出産・子育て

出産にかかる費用は平均いくら?分娩方法による違いや福岡県で実施している制度なども紹介

公開日 2025.02.06

出産には実際いくらお金が必要なのか、不安に感じている方は多いのではないでしょうか。本記事では出産にかかる費用の平均や内訳、利用できる公的制度を解説します。福岡県の出産育児直接支払一時金制度も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

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出産にかかる費用の平均は約47万円

厚生労働省の資料「出産費用の見える化等について」によれば、2022年度の出産にかかった費用の全国平均は468,756円でした。前年度より5,854円高い結果です。

この金額は全施設の平均額で、公的病院での出産は420,482円、私的病院での出産は490,203円かかっています。いずれも前年と比較して1,672円、3,323円高い結果となりました。

参考:厚生労働省「出産費用の見える化等について」

正常分娩にかかる費用

正常分娩は公的医療費保険の適用外のため、全額自己負担です。無痛分娩や個室を選択した場合は、通常の費用に加えて別途追加料金がかかります。

また、分娩から退院までにかかる分娩料や入院料、新生児管理保育料、検査や薬剤に関する費用、処置・手当料などが必要です。

異常分娩にかかる費用

正常分娩とは違い、帝王切開などは異常分娩と呼ばれます。帝王切開をする際に必要な麻酔や投薬、手術、入院費用は公的医療保険が適用されます。

ただし、助産師によるサポートを含む分娩介助料は、全額自己負担となる点に注意が必要です。ほかにも差額のベッド代や食事代、新生児管理保育料などは、正常分娩と同じく保険適用外です。

地域によって異なる出産費用の平均

日本全国の出産にかかる平均費用は約47万円ですが、地域によっても平均費用は異なります。もっとも高い地域と安い地域はどこか、どれくらい差があるのかを見てみましょう。

東京都がもっとも高く60万円

出産にかかる費用がもっとも高いのは東京都で、2022年度には605,261円でした。

次いで神奈川県が550,864円、宮城県が513,681円、茨城県が503,927円となっています。

熊本県が最も低く36万円

出産にかかる費用がもっとも低いのは熊本県で、2022年度の平均は361,184円でした。もっとも高い東京都と比べると、244,077円もの差があります。

次いで低いのが沖縄県の374,001円、鳥取県の382,584円です。

出産にかかる費用の内訳

出産にかかる費用は日本全国で約47万円です。ここでは、入院代や分娩料など、出産に関する必要なお金とその内訳を紹介します。

参考:公益社団法人国民健康保険中央会「正常分娩分の平均的な出産費用について(平成28年度)」

入院代の平均額

出産のために入院にかかる費用は、平均112,726円です。平均日数は6日間のため、一日で18,787円程度かかることになります。なお、入院代には差額ベッド代などが含まれません。

出産までの入院日数が長引いたり、付随してほかの手術があったりすると、入院にかかる費用はさらに高くなるでしょう。

室料差額の平均額

出産に際して、個室や少人数の部屋を選択した場合は室料差額が生じます。室料差額の平均は16,580円です。

診療にかかる費用とは別に、全額自己負担しなければなりません。

なお、室料差額は正式には特別療養環境室料と呼ばれますが、病院によっては「差額ベッド代」として請求されることもあります。

分娩料の平均額

出産の際の分娩にかかる費用は、平均254,180円です。分娩料は、正常分娩の際に必要な医師や看護師の技術料、看護料、介助料などをすべて含みます。

分娩料は入院日数によって計算されるため、日数が長引けば平均より高くなる可能性もあります。無痛分娩を選択した場合は麻酔料などが加算されるため、追加で10〜20万円程度かかることがあります。

新生児管理保育料の平均額

新生児管理保育料の平均額は、50,621円です。

新生児管理保育料とは、出産後赤ちゃんを管理、保育するために必要な費用のことです。子どもの健康状態の検査や処置、手当、さらにおむつやミルクなどの費用が新生児管理保育料に該当します。

検査薬材料の平均額

検査薬材料の平均額は、13,124円です。

検査薬材料は、妊婦の検査や薬剤にかかった費用のことです。ただし、療養の給付の対象の場合はその費用は検査薬材料には含まれません。

処置手当料の平均額

出産における処置手当料の平均額は、14,563円です。処置手当料には、妊婦への医学的な処置や乳房のケアなどが含まれます。産褥期における指導があった場合も、処置手当料として請求されます。

産科医療補償制度の平均額

産科医療補償制度に加入する際に必要な掛金の平均額は、15,881円です。

産科医療補償制度とは、赤ちゃんに重度脳性まひなどの障害があった際に子どもと家族を支援する制度のことです。医療施設が加入する制度で、この産科医療補償制度に加入している医療施設で出産した場合に補償を受けられます。

