2022年から日本国内では食品、各種料金、家電、化粧品など物価の高騰が顕著になっており、「また値上がりしてる」と思った方も多いのではないでしょうか。今後の家計を考えるうえでは、何の価格が上がっているのかを把握する必要があります。本記事では、その一例を紹介します。
2024年に値上げされたものの一例
まずは、2024年に値上げた食品や電気料金、郵便料金などの一例を見ていきましょう。
値上げされた食品
2024年に値上げされた食品は、加工食品や調味料、お菓子、酒類などです。4月の時点で、すでに4,000品目の値上げが発表されています。
加工食品
ケチャップやパスタのソースなどの加工食品、冷凍食品、総菜などが値上げされました。これらは料理の時短になったり、子どものお弁当づくりに役立ったりするものばかりです。
新鮮な食材から作ろうとすると、かえって時間的なコストがかかってしまうため、やむを得ず値上がりした加工食品を購入している家庭も多いのではないでしょうか。
そのほか、常温で保存できる加工食品の多くも値上げされています。
調味料
だし、ごま油、オリーブオイルなど、料理に欠かせない調味料の値上げも続きました。素材の価格が高騰しているだけでなく、輸入の際の燃料費の高騰なども原因の一つです。 調味料はプライベートブランドなどでも安く購入できますが、こだわりが強い家庭では大きな影響を受けるでしょう。
お菓子
お菓子の多くも値上げの対象になりました。ガムやチョコレートのほか、アイスクリームなども原料費の高騰などの影響を受けています。
お菓子は子どもが大好きなだけでなく、大人もちょっと小腹がすいたときや疲れたときなどに癒しを与えてくれます。小分けではなく大袋を購入する、プライベートブランドや特売日を狙うなどの対策が必要です。
酒類・飲料
国産のウイスキー、洋酒などの酒類の価格高騰も続きました。製造にかかる人件費などのコストや、海外からの輸送費の高騰などが影響しています。
また、飲料ではトマトジュース、コーヒーなども値上げされています。
値上げされた料金
2024年は、食品だけでなく各種料金も値上げが続きました。電気料金、宅配料金、医療費などの値上げされたものをチェックしてみましょう。
電気料金
2024年4月以降、大手電力会社は電気代の値上げを発表しました。その背景には石油などの資源の高騰、電力供給力の不足などがあります。
さらに、託送料金が値上げされている点も注目です。託送料金とは電力を各家庭に配送するための電網の使用料金のことで、九州電力などを中心に託送料金の見直し、値上げが導入されています。
参考:九州電力(株)「お知らせ(2023年12月25日)」
宅配料金
郵便や宅配料金も値上げされました。ヤマト運輸、佐川急便といった大手宅配会社は、2024年4月1日から宅配料金の値上げを決定しました。ヤマト運輸は平均で2%の値上げ、佐川急便は平均して7%の値上げです。
民間の業者の宅配料金の他、2024年10月から切手やはがきも63円から85円へと値上がりしました。
参考:ヤマト運輸「2024年4月1日から宅急便の届出運賃・料金を改定」
参考:佐川急便「2024年4月1日付宅配便届出運賃等の改定のお知らせ」
参考:日本郵便株式会社「2024年10月1日(火)から郵便料金が変わりました。」
電車料金・バス料金
東京モノレール、京成電鉄、名古屋鉄道、福井鉄道など、日本全国の鉄道会社が2024年以降に電車料金の値上げを発表しています。運賃や定期代の値上げのほか、払い戻し手数料の値上げなども含まれているのが特徴です。
また、電車だけでなく、バスの料金の値上げも発表されています。西鉄バス、関東バス、京成バスなどでは、運賃や定期外の値上げ、特定期間の料金の値上げがおこなわれます。
参考:東京モノレール株式会社「鉄道旅客運賃の変更認可申請について」
参考:京成電鉄株式会社「鉄道駅バリアフリー料金 収受開始日のご案内」
参考:名古屋鉄道株式会社「鉄軌道旅客運賃の改定を申請しました」
参考:福井鉄道株式会社「鉄軌道事業の運賃改定 および えちぜん鉄道乗継運賃改定について」
参考:西日本鉄道株式会社「運賃改定の実施について」
医療費
2024年は医療費の値上げがおこなわれることが、厚生労働省の諮問機関である中央社会保険医療協議会から発表されました。初診料が30円、再診料が20円値上がりします。
この値上げは医療従事者の賃金を確保するとともに、医療現場でのデジタル化を推進するためです。しかし、高齢者や貧困層が医療機関にアクセスしにくくなる可能性が懸念されています。
納経料
寺社仏閣などでの納経料の値上げも各所で発表されました。
例えば、八十八か所巡りで有名な四国八十八ヶ所霊場会は、納経料として掛け軸や納経帳、大師納経などの金額を値上げしています。
材料費や人件費が高騰したため、現行の金額では授与ができないことが理由です。
参考:四国八十八ヶ所霊場会「各種料金改定・変更のお知らせ」
2024年の値上げの原因は物流費や人件費の高騰
ここからは、2022年ごろから2024年現在まで続いている値上げの原因は何なのかを解説します。物流費や人件費の高騰が相次いでいるため、今後も値上げが続くことが予想されるでしょう。
原材料のコストが上昇している
天候不良や世界各国の紛争により、生産力が低下し原材料のコストが上昇している点が値上げの理由の一つです。チョコレート一つをとっても、カカオが取れなければ十分な量の製造ができず値上げにつながってしまいます。
近年はとくに異常気象により例年どおりに作物が取れない、ロシアとウクライナの情勢悪化により小麦や油などが流通されないなどの理由もあります。
配送料が上昇している
