がん保険に加入しておけば、がん治療にかかる医療費や収入の減少に備えられます。しかし、がん保険はさまざまな種類・タイプがあるので、自分に合った商品選びに迷う人も少なくないでしょう。そこで今回は、がん保険の必要性や保障内容について解説するとともに、がん保険を選ぶ際にチェックしておきたいポイントを解説します。
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がん保険が必要な理由とは
がん保険が必要な理由を理解するには、がん医療の現状を知ることが大切です。ここでは、日本人のがんの罹患率(りかんりつ)やがんと診断された人の生存率、がん治療の入院・通院の割合を確認しておきましょう。
日本人のがん罹患率(りかんりつ)
国立がん研究センターの統計では、がん罹患率(「りかんりつ」/生涯でがんになる確率)は男性65.5%、女性50.2%と示されています。
つまり、日本人の2人に1人は生涯でがんになるのが現状です。がんの罹患率は、男女ともに50歳代から80歳代まで増加傾向にあります。50代前半までは女性のほうがやや高く、60歳代以降は男性が顕著に高くなっています。
参考:国立がん研究センター「最新がん統計」
がんと診断された人の5年生存率
同調査によると、2009年(平成21年 )から2011年(平成23年)にがんと診断された人の5年相対生存率は、全体で64.1%です。内訳は男性が62.0%、女性が66.9%で、女性のほうがやや高くなっています。
5年生存率とは、がんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合のことです。5年生存率は部位によって異なりますが、がんと診断された人の6割超は5年後も生存しているのが現状です。
がん治療は入院より通院が増えている
厚生労働省が公表している悪性新生物(がん)の受療率を確認すると、2008年(平成20年)以降は外来(通院)が入院を上回る状態が続いています。がん治療では、入院は減少している一方で、通院は上昇傾向にあるといえるでしょう。
参考:厚生労働省「2016年(平成28年)我が国の保健統計(患者の動向)」
がん治療ではどんな出費がかかり得る?
自分に合ったがん保険を選ぶには、がんの治療でどのようなお金がかかるかを知っておくことも大切です。がんと診断されて治療を開始すると、一般的には以下のような費用がかかります。
出費例1:手術費用
がん治療のために手術を受けたときにかかる費用です。がんの手術費用は部位などによって金額が異なり、高額になることもあります。ただし、高額療養費制度を利用することで、自己負担額を一定額に抑えることは可能です。
出費例2:入院・通院での医療費
がんの治療は手術のみで終わるケースもありますが、入院・通院で放射線治療や抗がん剤治療を行う場合は、その医療費もかかります。入院・通院での治療は長期化することもあるため、高額療養費制度で自己負担額が抑えられたとしても、まとまったお金が必要になるかもしれません。
出費例3:先進医療費
がんの治療では、病状によっては先進医療を受ける可能性もあります。先進医療とは、厚生労働大臣が認定した医療技術のことです。先進医療は公的保障が適用されないため、医療費は全額自己負担となります。
医療費の目安は、先進医療の種類によって異なります。厚生労働省の報告実績によれば、陽子線治療は約272万円、重粒子線治療は約314万円となっています。
参考:厚生労働省「2018年(平成30年)6月30日時点における先進医療Aに係る費用」
出費例4:再発・転移した場合の医療費
がんの治療が終了しても、しばらくして再発や転移が確認された場合は、再び治療に取り組む必要があります。再発・転移はがん特有のものであり、再発・転移を繰り返すことになれば、治療が長期化して医療費の負担が重くなる可能性があります。
出費例5:その他の費用
がん治療では入院時の差額ベッド代や食事代、通院のための交通費などもかかります。これらの費用は公的保障の対象ではないため、基本的には全額自己負担です。1日あたりの費用は少額であっても、治療が長引くとまとまった金額になる可能性があります。
収入減少に伴い生活費が不足する可能性もある
がん治療でかかるお金ではありませんが、がんの治療によって仕事ができなくなれば、収入が減少して生活費が不足する可能性があります。
会社員の場合、病気やケガで会社を休むと健康保険組合から傷病手当金が支給されるため、当面の生活費は確保できるでしょう。ただし、支給額はそれまでの給料の約3分の2となり、支給期間も最長で1年6か月間です。
また、国民健康保険に加入する自営業者の場合、傷病手当金を受取ることができないため、休業中の生活費をどう確保するかが課題となるでしょう。
参考:全国保険健康協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」
がん保険の保障内容とは?
