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米の値上げはいつまで続く?高騰の理由と今後について詳しく解説

公開日 2025.03.27

2024年以降米が品薄になり、価格も高騰しています。米の値上げはいつまで続くのか、不安な人も多いのではないでしょうか。本記事では米の価格が上がっている理由や国が行っている対策について解説します。米の価格に関する今後の見通しについても知っておきましょう。

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いつまで続くか不安な米の値上げ

2024年の夏以降、米の値上げがずっと続いています。2023年は米の作況指数は平年並みだったものの、酷暑の影響で米の品質が低下しました。2024年に入ってから米不足が懸念されるようになり、米の価格が上昇し始めたのです。

米不足の不安が出てきた矢先の2024年8月、南海トラフ地震臨時情報が発表されました。台風の影響も重なり、災害に備えて米を買いだめする人が急に増えたと考えられます。こうしてスーパーから米が消える事態となり、「令和の米騒動」と呼ばれるようになりました。

米が足りなくなっても、通常は秋以降に新米が出たら落ち着きます。しかし、2024年産の新米が出回って現在に至るまで、米の値上げはおさまっていません。2025年に入ってからも、米の値段が高い状態が続いています。

米は主食として我々の食卓に欠かせないものです。家計へのダメージも大きく、値上げが今後いつまで続くか不安な人が多いのではないでしょうか。まずは、今回の騒動で米の価格がどのように推移しているのかを確認してみましょう。

米の価格の推移

農林水産省が公表している1990年(平成2年)以降の米の価格の推移は次のとおりです。

【出典】農林水産省:米の相対取引価格・数量、契約・販売状況、民間在庫の推移等

令和の米騒動以前に米の価格が急激に高騰したのは、1993年(平成5年)と2003年(平成15年)の2回です。1993年は記録的な冷夏が原因で米不足となり、スーパーから米が消えると同時に米の価格も上がって「平成の米騒動」と呼ばれました。2003年も冷夏の影響で米の供給が減り、米の値上げが行われました。

2004年(平成16年)以降は比較的米の価格は安定しており、60kgあたり1万2,000円〜1万6,000円程度で推移していました。しかし、2024年(令和6年)には60kgあたり2万4,055円と急上昇しています。

2025年(令和7年)に入っても、次の表のとおり米の値上げは止まらず、いつまで続くのか不安な状態です。

米の全銘柄平均価格の推移

年月

玄米60kgあたりの平均価格

2024年9月

    2万2,700円

2024年10月

    2万3,820円

2024年11月

    2万3,961円

2024年12月

    2万4,665円

2025年1月

    2万5,927円

【出典】農林水産省:米の相対取引価格・数量、契約・販売状況、民間在庫の推移等

米の値上げの原因

主食である米の値上げは、家計に深刻な打撃を与えています。米の値上げの理由は、生産と供給のバランスが崩れているためと考えられます。米の値上げがいつまでも終わらない背景には、次のような理由が考えられます。

インバウンド需要の増加

米の供給が減っている一方で、米の需要が拡大していることが、値上げの原因の一つとして挙げられます。2020年からの新型コロナウイルス感染症拡大により、外食産業における米の需要は落ち込んでいました。しかし、2023年5月の5類移行により外食需要が急激に回復し、米の需要も増えています。

外食需要としては、訪日外国人によるインバウンド需要があります。コロナ禍以降円安の影響などもあって、多くの外国人が日本を訪れるようになったため、米の需要も増えたのです。日本政府観光局が公表しているデータで、訪日外国人の数(訪日外客数)をみてみましょう。

【出典】日本政府観光局(JNTO):日本の観光統計データ

訪日外客数は過去60年増加を続け、コロナ禍で一旦減少しました。しかし、2023年には再び急激に増加しています。2024年の訪日外客数は3,338万260人となっており、2023年の年間2,506万6,350人を上回っています。

日本を訪れる外国人は、日本食を食べることを楽しみにしています。米の需要もその分増えるというわけです。訪日外国人が増加したため、外食における米の需要が拡大し、米の値上げが起こったことが考えられます。

食品全体の価格上昇

近年、価格が上がっているのは米だけではありません。日本では円安による原料価格の高騰などが原因で、食品や日用品の値上げがいつまでも続いている状況です。

農林水産省が公表している「食料の消費者物価指数の推移」では、2020年の指数を100とすると2024年12月は122.5です。

【出典】農林水産省:食品の価格動向

特に、2022年から急激に食品価格が上昇していることがわかります。他の食品が高くなっているため、米の需要が増えているという理由も考えられます。

中間業者の買い付け競争の過熱

米の値上げがいつまでも続くことが予想されるときには、転売を目的に投機的な取引を行う業者も増えるでしょう。中間業者が買い漁っている可能性があるともいわれています。中小の業者がどれくらい米を買い集めているかは把握されていませんが、農家からの買い付け競争が過熱していることも、米の値段がいつまでも下がらない理由の一つとみられています。

