インタビュー

需要高まる「民間救急タクシー」民間ならではのサポート体制とココロの通うサービスとは?

「民間救急タクシーらかん」

「民間救急」というサービスをご存じでしょうか。119番の救急車とは違い、民間事業者が患者などの搬送にあたる民間救急が、コロナ禍で注目されています。糸島市に拠点を置く有限会社羅漢(らかん)が2013年に始めた「民間救急らかん」は、病院や自宅間の搬送をはじめ、介助が必要な方の旅行や結婚式への出席、お子さんが住む地域への呼び寄せ、最期を自宅で迎えたいという方の搬送や付き添いなど、幅広い要望に応じています。取締役社長の徳久武洋さんに話を聞きました。

緊急性の低い人を2人体制で搬送する「民間救急」

――最近、「民間救急」という言葉を耳にするようになりましたが、まだ一般的ではないように思います。改めて、民間救急とは何か教えてください。

民間救急は、緊急性が低い患者を搬送するサービスです。消防庁の制度「患者等搬送事業」に認定された民間事業者のスタッフが、定められた設備を有した車で、基本的に2人体制で搬送を担当します。

消防救急(119番)と区別するために"民間救急"と呼ばれているのですが、転院・入退院・通院のほか、冠婚葬祭や旅行、引っ越しなど「病気やケガなどで移動が難しい」といった場合に利用できます。

民間救急の大きな役割は消防救急の負担を減らすことです。近年、救急車で搬送された人の約半数が軽症だったと聞いています。また、救急車の到着時間は10年間で1分近く延びており、要因の一つに、軽症者が救急搬送の業務を圧迫しているからでは、と考えられます。こうした問題に対し、われわれ民間救急が、軽症者の搬送を担うことで、消防救急が本来優先すべき重症者を搬送できるよう支えていくことを目標としています。

――「介護タクシー」とも違うのですか?

介護タクシーも、ご自分で移動するのが難しい方向けのタクシーです。介護関連の資格を取得した運転手がひとりでお客様のサポートを行い、病院や施設の往復などによく利用されています。それに対して、民間救急は運転手の他にもうひとりスタッフがいて、移動中にもお客様を見守りサポートできることが大きな特徴です。より重症の方に民間救急をご利用いただいております。

――徳久さんは、なぜ民間救急の事業を始められたのでしょうか?

私は中学1年のときに友人を交通事故で亡くし、ショックを受けました。「人の死とは、こんなにも突然訪れるものなのだ」、そんな思いに駆られました。そして、それから不思議なことに通学路にたたずんでいる葬儀屋さんの存在がなんとなく気になっていました。

その後、大学受験がうまくいかずに迷っているとき、恩師のご住職に人の死と向き合う仕事をすすめられて、18歳で葬儀社に就職。1999年、親戚が立ち上げた葬儀社・羅漢に入社し、2年後に25歳で代表に就任しました。葬儀業を初めて20年を迎えようとしているとき、ちょうど祖母や恩師の介護を経験したこともあり、介護の要素も含んだ民間救急に興味を持ちました。

また、葬儀業を営むことで、人生の最後を迎えたご家族のお気持ちに接する機会が多いことから、葬儀事業と民間救急事業で、『人に寄り添う、命のお仕事を通してすべての人々を幸せにする』このことを新たな使命とし、新規事業として9年前に始めました。

――当時、民間救急はどのような認知度でしたか?

開業当時、東京や大阪には事業者が結構いて、話を聞かせていただいたり、勉強会に参加してきました。ただ、九州は今でも事業者が少なく、一般の方や、病院や施設の関係者の方にも、「民間救急」という単語をご存じではない方が多くいらっしゃいました。とにかく病院や地域の方々に知っていただくために、地道にご挨拶まわりをしてきました。

介助が必要な人の転院や長距離移動をサポート

――ご依頼としては、どのようなケースがあるのか教えてください。

まずは、患者さんの転院があります。日本の医療システムでは、急性期の病院で手術や手当が終わって落ち着くと、リハビリや療養ができる、慢性期の病院に移らなければなりません。その際、ご自分で歩けないような方は、民間救急や介護タクシーを使って移動することになります。また、コロナで症状のある患者さんをホテルから病院へお連れすることもあります。開業してしばらくは短距離搬送がメインで、年間400~500件ほど担当していました。今は病院や患者さん、ご家族、行政などからご依頼をいただいております。

――最近は傾向が変わっているのですか?

なかなか難しいケースのご相談が増えてきました。その一つが「呼び寄せ介護」です。コロナ禍で、遠く離れた病院や施設で暮らす高齢のご両親に会いに行くことができず、危篤になって県外から駆けつけても面会できないこともあるようです。そのため、お子さんが住む家の近くの病院や施設に親御さんを呼び寄せる動きが加速している気がします。例えば、福岡で寝たきりの親御さんを、東京や大阪に住むお子さんが呼び寄せられる場合、家族だけで連れて行くことはできません。ご飯の介助や酸素吸入、痰の吸引などが必要な方もいて、弊社には看護師がいるのでしっかりサポートさせていただいております。

――長距離搬送は、準備することがたくさんありそうです。

患者さんの状態によって、長時間横になっていく車より飛行機や新幹線を利用した方がいいこともあります。その際は、公共交通機関の方と密に打ち合わせをして、チケットの手配や搬送ルート、スペースの確保などを行います。また、移動した先の駅や空港から車の手配が必要ならば、お付き合いのある民間救急と連携することも可能です。このような搬送に慣れた事業者は少ないようで、よくご相談いただきます。基本的に福岡発着でしたら、どこのエリアにも対応させて頂いております。

終末期の帰宅や旅行、結婚式などに看護師が付き添う

――スタッフの体制はどうなっているのでしょう?