がんの治療ではさまざまな費用がかかりますが、がん保険ではどのような保障が用意されているのでしょうか。がん保険の主な保障内容は以下の通りです。
主な保障内容1:診断一時金(診断給付金)
がん保険では、がんと診断されたときにまとまった一時金を受取ることができます。初めてがんと診断されたときに1回のみ受取ることができる商品もあれば、回数に制限がない商品もあります。ただし、回数は無制限でも、「1年に1回」などの制限が設けられていることがあります。
診断一時金はがん治療に直接かかる費用に限らず、幅広い用途に使えるのがメリットだといえるでしょう。
主な保障内容2:手術給付金
がんの治療で所定の手術を受けた場合は、手術給付金を受取ることができます。支払回数は無制限でも、「60日に1回」などの制限が設けられていることがあります。
がんの手術は高額になることもありますが、手術給付金を受け取ることができれば費用の助けとなるでしょう。
主な保障内容3:入院給付金
がんの治療で入院したときは、入院日数に応じて入院給付金がもらえます。がんの入院は短期化傾向にありますが、部位や症状によっては入院が長期化する可能性もあります。がん保険の入院給付金は、通常は支払日数に制限がないため、入院が長期化しても治療に専念することが可能となります。
主な保障内容4:通院給付金
がん治療のために通院した場合は、通院日数に応じて通院給付金がもらえます。がんは通院治療が増加傾向にあることから、通院給付金が日数無制限の商品もあります。
主な保障内容5:先進医療特約
がんの治療で先進医療を受けたときに、技術料相当額が保障されます。先進医療を受けるにはまとまったお金が必要ですが、特約を付加することで高額の医療費への備えが可能となります。
主な保障内容6:治療給付金
手術や放射線治療、抗がん剤治療など、所定の治療を受けたときに給付金がもらえる商品もあります。
主な保障内容7:保険料払込免除特約
がんと診断された場合、以後の保険料の払込みが免除される保障のことです。保険料の払込みが免除された後も、保障は継続されます。保険料払込免除がある商品なら、経済的な負担の軽減が期待できるでしょう。
がん保険の種類・タイプの分類やそれぞれの違いとは?
がん保険は各保険会社からさまざまな商品が販売されていますが、主に以下の種類・タイプに分類できます。
分類1:終身型と定期型
終身型は保障が一生涯、定期型は保障が一定期間の保険です。終身型(終身払)は保険料が上がりませんが、支払いも一生涯です。商品によっては、払込を「65歳まで」等に設定することも可能です。
一方、定期型は保険期間が満了時に自動更新されます。更新時には保険料が上がります。
分類2:貯蓄型と掛け捨て
貯蓄型は保険と貯蓄の両方を兼ね備えた保険、掛け捨ては解約時に解約返戻金がない保険です。貯蓄型では、がんと診断されずに保険を使わない状態が続くと、3年などの一定期間ごとに無事故給付金 を受取ることができます。保険料は比較的高めであるため、保険料と給付金のバランスを検討する必要があるでしょう。
掛け捨ては解約返戻金がなく、あったとしても少額になります。掛け捨ては保険料が比較的安く、新しい保険への切り替えがしやすいのがメリットといえます。
分類3:診断一時金タイプと入院給付金タイプの違い
がん保険には、診断一時金がメインの商品と、入院給付金がメインの商品があります。診断一時金はがんと診断されたときにまとまったお金を受け取れるので、がん治療にかかる幅広い費用に対応できるでしょう。
一方、がん保険の入院給付金は通常支払日数が無制限のため、入院が長期化したときの医療費をカバーできます。がん保険を選ぶときは、診断一時金タイプと入院給付金タイプのどちらを重視するか検討する必要があるでしょう。
がん保険と医療保険は何が違う?
