お金に関する知識や判断力を「金融リテラシー」と呼びます。お金は、我々の生活に欠かせないものです。複雑化した現代社会において、金融リテラシーの重要性はますます高まっています。本記事では、金融リテラシーをチェックできるクイズも紹介していますので、自分の知識を確認してみてください。
金融リテラシーを高めよう
現代社会で生きていくためには、お金に関する知識や判断力が欠かせません。そこで、金融リテラシーを高める方法を知っておきましょう。
金融リテラシーの重要性
金融リテラシーとは、金融や経済に関する知識や判断力のことです。社会の中で経済的に自立して生きていくために、金融リテラシーを持っておきましょう。
お金との上手な付き合い方を学ぶ
お金は、きちんと管理したり、注意深く使ったりすることが大切です。お金と付き合う方法がわからなければ、トラブルに巻き込まれる可能性もあります。
子どものうちから金融リテラシーを身につけることは、重要です。近年は、学校での金融経済教育も重視されるようになりました。家計管理や資産運用、金利などについて、基本的な知識は持っておかなければなりません。
金融リテラシー調査でわかる日本人の金融行動
金融広報委員会では、個人の金融リテラシーの現状をチェックするために、「金融リテラシー調査」を行っています。金融リテラシー調査は18~79歳の個人を対象に、2016年(平成28年)以降3年おきに実施されています。2022年(令和4年)の調査結果より、日本人の金融行動についてみてみましょう。
出典:金融広報委員会「金融リテラシー調査(2022年)」
正答率は5割程度
金融リテラシー調査では、25問の正誤問題により知識をチェックできるようになっています。2022年(令和4年)の正答率は55.7%となっており、過去2回の調査から大きく変わっていません。年齢層が高いほど、また金融・経済情報をみる頻度が高いほど正答率が高くなっています。
日本人は投資に消極的
金融リテラシー調査では、日本人が投資に消極的な姿勢も明らかになっています。「10万円を投資すると、半々の確率で2万円の値上がり益か、1万円の値下がり損のいずれかが発生する」場合、「投資する」と答えた人は全体の25.9%です。また、過去1か月に生活費を超える金額のお金の運用をしたことがある人は、26.9%となっています。
日本人は損失を回避するため、投資を控える傾向があります。とはいえ、過去2回の調査と比べると、積極的に投資行動をする人の割合はわずかながら増加傾向となっています。
金融リテラシー・マップを確認してみよう
金融リテラシー調査では、「金融リテラシー・マップ」によって体系化された各分野の問題が出題されています。金融リテラシー・マップとは、最低限身につけるべき金融リテラシーを年齢層別に示したものです。
金融リテラシー・マップでは、以下の8つの分野について、小学生、中学生、高校生、大学生、若手社会人、一般社会人、高齢者という区分で、金融リテラシーをチェックできます。
金融リテラシー・マップの8分野
家計管理
生活設計
金融取引の基本
金融・経済の基礎
保険
ローン・クレジット
資産形成
外部知見の活用
小学生から高校生までは、金融リテラシー・マップに沿った金融教育も行われています。社会人も、金融リテラシー・マップをチェックしながら金融知識を身につけるのがおすすめです。
金融リテラシークイズで知識をチェック
自分の金融リテラシーをチェックしたいという人は、多いのではないでしょうか。金融広報中央委員会のサイト「知るぽると」には、金融リテラシーをチェックできる「金融リテラシークイズ」が用意されています。
金融リテラシークイズは、全部で5問です。金融リテラシークイズを使って、基本的なマネー知識をチェックしてみましょう。
1. 家計の行動をチェック
【問1】家計の行動に関する次の記述のうち、適切でないものはどれでしょうか。 |
回答選択肢
家計簿などで、収支を管理する
本当に必要か、収入はあるかなどを考えたうえで、支出をするかどうかを判断する
収入のうち、一定額を天引きにするなどの方法により、貯蓄を行う
支払いを遅らせるため、クレジットカードの分割払いを多用する
正解は4です。
クレジットカードで分割払いを選べば、支払いを遅らせることは可能です。ただし、分割払いでは手数料が発生してしまいます。分割払いは、多用すべきではないでしょう。
2. 人生の3大費用とは?
