住宅ローンを相談するメリットとは?店舗型銀行とネット銀行の違いも比較
住宅ローンは金額が大きいため、審査や返済に不安を感じる人は少なくありません。本記事では住宅ローンを利用する際の相談先やタイミング、資金計画などを紹介します。住宅購入を考えている人や安心して住宅ローンを利用したい人は、参考にしてください。
住宅ローン相談をおすすめする理由

初めて住宅ローンを利用する人は、手続きを始める前に専門家へ相談することをおすすめします。まずは、相談が必要な理由やタイミング、相談するメリットを知っておきましょう。
仕組みが複雑な住宅ローン
住宅ローンの相談をおすすめする理由の一つは、その仕組みの複雑さです。金利タイプや返済方法がいくつもあるため、自分に合う組み合わせをすぐに判断するのは難しいでしょう。
さらに、手数料や保証料などローン以外の費用もあり、初心者がすべてを理解するには時間がかかります。また、返済プランを客観的に考えるには、第三者のアドバイスを受けたほうが安心です。
住宅ローンを相談するタイミング
物件が決まっていなければ正式な審査などはできませんが、住宅ローンの相談は住宅購入を考えている段階からできます。
希望する物件が見つかっても、購入時に借り入れできないと分かれば、諦めるしかありません。住宅ローンの相談で、年収や勤務状況から借りられる金額を事前に把握して準備しておけば、不安は少なくなります。
専門家に相談するメリット
住宅ローンの相談先は、銀行や不動産会社などにある相談窓口です。住宅ローンアドバイザーやファイナンシャルプランナーなどの専門家がおり、ローンを組む際にアドバイスや手続きのサポートを受けられます。
専門家に相談するメリットは、客観的な視点で資金計画を立てられることです。金利タイプや返済方法をプロの視点で選べるため、安心して住宅ローンを利用できます。また、優遇制度などの最新情報を教えてもらえます。
自分に合った住宅ローンの選び方

展示場で家の間取りや設備を詳しく見ても、住宅購入のためのローンについてわからない人は多いです。ここでは、住宅ローンのチェックポイントや選び方を解説します。
金利タイプ(固定・変動)を選ぶ
金利タイプは大きく分けると変動金利と固定金利の2種類があり、どちらかを選ぶ必要があります。
変動金利は固定金利より低い金利ですが、半年ごとに見直されるタイプです。固定金利は一定期間金利が変わらず、その代わり変動金利より高めで、期間中は見直しができません。
将来の金利の動きを予測して、どちらにするかを決めましょう。
住宅ローンの種類を選ぶ
住宅ローンの種類は借入先で分かれており、以下の3種類があります。
住宅ローンの種類
民間ローン | 銀行や信用金庫などの民間金融機関が扱うローンです。金利タイプや返済プランなど選択肢が豊富で、民間金融機関との取引実績による優遇制度もあります。 |
|---|---|
公的ローン | 国や自治体が融資するローンで、代表的なものが財形住宅融資です。民間ローンより金利が低いですが、利用条件は限定的です。 |
フラット35 | 住宅金融支援機構が提供するローンです。長期固定金利タイプで返済プランを立てやすいのが特徴です。銀行・信用金庫などが取扱窓口になりますが、金融機関によって金利水準は異なります。 |
ローンに関連する手数料・諸費用を確認
契約時には、金融機関に支払う事務手数料や保証料(保証会社を利用する場合)、不動産登記に関わる司法書士への報酬、印紙税などの費用が発生します。
また、契約後も繰上返済をする場合は、繰上返済手数料や引越し費用などが物件価格の3~10%ほどかかる場合があります。ですが、ネットバンキングでは繰上返済手数料が無料であったり、引越し費用を住宅ローンに含めることも可能ですので事前の確認をしておきましょう。
団体信用生命保険(団信)の保障内容を検討
住宅ローン返済中に契約者が死亡や高度障害になった場合、残りのローンを保険金で返す仕組みを団体信用生命保険(団信)といいます。将来のリスクに備えて、特約を付けることも可能です。
団体信用生命保険の加入は住宅ローン契約時しかできないので、付いている保障内容をしっかり確認しておきましょう。がん特約付きや、要介護状態になったときの保障など、さまざまなタイプがあるため、自分に合ったものを選んでください。
住宅ローン控除を確認
住宅ローン控除は、個人が無理なく住宅を購入できるように作られた制度です。ローンを組んで住宅を新築・取得、または増改築した場合、年末のローン残高の0.7%を最大13年間、所得税から控除できます。
ただし、省エネ基準を満たさない新築住宅は控除の対象外になるため、注意が必要です。そのほかにも共通の条件があるので、自分が住宅ローン控除の対象かどうか必ず確認しておきましょう。
主な適用条件
- 住宅ローンの返済期間が10年以上
- 自らが居住するための住宅である
- 引渡し・工事完了から6ヶ月以内に入居
- 登記上の床面積が50㎡以上(合計所得金額1,000万円以下の場合は40㎡以上)
- 合計所得金額が2,000万円以下
参考元:国土交通省「住宅ローン減税」
ネット銀行と店舗型銀行の住宅ローンを比較