政府は備蓄米放出を決定

米の値上げがいつまでも続く中で、政府の備蓄米に注目が集まるようになりました。政府の備蓄米制度とはどのような制度なのか、備蓄米はいつ放出されるのかについて解説します。

政府の備蓄米とは

日本政府は一定量の米の備蓄を行っています。備蓄米制度は1993年の平成の米騒動をきっかけにスタートしました。1995年に「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」が施行され、政府は毎年一定量の米を市場から直接買い取って備蓄を行っています。

政府による米の備蓄は、自然災害や不作への対応、食糧危機への備え、主食である米の価格の安定化を目的として行われています。現在は毎年約20万トンの米の買い取りが行われており、100万トンの米が備蓄されています。買い取った米の保管期間は概ね5年で、古いものから入れ替わっていく仕組みです。

保管期間を過ぎた備蓄米は主に飼料用として売却されますが、災害時、学校給食、こども食堂、フードバンク、海外援助(ODA)などにも活用されています。備蓄米は市場に影響を与えないよう、平常時には放出されないことになっています。

農水省は備蓄米の運用方針を見直し

令和の米騒動では、政府は当初、備蓄米の放出をしない方針でした。備蓄米は災害や凶作時に限定して放出するという運用方針だったためです。政府の説明によると、今回は必要な在庫水準は確保されており、備蓄米の放出が必要な米不足には当たらないということでした。

しかし、米の値上げがいつまでも続いている状況をみて、2025年1月、農林水産省は備蓄米の運用方針の見直しを決定しました。2025年2月からは、凶作時だけでなく、円滑な流通に支障が生じたときにも備蓄米を放出できることになったのです。

備蓄米の運用方針の見直しにより、需要に供給が追い付かず米の価格が高騰したときにも、備蓄米を市場に放出できるようになりました。備蓄米が放出されると、米の価格が安定する可能性があります。

備蓄米21万トンの放出が決定

江藤農林水産大臣は、2025年2月14日の閣議後の記者会見で、備蓄米のうち21万トンを放出することを正式に発表しました。需要に見合うだけの米はあるとしつつ、流通が滞留していると説明し、備蓄米放出で流通が改善するとの見方を示したのです。

21万トンのうち、まずは15万トンが放出される予定で、3月10日に入札が開始されました。放出される備蓄米は、将来買い戻す予定でJAなどの大手集荷業者に売り渡され、3月下旬頃からスーパーの店頭に並ぶ見通しです。

江藤農林水産大臣は、残り6万トンの入札もできるだけ早く行う考えを示しています。さらに、21万トンの放出後も流通の状況がいつまでも改善しない場合には、機敏に機動的に追加を行うとし、さらなる放出もあり得ることにも言及しています。

米の値上げはいつまで続く?今後の見通しについて

政府が備蓄米の放出決定を発表した後も、米の価格高騰はおさまっていません。備蓄米が実際に市場に出回るようになれば、米の価格が下がることも期待できるでしょう。しかし、次のような理由で、米の価格は今後すぐには安定しないという見方が主流です。

異常気象が続く可能性がある

異常気象は続いており、2025年も猛暑となる可能性が高いといわれます。いつまでも高温が続けば、米の収穫量も減ってしまいます。今後の天候や気象状況によっては、さらに米の価格が高騰するリスクもあるでしょう。

米の生産コストが上昇している

農家が米を生産するにもコストがかかります。いつまでも続く円安で、輸入資材の価格が上昇し、肥料や飼料などのコストが上がっています。最低賃金の引き上げにより人件費も上昇しているほか、輸送費なども上がっているのです。

通常であれば、新米の収穫が始まって米の供給が増えると、米の価格は下がります。しかし、生産コストが上昇しているため、以前の水準までは価格が下がらない可能性が高くなっています。

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まとめ

米の価格高騰がいつまでも続いている中、政府は備蓄米の放出を決定しました。備蓄米は2025年3月下旬には店頭に並ぶ見込みです。ただし、備蓄米が出回り始めても、米の価格はすぐには下がらない可能性があります。今後の動向に注目しつつ、節約で家計を守ることも考えましょう。

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