2022年(令和4年)、食品をはじめとしたさまざまな商品の値上げが相次いでいます。主要メーカーでは商品価格改定を発表しており、値上げは今後も続く見込みです。今回は、主な値上げ商品の一覧と今後の価格改定について説明するので、参考にしてみてください。
日本の家庭を直撃する値上げラッシュ
最近、食料品や日用品など身近な商品の値段が上がっています。まずは、2022年(令和4年)6月末に帝国データバンクが食品主要105社を対象に行った調査(「食品主要105社」価格改定動向調査)をもとに、商品値上げの現状や今後の見込みを説明します。
今年食品は1万品目以上が値上げ
今回の調査によると、6月末時点で1万5000品目を超える商品の値上げが計画されています。今後発表されるものも含めると、年内中の値上げ品目は2万品目を超える可能性があります。
出典:帝国データバンク「食品主要105社」価格改定動向調査(7月)
既に6000品目以上が値上げ実施
6月末時点で既に値上げが実施されている商品は、6451品目にのぼります。7月には1588品目が値上げされ、残り7000品目以上は8月以降に実施される予定です。食卓への影響が、秋にはますます深刻化するでしょう。
10月にはビールや炭酸飲料が値上げ
今回の調査では、酒類や飲料の値上げ計画が明らかになりました。価格改定が決まった酒類・飲料は、3585品目にのぼります。10月には、ビールや清涼飲料水が一斉に値上げされる予定です。
値上げ幅は平均13%
今回の調査で判明した食品の平均値上げ率は、13%です。食品分野別にみると、値上げとなった品目が最も多いのは加工食品で、6700品目以上が価格改定されています。加工食品の平均値上げ率は、15%です。
出典:帝国データバンク「食品主要105社」価格改定動向調査(7月)
価格改定の背景にある円安やインフレ
今年の値上げの原因は、食品の仕入れコストの上昇です。長引くコロナ禍やロシア・ウクライナ情勢などの不安定な世界情勢により、小麦や原油の価格は世界的に高騰しています。加えて3月下旬以降急激に進んだ円安が、値上げに拍車をかけることになりました。
円安で仕入れコストが上がる理由
円安になると、日本円を使って海外から物を購入する際に不利になります。食品の原材料を輸入に頼っている食品メーカーでは、円安になると仕入れコストが増大するのです。
さらに、日本では石油>>投資プランの提案はなどのエネルギーも輸入に依存しているため、輸送コストも上昇します。こうしたコスト上昇分を販売価格に反映しないと、メーカーは生き残れないのです。
1ドル130円台を既定路線とした決断
為替相場は今年4月下旬に、20年ぶりの1ドル131円台を記録しました。その後も円安はおさまる気配がありません。
食品各社ではこれ以上の価格維持が難しくなり、今後も1ドル130円台が続く前提での価格設定を決断したのです。為替相場の状況によっては、今後再値上げや再々値上げも考えられます。
20年ぶりのインフレ到来
継続的に物価が上昇し、相対的にお金の価値が下がる状態がインフレです。日本では物価が上がらないデフレの状態が続いていましたが、20年ぶりにインフレ時代が到来したと考えられます。
しかし、現状物価は上がっていても、賃金は上がっていません。物価上昇は、我々の生活を大きく圧迫することになります。今後の値上げを見込んで、我々一人一人ができる対策を考えておかなければなりません。
出荷価格・料金改定された品目の一覧
食品のほかに、日用品も値上げが実施されています。身近な商品・サービスがどんどん値上げされると、家計へのダメージは大きくなるでしょう。ここで、価格改定された主な品目を紹介します。どんなものが値上げになっているのか、知っておきましょう。
食品・酒類
大手メーカーのおなじみの食品や飲料、酒類などが、今年になってから続々と価格改定されています。
インスタントラーメン・カップ麺
即席袋麺、即席カップ麺の価格が改定されました。メーカーや商品によって値上げ幅は違いますが、5~12%の値上げになります。
食パン・菓子パン
大手製パン会社の食パンや菓子パンの価格が改定されています。たとえば、山崎製パンの場合、食パンは平均8.7%、菓子パンは平均4.3%の値上げです。
缶詰・加工食品