物流における配送料のコスト上昇も、値上げの原因です。輸送にかかる燃料費のほか、保管場所の家賃、梱包費、管理費などのコストも上昇しています。
近年はネット通販が当たり前になり、個人の宅配の依頼が多くなっているにも関わらず物流に携わる人材が少ない、デジタル化が進んでいないなどの理由もあげられます。
燃料価格が上昇している
ガソリンなどの燃料価格の上昇も、物価高騰の理由です。新型コロナウイルスで受けた打撃を社会が回復しようとするなかで、燃料の需要は急速に高まっています。
さらにアメリカの金利政策により円安、ドル高が続いており、ガソリンなどの燃料を購入する費用が高騰していることも理由です。
ほかにも、アメリカの石油施設が自然災害によって被害を受けた、ロシアからの輸入を規制しているなど複数の要因があります。
人件費が高騰している
人件費の高騰も、値上げラッシュに大きく関係しています。少子高齢化が進む日本では、国内の労働人口も減少傾向です。1995年には8,726万人だった労働人口が、2020年には7,500万人と大幅に減少しています。
こうしたなかで、優秀な人材の確保と人材不足を補うために最低賃金が見直されました。現在の最低賃金時間額は福岡県が992円、全国平均は1,055円です。今後もさらに賃上げは続くことが予想されるため、その分さまざまな商品とサービスの値上げも続くでしょう。(2024年11月1日現在)
参考:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
「物流の2024年問題」がある
値上げが続く背景には、「物流の2024年問題」があります。
「物流の2024年問題」は働き方改革による国の方針で、運送業のドライバーの時間外労働の上限が年間960時間までに制限されたことが強く影響しています。
人材不足が続いている物流業界では、代わりに品物を運んでくれるドライバーを探すため、人件費を高くしなければなりません。その分、輸送費の値上げが続いている状態です。
物流のコストがかかると、郵便のような個人間のやり取りだけでなく卸売りや輸入などの負担も増え、全体的な値上がりにつながります。
個人でできる物価高騰対策
2024年も値上げラッシュが止まりませんでしたが、何も対策をしなければ支出に収入が追いつかなくなり、家計を圧迫してしまうでしょう。そこで、個人でどんな物価高騰対策ができるかを紹介します。
節約する
まずは節約をして、支出を減らす方法を考えましょう。
ポイントを活用する
ポイントを使うのは、手っ取り早く誰でも取り入れやすい方法です。よく使う店舗のポイントカードを作ったり、クレジットカード払いをメインにしてポイントを貯めたりできます。
通信料や日用品の購入をポイント払いで済ませる、ポイント投資を初めてコツコツ資産を増やすなどの方法を取り入れていきましょう。
ふるさと納税を活用する
ティッシュペーパーやお米などの必需品を、ふるさと納税でお得に入手することがおすすめです。ふるさと納税を活用することで、実質負担2,000円で全国各地の食品や日用品を購入できます。ネット上だけで手続きが済むワンストップ特例制度なども充実しているので、一度使えばすぐに慣れるでしょう。
固定費の見直しをおこなう
通信費や電気代、家賃など、毎月必ずかかる固定費の見直しをおこなうことで大幅な節約が可能です。格安SIMに乗り換える、通信会社が提供するお得なネットプランに切り替えるなど、毎月の支出を抑える方法を考えましょう。
家賃を抑えるために引っ越すのもおすすめです。初期費用はかかりますが、収入に対して家賃が高すぎる、設備が過剰であると感じる場合は、1ランク下げた条件でより家賃が安い物件を探してみましょう。
収入を増やす
支出を減らす以外にも、収入を増やす方法もあります。今すぐ転職や副業が難しい場合は、以下の方法を試してみましょう。
外貨建ての保険や貯金をする
外国の通貨で保険に加入したり貯金したりすることで、円安時には資産価値が増加するメリットがあります。日本円に比べて高い金利の通貨を選べば、利息による収入が増えます。円安時には為替による利益が発生するため、資産全体の価値も上昇します。
さらに、外貨を持っておくことで資産の分散ができ、リスク管理も可能です。現在日本円での保険や貯金しかない方は、一部を外貨建てにすることも検討しましょう。
資産運用で現金を増やす
資産運用で現金を増やすことも、今後の物価高対策には大切です。金利が低い日本の大手銀行では、いくら資産があったとしても物価の上昇には耐えられず、資産価値が目減りしてしまいます。
ですが、資産運用をすることで今後資産が増える可能性があり、将来の生活を豊かにできるかもしれません。資産運用には貯蓄と違ってリスクがあるため、最初は低リスク低リターンの商品を少額から購入して徐々に慣れていきましょう。
まとめ
新型コロナウイルスによる打撃から回復、成長しつつある2024年ですが、品物やサービスの値上げラッシュが続きました。燃料費や人件費、材料費など、さまざまな要因が複雑に重なって近年の値上げにつながっています。そのため、一つが解決すれば値上げが収まるというわけではありません。
今後も値上げが予想されることもふまえて、今からできる節約や支出の見直しを始めましょう。
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古賀 清香
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
広告代理店勤務を経て、フリーライターとして6年以上活動。自身の投資経験をきっかけにFP資格を取得。投資・金融・不動産・ビジネス関連の記事を多数執筆。現在はフリーランスの働き方・生き方に関する情報も発信中。