【問2】一般に「人生の3大費用」といえば、何を指すでしょうか。 |
回答選択肢
老後の生活費、子の教育費、医療費
子の教育費、住宅購入費、老後の生活費
住宅購入費、医療費、親の介護費
正解は2です。
人生では、さまざまな場面でお金が必要になります。その中でも、特に大きな資金を準備しておかなければならないのが、教育費、住宅購入費、老後費用です。それぞれ必要な時期はある程度決まっているので、計画的に準備しておきましょう。
3. 金利と預金・借入の関係
【問3】金利が上がっていくときに、資金の運用(預金等)、借入れについて適切な対応はどれでしょうか。 |
回答選択肢
運用は固定金利、借入れは固定金利にする
運用は固定金利、借入れは変動金利にする
運用は変動金利、借入れは固定金利にする
運用は変動金利、借入れは変動金利にする
正解は3です。
変動金利とは市場金利に連動して金利が変わるタイプ、固定金利とは金利が一定のタイプです。資産運用する場合、金利が高いほど収入が増えます。金利上昇局面では、変動金利で運用した方がよいことになります。
一方、高い金利で借入すれば、払う利息が大きくなってしまいます。金利上昇局面で借入する場合には、固定金利の方がよいということです。
4. 複利についての理解をチェック
【問4】10万円の借入れがあり、借入金利は複利で年率20%です。返済をしないと、この金利では、何年で残高は倍になるでしょうか。 |
回答選択肢
2年未満
2年以上5年未満
5年以上10年未満
10年以上
正解は2です。
お金が2倍になるまでのおおよその期間は、72を金利で割れば算出できます(72の法則)。たとえば、金利18%で借金した場合「72÷18=4」となり、約4年で借りたお金が2倍になります。なお、72の法則の算式は、複利(利息にも利息がつくこと)が前提です。
問4の例をあてはめると「72÷20=3.6」となるため、正解は2年以上5年未満となります。
5. トラブルの相談窓口
【問5】 金融商品の契約についてトラブルが発生した際に利用する相談窓口や制度として、適切でないものはどれでしょうか。 |
回答選択肢
消費生活センター
金融ADR制度
格付会社
弁護士
正解は3です。
金融トラブルの相談窓口には、消費生活センターや弁護士があります。ADRとは、裁判外紛争解決手続きのことです。ADRを利用すれば、裁判に比べて基本的に短時間・低コストで紛争解決ができます。全国銀行協会、生命保険協会、日本貸金業協会などの指定紛争解決機関で、金融分野のADRが行われています。
格付会社とは、金融商品や企業等の信用状態についてチェックし、評価を付与する会社です。金融トラブルの相談窓口ではありません。
参考:金融広報中央委員会「金融リテラシークイズ」
お金と上手に付き合うためには?
金融リテラシーは、お金と上手に付き合うコツともいえます。お金とうまく付き合う方法やチェックポイントをまとめてみます。
赤字にならないよう収支管理をする
お金はきちんと管理しなければなりません。家計を赤字にしないよう、毎月の収入の範囲内で生活することを意識しましょう。家計簿をつけて家計をチェックし、収支管理をすることが大切です。
ライフプランを明確にする
人生においては、まとまった資金が必要になる場面があります。毎月の生活費から捻出できないお金は、貯蓄して用意しなければなりません。
まずはライフプランを考え、お金がいつ、どれくらい必要かを計算します。必要な時期や必要な金額を割り出し、マネープランを作りましょう。
金融商品を選ぶ知識を身につける
低金利の今の時代、預貯金だけではお金は増えません。お金と上手に付き合うためにも、投資商品で賢く資産運用することを考えましょう。ただし、投資にはリスクがあります。どのような点をチェックして金融商品を選ぶべきかも、知っておかなければなりません。
現在は、税制優遇を受けながら投資信託の運用ができるNISAの制度もあります。通常の投資信託の運用よりも有利に運用できるため、ぜひ活用しましょう。
まとめ
金融リテラシークイズで、自身の知識をチェックすることは大切です。お金との付き合いは、一生続きます。お金の知識があれば、日々の生活がより豊かになります。金融リテラシーを身につけて、お金と上手に付き合いましょう。
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森本由紀
AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士、夫婦カウンセラー
大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。