オンラインでの取引が原則のネット銀行で住宅ローンはどのように手続きをすればよいのでしょうか。ここでは、実店舗がある店舗型銀行と比較し、両者の違いについてまとめました。
| ネット銀行 | 店舗型銀行 |
|---|---|---|
サポート・相談窓口 | 来店窓口なし オンライン対応(メールやWebで相談) | 来店窓口(店舗)とオンラインで対応 |
金利水準 | 低め | 高め |
審査の時間 | 事前審査は即日〜数日程度 本審査は比較的早い傾向。書類不備により遅れる可能性あり。 | 事前審査は1〜5営業日程度 本審査は書類が揃えば1〜2週間程度。 |
各種手数料 | 一部のネット銀行では保証料不要 事務手数料:定率制(借入金額の2.2%) | 保証料必要 事務手数料:定率制(借入金額の2.2%)、定額制:3万~5万円 |
つなぎ融資の利用 | できない場合がある | 可能 |
繰り上げ返済の柔軟性 | 手数料が無料・安い ネットと郵送手続きが基本。 全額繰り上げ返済できない場合がある。 | 手数料が高い ネットと店舗での手続きが選べる。 窓口からの手続きで一部または全額繰り上げ返済可能。 |
サポート・相談窓口
店舗型銀行では来店予約をすれば、店舗で住宅ローンの相談やサポートを受けられます。一方、ネット銀行は実店舗ではなくネットで取引するため、対面相談は基本的にありません。
契約書類も、店舗型銀行ではサポートを受けながら作成して提出できますが、ネット銀行はデータをアップロードするか郵送になります。住宅ローンの知識が少ない人にとっては、店舗型銀行のほうが安心です。
金利水準
金利は銀行によって差がありますが、店舗型銀行よりネット銀行のほうがやや低めに設定されている傾向があります。これは、ネット銀行は店舗を持たない分コストを抑えられ、その分を金利の引き下げに反映できるからです。
ただし、店舗型銀行でも、保証料の前払いの有無やWeb申し込みなどの条件によっては、ネット銀行と同じくらいの金利になる場合があります。どんな条件で金利が変わるのか、事前に確認しておきましょう。
審査の時間
住宅ローンの審査基準は公開されていませんが、金融機関が審査で確認するのは申込者の返済能力です。年収や勤務先、勤続年数、健康状態、信用情報の確認に加え、担保物件の価値も審査されます。
ネット銀行は本審査では必要書類の郵送があるため、店舗型銀行より手続きに時間がかかる傾向にあります。また、ネット銀行は対面相談がないため、書類やシステム上の審査が中心となります。そのため、店舗型銀行と比べて柔軟な対応が難しいケースもあります。
各種手数料
ネット銀行のなかには保証料が0円のところがありますが、借入金額の2.2%の事務手数料(定率制)がかかります。店舗型銀行は保証料がかかり、事務手数料は定額制(3万~5万円)を採用していることが多いです。
ただし、店舗型銀行でも保証料をゼロにして(保証会社付住宅ローンを除く)、その代わりにネット銀行と同じように定率制の事務手数料を設定している場合があります。手数料を確認するときは、保証料と事務手数料を合わせて考えることが大切です。
つなぎ融資の利用
つなぎ融資とは、住宅が完成して引き渡される前に発生する土地代や手付金、着工金などを支払うための一時的な融資です。店舗型銀行ではつなぎ融資を利用できますが、ネット銀行では利用できない場合もあります。
住宅ローン実行前にかかる費用でつなぎ融資が使えない場合、自分で資金を準備しなければなりません。そのため、住宅ローンを組むときは、つなぎ融資が利用できるかどうかが大切なチェックポイントになります。
繰り上げ返済の柔軟性
繰り上げ返済は銀行によって違いますが、ネット銀行の手数料は安く、無料の場合もあるのが一般的です。ただし、ネット銀行では全額繰り上げ返済ができないなど、システムの対応状況に左右される場合があります。
店舗型銀行はインターネットバンキングと店舗窓口のどちらでも対応しており、利用者が選べます。インターネットバンキングでは手数料が無料の場合も多いです。一部繰り上げ返済では期間短縮型と返済額軽減型のどちらを選ぶか、返済計画に合わせて相談できます。
西日本シティ銀行の住宅ローン
西日本シティ銀行では柔軟性のある住宅ローンを提供しています。以下に特徴をまとめましたので、住宅購入の予定がある人は検討してみてください。
特徴
- 現在借り入れがある場合、住宅ローンにまとめて月々の返済額が軽減できる
- 返済期間は最長50年までで、将来余裕が出たときに繰り上げ返済が可能
- 特別金利0.875%~で、団体信用生命保険は+0.1%上乗せにより11疾病に対応
※金利は2025年9月現在
住宅ローンの相談は、土日も営業している9店舗で対応しています。また、事前審査の申し込みは、24時間ネットでできます。詳細は下記よりご覧ください。
住宅ローンを組む際の資金計画