がんは医療保険でも保障されますが、がん保険とは保障範囲・内容が異なります。がん保険と医療保険のどちらか一方だけに加入するのではなく、両者を組み合わせて必要な保障を確保するという考え方もあるでしょう。
がん保険と医療保険は併用できる?
がん保険と医療保険を組み合わせる場合は、それぞれの保障内容を考慮する必要があります。たとえば、医療保険は幅広い病気・ケガが保障されますが、入院給付金の支払日数に制限が設けられていることが多いです。がんは入院が長期化する可能性もあるので、がん保険でも入院給付金を受取ることができるようにすると安心かもしれません。
医療保険にがん特約を付加するのは?
がんに備えるには、医療保険にがん特約を付加する方法もあります。特約の保障内容によっては、がん保険に加入しなくても十分な保障を確保できるでしょう。
しかし、医療保険にがん特約を付加する場合は、医療保険を解約すると特約もなくなってしまいます。新しい保険に切り替える可能性があるなら、がん特約ではなく、がん保険に加入するほうがよいといえます。
がん保険を選ぶ際の5つのチェックポイント
がん保険を選ぶときに確認しておきたいポイントは以下の5つです。
1:診断一時金を重視する
がんの治療は入院より通院が増えていること、医療の進歩により治療法が多様化していることを踏まえると、がん保険を選ぶ際は診断一時金を重視するといいでしょう。
がんと診断されたときにまとまったお金がもらえれば、かかる費用に対して幅広く備えることが可能となります。また、診断一時金の支払回数が無制限の商品なら、がんが再発・転移した際にも診断一時金が支払われる場合があります。
2:通院保障を充実させる
がん治療は通院が増加傾向にあるため、通院保障を充実させるのもポイントになります。通院給付金が日数無制限の商品や、治療給付金が支払われる商品であれば、通院でかかる医療費の心配をせずに治療に専念できるでしょう。
3:保険期間は終身を選ぶ
がん保険の保険期間は、基本的には終身を選ぶといいでしょう。がんは高齢になるほど罹患率が上昇する傾向にあるので、保障が一生涯続く終身が安心だと考えられます。
また、終身は保険料が一定のため、計画的な支払が可能となります。がん診断後は新しい保険に加入するのが困難になるため、当初から終身保障を選択することを検討しましょう。
4:先進医療特約を付加する
がん保険には、先進医療特約を付加しておくといいでしょう。先進医療は医療費が高額になることが多く、公的保障の対象外なので全額自己負担となります。がんの治療で先進医療を受ける可能性が少しでもあるなら、先進医療特約を付加しておくほうが安心といえるでしょう。
がん保険の先進医療特約の保険料は 、 少額の負担で高額の医療費に備えることが可能となります。
5:保険料払込免除はあると安心
保険料払込免除があるがん保険なら、心理的・経済的負担の軽減が期待できます。がんの治療で収入が減少した場合、保険料を払い続けるのは大きな負担となるかもしれません。
保険料払込免除は、がんと診断されたら以後の保険料が免除され、保障も継続されます。保険料とのバランスを考慮しながら、保険料払込免除特約を付加することを検討しましょう。
まとめ
がんの治療は入院から通院がメインになるなど、がんの医療事情は日々変化しています。がん保険は各保険会社からさまざまな商品が販売されていますが、その特徴は異なります。がん治療でかかる医療費や収入の減少に備えるために、今回紹介したポイントを参考にして、自分に合ったがん保険を選びましょう。
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*保険商品に関するご留意事項について
商号等:株式会社西日本シティ銀行 登録金融機関 福岡財務支局長(登金)第6号
- がん保険
大西 勝士
AFP、2級FP技能士
会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より金融ライターとして活動。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数の金融メディアで執筆中。