子どもは二人欲しいけれど、二人目育児の大変さを考えると消極的になってしまう人も多いでしょう。そもそも、二人目育児はなぜ大変なのでしょうか。本記事では二人目育児の大変さを説明し、乗り切る6つのコツを紹介します。二人目を迷っている人、これから二人目育児を始める人は参考にしてみてください。
子育てに「二人目の壁」はある?
「もう一人子どもがほしい」と思っていても、いろいろな理由から前向きになれない人は多いようです。一人目を産んだ後に感じる「二人目の壁」について「夫婦の出産意識調査2022」の調査結果をもとに考えてみます。
7割が「二人目の壁」を実感
公益財団法人1more Baby応援団では毎年「夫婦の出産意識調査」を行って、既婚者の出産に対する意識を調査しています。2022年(令和4年)の調査では、「二人目の壁」を感じる人が75.8%という結果でした。「二人目の壁」を感じる人の割合は、2014年(平成26年)以降では最高値となっています。
出典:1more baby応援団「夫婦の出産意識調査2022」
男女別にみると、男性が68.0%であるのに対し女性は78.6%です。「二人目の壁」は、女性にとってより深刻な問題であることがわかります。
出典:1more baby応援団「夫婦の出産意識調査2022」
経済的な理由と心理的な理由で不安がある
「二人目の壁」を感じる理由として「経済的な理由」を挙げる人は7割を超えており、お金の不安が大きいことがわかります。その他の理由としては、「第一子子育てで手いっぱい」「年齢的な理由」「心理的な理由」などが挙げられています。
出典:1more baby応援団「夫婦の出産意識調査2022」
二人目育児で大変なことは何?
調査でも「二人目の壁」を感じている人が多いことがわかりました。ここからは、二人目育児では具体的に何が大変なのかを整理してみます。
体力的な負担が大きくなる
子育てには体力が必要です。子育て中は、疲れたからといって休んでいられない場面が多くなります。子どもが二人いれば、ますます休む時間はなくなるでしょう。二人目を産むだけでも体力が必要ですが、その先の子育てはもっと長いので、体力的な不安も大きくなります。
年齢的な不安も
子どもは成長するにつれどんどん動き回るようになりますが、親は年齢とともに体力が衰えていきます。二人目を産むのは比較的高齢になることもあり、年齢的な不安を感じる人もいます。
二人目にかかりきりになれない
一人目の子どもは、赤ちゃんのときからその子の世話だけに集中できました。二人目の子どもが赤ちゃんのときには、上の子の世話もしなければなりません。いっぺんに二人の子どもの面倒を見るのは、やはり大変でしょう。
上の子が赤ちゃん返りを起こすことも
下の子が生まれると、上の子も赤ちゃんのように甘えた行動をとる「赤ちゃん返り」を起こすことがあります。赤ちゃん返りは「自分に注目してほしい」「ママを独り占めしたい」という上の子の願望の表れです。通常は一時的なものですが、親にとっては赤ちゃんが二人いるようで、手がかかってしまいます。
子育て費用がかかる
子どもを育てていくには、現実的にお金がかかります。子どもが一人生まれただけでも、それまでより贅沢はできなくなるでしょう。二人目も育てるとなると、さらに家計を引き締めなければなりません。
教育費の負担が大きくなる
子育て費用で特に大きな負担となるのが教育費です。子どもを大学まで行かせる場合、少なくとも数千万円かかります。子どもが二人になると、2倍の費用を用意しなければなりません。子どもが増えると経済的不安も大きくなるのです。
忙しくて時間がなくなる
子育て中は、自分の時間がなくなります。子どもが一人の場合、お昼寝をしている間に自分も少し休めるかもしれません。しかし、下の子がいるとそうはいかないでしょう。育児が忙しければ、家事もおろそかになってしまいます。自分の好きなことに使える時間は、ほとんどなくなってしまうでしょう。
上の子と下の子では生活リズムが違う
子どもの食事やお風呂を一度に片付けられれば、それほど大変ではないかもしれません。しかし、0歳の新生児と2~3歳の幼児では生活リズムが違います。お昼寝も別の時間帯、食事やお風呂も別々になってしまうと、親はほとんど休めなくなるでしょう。
キャリアを継続しにくいことも
女性の場合、出産後は育休を取ることが多いはずです。一人目に加えて二人目の育休も取ることになれば、仕事から離れる期間も長くなってしまいます。それまで築いてきたキャリアや経験が途絶えてしまう悩みもあるでしょう。
職場で肩身が狭くなる
育休を取ってしばらく職場を離れる場合、上司や同僚に迷惑をかけてしまうこともあります。二人目でも休むとなると、職場で肩身が狭くなってしまう心配もあるでしょう。育休が保障されているとはいえ、周りに気を遣わなければならないのも大変です。
二人目育児を乗り切る6つのコツ
二人目育児では悩みが尽きないかもしれません。乗り切るための対策を6つ紹介しますので参考にしてみてください。
1. パートナーとの協力体制を強化
二人目育児は、パートナーと協力して乗り切ることが大切です。ママ一人のワンオペでは、育児が辛いものになってしまいます。パパも積極的に育児に参加することが必要です。
家事・育児の分担を決める
家事や育児はママの仕事、パパは手が空いているときに手伝うという意識では対応できません。子どもは二人で育てるものと認識し、家事・育児は二人で分担しましょう。
男性は何からどう手を出してよいか、なかなかわからないものです。パパには食事やおむつ替え、お風呂など、何をどうしてほしいかを具体的に伝え、できるところから任せていきましょう。
2. 子どもの預け先を確保