住宅ローンを組むと、返済期間が終わるまで毎月返済が続きます。ここでは、資金計画を立てるときに無理なく返済するための注意点をまとめています。
将来のライフイベントを考慮
住宅ローンを組むときは、物件価格や各種費用など目先のことに意識が向きがちです。しかし、資金計画で大切なのは、10年後や20年後に起こるライフイベントを考えたプランを立てることです。
子どもの教育費や老後資金など、あらかじめ必要とわかるものはもちろん、それ以外の出費の可能性も考えておく必要があります。退職や結婚、親の介護などで一時的に収入が減ったり支出が増えたりすることに備えて、余裕のある返済計画が必要です。
無理のない返済額の目安
住宅ローンの借入額は年収の6~7倍が目安とされますが、審査で大切なのは返済負担率です。返済負担率とは年収に対する年間返済額の割合で、「年間返済額÷額面年収×100」という計算式で求められます。返済負担率の目安は、一般的に20~25%です。
将来のライフイベントによる支出で変わりますが、返済に余裕を持ちたいなら返済負担率は20%程度にすると安心です。例えば年収500万円なら、返済負担率20%の場合の年間返済額は100万円です。
物件価格以外にかかる費用
住宅を購入するときは、物件価格以外にも費用がかかります。具体的には、仲介手数料やローン手数料などの手数料、印紙税・不動産取得税・登録免許税といった税金、司法書士への報酬です。
こうした諸費用は、新築物件で購入価格の3~5%、中古物件で6~8%が目安といわれています。これらはローン借入額に含まれずに現金払いが原則のため、事前に準備しておきましょう。
購入後にかかる費用を確認
住宅は、購入後も維持費がかかります。これは毎月のローン返済以外にかかる費用のため、前もって把握しておきましょう。中でも確実にかかるのは、不動産取得税・固定資産税・都市計画税などの税金です。
このほか、火災保険や地震保険の保険料、設備の修繕やリフォームにかかる費用、マンションなら管理費や積立金もあります。資金計画を立てるときは、こうした維持費も考えておく必要があります。
緊急時の準備資金を確認
住宅ローンの返済は、20~30年続くことも珍しくありません。その間に、火災や台風・集中豪雨に遭ったり、病気で入院したりといった予期せぬ出来事で、まとまったお金が必要になることがあります。
そうした緊急時に備えて、手元資金を準備しておくことが大切です。保険ではすべてをカバーできないため、少なくとも3~6ヶ月生活できるだけの現金を確保しておきましょう。
まとめ
住宅の購入は、日常の買い物のように簡単には進められません。ローンを組むには厳しい審査があり、返済方法もさまざまなので選ぶのは大変です。そのため、不動産会社や金融機関には相談窓口が用意されています。そこでは将来の資金計画も含めて、専門家からアドバイスを受けられるので、上手に活用しましょう。

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髙井 美智彦
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学卒業後、システムエンジニアを経て通信機器商社の経営戦略室で新規事業の立ち上げに参画。退社後はシステム会社の代表取締役に就任し、パソコン通信サービスを展開。1996年に著書『わかる!イントラネット』執筆後はフリーランスとして活動。事業経験とFP資格を活かしビジネス系ライターとして複数メディアで執筆中。








