相談者:Tさん(福岡県在住)
本人51歳(会社員)、長女19歳(大学生)
Q. 今の貯蓄を運用して、老後資金をつくるには?
大学生の子どもを母子家庭で育てています。今後、子どもに学費260万円(普通預金で準備中)、結婚、出産などのお祝いに150~200万円の出費を予定しています。
現在、月々の収支は赤字で、収入が増える予定はありません。洋服はおさがりを利用し、普段は髪を自分でカットして被服費や理美容費を節約。日用品は臨時収入が入った時やボーナスで一括購入しています。
毎月の生活に余裕を持ちたいことと同時に15年後の受給年金額も少なく、リタイア期までにできるだけ老後資金を増やしたいので、今ある資金を効率的に運用して増やす方法と毎月の収支改善について、アドバイスをお願いします。
賃貸不動産投資にも興味がありますが、元本保証でないために決断できておりません。
また、外貨定期預金は@115.41円で1万2000ドル購入したので、円安のタイミングがつかめず、為替差益ができていません。こちらの運用方法も合わせてお伺いしたいです。
65歳リタイアとして余裕ある生活を送り、1000万円程度相続に残したいと思っています。
A. 子どもの費用は全て学資保険満期金から支払いを
区分管理して老後の資金計画を立て、投資は少額の積立投資か
養育費も慰謝料も受け取らず、ご実家からの援助もない状況で、2000万円の貯蓄達成とはお見事です。子育てのゴールが見えてきて、生活の充実や老後準備にかじを切ろうという判断もよいと思います。
そんなTさんにおすすめしたいのは、現在の貯蓄のうち650万円(学資保険の満期金)をお子さんの分、1350万円をあなたの分、と明確に区分管理すること。そのほうが老後の資金計画が立てやすいはずです。
普通預金から払う予定だった学費、結婚・出産等のお祝い、毎月の教育関係費7万円は、学資保険の満期金から払いましょう。そうすることで毎月の収支は2万7300円の黒字となり、ボーナスや積立(株、財形、養老保険)も合わせ、毎年160万円強を蓄えられます。
お子さんが独立すればもっと貯められるでしょうが、ゆとりある生活に回す金額も決めましょう。退職金や継続雇用による収入や公的年金も含め、老後の資金計画を立ててください。
効率的に資金を増やす方法をおたずねですが、かつて投資信託で大きな損を出したようです。外貨預金でも利益が出せていません。賃貸不動産投資も時期尚早です。目先の利回りに引かれて勧められるままに投資するのは、危険極まりない行為といえます。
投資するならそれなりの勉強をし、少額の積立投資(NISAやiDeCoなど)から始めるべき。外貨預金は外貨のまま使うことも含め、ご自身で決断を。為替相場は時々刻々動くので、換金タイミングをアドバイスすることはできかねます。
回答者 高橋伸子さん
生活経済ジャーナリスト。長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。
消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。
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1カ月の収支、家計状況と質問を書いて投稿フォームから応募を。
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確認のため電話番号は必ず明記してください。
採用者には商品券2000円分を進呈。
転載元:
「リビング北九州・熊本・かごしま」2021年12月18日号掲載
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高橋 伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。株式会社西日本フィナンシャルホールディングスの社外取締役監査等委員。