【福岡のFPさんコラム】|iDeCoを知りたい!上手な活用法と注意点

お米の価格高騰や光熱費の値上がりなど、福岡での暮らしも物価上昇を感じる場面が増えてきました。日々の生活費が膨らむ中で、さらに気になるのが将来への備えです。
人生100年時代、多くの方が老後資金への不安を感じています。
老後生活の不安調査でも、公的年金だけでは不十分79.8%、自助努力による準備が不足37.6%と、経済面の不安が上位にあがりました*。
不安解消のために、個人でできる限りの準備をする自助努力の重要性が一層増したと言えます。
その対策として考えられるのが、私的年金制度のひとつである個人型確定拠出年金(iDeCo)です。
税制優遇の魅力から2025年11月時点で加入者が380万人を超え**、今後も増加傾向と予想されています。
また、2024年は一部の加入手続きの簡素化と拠出限度額の引き上げ、2027年からは加入可能年齢と拠出限度額引き上げが予定されているなど、より利用しやすくなりそうな今、検討を始めるのもいいでしょう。
*生命保険文化センター「生活保障に関する調査」 2025年度
**iDeCo公式サイト「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者数等について」 2025年11月
iDeCoの仕組みと3つの節税メリット

確定拠出年金とは?
まずはiDeCoも含む確定拠出年金についてお伝えします。確定拠出年金とは、公的年金とは異なる自助努力のための年金制度です。
企業(と従業員)または個人が掛金を拠出し、加入者個人の責任で運用を行い、将来の受取額が運用実績によって変動します。加入者とは掛金を拠出しながら運用をしている人です。
また、運用指図者とは掛金の拠出はせず、運用のみ継続している人で、企業型の加入者資格を喪失、個人型の拠出を停止等の場合があります。
確定拠出年金の2つの型
確定拠出年金には、企業型と個人型(iDeCo)の2つの型があります。違いは、誰が掛金を拠出するのか?誰が対象者なのか?です。
■企業型(DC)
企業(と従業員)が掛金を拠出し、加入者(従業員個人)が運用するため、対象者はこの制度を採用する企業の従業員に限られます。
■個人型(iDeCo)
加入者(個人)が掛金を拠出し運用をするため、原則20歳から65歳未満で、要件を満たせば加入可能です。
確定給付年金との違い
確定拠出年金(DC)と間違えやすい制度に確定給付年金(DB)があります。
確定給付年金とは、企業が従業員のために掛金を拠出し、企業の責任で運用し、将来の給付額が原則確定されている企業年金のひとつです。
iDeCoの仕組みを知ろう
ここからはiDeCoの基本的な仕組みを紹介します。
拠出・運用・給付の3つのステップとは?
iDeCoの仕組みは3つのステップに大別されます。
■ステップ1: 掛金の積み立て(拠出)
銀行等の金融機関でiDeCo口座を開設し、原則毎月掛金を積み立てます。
月5,000円から始められ、掛金額の変更(年1回)や拠出停止も可能です。
■ステップ2: 運用
加入者が選んだ商品(預金や投資信託等)を購入し、運用します。
長期的な運用となるため、年代や状況に応じた見直しが重要です。
■ステップ3: 受け取り(給付)
原則60歳以降、運用実績に応じた金額を受け取ります。
一時金(一括)、年金型式(分割)などの受取方法があり、それによって所得控除の種類が変わります。
加入者によって掛金の上限が異なる
加入者によって掛金の上限額が異なります。
また、先述の2026年12月予定の大幅な上限額引き上げが話題です。iDeCoに限らず上限額が引き上げられるので、勤務先の企業年金等と併用する際は、企業年金等の種類やマッチング(上乗せ)拠出が可能か確認しましょう。その際の注意点は後述します。
大事なことは、上限額にとらわれずに長期的な視点で考えることです。他の資金計画とのバランスを考え、無理なく継続できる金額を設定しましょう。
【iDeCoの対象者と掛金上限(2026年1月時点)】
加入対象者 | 国民年金被保険者区分 | ||
第1号 | 第2号 | 第3号 | |
自営業、学生、フリーランス等 | 会社員、公務員 | 第2号被扶養者である配偶者専業主婦(夫)等 | |
掛金上限 | 68,000円 | 20,000円~23,000円 | 23,000円 |
参照元:iDeCo公式サイト「iDeCoの拠出限度額について」
マッチング(上乗せ)拠出とは?
