同じ会社員であっても、働いている業界によって給料はかなり違ってきます。どうせ働くなら、給料の高い業界で働きたいという方が多いのではないでしょうか?今回は、日本の平均年収事情を説明し、給料の高い業界をランキング形式でお伝えします。就職や転職を考えている人はぜひ参考にしていただければ幸いです。
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仕事をするうえで給料は重要視すべき?
就職や転職の際には、年収や月収をチェックするでしょう。給料が高いことで享受できるメリットや、考えられるデメリットについて考えてみます。
給料が高いことのメリットとは?
給料が高い方が良い理由としては、以下のようなことがあります。
生活に余裕が生まれ贅沢ができる
給料が高ければ、旅行やレジャーを思う存分楽しめます。高級マンションに住んで快適な暮らしもできるでしょう。
子どもの教育にお金をかけられる
高い給料をもらっていれば、子どもの教育費を惜しむ必要もなくなります。お金を気にすることなく、習い事をさせたり塾に行かせたりすることもできます。子どもの進みたい学校に進学させることもできるでしょう。
老後の心配をしなくてすむ
給料が高い人は社会保険料を多く払っているので、老後にもらえる年金も多くなります。退職金もたくさんもらえることが多いため、老後の生活の不安が少なくなります。
待遇全般が良いことが多い
高給がもらえる大企業では、給料以外の待遇も良くなっています。働きやすい環境が整っていれば、働く意欲も湧いてくるでしょう。
高収入でデメリットになることはある?
給料が高いことによるデメリットがあるとすれば以下のような点が考えられます。
税金の負担が大きくなる
日本の所得税は累進税率で、所得が増えるほど税率が上がります。所得税と住民税を合わせた最高税率は55%となっており、年収5,000万円を超えるくらいになると半分以上が税金で持って行かれてしまいます。
定住が難しいことも
転勤や海外赴任が頻繁にある会社の場合は、転勤があるので家を買いづらかったり、会社に拘束されて自由がきかなかったりすることがあります。
いくらからが高給?日本の平均年収事情とは
給料が高いことにデメリットがないわけではありませんが、やはり給料が良いことのメリットの方がはるかに大きいでしょう。では、実際いくらもらえたら高給なのでしょうか?日本の平均年収のデータにもとづき考えてみます。
日本の平均年収は436.4万円
国税庁が行っている「2019年(令和元年)民間給与実態調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は436.4万円となっています。
なお、436.4万円というのは、1年間勤務したすべての給与所得者を合わせた結果です。性別や会社の規模等によって平均年収は大きく変わってきます。
男女の年収の差は200万円以上
男女別の平均給与を見てみると、男性は539.7万円、女性は295.5万円です。男性の方が女性よりも200万円以上も平均給与が高く、男女の賃金格差が大きいことがわかります。
業界によって平均年収は違う
給料の平均額は業界によっても違います。扱う商品・サービスによって利益の出やすさなどにも差があるため、給料も変わってくるのです。
産業別の給料の違い
民間給与実態調査より、業種別の平均年収を多い順に並べると、次のようになります。
業種 | 平均年収(単位:万円) |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 824.2 |
金融業、保険業 | 627.0 |
情報通信業 | 598.5 |
学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業 | 517.5 |
製造業 | 513.0 |
建設業 | 490.6 |
運輸業、郵便業 | 435.5 |
不動産業、物品賃貸業 | 423.6 |
複合サービス事業 | 411.0 |
医療、福祉 | 400.8 |
卸売業、小売業 | 375.9 |
サービス業 | 359.0 |
農林水産・鉱業 | 296.9 |
宿泊業、飲食サービス業 | 259.6 |
出典:国税庁「2019年(令和元年)民間給与実態調査」※表は筆者作成
上の表からわかるとおり、平均年収は業種によって大きく差があります。なお、上の表の平均年収は、すべての年代、男性・女性両方を合わせたものです。それぞれの業種の中でも、年代や性別によって差があります。
給料が良い業界ランキングTOP10
業種によって給料が変わることを説明しました。以下、国税庁の民間給与実態調査のデータをもとに、給料が良い業界についてランキング形式で紹介します。
給料が高い業界1位:電気・ガス・熱供給・水道業
給料が最も高い業界は、電気、ガス、水道などのいわゆるインフラ業界となっています。
平均年収は?
電気・ガス・熱供給・水道業の平均年収は824.2万円です。男女別では男性が871.4万円、女性が616.4万円となっており、女性も日本の平均年収を上回っています。
年収が高い理由
インフラ業界は景気に左右されないないため、給与も安定しています。大企業が多く給与水準が高いため、平均年収も高くなっていると考えられます。
給料が高い業界2位:金融業・保険業
銀行、証券会社、保険会社などの金融・保険業界は、給料が高い業界の代表と言えます。
平均年収は?
