2023年(令和5年)6月27日に総務省より「ふるさと納税の次期指定に向けた見直し」が公表されました。この見直しにより、2023年10月からふるさと納税の返礼品についてのルールが改定されました。今回はふるさと納税の制度についてと、ふるさと納税のルール変更について解説します。
ふるさと納税とはどんな制度?
ふるさと納税とは、自分の住んでいる自治体に納める税金の一部を、好きな自治体を選んで寄付できる制度です。寄付した人がお金の使い道を指定できる自治体もあります。
ふるさと納税の仕組み
ふるさと納税では任意の自治体に寄付した金額のうち2,000円を差し引いた額が、所得税や住民税から控除されます。寄付先の自治体からは、寄付金額に応じて返礼品が贈られます。
ふるさと納税は寄付したお金が後で控除される仕組みであり、節税とは異なります。たとえば、2万円寄付した場合に控除される金額は1万8,000円で、収支としては2,000円のマイナスです。
ふるさと納税の特徴
ふるさと納税の制度には、以下のような特徴があります。
実質2,000円の負担で返礼品がもらえる
自分の住む自治体に納税しても何ももらえませんが、ふるさと納税をすると寄付先の自治体から寄付金額に応じた返礼品がもらえます。つまり、実質2,000円の自己負担で地域の特産品などの返礼品を受け取れるわけです。ふるさと納税は節税にはならなくても、家計にプラスになる制度といえます。
控除額に上限がある
ただし、ふるさと納税の控除額には上限があり、上限を超えた分は控除されない点に注意が必要です。たとえば、控除額の上限が3万円の人が4万円の寄付をすると、控除されるのは2万8,000円です。超過した1万円と本来の自己負担金2,000円を合わせた1万2,000円が自己負担となります。
控除額の上限は寄付する人の収入や家族構成、その他の控除によって異なります。「ふるさとチョイス」などのふるさと納税サイトでは、上限額のシミュレーションが可能です。そのようなツールを活用して、上限額を確認してから寄付しましょう。
ふるさと納税で控除を受ける方法
ふるさと納税で控除を受けるにはワンストップ特例制度を利用するか、確定申告をするかの2つの方法があります。
ワンストップ特例制度を利用する
会社員・公務員などの給与所得者は、ワンストップ特例制度を利用できます。ワンストップ特例制度とは、寄付先の自治体に必要な書類を提出すると、翌年の住民税から控除される制度です。この制度を利用する場合は、確定申告の必要はありません。
ただし、寄付先が5自治体以下であることや、書類の提出期限(寄付の翌年の1月10日まで)などに注意が必要です。
確定申告をする
ワンストップ特例が利用できない人は、確定申告で寄付金控除の手続きをします。寄付した翌年の2月16日から3月15日の間に、税務署に申告書を提出します。申告には、寄付先の自治体が交付した寄付金受領証明書が必要です。確定申告では、所得税と住民税が控除されます。
ふるさと納税の流れ
ふるさと納税の寄付から控除を受けるまでには、以下の4つのステップがあります。
ふるさと納税の4つのステップ
控除上限額を確認する
寄付先の自治体と返礼品を選び、寄付を申し込む
自治体から寄付金受領証明書と返礼品を受け取る
控除の手続きをする
ふるさと納税2023年10月からのルール変更と改正
ふるさと納税の2023年10月から改定されるルールは、以下の2点です。
「5割ルール」の厳格化
ふるさと納税の返礼品の経費には、「寄付額の5割まで」「返礼品は寄付額の3割まで」というルールがあります。自治体の中にはふるさと納税サイトへの手数料、寄付金に関する受領証の発行費用、ワンストップ特例に関する申請書の受付事務費用などを経費として計上していないところがありました。これらのふるさと納税の募集経費に含まれていない費用が、寄付を受ける自治体で増大している問題が明らかになったのです。
この点について総務省がルールの厳格化を決め、2023年10月からはこれらの費用までを含めた経費全体を寄付額の5割以下にすることが義務付けられます。
出典元:総務省「ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&Aについて 」
地場産品の基準も厳格化
従来からふるさと納税の返礼品は、寄付を受けた自治体の地元産品に限定するというルールがありました。2023年10月からは、地元産品の基準を厳格化します。
従来は国外や都道府県外から調達した肉を、地元で一定期間熟成させてから地元産の熟成肉として扱うケースがありました。また、地元産の品物と他の地域産の品物のセットで、地元産の品物の割合が低いケースも見受けられました。
10月からは熟成肉と精米については、同じ都道府県産品を原料とする場合のみ返礼品に使えるようになります。また、セット品については、地元産の品物が価値全体の70%以上でなければならなくなります。
出典元:総務省「ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&Aについて 」
ふるさと納税のルール変更と改正による影響とは?