企業型確定拠出年金(DC)のために企業が拠出する掛金の額を超えない範囲で、従業員個人が企業の掛金に上乗せして拠出できる制度です。
企業と従業員の拠出合計額には上限があり、また、マッチング(上乗せ)拠出を採用していない企業もあります。
iDeCoの3つの節税メリットとは?
iDeCoの魅力は、前述の3ステップそれぞれにある税制優遇です。
メリット1:掛金は全額所得控除される
掛金は、小規模企業共済等掛金控除として全額所得控除されます。会社員や公務員は年末調整時に、自営業者等は確定申告時に行います。
メリット2:運用益が非課税で複利効果が高まる
運用益にかかる20.315%(所得税15.315%・住民税5%)の税金が全額非課税です。そのため、本来税金として差し引かれる部分も再投資され、運用面でも複利効果が高まるメリットがあります。
メリット3:給付時にも所得控除がある
受け取り時にも所得控除があります。一時金の場合、退職金と同様に退職所得控除の対象です。
年金形式の場合、公的年金と同様に公的年金等控除の対象です。なお、iDeCoも退職金も一時金で受け取る場合の注意点は後述します。
iDeCoのデメリットと注意点
3つのデメリットを知ろう
デメリット1:手数料がかかる
手数料には、必ずかかる共通手数料と、運用管理機関(口座を開設する銀行や証券会社等)によって金額が異なる運用管理手数料などがあります。
また、継続してかかるものとその時だけかかるものがあります。
手数料の比較は、運用管理費用など継続してかかる費用から比較しましょう。なお、運営管理手数料が無料でも共通手数料があるため、運用益が少ない場合は運用益が手数料を下回る可能性もあります。
【iDeCoの主な手数料】
タイミング | 手数料の種類 | 支払い先 | 金額(税込)など |
拠出(初回のみ) | 初回手数料 | 国民年金基金連合会 | 2,829円 |
毎月拠出・運用期間中 | 口座管理手数料 | 国民年金基金連合会 | 105円 |
口座管理手数料 | 事務委託先金融機関 | 66円(加入者) | |
運営管理手数料 | 運営管理機関 | 毎月発生、金額は運営管理機関により無料の場合もある | |
投資信託の運用管理費用 (信託報酬) | 投資信託費用 | 投資信託運用中に日々発生、金額は商品により異なる | |
給付 (受取時) | 給付時手数料 | 運営管理機関 | 年金等受取時に毎回発生、金額は運営管理機関による |
参照元:iDeCo公式サイト「手数料について」 、西日本シティ銀行「恋するiDeCo」の手数料
デメリット2:元本割れの可能性もある
価格変動がある商品を選択した場合、元本割れのリスクがあります。とはいえ、長期運用では、将来のインフレリスクを考慮して価格変動がある商品も必要といえます。
リスク軽減のため、分散投資と定期的な見直しを目指しましょう。
デメリット3:原則60歳まで受け取れない
iDeCoの受け取りは原則60歳から75歳までです。60歳から受け取るには原則通算加入期間等10年以上の要件があります。
例えば、60歳時点で通算加入期間等10年未満の場合は61歳以降等、受取開始年齢は段階的に制限されています。ただし、60歳以上で初めてiDeCoに加入した場合は例外的に通算加入期間等5年以上で受け取り可能です。
利用の注意点も要チェック!
