【離婚前後のやることリスト】スムーズな離婚手続きの方法・手順を夫婦カウンセラーが解説

スムーズな離婚の方法とは?西日本シティ銀行のブログが解説

誰にとっても、離婚はある意味で想定外の出来事といえるでしょう。さまざまな思いを巡らせ、いざ離婚するとなったとき、「何から準備したらよいか?」「どういう方法で進めたらよいか?」など、わからないことだらけではないでしょうか?

本記事では離婚を進めるときの手順や、離婚前後にやることのリストを紹介しますので、参考にしてください。

離婚する方法は大きく分けて2つ。可能なら協議離婚を目指す

離婚する方法は大きく分けて2つ。可能なら協議離婚を目指す

離婚をする2つの方法

裁判所を通さなければ離婚ができない国もありますが、日本の場合は当事者間の話し合いによる離婚も可能です。つまり、日本で離婚する方法は大きく分けて次のどちらかになります。

  1. 話し合いで離婚する(協議離婚)

  2. 裁判所で離婚する(調停離婚、審判離婚、和解離婚、判決離婚)

協議離婚が全体の9割を占める

離婚の種類別にみた離婚件数

協議離婚

調停離婚

審判離婚

和解離婚

認諾離婚

判決離婚

2013年(平成25年)

201,883(87.3)

23,025(10.0)

173(0.1)

3,502(1.5)

17(0.0)

2,783(1.2)

2014年(平成26年)

194,161(87.4)

21,855(9.8)

298(0.1)

3,303(1.5)

18(0.0)

2,472(1.1)

2015年(平成27年)

198,214(87.6)

21,730(9.6)

379(0.2)

3,491(1.5)

18(0.0)

2,383(1.1)

2016年(平成28年)

188,960(87.2)

21,651(10.0)

547(0.3)

3,458(1.6)

16(0.0)

2,166(1.0)

2017年(平成29年)

184,996(87.2)

20,902(9.8)

772(0.4)

3,379(1.6)

9(0.0)

2,204(1.0)

参考:厚生労働省「人口動態調査」※( )内は%

日本では協議離婚が全体の約9割と圧倒的に多くなっています。

裁判所で離婚するとなると手続きも面倒ですし、時間もかかってしまいます。離婚する場合には、まずは協議離婚を検討すべきでしょう。

協議離婚をするには、まず相手の了承を得る必要がある

協議離婚をするには、まず相手の了承を得る必要がある

協議離婚とは、夫婦が離婚に合意した上で離婚届を提出して離婚する方法です。一方が「離婚したい」と言っても、他方が「離婚したくない」と言えば、協議離婚はできません。

協議離婚の話し合いの進め方

協議離婚をする際には、相手にその旨を伝えて了承を得る必要があります。相手が離婚に納得していないのに、無理やり離婚届に署名させるようなことはできません。

離婚を申し入れるときには何に気を付けたらいい?

離婚を要求された側は、一般的には自分を否定されたような気持ちになり、簡単に同意できないことも考えられます。離婚を申し入れるときには、相手を責めたり、結婚生活を否定したりしないようにしましょう。

上記の理由から、相手にも考える時間は必要です。相手に返事を急かし、強引に離婚を進めるようなことはできるだけ避けましょう。

第三者に入ってもらった方がいい?

自分で相手に話すと暴力を振るわれるおそれや、相手の暴言により言いたいことが言えなくなってしまうおそれがある人もいるでしょう。そのような場合には、無理に1対1で話をしようとせず、親族などに同席してもらうのも一つの方法です。

また、弁護士に依頼して、相手に離婚の申し入れをしてもらうこともできます。

相手が離婚に納得してくれない場合には?

離婚を申し入れても相手が応じてくれない場合、そのまま協議離婚はできません。このような状況で離婚をしたい場合は、次のような方法を検討しましょう。

弁護士に相談する

弁護士に代理人となってもらい、相手と交渉してもらう方法です。弁護士から話をしてもらうことで相手が納得し、協議離婚できる可能性があります。

離婚調停を申し立てる

離婚調停は、家庭裁判所で行う離婚の話し合いです。離婚調停では夫婦が直接顔を合わせて話をするのではなく、調停委員が話し合いの仲立ちをしてくれます。離婚調停で離婚に合意ができれば、調停離婚となります。

なお、離婚調停をしても離婚に合意できず調停不成立となれば、離婚裁判を起こして離婚を目指すことになります。

離婚の合意ができたら準備を開始。協議離婚の大まかな流れ

離婚の合意ができたら準備を開始。協議離婚の大まかな流れ

離婚前後のやることリスト

相手が離婚に納得してくれたら、協議離婚の準備を進めましょう。離婚前後に必要となる手続きなどの一覧は次のとおりです。

やること

手続き等の場所

時期の目安等

離婚条件の話し合い

自宅など

離婚が決まったら速やかに

離婚協議書の作成

公正証書を作成する場合は公証役場(管轄なし)