金融業・保険業の平均年収は627万円です。ただし、男性の平均年収は808.8万円とかなり高いですが、女性の平均年収は417.2万円と日本の平均年収に届いていません。
年収が高い理由
メガバンクをはじめ大企業が多く、給与水準が高いことが考えられます。仕事も多忙で転勤なども多いため、それに見合った給料が保証されているとも言えます。
給料が高い業界3位:情報通信業
情報通信業とは、情報や通信に関するサービス全般になります。通信会社、放送局、ソフトウェア会社、インターネット関連会社、出版社など幅広い分野の会社が含まれます。
平均年収は?
情報通信業の平均年収は598.5万円、男女別では男性が666.5万円、女性が427.1万円となっています。
年収が高い理由
通信やインターネット関連の業界は、時代の変化とともに急成長を遂げてきた分野です。高い利益を出している会社が多く、年収も高いと考えられます。
給料が高い業界4位:学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業
ここには、研究機関、検査機関、コンサルティング業、法律事務所、学習塾などさまざまな分野の会社が含まれます。
平均年収は?
学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業全体での平均年収は517.5万円です。男性の平均年収は636.4万円、女性の平均年収は378.4万円と、男女差は大きめです。
年収が高い理由
サービス単価が高い上に仕入れ等のコストがかからないため、利益率が高くなり、高い給料を払うことが可能になっていると考えられます。
給料が高い業界5位:製造業
製造業には、大企業から中小企業までさまざまな規模の会社があります。会社の規模によって給料は異なりますが、比較的年収の高い業界で、就活生からも人気です。
平均年収は?
製造業の平均年収は513万円です。男性が596.9万円、女性が304.4万円となっており、男女間で約2倍の開きがあるのも特徴的です。
年収が高い理由
自動車や電化製品などを扱う大手メーカーの給与水準が高く、平均年収を押し上げていることが考えられます。中小企業でも需要の大きい商品を製造している会社では、安定した利益を確保しており、給料も高いことがあります。
給料が高い業界6位:建設業
建設業界には、大手ゼネコンから小規模な工務店や土木工事の会社など、さまざまな規模の会社があります。会社を選べばかなり高い給料がもらえる業界です。
平均年収は?
建設業の平均年収は490.6万円です。男性の平均年収は542.2万円、女性の平均年収は290.9万円となっています。
年収が高い理由
大手ゼネコンの給与水準が高いことのほか、人手不足の会社が多いことも考えられます。
給料が高い業界7位:運輸業、郵便業
ここには、鉄道会社や航空会社、運送業など物流関係の会社、宅配便の会社などが該当します。
平均年収は?
運輸業、郵便業の平均年収は435.5万円です。男性の平均年収は472.5万円、女性の平均年収は269.5万円となっています。
年収が高い理由
運輸業界にはさまざまな会社があり年収にも幅がありますが、航空会社や大手運送会社では、給与水準が高くなっています。
給料が高い業界8位:不動産業、物品賃貸業
宅地建物取引業を行う不動産会社、自動車や機械などのリース・レンタル会社などが該当します。
平均年収は?
不動産業、物品賃貸業の平均年収は423.6万円、男性の平均年収526.4万円、女性の平均年収302万円です。
年収が高い理由
不動産会社が顧客から受け取る報酬は、取引する不動産の価格によって異なります。不動産の価格が高い地域で多くの取引を行っている会社では、売上も大きく、給料も高めになっています。
給料が高い業界9位:複合サービス事業
複合サービス事業には、郵便局や協同組合(農協、生協など)が含まれます。
平均年収は?
複合サービス事業の平均年収は411万円、男性の平均年収は487.4万円、女性の平均年収は308.7万円です。
年収が高い理由
景気に左右されない業界なので、給料も安定していると考えられます。
給料が高い業界10位:医療・福祉
医療・福祉業界には、病院や介護施設、福祉施設が含まれます。
平均年収は?
医療・福祉業界の平均年収は400.8万円です。男女別の平均年収では、男性が558.8万円、女性が342.4万円となっています。
年収が高い理由
特に、医師や看護師など医療従事者の年収が高くなっています。介護業界の年収はそれほど高くありません。
まとめ
就職や転職の際、給料は大きなポイントでしょう。高い給料がもらえれば、生活にゆとりが生まれます。給料が多いか少ないかは、会社の規模によっても変わってきますが、業界によっても傾向があります。お金を多く稼ぎたいなら、給料の高い業界に注目して会社を選んでみましょう。
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森本由紀
AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士、夫婦カウンセラー
大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。