男性3人、女性3人で、うち一人はがん化学療法看護認定看護師です。実は私の妻ですが、看護師がいることで対応できる幅が広がっています。例えば、「終末期は自宅で家族と一緒に過ごしたい」という方を自宅までお連れしたり、「自宅に帰り、家族で看取りたい」という方を連れて帰って、その夜は妻が看護師として付き添いの依頼をいただくこともあります。コロナ禍では、病院や施設で、家族に見守られゆっくり看取ることが難しく、ご自宅に帰りたい、帰って来てほしいという方が増えています。

――看護師さんが付き添ってくださると心強いですね。

妻は看護師として働いていたとき、民間救急のサービスについて全く知らなかったそうです。患者さんから「温泉に行きたい」「孫の結婚式に参列したい」「家に帰りたい」といった声を聞いても、どうすることもできずに、とてももどかしく感じていたとか。だからこそ、今は民間救急をもっと多くの人に知ってほしいという思いが強く、私たちの活動について積極的にお伝えしています。

――ホームページを拝見すると、旅行や結婚式にも対応されていますね。いろいろな実例が紹介されていて、状況がリアルに伝わってきます。

■民間救急らかん実例…https://rakan-itoshima.com/hansou_jisseki

コロナになる前は、旅行や結婚式への参列といったご要望も結構ありました。旅行の場合はバリアフリーなどハード面が重要で、バリアフリー対応に力を入れている佐賀県の嬉野と連携して情報交換や勉強会を行い、実際にお客様をお連れしています。

また、ホームページでもご紹介していますが、がんで余命宣告されたけれど、主治医やソーシャルワーカーさんが後押ししてくださって、故郷の愛媛県に旅行された方がいらっしゃいます。ご本人の身体の状態は決して良くなかったのですが、娘さんの強いご希望と覚悟があって、お連れしました。いつもと違う景色やご飯を堪能されて、お墓参りをして、お知り合いが集まってくださって。ご本人は病院を出てからずっと、本当に幸せそうなお顔をされていました。

旅行から約1か月後、その方は早朝にお亡くなりになって、娘さんからすぐ妻に「お父さんが亡くなったのよ」とご連絡いただきました。お葬式のときは、旅行中に私たちが撮影したすごく素敵な笑顔の写真を遺影写真にされて、会場で流す思い出のビデオにも、私たちが撮った写真を使っていただいて。しばらくして、娘さんたちが糸島に遊びに来られて再会しました。お客様とずっとご縁が続いていることはありがたく幸せなことだと感じています。

やりたいことを諦めないで!まずは何でもご相談を

――いい思い出が残ると、ご本人はもちろんご家族も救われることでしょう。

ご本人やご家族にとってかけがえのない大事な時間を一緒に過ごさせてもらう身として、常に何ができるのかを考えています。例えば、長距離搬送や旅行の方などは、その思い出を見返してもらえるように、道中に写真を撮らせてもらい、あとでプリントしてお渡ししています。また、送り出してくださった病院や施設側にもきちんとご報告するようにしています。

重篤な方が多いので、一度だけのご利用になる事もあります。そういった方と、そのご家族にとって、少しでも心に残る想い出となる様な旅行やご帰宅のサポートを、一つひとつのことに心を込め、丁寧に対応するように心がけています。

――ちょっと興味があるという段階で、まずはご相談からでもいいのでしょうか?

もちろんです。民間救急については、まだあまり知られていないこともあり、医師にどう伝えたらいいか分からないという方もいらっしゃいます。気になることがあれば、お問い合わせください。いろいろとお話させていただく中で、思いや状況を整理しながら、疑問や不安も解消してもらえるとうれしいです。

ご連絡いただいても、打ち合わせをする間に患者さんの状態が悪くなったり、状況が変わったりして、実際には契約に至らないケースも多々あります。早い段階でお問い合わせいただければ、様々なご提案が出来ます。

病気や障害によって、本人やご家族がやりたいことを諦めることなく、幸せな人生を全うできるお手伝いができればと心より願っています。皆さんのうれしそうな顔を見ることが、私たちにとって何よりの幸せであり、やりがいになっています。ぜひお気軽にご連絡ください。

■問い合わせ
民間救急らかん

MAILでのお問い合わせはコチラ>>
TEL:0120-13-9984  福岡県外からは:092-325-0099
・受付時間:8時~20時
※緊急の場合はお電話ください。

PR ご来店はネット予約がオススメ!
PR

" インタビュー"の記事をもっと見る

"ライフステージ "の記事をもっと見る

ピックアップ Pickup Articles