小学校でプログラミング教育スタート!
全国の小学校で、プログラミング教育が始まったことをご存知ですか?
今年度から始まるプログラミング教育の必修化についてのある調査(*1)では、回答した保護者の約56%が「聞いたことはあるが内容は知らない」と答え、また約67%が「不安である」と答えていることが明らかになりました。
*1 ShoProによる未就学児童の保護者551人への調査結果(2020年2月20日実施)
…新しいことが始まるのって、親としては不安ですよね。
プログラミング教育ってどんなことするの?
親はどんなサポートをしていったらいいの?
など、心配になる人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、小学校におけるプログラミング教育のねらいや学習内容、小学生を持つご家庭における保護者の皆さんのかかわり方などについてお伝えしていきます。
小学校でプログラミング教育が必修化するねらい
まずは、ねらいについてです。
小学校におけるプログラミング教育では、どんなことを目標にしているのでしょうか。
文部科学省は、これについて「プログラミング的思考」「よりよい社会を築く態度の育成」などの言葉を使っていますが、一言で言えば「コンピューターを活用して創造する力を育む」ということです。
なぜ、創造する力が必要なのか考えてみましょう。
変化の激しい世の中で
特に「創造する力」の必要性を実感したのが、今回のコロナウイルスの感染拡大ではないでしょうか。この影響で、世の中の様子がガラリと変わりましたよね。
今まで安泰とされていた職種でも仕事を失い、子どもたちも学校に行けなくなる。
こんなことは去年の今頃では考えられなかったことです。
政府が提唱する新しい生活様式でも「外食をしても、あまり会話はしないように」「人との会話は正面を避けて」など、今までの「当たり前」は当たり前でなくなり、世の中は突然変わることを思い知らされました。
子どもたちが生きていく未来は、これからも変化を繰り返していくことが考えられます。
そんな中で「創造する力」が重要になってきます。
今どんなことが社会に求められ、そして自分に何ができるのかを考え出す。
まさに「社会に適応する人材」ではなく「社会をつくり出していける人材」が求められるのです。
なぜプログラミングなの?
「社会の変化や創造する力については分かったけど、なぜそれをコンピューターの活用を通して(プログラミングで)養うの?」そう思った方もいるかもしれません。
そうなんです。そこが今回とても大切なところ。
理由は大きく分けて2つあります。
① プログラミングは試行錯誤がしやすく、創造する力を身に着けるのに適している ② 何かを創造する上でコンピューターの力は欠かせない |
順番にお話しします。
①プログラミングは試行錯誤がしやすく、創造する力を身に着けるのに適している
プログラミングでは「こうしたい!」と思うゴールに向かって、必要なプログラムを組み合わせていきます。プログラミングしたことはその場で試すことができ、正しかったか間違いだったかがすぐに分かります。
考えて試す、違ったらまた考える…これが何度もできる。思考錯誤は創造するためには欠かせない過程です。その点から創造する力を身に着けるのに適していると言えます。
また「プログラムの組み方が1つではない」というのも良さです。
方法が1つしか無ければ、友達に聞いてそれで終わり。考える場面が減ってしまうかもしれません。「他のやり方もある」それを知ると子どもの創造する力はもっと高められます。
②何かを創造する上でコンピューターの力は欠かせない
変化する世の中を生きていく上で必要になってくるのが、コンピューターを活用する知識や技能です。今やコンピューターが身近にあふれ「何をコンピューターに任せればいいのか」を判断して、使いこなしていくことで生産性は大きくアップします。
文部科学省が発行する「小学校プログラミング教育の手引き」でも「コンピューター等を上手に活用して、よりよい社会を築く態度を育むこと」がねらいとして位置づいています。国としてもIT人材の育成を喫緊の課題としていることが分かります。
小学校でのプログラミング学習はどんなことを学ぶの?
…とは言っても、学校での学習がはじまるとなれば、
うちの子だけ、分からなかったらどうしよう
親は何をすればいいのだろう
と不安になるものです。具体的にどんなことを学習するのかが分かっていると親としても安心ですよね。
そこで、ここからは実際に学習する内容や、親のかかわり方についてお伝えしていきます。
プログラミング教育が始まることになり、次のような質問がよく聞かれます。
プログラマーを育てる教育なの?
難しいコードを書く勉強をするの?
いいえ、違うんです。
例えば他の学習で考えてみましょう。
小学5年生の社会科では、第一次産業の学習として「お米のつくり方」「漁の仕方」を学習します。でもこれは、農家や漁師を育てるための教育ではありません。
私たちが身近に接している食べ物が「どうやってつくられているか」「どんな思いでつくられているのか」を知り、そのことについて考えたり、社会の仕組みを理解したりするための学習です。
プログラミングも同じです。今や子どもたちにとってコンピューターは毎日触る身近なものでありながら、それがどうやってつくられているのか、仕組みがどうなっているのか等を知っている子どもはあまりいません。
コンピューターは、あらかじめ入力されたプログラムをもとに動いている
コンピューターのおかげで私たちの生活は豊かになっている
これを理解し、どんな場面でどんなコンピュータを活用していけば良いか考える。これが大切とされています。
とはいえ、そんな内容はいくら口で言っても、子どもたちにはチンプンカンプン…。そこで「実際にコンピューターに触れながら、体験を通して学びましょう」というのが国の方針です。
そのため、難しいコード入力を学習するのでなく、プログラミング教材で絵を書いたり、自分が描いた絵を動かしたりしていく。また、今までやっていた教科の学習の中にプログラミングを生かしていくことになります。
そうする中で試行錯誤を繰り返し、創造する力を鍛えたり、コンピューターを上手に活用して身近な問題を解決したりしていく態度を養っていきます。
中にはプログラミングの楽しさに気づき、プログラマーを志す子どもも出てくるかもしれません。これは将来の選択肢が広がり、子どもにとってもいいことです。
※ 学年別の学習内容やプログラミング教材を用いた学習の例など「もっと詳しく知りたい!」という方は下のサイトをご参照ください。 文部科学省が発行したプログラミング教育の位置付けについて説明した手引き。具体的な学習例や、指導の方針を説明している。 文部科学省、総務省、経済産業省が連携して子ども達に体験的なプログラミング教育を実施できるようにと設立された。学校が企業等とも連携して取り組める「みらプロ」を実施、紹介している。 |
家庭でできるプログラミング教育とは?
