによる条件変更など、注意すべきポイントも多くあります。申請漏れや控除の適用外となる事態を避けるために、あらかじめ確認しておきたい重要なポイントを整理しておきましょう。

入居時期と申請時期のズレに注意

住宅ローン控除の適用は入居した年から開始します。初年度の確定申告は、入居した年の翌年1月1日以降に行います。なお、購入した年の年内に入居が間に合わなかった場合、その年は住宅ローン控除が受けられません。年度をまたぎそうな場合には注意しておきましょう。

転職・転居・繰上返済をした場合の影響

会社を退職して再就職が翌年になった場合、退職した年には年末調整ができないため、確定申告が必要です。この場合には、住宅ローン控除も確定申告で適用します。なお、転居して住宅ローン控除の対象となる住宅に住まなくなった場合には、その時点で控除の対象外となります。

繰上返済を行った場合、借入残高が大きく減るため、控除額も小さくなります。なお、繰上返済により当初の借入日からの返済期間が10年未満になった場合、それ以降は控除の適用が受けられません。

リフォーム・増築時の条件変更への対応

リフォームや増築でローンを組み直した場合、新しい借入で住宅ローン控除が受けられる可能性があります。住宅ローン控除の対象となるかどうかは、工事内容・工事費用・返済期間などの条件から判断します。省エネリフォームや大規模修繕の場合は、追加の証明書(住宅性能証明書など)が必要になるケースもあります。

控除を受けるときに確認したいポイント

住宅ローン控除は所得税だけでなく住民税にも影響します。控除の仕組みや、控除期間中に住宅を売却・転居する場合の注意点も確認しておきましょう。

所得税だけでなく住民税の控除もある

住宅ローン控除の控除額は、まず所得税から差し引かれます。所得税だけで控除額を引ききれない場合は、住民税からも一定額を控除できます。ただし、住民税から控除できる上限額は、原則として所得税の課税所得金額の5%(上限9万7,500円)です。

控除額が上限に達しないときの対処法

年収が少ない場合、所得税・住民税から控除しても、控除額が上限に達しないことがあります。住宅ローン控除では、支払う税金以上にメリットは受けられません。所得が低ければ住宅ローン控除の恩恵も少ないことを理解したうえで、住宅購入の計画を立てましょう。

控除適用期間中に住宅を売却・転居する場合

控除期間中に住宅を売却したり、居住しなくなったりした場合、その年以降は住宅ローン控除を受けられません。なお、転勤などで一時的に自宅を離れる場合、住宅ローン控除が継続できるかどうかはケースによって異なります。

売却でローンが完済される場合には、控除自体が終了します。一方、残債が残る状態での住み替えや買い替えの際には、新しい住宅で控除が利用できるケースもあります。ただし、要件が複雑なため、早めに税理士等の専門家に相談することをおすすめします。

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2024年1月の税制改正での変更点

住宅ローン控除の内容は、税制改正の際に見直されます。2024年の税制改正でも、一部の要件や借入限度額が調整されました。ここでは、最新の変更点について説明します。

制度変更の概要

2024年の税制改正による主な変更点は次のとおりです。

2024年税制改正での変更点

  1. 省エネ基準を満たさない新築住宅が住宅ローン控除の対象外に
  2. 新築住宅の借入限度額を縮小(子育て・若者夫婦世帯は縮小なし)

2024年から新築住宅の借入限度額は縮小されましたが、子育て・若者夫婦世帯については縮小を見送る優遇措置が取られています。この優遇措置は、2025年度も継続しています。

控除期間・控除率の見直しポイント

控除期間については、2022年の制度改正で導入された「13年間」の枠組みが引き続き適用されています。また、控除率も2022年以降は一律「0.7%」のままで変更はありません。

2023年以前に購入した人との違い

住宅ローン控除は、入居した年の税制が基準になります。2022年・2023年に入居した人と、2024年・2025年に入居した人では、新築住宅の借入限度額が次のように異なります。

新築住宅の借入限度額

 

2022年・2023年

2024年・2025年 (一般世帯)

2024年・2025年 (子育て・若者夫婦世帯)

長期優良住宅・低炭素住宅

5,000万円

4,500万円

5,000万円

ZEH水準省エネ住宅

4,500万円

3,500万円

4,500万円

省エネ基準適合住宅

4,000万円

3,000万円

4,000万円

その他の住宅

3,000万円

0円

0円

まとめ

住宅ローン控除は、住宅取得後の家計負担を軽減するためにぜひ活用を検討したい制度です。適用条件や必要書類、入居時期などのポイントを正しく理解しておくことで、控除を確実に受けられます。住宅ローン控除の内容は税制改正の際、変更になることがあります。住宅購入の際には、最新情報を確認しておきましょう。

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