以下に該当する場合の注意点をお伝えします。
企業年金等と併用したい場合
勤務先で加入中の企業年金等との併用は次の2点に注意しましょう。
■上限額は企業年金等と合算した金額
企業年金等とiDeCoの拠出額が合算されて上限となるため、人により拠出可能額が異なります。
■企業型確定拠出年金のマッチング(上乗せ)拠出とiDeCoとの併用は不可
iDeCoに加入せずマッチング拠出をする、または、マッチング拠出を停止してiDeCoに加入するのどちらかを選ぶ必要があります。その際、それぞれ提供商品の種類や手数料等に違いがあるため、内容を比較し、慎重に検討する必要があります。検討が難しい場合は、専門家や金融機関等での相談がおすすめです。
変化に対応したい場合
さまざまな環境の変化により運用の修正が必要になることもあります。
その時は、今後の購入割合を変更する(配分変更)、保有中の商品を売却した資金で別の商品を買い直し全体の配分を変える(スイッチング)などで対応できます。これらは運用中でも可能です。定期的に運用内容を確認する、その際に専門家へ相談するなど、変化に柔軟に対応しながら運用を継続しましょう。
課税所得がない場合
先述の所得控除は、課税所得がないまたは一定以下の場合は所得税・住民税が発生しないためメリットが少なくなります。ですが、運用益の非課税メリットはあるので、コスト等とのバランスを含めて検討しましょう。
退職金も受け取る場合
2026年からiDeCoと退職金を一時金で受け取る場合の調整対象期間のルールが変更になりました。
これまでは受け取り時期が5年以上空けることで双方に退職所得控除が適用されましたが、この期間が10年となったため場合によっては控除額が減るまたは課税される可能性があります。
特に、iDeCoと退職金が多額になる、複数の年金制度を利用しているなどの場合は、受け取りのタイミングに注意が必要です。事前に専門家へ相談し、計画的に受け取りましょう。
iDeCoの活用ポイント

自分に合わせて上手に活用しよう
ここでは20代からiDeCoを継続した場合の年代別活用ポイントを紹介します。表内の金融商品等は、あくまでも筆者の事例をわかりやすくまとめた参考例です。
実際の商品選択や見直しは、ライフプランを基に、リスク許容度や投資への価値観を考え、他の資金とのバランス等よく検討することが重要です。
また、iDeCo以外にも、少額投資非課税制度(NISA)や個人年金保険等、さまざまな方法があるので、目的に合わせて活用しましょう。
【iDeCoの年代別活用ポイント】※筆者経験を基に作成
年代 | 活用ポイント |
|---|---|
20代【形成期】 | 「天神ビッグバンのように変化する自分自身の将来」のため、時間を味方に大きく育てる第一歩を踏み出そう! 運用期間が最も長く、時間を味方にすることで複利効果と節税効果の最大化を目指します。時間的余裕があるため、株式などを中心とするリスクを負った積極的な運用も可能です。 ※今後、短期や中期の支出準備も考慮し、手持ち資金をキープしながら運用することが必須です。 |
30代【形成・成長期】 | 「福岡市近郊にマイホームを購入してローンがある」など、支出が膨らむ時期は無理なく! 住宅や教育資金準備などのライフイベントのための資産形成や様々な保障とのバランスを考慮することが重要です。長期的な成長を目指しつつ、やや積極的な運用を継続します。 ※20代同様に手持ち資金のキープも忘れずに運用を継続しつつ、より自分に合う運用スタイルを目指しましょう。ライフプランを基に、可能であれば掛金増額を検討してもいいでしょう。 |
40代【成長・見直し期】 | 「教育、マイホーム、親のサポート」など、福岡でのライフステージが大きく動く時期は攻めと守りのバランスの見直しを! これまでの運用成果から、老後資金の具体的な目標額の確認や計画を始める時期です。暴落時の影響を避けるため、安定資産の割合を徐々に増やす、全体の資産バランスを再構築するなどの見直しを検討します。 ※住宅や教育資金などで支出が拡大する時期のため、踏ん張り時となります。無理のないように継続しましょう。 |
50代【見直し・成熟期】 | 「県外の大学に進学した子どもの仕送りが終わった」など、少しでも負担が軽くなったら、ラストスパートを! リスク管理を優先したい時期です。短期での市場の影響をなるべく避けるため、元本確保型商品や債券型ファンドなど安定性の高い資産を中心に守りの運用へ切り替えるなどの見直しをします。 ※受け取り方法の計画やより具体的な老後の生活設計など資産を使うことを見据えて運用を継続しましょう。 |