学校で取り組まれるプログラミング教育。さて、小学生の子どもがいる家庭ではどんなことができるでしょうか。
親ができることは子どもに合ったプログラミングアプリに出会わせること。
そして教えるのではなく、子どもと一緒に考えたり子どもがつくったものに興味をもって認めてあげることです。
ですが世の中にはたくさんのプログラミング教材があふれています。学校と同じ教材を使えば授業には対応できますが、本当に育みたい力の育成には繋がらないかもしれません。
オススメしたいのは、次のような条件を満たしたプログラミングアプリです。
子どもが自由に創作できるもの
「○○をつくりたい」と自ら考えて自由に創作できるアプリを使うのがオススメです。「ロボットを○○まで進めましょう」など、あらかじめゴールが設定されているようなアプリより、子どもが自由に創作できるアプリの方が子どもの創造性を育むのに適しています。
子どもの年齢にあったもの
たくさんあるプログラミングアプリですが、実は対象となる年齢が少しずつ違います。子どもの年齢にあったものを使うと楽しく使え、自主的に、そして継続的に取り組んでいくことができます。
以下に無料でできるプログラミングアプリをいくつか紹介します。
Viscuit(ビスケット)
主に未就学児~小学1年生向けのアプリです。簡単にプログラミングできることに重点が置かれてつくられているため操作がシンプルです。感覚的につくることができます。
SCRATCH(スクラッチ)
主に小学生(高学年)~中学生向けのアプリです。パソコン上に配置したキャラクターを動かすために、命令を出すブロックを処理の順番に並べていきます。ブロックを重ねていくことによって複雑な命令も可能になります。
Springin'(スプリンギン)
主に小学生(低~高学年)向け。自分の描いた絵を動かしたり、録音したりすることができます。プログラミングは言葉を使わずアイコンを組み合わせるだけなので、操作はシンプルですが自由度の高い作品づくりができます。
では実際にどんなものをつくれるのか、上に挙げた中から「Springin’(スプリンギン)」をとりあげて紹介していきます。
Springin’(スプリンギン)で、どんなものがつくれるの?
まずは動く絵本。
学校の授業でも物語づくりはありますが、作文用紙に文章を書いてつくることがほとんどですよね。もちろんそれも大切ですが、Springin’なら自分で描いた絵を動かしたり喋らせたりすることが簡単にできます。楽しみながら自分だけのオリジナル物語をつくり出す。そんな機会を自宅でもつくってみてはいかがでしょうか。
次にゲーム。
シューティング型やパズル型など、様々な種類のオリジナルゲームをつくることができます。もちろん1人で遊ぶだけでなく対戦型のゲームもつくれますので、子どもがつくったゲームで一緒に遊ぶこともできます。ゲームづくりに一緒に取組めば親子でのコミュニケーションの場にもなりますね。
そして楽器。
Springin’では録音の機能を使ってオリジナルの楽器までつくれてしまうんです。リアルに楽器をつくろうとすると、箱をたたいたり振ったりして音を鳴らす「打楽器」をつくることはできますが、結構大変。Springin’を使えば打楽器はもちろん、音階のついた楽器まで簡単につくることができます。自分でつくった楽器で演奏すると曲をつくることにも繋がっていきます。
まとめ
いかがでしたか。「プログラミング教育って楽しそう」と思っていただけたことと思います。何をつくるにしても、自分のイメージする動きになるように思考錯誤を重ねる中で「創造する力」を育くんでいく、それがプログラミング教育です。
Springin’は先ほどご紹介した文部科学省主催の「みらプロ2020」にも採択されており、全国の学校でも使われているアプリです。小学生が楽しみながら学習できます。iOS対応のためiPhoneやiPadでご利用いただけます。
- 教育
中村 俊介
芸術工学博士、(株)しくみデザイン代表
九州芸術工科大学大学院(現・九州大学芸術工学研究院)にてメディアアートを制作しながら研究を続け,博士(芸術工学)を取得。 パソコンのカメラで手や体の動きを検知し,楽器を演奏する電子楽器「KAGURA」が米Intel社主催の世界コンテストでグランプリを獲得。その後、創造的ビジュアルプログラミングツール「Springin'」を開発するとともに,世界中の子どもたちがクリエイティブになれる方法と環境を研究・実践する「クリエイティブ教育ラボ」を立ち上げ,研究所長に就任。