経済的な負担を補償してくれるだけでなく、再発防止や原因の早期発見にも貢献できます。

その他の平均額

その他の出産にかかる費用の平均は、28,085円です。妊婦や子どもに必要な衣類や下着など、入院中だけでなく入院前後にもさまざまな費用が必要です。

人によって必要なアイテムやどこにお金をかけるかは異なりますが、3万円前後は見積もっておくといいでしょう。

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出産にかかる費用をカバーする公的制度

出産は公的医療保険が適用されない部分も多く、高額な費用が必要です。ですが、それをカバーするために、さまざまな公的制度があります。

出産一時金や出産手当金など、出産費用をサポートしてくれる制度と受け取り方法を確認しておきましょう。

出産育児一時金

出産育児一時金は、被保険者、被扶養者が出産した際に受け取れる一時金です。金額は都度改定されており、2024年4月からは最大50万円が支給されます。

50万円の一時金を受け取れるのは、産科医療補償制度に加入している医療施設で妊娠22週目以降に出産した場合です。

産科医療補償制度に未加入の医療施設での出産、または産科医療補償制度に加入している医療施設で妊娠22週目未満での出産は、48.8万円が支給されます。

参考:全国健康保険協会「子どもが生まれたとき

利用条件

出産育児一時金の受け取りには、退職までに一年以上雇用保険の被保険者期間があることが条件です。任意継続被保険者の期間は含まれません。また、資格喪失後から6か月以内での出産であることも条件です。

さらに妊娠4か月(85日)以上の出産でなければ、出産育児一時金は受け取れません。この期間を過ぎている場合、死産、流産、早産、人工妊娠中絶であっても一時金は支給されます。

申請方法

出産育児一時金の申請は、直接支払制度と受取代理制度の2つの方法があります。

直接支払制度を利用する場合は保険証を用意し、医療機関で渡される書類にサインをするだけで申請が完了します。一時金は医療機関に支払われるため、窓口での負担を抑えられます。

受取代理制度を利用する場合は出産予定日の1か月前を目安に、受取代理用の出産育児一時金等支給申請書を保険者の事業所に提出しなければなりません。

出産手当金

出産手当金は、出産のために会社を休んだ期間にその金額をサポートしてくれるお金です。期間に応じて、標準報酬日額の3分の2相当の金額を受け取れます。

参考:全国健康保険協会「出産で会社を休んだとき

利用条件

出産手当金を受け取るには、支給開始日以前に継続して12か月以上勤務先の健康保険に加入していなければなりません。

また、受け取れる期間は出産予定日以前の42日から、出産翌日以降の56日目までの範囲です。

申請方法

出産手当金の受け取りには、勤務先から申請書を受け取る必要があります。また、マイナンバーカードなどの必要書類を用意しましょう。

産後に各書類を勤務先か健康保険組合に提出すれば、手当金が振り込まれます。

妊婦健診補助券

妊婦健診補助券は母子手帳を受け取る際に一緒に受け取れるもので、出産や産後の診察などにかかる費用を補助してくれます。

補助券の内容は市区町村によって異なりますが、数千円から1万円程度の診察の費用負担を軽減してくれます。この補助券が余った場合、市区町村によっては払い戻しを受けられます。

参考:福岡市「お母さんと子どもの健康診査」 粕屋町子育てサイト「妊婦健康診査補助

高額療養費制度

高額療養費制度は、出産において帝王切開や吸引、鉗子分娩などが必要となった場合に利用できますが、正常分娩は対象外です。

加入している健康保険に申請すれば、医療機関へ支払う金額を自己普段限度額にまで抑えられます。高額療養費は加入者の年齢、所得によって異なるため、自身の受給上限を確認しておきましょう。

なお、差額ベッド代や食事代など保険適用外の部分はカバーできません。

参考:全国健康保険協会「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)

医療費控除

医療費控除は、年間の医療費が基準を超えた場合に一定額の控除を受けられる制度です。病気やけがの治療で利用されることが多いですが、出産にかかった費用も一部カバーできます。

出産にかかった費用で医療費控除を受けられるのは、妊婦の検診にかかった費用、公共交通機関の交通費、入院費、分娩費、1か月健診費、母乳外来費などです。実家で出産するために帰省する交通費や差額ベッド代、入院先で出される食事以外の食事代(出前や外食)などはカバーされません。

参考:国税庁「医療費控除の対象となる出産費用の具体例

福岡県が実施している出産育児一時金直接支払制度

福岡市の国民健康保険に加入している人は、出産育児一時金直接支払制度を利用できます。

出産育児一時金は50万円を限度とし、医療機関が代理で申請と一時金の受け取りをおこなってくれます。

分娩する医療機関に保険証を提示するだけで手続きができるため、金銭的な負担だけでなく産前の手続きに関する負担も軽減できるでしょう。

参考:福岡市「出産育児一時金直接支払制度

出産費用無償化はいつから?

政府は、正常分娩での出産費用を2026年度から無償化する方針を打ち出していますが、現状では検討段階です。この政策が検討されている背景に、出産費用は年々高額になっていることや、地域によって格差があること等が挙げられています。

出産する人の経済的負担が軽減されれば、少子化対策にもよい影響があるかもしれません。

まとめ

出産にかかる費用の平均額や内訳、利用できる公的制度を紹介しました。出産にはさまざまな費用がかかりますが、それらをサポートしてくれる公的制度も多数あります。

国の制度のほか各自治体や市区町村が実施している独自の制度もあるので、出産前に確認しておきましょう。

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