離婚届提出の1~2週間前

離婚届の提出

本籍地または住所地の役所(市区町村役場)

離婚後の手続きに備え、余裕をもって行う

年金分割

住所地の年金事務所

離婚後2年以内に手続きが必要

不動産の名義変更(財産分与登記)

不動産の所在地を管轄する法務局

離婚届提出後速やかに

子の氏の変更

子の住所地の家庭裁判所

離婚届提出後速やかに

児童扶養手当認定請求

児童手当受給者変更

ひとり親家庭医療費助成

就学援助など

住所地の役所(市区町村役場)

離婚届提出後速やかに

では、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1. 離婚の条件を話し合って決める

離婚をするときには、離婚の条件として次のような内容を話し合う必要があります。

①財産分与

結婚している期間に夫婦が共同で築いた財産は、公平に分けることになります。そのため、財産をどう分けるかを話し合って決めなければいけません。

結婚してから購入した住宅がある場合には、住み続ける人が他方に金銭を渡して清算する方法や、売却して清算する方法があります。ただし、住宅ローン返済中の場合には、金融機関の許可なく勝手に決められないケースがありますので注意しましょう。

②慰謝料

法律上慰謝料の支払義務が生じるのは、離婚に至った原因が一方にあるケースです。代表的な例は一方の不貞行為(浮気)が原因で離婚に至ったケースで、この場合には不貞行為をした側が慰謝料を払います。

慰謝料の金額は当事者同士で決めてかまいませんが、一般的な離婚慰謝料の相場は200~300万円程度です。

③年金分割

結婚してから離婚するまでの間で、夫婦の一方または双方が厚生年金に加入していた期間がある場合には、「離婚時年金分割」の制度があります。これは、厚生年金保険料の納付実績を夫婦で分け合えるというものです。

年金分割を「合意分割」というやり方で行う場合には、夫婦間の話し合いによる合意が必要です。

合意分割

3号分割

・専業主婦でも共働きでもできる

・相手の同意または裁判所の決定が必要

・分割の割合は上限2分の1までで自由に決められる

・専業主婦のみできる

・2008年(平成20年)4月1日以降の婚姻期間の保険料のみ分割可能

・分割の割合は自動的に2分の1になる

・相手の同意なく手続き可能

④親権

子どもがいる場合、結婚している間は夫婦が共同で親権を行使しますが、離婚したら一方の単独親権となります。親権者がどちらであるかを離婚届に記載しなければならないので、離婚届を出すまでに必ず一方に決めましょう。

⑤養育費

親権者とならなかった親も、子どもの親であることには変わりありません。離婚後は養育費を払って子どもの生活費を援助する義務があります。そのため、養育費の金額や支払方法を決めておく必要があります。

養育費を決めるときには、裁判所が用意している「養育費算定表」を参考にするとよいでしょう。

参考:裁判所「養育費算定表

⑥面会交流

子どもと別居することになった親も、子どもと会う権利はあります。離婚後にトラブルにならないよう、子どもとの面会の頻度や方法を離婚するときに話し合っておきましょう。

2. 離婚協議書を作成

上に書いた①~⑥の離婚条件のうち、離婚届に書くことが義務付けられているのは④の親権だけです。それ以外の項目は、口約束でもOKということになります。

しかし、口約束だけで離婚条件を決めると、後々トラブルになる可能性があります。そのため、離婚の条件を話し合ったら、書面に残しておくのが安心です。協議離婚する際の取り決め事項を書面にしたものが「離婚協議書」です。

離婚協議書は公正証書にする

離婚協議書は、公正証書という書面にすることも可能です。公正証書にすれば、一般の契約書よりも証拠としての力が大きくなります。また、お金の支払いの取り決めを公正証書に書いておけば、お金を払ってもらえなかった場合に、裁判を経ずに強制執行できるというメリットもあります。

特に、養育費の取り決めがある場合には、払ってもらえないときに相手の給与を差し押さえできるよう公正証書にした方がよいでしょう。

税金対策になる

離婚時の財産分与、慰謝料、養育費などには贈与税はかかりません。しかし、離婚による金銭の受け渡しであることの証拠がなければ、課税されてしまうおそれがあります。受け渡すのが何のお金なのかを明確にするためにも、離婚協議書の作成が有効です。

