旅行サークルで知り合った坂本さんと妻の智代美さん。キャンプや釣りも好きという坂本さんは、息子の朝杜くんと一緒に、これからアウトドアを楽しむために少しずつ準備しているそうです。子育ての方針で揉めたことはないという坂本さん夫婦の秘訣とは…?お二人の取り組みや育児に対する考え方を聞きました。
■Profile
坂本 一真(さかもと かずま)さん
1985年生まれ。福岡市博多区出身 金融機関に13年勤めた後、子育てのことを考えて2年前に転職。現在は、建設・不動産企業の財務に携わっている。妻、智代美(ちよみ)さんと2019年に結婚。1歳を迎えたばかりの朝杜(あさと)くんの子育て中。
妻の子どもに対する気持ちの変化
――お二人の出会いをお聞かせください。
同じ大学の旅行サークルで出会いました。と言っても、妻は5歳下なので、在学中ではなく、僕の卒業後です。OBを交えた飲み会があって、妻の就職活動のアドバイスに乗っていたのがきっかけでした。それから、離れたりもしながら約8年付き合って、3年前に結婚しました。
――結婚前から、お二人で子どもを持つことや育て方などについて話されましたか?
僕は子どもが好きだったので、そういう話はしていたんですが、当時、妻はあまり子どもと触れ合った経験がなく、どう接して良いか分からないといった感じで。そのときは、そこまで子ども望んでないようだったので、あまりプレッシャーをかけるのは良くないと思って、様子を見ていました。その後、妻の周りの友人たちに子どもができて、触れ合うようになると、だんだん子どもが欲しいと思うようになったみたいです。
予定よりも早い出産
――出産前のご自身や智代美さんの心の変化、日常生活の変化などはどうでしかた?
妻のつわりがそんなにひどくなかったので、何か特別困ったということはありませんでしたが、やはり、自分の体がどんどん変わっていくのは怖かっただろうと思います。理解はしたいなと思っていました。また、本人ができるだけ動きたいと話していたので、部屋の中に閉じこもらないように、一緒に散歩したり、外に連れ出したりするようにはしていましたね。妻が気分転換できるようにと心がけていました。
――事前に育児について勉強や準備をされましたか?
必要なものは、周りの子育て経験のある人たちに聞いて少しずつ準備していたんですが、子どもが予定より1か月早く生まれたんです。それで、完璧な状態ではなかったので、生まれたと同時に急いで買いに行きました。
――それは大変でしたね。出産には立ち会えたのですか?
もともと予定していた病院で出産できず、面会も全くできなくて出産には立ち会えませんでした。僕と妻が一緒にいたときに陣痛があったので、予定していた病院に連れて行ったんですが、そこから救急車に乗って別の病院に移動することになって。生まれたその日に抱っこはできませんでしたが、顔を見ることはできました。2150gと小さく生まれたので、しばらくICUにいて、2週間後に退院したとき初めて抱っこできました。本当に可愛かったです。
子育てに携わるため転職を決意
――家事育児と仕事とのバランスはいかがですか?
夕方6時頃には帰宅できる仕事なので、帰ってきて、お風呂に入れたりごはんをあげたり、育児に携わる時間が十分取れています。仕事中も息子に会いたくて、早く帰りたいという思いがどうしても出てしまいますね(笑)。会社のパソコンの画面は息子なので、それを見て、早く終わらせようと意識して仕事しています。
――育児をするのに良い環境ですね。
前の職場ではどう頑張っても帰りが遅かったし、家から通うのも遠かったので、2年前に転職したんです。13年勤めた職場でしたが、妻と会話する時間もなく、子どもをもつことも考えて、思い切って転職しました。やめた途端に妊娠が発覚したんです。おかげで家族と過ごせる時間が増えたので、それが1番自分の中では嬉しいですね。前の職場だったら育児にはほとんど参加できなかったと思うので、転職して良かったと思います。
妻は、出産の2ヶ月前に育休を取って、出産後3ヶ月ぐらいで復帰したんですが、朝も早く夜も遅い仕事だったので半年経って退職しました。今は専業主婦です。
――家事や育児は夫婦で分担されていますか?