一人で二人の子どもを見ていられない場面もあります。たとえば、下の子を病院に連れて行かなければならないとき、上の子も一緒に連れては行きづらいでしょう。パートナーが頼れないときもあるので、子どもの預け先を確保しておく必要があります。
一時保育やファミリーサポートも活用
近くに実家があれば、実家で子どもを見てもらえるかもしれません。しかし、身近に頼る人がいない場合には、子どもの預け先に困ってしまいます。
そのため、一時保育で預けられる保育所を見つけておくのがおすすめです。自治体が運営しているファミリーサポートに登録しておけば、子育てを支援してくれる一般家庭で預かってもらえます。
3. 家事代行や宅配サービスを活用
子育てしながら家事を完璧にこなすのは困難です。手が回らなければ、家事代行サービスの利用も検討しましょう。お金がもったいないと思うかもしれませんが、家の中が片付いてストレスが解消される効果は大きいものです。体調が悪いときや疲れたときに、スポット的に利用するのもおすすめです。
買い物はネットを活用
二人の子どもを連れて買い物に行くのは大変です。食料品のような日常の買い物には、ネットスーパーや会員制の宅配サービスを利用しましょう。赤ちゃんのいる家庭は、割引特典が受けられる場合もあります。
今は、たいていのものがインターネットで手に入ります。買い物にはネットを活用しましょう。
4. ママ友のネットワークを作る
子育て中に頼りになるのが、同じ境遇のママ友の存在です。たとえば、下の子をちょっとどこかに連れて行かなければならないとき、上の子をお友達のママに見ていてもらえれば助かります。
同じような年頃の子どもがいるママは、共通の話題があって仲良くなりやすいものです。同じマンション内、近所の公園、地域の育児サークルなどで友達が見つかるので、ママ友ネットワークを作りましょう。
頼りっぱなしにならない
仲が良い友達も、こちらが一方的に頼るだけではだんだん離れていきます。逆に、普段から友達を積極的に手助けしていれば、自分が困ったときにも助けてもらえます。
ママ友付き合いは、面倒に感じる人もいるかもしれません。しかし、励まし合いながら子育てできる、良い友人に出会える可能性も大いにあります。育児中は積極的に友達を増やすようにしましょう。
5. 子育て支援制度を見逃さない
国や自治体では、子育て支援の取り組みを行っています。経済的支援のような大きな制度は耳に入ってきやすいので、わかりやすいでしょう。
一方、市区町村単位で行われている小さな子育て支援は、自分で情報収集しないとなかなかわかりません。自治体の広報やホームページなどを、こまめにチェックしておくのがおすすめです。
子どもの遊び場も見つかる
子育て支援センターなどで遊び場が開放されていたり、図書館で読み聞かせが行われていたりします。公共の遊び場に出かけると、上の子をお友達と遊ばせながら、自分は下の子と一緒におもちゃで遊ぶこともできるでしょう。
6. 子育て費用は計画的に準備
二人目育児の経済的な悩みを解消するためには、子どもの教育費を計画的に準備しておくことが大切です。赤ちゃんのうちに大学進学のことは、なかなかイメージできないかもしれません。しかし、早い段階から準備しておくことで、将来の不安が小さくなります。
教育費の準備の仕方
子どもが生まれたら、毎月児童手当が支給されます。児童手当を積み立てておけば、将来の教育費に充てられるでしょう。学資保険に入る場合、子どもの年齢が小さいうちに入れば、月々の保険料を安くできます。
他にも、つみたてNISAのような効率的に積み立てができる制度があります。いろいろな方法を組み合わせて、計画的に教育資金を準備するのがおすすめです。
大変なことばかりじゃない。二人目育児のメリットとは?
二人目育児は大変なことばかりではありません。子どもが二人いることのメリットも知っておきましょう。
慣れている分気持ちの余裕ができる
一人目の育児は初めての経験なので、戸惑うことも多かったはずです。二人目は慣れているので、慌てることも少ないでしょう。二人目育児は、一人目育児に比べて精神的には楽な部分があります。
子ども同士が遊んでくれるようになる
子どもが一人の場合、そばにいる親が子どもと遊んであげなければなりません。子どもが二人いれば、子ども同士が遊んでくれます。親がずっと子どもの相手をしていなくてもよい点は楽でしょう。
子どもが二人いれば喜びも2倍に
子どもの成長は、親にとっての喜びです。子どもが二人いれば、その分喜びも増えます。大変な思いが多少増えても、喜びは倍増すると考えましょう。子どもを二人育てた経験は、自分の自信にもなります。大人になったら、逆に子どもに助けられる場面もあるかもしれません。子どもが二人いることは、長い目で見れば大きなメリットになります。
まとめ
二人目育児は夫婦で協力し、周りの助けも得ながら乗り切ることができます。教育資金の不安を解消するために、奨学金や教育ローンについても知っておくと安心です。西日本シティ銀行では、中学以降で利用できる低金利の教育ローンを用意しています。教育費の不安が生じたときには活用してみてください。
森本由紀
AFP(日本FP協会認定)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士、夫婦カウンセラー
大学卒業後、複数の法律事務所に勤務。30代で結婚、出産した後、5年間の専業主婦経験を経て仕事復帰。現在はAFP、行政書士、夫婦カウンセラーとして活動中。夫婦問題に悩む幅広い世代の男女にカウンセリングを行っており、離婚を考える人には手続きのサポート、生活設計や子育てについてのアドバイス、自分らしい生き方を見つけるコーチングを行っている。