こんにちは。薬膳料理研究家甲木里枝(かつきさとえ)です。福岡市平尾にあるキッチンから、皆さんの体調やココロを整える薬膳料理を発信しています。コラムでは、季節の過ごし方、体調別のおススメ食材、ご家族で美味しく食べることのできるカンタン薬膳レシピをお伝えします。今回のテーマは「梅雨のむくみ解消薬膳」。薬膳料理でカラダとココロを整えて、美味しく楽しい生活を送りませんか?
6月に入り、雨の降る日も多くなってきましたね。先日近くの公園に散歩に行ったところ、曇り空の下で紫色の紫陽花が咲いていました。
薬膳の世界では、梅雨は「土用(どよう)」の時期とされます。この期間に、万物は生養(せいよう)のタイミングを迎え成長が促進されます。雨は「大地を潤す滋養である」という考え方です。
私も昔は自律神経が弱かったので雨が降ると頭痛がして、雨の日は好きではありませんした。ですが、薬膳のこの考え方を知ってから、雨のしずくの音も次第に好きになってきました。ただ、梅雨になるとたくさんの方から相談される悩みがあります。それが「むくみ」です。
「朝起きると顔がむくんでいて、目が開きづらいです。」「下半身のむくみがひどくて、足が冷えてつらいです。」
梅雨になると、こういったご相談をうけることが多くなります。。
普段は少しむくみを感じるくらいの方も、梅雨の時期はその症状がさらに重くなるのが特徴です。むくむと自分のカラダではないような感覚がして、心地良くないですよね。そこで、今年は梅雨の時期をうまくいかして、むくみ解消のきっかけの時期にしませんか。
むくみの原因を大きく3つに分けてご紹介します。
チェックリストで、ご自分がどのタイプにあてはまるか知って、むくみ解消のヒントにしてくださいね。
A
□ 揚げ物が好きだ
□ お酒を飲むことが多い
□ ときどきお腹を壊す
□ やる気が出ない日がある
□ 手足のむくみが特にひどい
B
□ 腰が痛い
□ 深い呼吸ができていない
□ 冷え性だ
□ 全身がむくむ
□ 耳鳴りがすることがある
C
□ 慢性的にむくみを感じる
□ 肩がこっている
□ お腹が張る
□ 食欲がない
□ 気持ちがアップダウンする
診断結果はこちらです。
Aにチェックが多かった方
あなたは「脾の機能低下」タイプです。脾(消化機能)が低下していることで、水の流れが悪くなり、体内に「湿」が溜まってしまっています。梅雨の「湿邪」の影響を受けやすいのもこのタイプです。体内の「湿」を取り去って、むくみを解消しましょう。
おすすめの薬膳料理⇒レシピNO1「とうもろこしのデトックススープ」
Bにチェックが多かった方
あなたは「腎の陽不足」タイプです。陽気が不足して、カラダを温める機能が低下しています。カラダが冷えると一番に影響を受けるのが、水を司っている腎です。腎の水をコントロールする力が弱まり、特に梅雨にカラダに溜まりがちな湿を排出できていません。まずは、カラダを温めて腎機能を高めましょう。
おすすめの薬膳料理⇒レシピNO2「ラム肉のクルミ米粉オーブン焼き」
Cにチェックが多かった方
あなたは「肝の巡り不足」タイプです。肝は気血水の巡りを司っています。ストレスや心配事で気の巡りが滞ると、水の流れまでも滞ってしまいます。発散して巡りを良くして、むくみを解消しましょう。
おすすめの薬膳料理⇒レシピNO3「グリーンピースの茗荷粥」
【レシピNO1】とうもろこしのデトックススープ
【材料(2人分)】
とうもろこし・・・・・・・・・1/2本
とうもろこしのヒゲ・・・・・・1/2本分
大麦・・・・・・・・・・・・・20g
ジャガイモ・・・・・・・・・・60g
玉ねぎ・・・・・・・・・・・・・40g
昆布出汁・・・・・・・・・・・400cc
塩・・・・・・・・・・・・・・小さじ1/4
【作り方】
1.大麦は湯から12分茹でで柔らかくしておく。
2.とうもろこしは皮をむきヒゲのきれいな部分をとり、実を包丁でそぎ取る。ヒゲはみじん切りにする。このとき、とうもろこしの芯は捨てずにとっておく。
