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就業不能保険は必要ないって本当?加入の必要性&働けないリスクへの備え方を考えよう

就業不能保険はいらないって本当?要不要の判断基準やメリットデメリットを解説

就業不能保険は病気やけがで働けないときのための保険ですが、どうしても必要なものなのでしょうか?この記事では、病気やけがで働けなくなったときの経済的な備えについてと、どんな人に就業不能保険が必要かを解説します。

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働けないリスクに備える就業不能保険とは?

就業不能保険は収入保障保険とは違い、病気やけがで働けないときの自分や家族の生活を守る保険です。

※収入保障保険:自分が死亡したとき、遺族の生活費を保障する保険

就業不能保険の保障内容

いくら給付される?

就業不能保険の保障は、保険会社所定の「働けない状態」と認められた場合に、月額5万円~50万円ほどの給付金が支払われるのが一般的です。

保険期間・給付金が支払われる期間は?

就業不能保険の保険期間は、①65歳までなど年齢で区切る場合、②10年・15年などの年数で区切る場合の2パターンに分類されます。

給付金を受け取れる期間は、①保険期間満了 、②10年間などの決められた一定の期間 の2パターンに分類されることが多いです。

加入可能な年齢は何歳から何歳まで?

就業不能保険は、現役世代の働けなくなったときの収入減少をサポートする保険です。したがって、加入可能な年齢は通常20歳~60歳に設定されています。

就業不能保険のメリット・デメリット

メリット

就業不能保険に加入するメリットとしては以下の3点が挙げられます。

● 長期にわたり、働けなくなったときの保障が受けられる

● 医療保険の保障の対象にならない在宅療養なども保障される場合がある

● 公的保障だけでは不足する生活費を補うことができる

デメリット

反面 、デメリットには次の3点があります。

● 免責期間(給付金が支払われない期間)があるため、働けなくなってもすぐに給付金を受け取れるわけではない

● 「就業不能状態」として認められる条件は保険会社によって異なり、働けないからといって給付が受けられるとは限らない

● うつ病など精神疾患は保障されない商品が多い

「就業不能」状態と認定される条件

「就業不能」状態と認定される条件

「就業不能」とはどのような状態か

一般的な就業不能状態の定義は以下の通りです。

● 病気やけがの治療のために病院に入院している状態

● 病気やけがにより、医師の指導のもと、在宅療養で治療に専念している状態

単に働けないという状態よりも厳しい条件であると言えます。また、就業不能状態については、各保険会社によって個々に決められていると上述しました。就業不能保険を検討する場合には、給付金を受け取れる条件を必ず確認しておくようにしましょう。

病気やけがで働けないときに頼れる公的保障は?

病気やけがで働けないときに頼れる公的保障は?