3. 離婚届を提出

離婚の準備ができたら、離婚届を提出します。なお、離婚後の手続きをするには、離婚届を出した後に発行される戸籍謄本が必要になりますが、新しい戸籍謄本が発行されるまで1週間程度かかります。

年度末などキリのよいところで離婚したい場合でも、余裕を持って離婚届を提出するのがよいでしょう。

離婚届の提出先と必要なもの

離婚届は本籍地または住所地の役所に出します。役所には、印鑑と身分証明書も持参します。本籍地でない役所に提出する場合には戸籍謄本も添付しなければならないので、あらかじめ取り寄せておきましょう。

離婚届には証人が必要

離婚届には夫婦の署名捺印のほか、証人2名の署名捺印が必要になります。証人は成人している人なら誰に頼んでもかまいません。

代理人による提出や郵送による提出も可能

離婚届は代理人に持って行ってもらうことも可能です。委任状は不要ですが、持って行く人は身分証明書を持参しなければなりません。

なお、離婚届は郵送による提出も可能とされています。ただし、記入漏れなどがあれば受理されないことがあるので、できるだけ直接持参するようにしましょう。郵送する場合でも、あらかじめ役所に電話連絡しておくと安心です。

離婚後に旧姓に戻らない場合には

離婚により苗字を変えた側は、離婚すると旧姓に戻るのが原則です。ただし、婚氏続称といって、結婚していたときの苗字をそのまま名乗り続ける選択もできます。

婚氏続称する場合には、離婚日から3か月以内に「戸籍法77条の2の届」を役所に提出する必要があります。苗字をどうするか決めているなら、離婚届と一緒に出しておきましょう。

4. 年金分割

年金分割をする場合には、離婚届提出後2年以内に、年金事務所に行って手続きをする必要があります。たとえ夫婦間で年金分割の合意をしていても、離婚後に年金事務所での手続きをしていなければ、年金は分割されません。

5. 不動産などの名義変更

離婚の際の財産分与で、夫名義の家を妻がもらうようなケースでは、法務局で不動産の名義変更手続き(財産分与登記)をする必要があります。財産分与登記の際には、固定資産税評価額の2%の登録免許税や司法書士費用もかかるので、費用負担についても考えておきましょう。

財産分与登記は、離婚届を出した後でないと手続きできません。離婚届を出す前に必要書類を準備しておき、離婚後速やかに手続きできるように段取りをしておきましょう。また、車や生命保険の名義変更手続きも忘れないように注意しましょう。

離婚後に子どもを引き取る側が必要な手続き

離婚後に子どもを引き取る側が必要な手続き

子どもを引き取る場合には、離婚後にやることがたくさんあります。離婚届を出すと役所で必要な手続きを案内してくれることが多いですが、自分でも流れを把握しておくとスムーズです。

戸籍の移動や苗字の変更

親権と戸籍は関係がないので、離婚後に妻が夫の戸籍を出た場合でも、子どもは夫の戸籍に入ったままです。離婚後、妻が子どもを自分の戸籍に入れたい場合には、家庭裁判所で「子の氏の変更許可」を受ける必要があります。

子どもは自分が入っている戸籍の親と同じ苗字になります。母親が旧姓に戻った場合には、子の氏の変更許可を申し立てることにより、子どもの苗字を変えられます。

児童扶養手当の認定請求

18歳までの子どもを引き取ってひとり親になった人は、要件をみたすことにより児童扶養手当をもらえます。この児童扶養手当は、申請しなければ受給できません。離婚後に必要書類を役所に持参し、認定請求の手続きをしましょう。

必要書類は住んでいる自治体や離婚後の状況などによって異なるため、役所に事前相談しておくのがおすすめです。

児童手当の受給者変更

児童手当は中学3年生までの児童を養育している人に支給される手当です。離婚するまで夫(父親)の口座に振り込まれており、妻(母親)が子どもの親権者となった場合には、役所で受給者変更の手続きが必要です。

ひとり親家庭医療費助成制度の申請

ひとり親家庭になった場合には、自治体で医療費の助成が受けられます。助成の内容や手続きの方法は自治体によって違うので、役所で確認しましょう。

就学援助の申請

中学生までの子どもがいる場合、離婚後の収入などの要件をみたすことにより、就学援助が受けられます。就学援助の内容は自治体によって異なるため、役所に確認して手続きしましょう。

まとめ

離婚したい場合、まずは原則的に相手の同意を得る必要があります。相手の同意が得られれば、離婚条件を決めて手続きを進めていきましょう。女性は年金分割や子ども関係の手続きなど、男性よりも離婚前後にやることが多くなるのが一般的です。スムーズに手続きを完了できるよう、一度にできる手続きはまとめて行えるようにしておきましょう。

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