子どもが生まれる前から、早く帰ったほうが家事をするようにしていて、担当はあえて作りませんでした。お互いが同じことをできるようにしておけば、どちらかが体調を崩しても困らないので。
――育児をすることでの夫婦間の変化はありましたか?
当たり前のことかもしれませんが、それまで自分たちの生活だけを考えていたのが子ども主体の生活になりました。外出するにしても、子どもは耐えられるのかを考えます。今離乳食期なので、何時にどこであげて、どこでオムツを替えて…など、ある程度頭の中で計画を立てて、下調べもしてから出かけないといけませんね。
親子3人でキャンプに挑戦
――朝杜くんと一緒によくお出かけされるのですか?
はい、買い物などのちょっとした外出もしますが、キャンプが好きなので、先日、息子が1歳になる少し前に、キャンプデビューさせました!子どもがどれぐらい大きくなったら、どこまで行けるのか、少しずつ慣らしていこうと思っています。
――すごい!1歳でキャンプデビュー。でも大変だったのでは?
夜泣きはなかったんですが、まだ歩けないので、土の上をハイハイさせるわけにはいかず…。動きたいのに、テントから出ようとすると止められてしまうのでもどかしそうでした。もうちょっと歩けるようになってからの方が良かったかなと思います。食事は、開けるだけで食べられる市販の離乳食を持って行ったら喜んで食べていました。
――子どもとキャンプする上で気をつけたことは?
キャンプ場の場所が全てだと思います。体調を崩したらすぐ病院に連れていけるなど何かあってもすぐ対処できるように、都会に近いキャンプ場に連れて行きました。また、外で寝るので体調を崩さないように、できるだけ気温が変わりにくいような場所で、蚊がいない季節に行った方が良いと思いますね。これから暑くなるのでしばらくは行かず、また涼しくなってから連れて行こうと思っています。
――次のキャンプが楽しみですね!朝杜くんがいてよかったと思う瞬間はどんなときですか?
朝起きてから寝るまで、いつもです。小さく生まれてきたこともあり、ちょっと体調を崩したら、どれだけひどくなるかも分かりません。今日一日元気でいてくれることに感謝しています。子どもが健康でありさえすればいいなと思っています。少しでも体調が悪いととにかく心配です。自分よりも大切な存在だなと。
夫婦間で共通認識を持つこと
――子育てで大切にしていることはありますか?
妻ともよく話しているんですが、人に好きになってもらえるような子になって欲しくて、そこを夫婦で共有しています。この共通認識があるので、子育てをする上で、こんな子どもに育てたいという思いにズレが出てきたとしても、結局ゴールは同じなんです。おかげで、育て方について夫婦間で食い違いは出ていません。人に好かれるためにすることと言えば、例えば、協調性を持つとか、嘘をつかないなど、人として当たり前のことを全部含んでいるんです。その方向性だけ見間違えないようにして子育てに取り組んでいます。
――これからパパになる人たちにメッセージをお願いします。
僕は、まだまだパパとしてひよっこですが、子育てを「手伝っている」という感覚だけは持たないでおこうと思っています。子育ては、初めから2人でやることなので、「手伝う」と思ってしまうと参加していないようになります。自分主体でやるものだと思ってやっています。
あとは、周りからいろんなアドバイスを聞くことも大切ですね。ものを一つ買うにしても、これはいる、いらないだとか、夜泣きがあるときはこんな感じ、そんなこと大したことないよとか、実際の経験を聞くことができます。僕の場合は、キャンプ仲間や友人、近所の人、おじいちゃんおばあちゃん・・・周りに子育ての先輩ばかりなので、いろんな人に話を聞いて、自分の子育ての参考にしています。
取材後記
子育ては自分主体でするものだという意識を持って、子育てに参加するために転職した坂本さん。お互い同じ家事ができるようにしていたり、同じ子育てのゴールを共有していたり、常に夫婦が同等の立場や目線に立って子育てをされているのを感じられました。旅行好きのお二人なので、これから朝杜くんといろんなところにお出かけできるのが楽しみですね!
長澤由紀
フリーライター・エディター
福岡県久留米市出身。明善高校、福岡女子大学卒業後、株式会社アヴァンティで2年間雑誌・Web媒体の編集に携わる。その後、ライター・エディターとして独立。K-POP鑑賞と韓国旅行が好きな“韓国オタク”。