病気やけがで働けなくなったときには、就業不能保険以外に、どのような公的な保障が活用できるでしょうか。ここでは、3つの公的保障について解説します。

傷病手当金

傷病手当金とは、会社員が業務外の病気やけがで仕事を休み、その間の給与等が支払われない場合に、生活費の保障として健康保険から給付されるものです。

傷病手当金の支給要件

● 療養のため(入院・通院問わず)、就労できないこと

● 仕事を4日以上休んでいること

● 休んだことにより給与等が支払われないこと

傷病手当金の給付期間・支給額

傷病手当金が支給されるのは、支給を始めた日から起算して1年6ヶ月です。金額としては、平均標準報酬月額 の3分の2が支給されます。

出典:厚生労働省「傷病手当金について」 休業補償給付と休業給付

会社員が業務や通勤の途中でのけがなどで仕事を休み、その間の給与が支払われない場合、労災保険から休業給付または休業補償給付が受けられます。

業務災害が原因となった場合は休業補償給付、通勤災害が原因となった場合は休業給付の対象になります。

休業補償給付と休業給付の支給要件

● 業務または通勤が原因のけが、または病気で療養中であること

● 療養中のため就労ができないこと

● 会社から給与の支払いがないこと

休業補償給付と休業給付の給付期間・支給額

労災保険の休業給付または休業補償給付には支給期間の上限はなく、けがや病気が治って上記の支給要件に該当しなくなるまで支給されます。支給額は平均賃金の80%です。

出典:厚生労働省「休業(補償)給付 傷病(補償)年金の請求手続」 障害年金

公的年金には、病気やけがなどで障害が生じたときに支給される「障害年金」があります。老齢年金と違い、現役世代にとってのセーフティーネットと言えます。

障害年金の種類と等級について

国民年金の加入者は障害基礎年金が受けられ、厚生年金の加入者は障害基礎年金の上乗せとして障害厚生年金が受けられます。

障害年金には以下のような等級があります。

● 障害基礎年金 ⇒ 障害等級1級・2級

● 障害厚生年金 ⇒ 障害等級1〜3級

障害等級の認定を受ける際には、初診から1年6ヶ月が経っている必要があります。

障害年金の受給要件

● 初診日が公的年金加入期間中の病気やけがによる障害状態であること

● 一定の障害状態であること

● 所定の保険料納付要件を満たしていること

障害年金の年金額

等級

障害基礎年金

障害厚生年金

障害等級1級

97.71万円+子の加算

障害基礎年金(97.71万円)+報酬比例の年金×1.25+配偶者加給年金

障害等級2級

78.17万円+子の加算

障害基礎年金(78.17万円)+報酬比例の年金+配偶者加給年金

障害等級3級

報酬比例の年金(最低保証58.63万円)

※2020年(令和2年)4月からの年金額

障害等級が1級・2級の人で、18歳未満の子どもがいる場合、「子の加算」が受けられます。

● 第1子・第2子:1人当たり22.49万円

● 第3子以降:各7.5万円

「報酬比例の年金」とは、標準報酬額や加入していた期間などによって決まる障害厚生年金の年金額です。この年金額は、ねんきん定期便などで確認することができます。

「配偶者加給年金」は、生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいるときに加算されます。該当する場合の年額は22.49万円です。

出典:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」「障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法

働けないときの経済的ダメージとは?

働けないときの経済的ダメージとは?

病気やけがで働けなくなると、収入が減る、もしくは収入が途絶えます。さらに治療費などの支出が増えます。ここでは、働けないときの経済的ダメージについて具体的に見ていきましょう。

収入が減少する

病気やけがで働けなくなると、社会保険に加入している会社員や公務員なら傷病手当金の給付がありますが、上述したように収入の3分の2なので、不足することも考えられます。

また、自営業やフリーランスには傷病手当のような公的保障がありません。働けなくなれば、収入を得ることができないでしょう。

支出が増加する

治療費の負担

病気やけがで働けなくなった場合、収入減だけでなく入院や手術などの医療費が重くのしかかってきます。

生命保険文化センターが行った2019年(令和元年)の「生活保障に関する調査」によりますと、入院したときの医療費は1日につき平均2.33万円となっています。また、厚生労働省の「2017年(平成29年)患者調査」によると、入院日数の平均は29.3日です。

よって、1入院にかかる費用は、約70万円(2.33万円×29.3日=68.269万円)となります。

生活費の負担

支出の増加ではありませんが、食費や住居費、光熱費などの生活費は収入が減少してもかかります。仮に子どもの教育費のピークのときなどに働けなくなった場合、死亡したとき以上に経済的なダメージは大きいと言えるでしょう。

働けない状態が長期化して収入が途絶えたとしたら、マイホームを売却する、子どもの将来のプランを変更するなどの犠牲を払うことも考えられます。

治療が長期化しやすい病気やけがとは?

では、治療が長くかかって働けなくなる病気やけがにはどんなものがあるでしょうか。2017年(平成29年)の厚生労働省の統計「患者調査」から、病気やけがの種類ごとに平均入院日数を調べ、30日以上の傷病を以下の表にしました。

傷病分類

平均入院日数(単位:日)

統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害

531.8

血管性及び詳細不明の認知症

349.2

アルツハイマー病

252.1

気分(感情)障害(躁うつ病を含む)

113.9

脳血管疾患

78.2

慢性閉塞性肺疾患

61.5

結核

54.1

慢性腎臓病

47.9

骨折

37.2

高血圧性疾患

33.7

糖尿病

33.3

心疾患(高血圧性のものを除く)

19.3

悪性新生物(腫瘍)

16.1

精神疾患は1年以上の入院もあり得る

入院が長期にわたる傷病のトップ3は、いずれも精神疾患であることがわかります。統合失調症のように入院が1年を超える病気もあるということです。

いわゆる三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)の中では、脳血管疾患の入院が長期化する傾向にあると言えます。

がんの治療は通院によるものが多い

がんは一般的に、治療後5年を経過して再発しなければ治癒したと見なします。「5年生存率」が重視されるのはそのためです。よって、入院日数は短いものの、目安として5年は放射線治療や抗がん剤治療が続くと考えておきましょう。

通院での治療は働きながらでも可能ですが、長期にわたると治療費がかさみ、じわじわと家計を圧迫する可能性があります。

就業不能保険は本当に必要か?

就業不能保険は必要か?