3.ジャガイモは皮をむき薄くスライスする。玉ねぎも同様にする。
4.鍋に昆布出汁、とうもろこしの実とヒゲと芯、ジャガイモ、玉ねぎ、塩を加え、約12分弱火で煮込む。
5.4からとうもろこしの芯を取り出し粗熱を冷ます。
6.5をフードプロセッサーにかけ、攪拌する。
7.6を鍋に戻し、大麦を加え一煮立ちさせる。
8.器に盛る。※お好みで余ったとうもろこしのヒゲを飾る。
【レシピの効果】
むくみとりに効果的な食材といえば、とうもろこしです。そして、デトックス作用を持つ昆布出汁と合わせると効果は倍増!また、大麦も未消化物質を取り去ってくれるデトックス食材です。とうもろこしの甘さや大麦のモチモチ食感の楽しめる美味しいスープです。
【レシピNO2】ラム肉のクルミ米粉オーブン焼き
【材料(2人分)】
ラム肉・・・・・・・・・・・360g
クルミ・・・・・・・・・・・2個
ニラ・・・・・・・・・・・・2本
にんにく・・・・・・・・・・6g
オリーブオイル・・・・・・・小さじ1
米粉・・・・・・・・・・・・大さじ3
香菜・・・・・・・・・・・・1束
粒マスタード・・・・・・・・小さじ4
胡椒・・・・・・・・・・・・小さじ1/2
【作り方】
1 クルミは細かく刻む。ニラはみじん切りにする。にんにくは擦り下ろす。
2 米粉にオリーブオイルを加えて良く混ぜ、しっとりとしたら、クルミ、ニラ、にんにくを加えて混ぜ合わせる。
3 ラム肉に胡椒をふり、粒マスタードをまんべんなく塗る。その上で、2を全体にしっかりとまぶす。
4 180℃に予熱したオーブンで13分焼く。
5 皿に盛り、香菜を添える。
【レシピの効果】
羊肉などのジビエには、腎に陽気を補充し、カラダを温めてくれる作用があります。温めることによって腎機能が高まれば、腎の体内の水を調整する機能が回復します。冷え性で、かつ、むくみが全身に現れる場合は、腎機能を整えることが重要です。今晩は、一工夫したクルミ米粉の衣をつけて、ヘルシーなジビエ料理はいかがですか?
【レシピNO3】グリーンピースの茗荷(みょうが)粥
【材料(4人分)】
グリーンピース・・・・・・・・・・100g
茗荷・・・・・・・・・・・・・・・40g
白米・・・・・・・・・・・・・・・1合
水・・・・・・・・・・・・・・・・1800cc
【作り方】
1 白米はよく洗い、水を切って15分空気にさらす。
2 グリーンピースはさやから出し水で洗う。茗荷はみじん切りにする。
3 鍋に水と白米を加え、最初は強火、沸騰したら弱火で15分炊く。
4 グリーンピースを加え、さらに10分炊く。茗荷を加えさらに5分炊く。
5 火を止めたら、蓋をしたまま30分蒸らす。
6 お粥を器に盛る。
【レシピの効果】
気の巡りを促すグリーンピースに、「湿」を発散させる茗荷を合わせたお粥です。気の巡りが滞ると、どうしても水の巡りも悪くなってしまいがちです。特に、ストレスをためるとお腹を壊してしまいがちな方におススメの薬膳粥です。炊いているときも良い香りがキッチンに広がるので、作っていて楽しいお料理ですよ!
【まとめ】
このように、私たちのカラダがむくむ原因はいくつかあります。そして、そのむくみを一番感じやすいのが梅雨の時期です。でも、逆を言えば、自分の体質を知り、むくみを解消する絶好のチャンスの時期とも言えます。
「薬膳料理で楽しく美味しく体質改善」。ご自宅でも作れるカンタン薬膳料理。せっかくなので、今年は薬膳料理で梅雨の時期を「むくみ解消の季節」にしてみませんか。
SATOE
薬膳料理研究家。国際薬膳師。「薬膳ハウス金木犀」主宰。株式会社金木犀代表。株式会社LeQUALIA共同代表。
約12年にわたり公務員として勤務。自身の体調不良をきっかけに薬膳と出会い、薬膳料理家に転身。福岡市内の料理教室「薬膳ハウス金木犀」を主宰。メディア出演や情報誌などでもコラムを掲載。「楽しく美味しく体質改善」をテーマに、ハーブやスーパーフードも取り入れた新たな薬膳料理を提案。