相談者:Yさん(福岡県在住)
本人60歳(駐車場経営)
Q. 年金の受け取り時期を決める判断基準は?
若い頃離婚し、子育てと両親のみとりを終え、現在1人暮らし。3年半前に退職し、収入は小さな駐車場の賃貸料のみなので、貯金を取り崩しての生活。食費や日用品代の多くを「ポイ活」で賄い、ぜいたくはしませんが、趣味にかけるお金は惜しまないようにして、楽しい毎日を送っています。
医療保険には入らず、病気・けがの際は貯金を崩すつもりです。介護年金保険も終身保険も、解約時にお金を増やす目的で加入(解約の年齢も決めています)。
投資をした時期もありましたが、小心者で知識もないため、最近は元本保証のものばかり。
相談したいのは、年金の受け取り時期についてです。65歳から老齢年金をもらいながら貯蓄を増やすべきなのか、65歳以降も貯金と個人年金で生活して老齢年金をもらうのは70歳~75歳からにすべきなのか分かりません。投資の知識がなく、今後さらに判断力が鈍ることを考えると、手持ちのお金をできるだけ使ってから年金を多くもらった方が自分に合っているのでは、と思うのですが…。また、貯蓄や投資について、どうやって勉強していけばいいかも教えてほしいです。
A. 損得勘定でベストの受け取り時期を決めるのは無理
まずは5年後に判断を。貯蓄や投資は利用中の商品を知ることから
買い物やアンケートなどでもらえるポイントを上手に活用しているのですね。その結果、衣料・美容費と趣味費を除く毎月の生活費は3万5000円。駐車場収入で、生活できる状況です。
ところが、趣味などに月8万5000円使い、毎月8万3000円の赤字です。特別収支も34万6000円赤字で、年間貯蓄取り崩し額はなんと134万円超!
個人年金保険のほかに5028万円の金融資産があるので、そのぐらいの取り崩しは問題ないとお考えなのかも。90歳まで毎年134万円ずつ取り崩しても、1000万円残る計算です。
公的年金や個人年金も受け取れますから、医療費や家のリフォーム費用なども賄えそう…。それで、65歳開始なら210万円もらえる公的年金の受け取り時期をどの程度遅らせるべきか、迷っているのですね。
公的年金は年金の開始時期を66歳以降1カ月単位で75歳まで遅らせることができます。70歳開始にすれば1カ月あたり42%、75歳開始なら84%増額されるので、ゆとりがある人には魅力的な選択肢といえます。
でも、多く受け取れば社会保険料や所得税・住民税も増えます。10年先、15年先の社会保障や税制は不明ですから、損得勘定的にベストの受け取り時期をはじき出すのは無理。急いで決める必要もないので、まずは5年後に判断しましょう。
貯蓄や投資については利用中の商品を良く知ることから始めるべき。介護保険や終身保険の解約時期を2年後、3年後…と決めておられますが、高齢期に保障が必要ないか、検討してはいかが?
回答者 高橋伸子さん
生活経済ジャーナリスト。長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。
消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。
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転載元:
「リビング北九州・熊本・かごしま」2022年12月10日号掲載
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高橋伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。