さば水煮缶などの缶詰の価格が改定されています。ハムやソーセージ、ちくわ、カレールー、レトルトカレー、冷凍食品、パスタソースなどの加工食品は、幅広く値上がりしています。
調味料
大手メーカーのマヨネーズや醤油、粉末だし、穀物酢、ケチャップ、サラダ油、七味唐辛子、香辛料など、多くの商品の価格が改定になっています。
乳製品
スライスチーズ、クリームチーズ、プロセスチーズなどが値上げされています。
菓子類
「ポテトチップス」などのスナック菓子、江崎グリコやロッテなどのお菓子の価格が改定されています。
飲料・酒類
コカ・コーラ、アサヒ飲料、キリン・ビバレッジなどの清涼飲料水が値上げになります。酒類メーカーでも価格改定を発表しており、ビール、缶チューハイ、清酒パックなどの値段が上がります。
日用品
食品と並んで家計に大きな影響を与えるのが、日用品の値上げです。日用品の主な値上げ商品を知っておきましょう。
ティッシュペーパー・トイレットペーパーなど
ティッシュペーパーやトイレットペーパー、ペーパータオルなどの紙製品の価格が改定され、「スコッティ」「クリネックス」「エリエール」などが値上がりします。
紙おむつ
花王の「メリーズ」の出荷価格が10%引き上げになっています。
照明器具
パナソニックでは4月にシーリングライトなど住宅用照明器具を約5%、直管・丸形蛍光灯を約30%値上げしています。10月には、ツイン蛍光灯が約30%値上げになります。
カセットコンロ
岩谷産業のカセットコンロが約5~15%、カセットガスが約15%値上げになっています。
光熱費
エネルギー価格の高騰は、電気・ガス料金に影響を与えています。電力各社、ガス各社で料金改定が行われています。
通信費
6月1日からEMS(国際スピード郵便)と国際小包の料金が改定され、値上げになっています。
その他
価格改定は、その他にもさまざまな商品・サービスで行われています。
外食産業
スシローやマクドナルド、ミスタードーナツ、ケンタッキーフライドチキン、モスバーガー、松屋など、大手外食チェーンで次々と値上げが行われています。
タイヤ
ブリヂストンでは、9月より国内市販用タイヤを3~8%値上げすると発表しています。
航空運賃
日本航空では、4月に大人普通運賃など一部の運賃を値上げしました。LCCのピーチ航空でも、6月に運賃や手数料の改定を行っています。
今後も値上げが続く可能性は?
我々にとって身近な商品・サービスの値段が次々と上がり、家計への影響は無視できないような状況です。ここからは、今後も値上げが続く可能性について考えてみます。
企業努力に期待するも消費者の負担は増える見込み
企業では、仕入れコストが上がってもすぐに値上げに踏み切るわけではありません。たとえば、商品のリニューアル、生産地の変更、包装の簡素化、生産管理体制の強化などによりコスト増を吸収する試みを行います。
しかし、今の原材料価格の高騰は、企業努力だけでは対応しきれないでしょう。今後も値上げラッシュは続く可能性があります。
日本でもインフレ時代が到来するかも
一度値上げされた商品が値下げになることは、期待できません。商品値上げが続けば、日本でも本格的なインフレ時代を迎えることになります。
今後はインフレに対応できるよう、家計管理や資産運用を見直す必要があります。
個人でできるインフレ対策
まずは、家計の見直しが必要です。日々の買い物では無駄が出ないようにし、固定費を減らせないか考えてみましょう。資産を現金で持っていると、インフレにより価値が目減りしてしまいます。預貯金だけでなく、株式や投資信託、外貨などへの投資も考えましょう。
まとめ
食品を中心に、数多くの商品やサービスが値上げになっています。既に値上げが決まっている商品もありますが、これから値上げを決める商品も出てくるでしょう。今後は、物価が上がり続けるインフレ状態になる可能性があります。資産防衛のための対策も忘れないようにしましょう。
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森本由紀
AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士、夫婦カウンセラー
大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。