自分に合う商品選択のコツ
ここでは一般的な投資信託の種類と商品選択のコツをお伝えします。相談時には、以下を参考に投資への価値観なども伝えるとスムーズです。
■パッシブ(インデックス)ファンド
株式などの値動きに連動させる運用手法です。
運用管理費用が低いものが多く商品数も豊富なため、商品にこだわりがなくコスト重視の場合におすすめです。
■バランス型ファンド
特徴が異なる複数の資産が既に組み入れられた投資信託です。
組み入れ比率により価格変動幅が変わりますが、既に分散投資されているので、商品選択をとにかく簡単に済ませたい場合に向いています。
■目標年度型ファンド(ターゲット・イヤー・ファンド)
時期に合わせた資産配分の見直しを自動で行います。
リスクの軽減のための見直しは難しいし面倒だと思う場合に便利な仕組みです。
相談できる安心感や手数料も考慮
iDeCoはどの金融機関を選んでも税制メリットは共通ですが、先述の運営管理手数料や提供商品、自分に合う体制などが異なります。
そのため、金融機関を選ぶ際は、相談できる安心感や手数料なども考慮して検討することをお勧めします。
福岡の金融機関の事例として、西日本シティ銀行「恋するiDeCo」の特徴を見てみましょう。
運営管理手数料も無料 西日本シティ銀行「恋するiDeCo」
西日本シティ銀行は、運用管理機関(金融機関)が独自に設定する運営管理手数料を2025年10月から無料化しています。
有料ですと毎月数百円かかることもあるため重視すべきポイントです。
また、iDeCoを始める前や見直し検討時には、Webや窓口でのシミュレーションが利用できるので、iDeCo活用のイメージ作りに便利です。
なにより、身近で、直接窓口で相談ができる安心感、さらには日常資金と合わせて管理がしやすいなどの利便性は、無理なく続けるために重要なポイントです。
自分らしく安心して継続できる環境も考慮しましょう。
まとめ

iDeCoの最大の魅力は、税制優遇と複利効果で、これらは長期にわたるほど効果が大きくなります。
長期運用を前提に、早く始めて無理なく続けることが大切です。とは言え、受け取りは原則60歳以降のため、iDeCoを検討する際に特に意識したいことをまとめます。
- ライフプランを基に他の資金計画とバランスをとる
- iDeCo以外の資産形成も併用する
- 無理のない掛金設定と商品選択をする
- 企業年金等や退職金受け取り等の併用は計画的に行う
- 定期的な見直しや商品管理でリスク軽減の工夫をする
そして、iDeCoなどの資産運用は自己責任で行います。
ひとりで悩まず、金融機関での窓口相談等も利用するなど、自分に合う方法で長く上手に活用しましょう。
下記に、よくある相談を記載していますので、気になる方は参考までにご一読ください。
よくある相談 Q&A
Q:住宅ローンの繰り上げ返済とiDeCo加入、どちらを優先すべき?
A:どちらも長期的な支出です。ライフプランを立てる、家計を見直すなどとともに、将来をシミュレーションして、iDeCoに拠出できそうなら無理なく始めましょう。
Q:NISAとiDeCo、どちらを選べばいい?
A:iDeCoは老後資金準備のための制度です。NISAも老後資金準備に活用できますが、現役時代に使うための準備なのか、老後のための準備なのか、目的の違いが検討ポイントになります。
Q:iDeCo加入中に転職する場合の注意点は?
A:さまざまなデメリットが発生する放置状態は避けましょう。退職後6か月以内に手続きをしない場合、運用の停止、管理手数料の負担、加入者等期間から除外などのデメリットが発生します。また、転職先の年金制度、併用または移換が可能かなどの確認をしましょう。上限額や費用負担などが変わる場合があります。

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福岡県在住。2010年に独⽴系FP事務所を開業。「誰もが⾃分のお⾦について考え理解できる時代」を⽬指し、パーソナルファイナンス教育やFP資格取得⽀援に取り組む。FP、キャリアコンサルタントとして、「⼈⽣とお⾦」「⼈⽣と仕事」の両⾯から、学⽣、社会⼈、シニア世代など幅広い層に向けた講師・相談業、官公庁・企業セミナー等で活躍中。