ふるさと納税の2023年10月からの改定により、返礼品はどうなるでしょうか。考えられる影響を解説します。
寄付金額が上がる
返礼品の5割ルールの厳格化の影響として、同じ返礼品の寄付金額が上がると考えられます。
たとえば、1万円の寄付に対し、これまでは返礼品が3,000円相当で経費が2,000円だったとします。そこに今後500円経費が増えると、返礼品を2,500円にしなければなりません。経費の増加によって返礼品の割合が減ることは、実質的な寄付金額の値上げです。
返礼品の値上げは2022年からのさまざまな物価上昇の影響で、すでに起こっている自治体もあります。今回のルール改正は、さらなる値上げに拍車をかけると考えられます。
返礼品が減量される
寄付金額が上がるのと同じ理由で、返礼品が減量されるかもしれません。今まで含めなかった経費を含めるには、寄付金額の値上げまたは返礼品の減量のどちらかで対応すると考えられるからです。
返礼品の種類が減る
地場産品の基準が厳しくなることにより、返礼品の種類が減るでしょう。人気のあった肉や米の返礼品の中には、地場産品の2023年10月からの基準に外れるものもあるようです。今まで返礼品だった品物が、姿を消す可能性もあります。
ポイントがもらえてお得なふるさと納税サイト
ふるさと納税はふるさと納税サイトを通じて申し込めますが、種類が多くてどのサイトを選ぶとよいかわからない人も多いでしょう。ここでは、ふるさと納税サイトの選び方とおすすめのふるさと納税サイトを紹介します。
ふるさと納税をお得に利用するならポイントがもらえるサイトがおすすめ
ふるさと納税サイトを選ぶ際にチェックすべき、主な条件は以下のとおりです。
ふるさと納税サイトを選ぶ際のチェックポイント
寄付先の自治体や返礼品の種類が豊富
自分に合う決済方法が選べる
ポイント還元がある
お得なキャンペーンがある
同じ寄付をするなら、ポイント還元やキャンペーンのあるふるさと納税サイトを利用しましょう。
ポイント還元率と返礼品の豊富さならふるさとチョイス
返礼品の豊富さ、ポイント還元で選ぶならふるさとチョイスがおすすめです。ふるさとチョイスは圧倒的な返礼品の豊富さを誇るだけでなく、他のふるさと納税サイトにないふるさとチョイス限定の返礼品も選べます。
また、「チョイスマイル」というポイントサービスがあり、キャンペーンにエントリーして条件を満たすと所定のマイルがもらえます。もらったチョイスマイルは寄付に利用でき、他社のポイントとの交換などが可能です。
2023年9月のキャンペーンは、寄付額の8%がマイルとして還元され、条件をクリアすると最大20%の還元となっていました。
まとめ
2023年10月からのルール変更でふるさと納税の返礼品は値上がりや種類の減少などにより、今までよりも条件が悪くなると考えられます。しかし、ふるさと納税は社会的に意義のある制度であり、2,000円の自己負担で返礼品がもらえる点は変わりません。
これからふるさと納税をするなら、返礼品の種類が豊富でポイント還元率の高いふるさとチョイスを、キャンペーンを狙って活用してはいかがでしょうか。
松田聡子
群馬FP事務所代表、CFP®、証券外務員二種、DCアドバイザー
国内生保で法人コンサルティング営業を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在は法人向けには確定拠出年金の導入コンサル、個人向けにはiDeCoやNISAでの資産運用や確定拠出年金を有効活用したライフプランニング、リタイアメントプランニングを行っている。