快適な夏の暮らしのイメージを「風通しが良い」と表現するように、居心地がよい場所には換気や掃除のしやすさが欠かせません。今年の夏は、新型コロナウイルスの対策として厚生労働省が新しい生活様式を発表しました。その内容も踏まえ、本格的な夏が来る前に風通しの良い環境作りと片づけのポイントを5つお伝えします。
1)新しい生活様式で奨励されている換気をしっかりと
風通しの良いレイアウトは 窓までの動線が最優先
朝晩の涼しい時間に窓を開けて空気の入れ替えをしたり、一日に何度もこまめに換気をしたりするためには、窓の周りをスッキリと片づけておく必要があります。
窓の近くに家具や物があるために、動線が塞がれてアクセスしにくい状態だと感じるなら、家具のレイアウトを変えたり、多すぎる椅子やあまり使っていないサイドテーブルなどの家具類を思い切って減らしたりするなど、窓までのアクセスをよくしておきましょう。アクセスが良くなることで、子供に「窓を開けて換気をお願いね!」と頼みやすくもなります。
空気の入れ替えは1時間に1回、5〜10分ほど、対角線上にある窓を2つ開けることがポイントだと言われています。
日本は高温多湿
…とはいえ、最近は外から侵入してくる害虫や排ガス、花粉、PM2.5などを防ぐために、カーテンや窓を開けることに抵抗感がある人が増えているのも事実です。
しかし、閉めっぱなしにしていると今度は、冬に結露した場所など湿気の逃げ場がなくなるため、窓やカーテンにカビが発生していても気付かないという別の問題が発生します。
カビは体調不良やアレルギーの原因にもなりますから、本格的な夏になる前に確認をして窓全体やサッシをきれいに掃除しておきましょう。特に北側の部屋は要注意。カーテンは外して洗うと安心です。カーテンフックも洗いましょう。
窓回りが清潔だと、5分~10分程度の換気ならば、そう気にならなくなります。日頃から湿度計を見て、湿度が70%以上にならないように除湿器を使うなどコントロールをするのも効果があります。
押入やクローゼットは衣替えを
最近は衣替えをしない収納法が好まれる傾向にありますが、衣替えの機会がないとカビの発生や虫食いに気付かないまま何年も経過することがあります。放置しておくと、衣類だけでなく家具や壁にまで被害が及びます。
確かに、押入やクローゼットの中の物を衣替えのたびに全部出して入れ替えるのは大変ですが、衣替えは収納スペース内を空っぽにするので、風を通し換気と掃除でホコリやダニなどをきれいさっぱり取り除くチャンスです。アルコールで拭いて仕上げておくことで安心して暮らせます。
どんなに忙しくても年に2回、衣替えだけはするようにおすすめしています。簡単に衣替えができる程度に物の量を減らそうというきっかけにもなります。
24時間換気システムが機能しているか確認する
2003年以降に建てられた建物は「24時間換気システム」が義務つけられていますので、自動的に換気されているはずです。しかしちゃんと機能していますか?
換気口が家具や物でふさがれていたり、せっかくのフィルターが汚れていたりするともったいないことです。今一度確認しておきましょう。
2)完璧な片づけをめざさない
ぽいぽい放り込みカゴ収納
部屋の中に物がたくさんあると、雑然とした印象が視界に入ってくるのでそれだけで暑苦しく感じます。特に家族みんながあつまるリビングダイニングルームは物が集まります。
床の上、テーブルの上、カウンターの上、椅子の上などについつい置いてあるものを片付けるだけで視界はスッキリし、涼しく感じます。
ポイントは、ついつい溜まりがちな郵便物、おもちゃやお子様が書いた絵やクレヨンやシールなど
散らかりがちなものを何でもぽいぽい放り込めるカゴを用意しておくことです。
リモートワークや休校などで家族も自宅にいることが多いので、いくら片付けても散らかってイライラすることがあるかもしれません。そんなときこそ、完璧な片付けではなく、「とりあえずぽいぽい放り込めばいいや!」と涼しい笑顔でラクに構えていましょう。
「ぽいぽいタイム!よーいドン!」 掛け声をかけて一斉にスタート
散らかってきたら、「ぽいぽいタイム!よーいドン!」と掛け声をかけて一斉にぽいぽいとかごに片付けるというルールを事前に話し合って決めておくと 家族で楽しんで片付けられます。
かごに入りきらずにあふれるようになったら、要る要らないの整理をして一定量をキープします。整理はすべての土台です。
その整理も誰がやるのか、いつやるのか、家族で事前に決めておくといいですね。くじ引きやゲームなどで決めても楽しいものです。
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家族も小さな社会 思いやりが育つ声かけ
誰かが片づけてくれたら「わー!スッキリしたね!気持ちいいね、ありがとう!」と明るく声に出して表現してください。この声掛けはとても大事です。
家族も小さな社会、自分がしたことで誰かが喜んでくれることや、ルールや思いやりがあると気持ちよく過ごせるということを子供も少しずつ身につけて行くことでしょう。やがて子供も同じように「気持ちいいね!ありがとう!」と言うようになります。まさに「育てたように子供は育つ」のです。
3)カーテンやクッションカバーなどファブリックも衣替え
カーテンは寒色系に変えるだけで 体感温度が3℃も下がると言われています。
ベッドルームのお布団やシーツを夏用に変えたタイミングで、リビングのクッションカバーやテーブルクロスなども衣替えをしている方は多いと思います。
ファブリックが変わるだけでさわやかな風が吹いてくるようで、私は毎年この衣替えを楽しんでいます。
これらの収納は押入れなどに引き出しを一つ入れ、「ファブリック・シーズンオフ」とラベルを付けておきましょう。夏物をしまう時には冬用のウールや暖色系の物と入れ替える衣替えが簡単にできます。
4)夏の必需品のチェック
また、ガラスの花瓶や食器を出す、ラグをゴザに変える、子供用のビニールプールやクーラーボックスを出す、日差しを遮るサンシェードやすだれを設置する家庭もあるでしょう。
蚊取り線香や虫さされ用スプレーなど、夏に使う物は案外さまざまお持ちではないでしょうか。
いずれも「夏の必需品」として普段は納戸や階段下の収納スペースや外の倉庫などに収納されていると思いますが、何年もしまったまま忘れている物はありませんか?
本格的な夏が来る前に階段下や屋根裏、納戸を整理しながら、夏用の物をまとめておくといいですね。使いたいときにすぐに出せます。中には劣化をしたり痛んだりしている物があるかも知れません。危ないものは早めに処分し、買い替えが必要な物は早めに手配をしておきましょう。
まとめ
こうして改めて風通しのよさを求めてみると、withコロナであろうとなかろうと、換気や風通しは健康的に暮らすための智恵であり、日常の生活は家族が家族のために思いやりと笑顔で作り上げていくものだと気付きます。
片付けはその手段として重要な役割を持ちます。
換気に注意して、さわやかにすこやかにこの夏を乗り越えましょう!
- 片付け
里舘 友子
整理収納コンサルタント、住宅収納スペシャリスト、暮らし美人化計画ハウスキーピングSan代表
福岡市在住。2008年起業、延べ4,000軒以上の家庭で、片付けの本質的な問題解決提案や行動計画を手がける。 豊富な経験とノウハウ、理論の融合で、単に捨てるだけではないスキル移譲が得意。学校や公共団体、住宅系企業主催イベント等多数講演。著書に「私は整理収納アドバイザー®」(ハウジングエージェンシー) ■ http://house-keep.info/