冒頭で「就業不能保険の必要性は個人個人の属性による」と述べました。では、就業不能保険の必要性が高いと考えられるのは、どのような人でしょうか。

セーフティーネットがほとんどない自営業者やフリーランス

上述した働けないときに頼れる公的保障は、多くが会社員や公務員のためのもので、自営業者やフリーランスが利用できるものはほとんどありません。

傷病手当金

障害基礎年金

障害厚生年金

労災保険

会社員

自営業

×

×

×

障害基礎年金だけでは生活費を賄いきれない

自営業者・フリーランスが利用できる障害基礎年金は、初診から1年6ヶ月が経たないと認定されません。認定されるまでは、他の方法で生活費を賄わなくてはならないということです。また、受給できたとしても、障害基礎年金だけで生活費を賄うのは難しいと言えます。

就業不能保険に限るわけではありませんが、自営業者やフリーランスの人は、何らかの方法で働けないときの生活費を確保する必要があるでしょう。

会社員や公務員に就業不能保険はいらないのか?

では、会社員や公務員には就業不能保険は必要ないのでしょうか。会社員や公務員が働けなくなると、傷病手当金や労災保険からの給付があるため、無収入になることはありません。

けれども、それまでの収入が100%賄えるわけではありません。さらに、病気やけがの治療費もかかります。子育て世代で教育費のピークを迎えている人などは、公的保障だけでは生活費を賄いきれないこともあるでしょう。以下、ケース別に考えてみます。

会社員・公務員の専業主婦(夫)世帯

会社員・公務員の専業主婦(夫)世帯で世帯主が働けなくなると、傷病手当金や労災保険からの給付で治療費と生活費を賄わなくてはなりません。住宅ローン返済中で子どもの教育費がピークの場合などは、公的な給付だけでは支出を賄いきれない可能性が高くなります。

会社員・公務員の共働き世帯

会社員・公務員の共働き世帯の場合、夫か妻のどちらかが働けなくなっても、収入が途絶えることはありません。どちらか1人分の収入と、傷病手当金や労災保険からの給付で生活を賄っていくことになります。よって、専業主婦(夫)世帯に比べて経済的なリスクは低いと言えます。

シングルマザー(ファザー)

ひとり親家庭には、児童扶養手当や住宅手当のような公的な助成があるものの、病気やけがで働けなくなった場合、傷病手当金・労災保険からの給付・公的な助成だけで、治療費・生活費・教育費を賄わなくてはなりません。

ひとりで子どもを育てていて他に頼る人がいないと、精神的にも不安を感じることがあるでしょう。不足する収入分を就業不能保険のような手段で補うことは、選択肢の一つになります。

単身世帯

会社員・公務員で独身の場合、働けなくなったときの収入として傷病手当金や労災保険からの給付があります。扶養しなくてはならない家族がいなくても、公的な給付だけでは収入が足りない場合も考えられます。十分な預貯金などの蓄えがないのであれば、就業不能保険の加入を検討するのもいいでしょう。

働けないリスクへの備え方

働けないリスクへの備え方

経済的なリスクとして考えると、「働けないリスク」は「死亡のリスク」よりダメージが大きいと言えます。

例えば、子育て中の家族で世帯主が亡くなった場合、世帯主からの収入はなくなりますが、亡くなった人の生活費や治療費はかかりません。遺族 は遺族年金も受け取れます。

これに対して働けなくなった場合は、収入は減り、働けない人の生活費も治療費もかかります。そこで、生活設計の中で、働けなくなったときの収入減対策を考えておく必要があります。

利用できる公的な保障を確認し、働けないときに足りない金額を把握する

既に述べた通り、自営業・フリーランスと会社員・公務員では、働けなくなったときの公的な保障に大きな違いがあります。まずは、自分の職業で受けられる社会保障を確認してみましょう。

公的な保障でいくら賄えるのかを確認し、預貯金などと合わせて特に不足分がないようなら、民間の保険を活用する必要はないと考えられます。もし、不足分があって就業不能保険の加入を検討する場合は、その不足額を給付金額の目安にするのがおすすめです。

資産形成を心がけ、保険の利用は必要最小限にする

就業不能保険は働けないリスクへの備えにはなりますが、ほとんどの商品は掛け捨てです。働けない状態にならない可能性も大きいので、加入するにしても給付金額や保障期間を最適なものにして、保険料が過大にならないようにしましょう。

また、預貯金などの資産が十分にあれば、保険に頼る必要性は低くなります。日ごろから計画的な資産形成を心がけましょう。

まとめ

就業不能保険は働けないリスクへの備えとなりますが、その必要性は個人個人の属性などによって異なります。加入を検討する場合は、自分が利用できる公的な保障を確認し、生活費や医療費として不足する分を補うようにするといいでしょう。

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