こんにちは。薬膳料理研究家甲木里枝(かつきさとえ)です。福岡市平尾にあるキッチンから、皆さんの体調やココロを整える薬膳料理を発信しています。コラムでは、季節の過ごし方、体調別のおススメ食材、ご家族で美味しく食べることのできるカンタン薬膳レシピをお伝えします。今回のテーマは「梅雨の薬膳料理」。薬膳でカラダとココロを整えて、美味しく楽しい生活を送りませんか?
今年もこの時期がやってきました。そうです。蒸し暑い梅雨の時期です。
雨が続くと、気持ちが晴れなかったり、カラダが重くなるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。中には、雨が降ると頭痛がするという方もいます。
個人的には、ポタポタと雨音のする雨の日は嫌いではないのですが、カラダが重く感じるのもまた事実です。
そして、ジメジメしているので、どうしても食材が傷みやすい。料理家にとっては気の重い季節です。
そこで、今日はこの梅雨の時期にカラダの「湿」とココロの「ジメジメ」を吹き飛ばす薬膳料理をご紹介しようと思います。
梅雨の薬膳料理のポイントは
◎ 梅雨に影響を受けやすい「脾(消化器官)の「気」をあげる
◎ カラダに溜まった「痰・湿」をカラダから排出する。
◎ 「気の巡り」を良くして、気持ちをスッキリさせる。
の3つです。
それぞれの体質に合わせて1レシピつづご紹介しますので、次のチェック事項でご自分の当てはまるタイプを確認してくださいね。
A
□ 食欲のない日がある
□ 最近やる気が出ない
□ ときどきお腹を壊す
□ カラダのたるみが気になる
□ 胃下垂と言われたことがある
B
□ 頭が重い感じがする
□ 下半身がむくむ
□ 皮膚に化膿しているところがある
□ 時々のどがつまる感覚がする
□ イボができやすい
C
□ 最近落ち込み気味だ
□ 雨が降ると頭痛がする
□ 肩がこっている
□ 朝すんなりと起きづらい
□ 食欲にアップダウンがある
それでは診断結果と、それぞれの体質に合ったおススメの薬膳レシピを見ていきましょう。
Aにチェックが多かった方
⇒脾(消化器官)の「気」が足りないタイプ
【説明】
このタイプの方は、梅雨の時期に影響を受けやすい臓器「脾(消化器官)」の機能が低下しています。脾の機能が低下すると、一番先に感じるのが「最近やる気が出ないなあ」という感覚です。カラダや頭が重い、なんだか外に出るのもおっくう、そんな気にもなります。
実際雨の多い季節なので外出するのも大変でしょうが、まずはどこにいてもやる気に満ちて元気に過ごすことが大事です。そのために元気のでる薬膳料理をご紹介します。
【レシピNO1】南瓜の陳皮煮込み
【材料(2人分)】
陳皮(干したみかんの皮)・・・・2g
干椎茸・・・・・・・・・・・・2枚
水・・・・・・・・・・・・・・400cc
南瓜・・・・・・・・・・・・・200g
いんげん豆・・・・・・・・・・4本
生姜・・・・・・・・・・・・・10g
日本酒・・・・・・・・・・・・大さじ1
みりん・・・・・・・・・・・・大さじ1
しょうゆ・・・・・・・・・・・小さじ1
【作り方】
1 陳皮、干椎茸を水につけておく(約1時間)。
2 1から干椎茸を取り出し千切りにする。残り(陳皮と水分)は鍋に入れ、15分弱火で煮る。
3 南瓜は種を取り一口大に切る。いんげん豆は3cm長さに切る。生姜は千切りにする。
4 鍋に南瓜を並べ、2の陳皮入り煎じ汁を加える。そこに、生姜、千切りにした椎茸、日本酒、みりん、しょうゆを加え、落し蓋をして12分煮込む。
5 4にいんげん豆を加え、さらに3分煮込む。
6 火をとめたら、そのまま10分ほどおいておく。器に盛る。
【ワンポイント解説】
(干)椎茸と南瓜は「気」を上げてくれる代表的な食材です。やる気が出ない時、お腹を壊しているときなど、脾の気が落ちているときにおススメです。今回は、そこに気の巡りを良くする陳皮を合わせました。椎茸と陳皮の出汁がいつもの南瓜煮込みに深みを足して、美味しく元気の出るお料理になっています。
Bにチェックが多かった方
⇒カラダに「水湿」が溜まっているタイプ
【説明】
このタイプの方は、水の巡りが悪くなって、カラダに「水湿」というどろっとした水分が溜まっています。普段から、甘い物、脂っこい物、お酒を食べる(飲む)量が多くないですか?そして、特に梅雨の時期は、普段よりもいっそう水湿がカラダに溜まりやすい時期です。むくみがある、お腹だけポッコリ出ている、そんな方にはこちらの薬膳料理がおすすめです!
【レシピNO2】セリと豆もやしのナムル
【材料(4人分)】
セリ・・・・・・・・・・・40g
豆もやし・・・・・・・・・1袋(180g)
コーン・・・・・・・・・・60g
A(合わせ調味料)
ニンニク・・・・・・・・・1/2かけ
胡麻油・・・・・・・・・・大さじ1
塩・・・・・・・・・・・・少々
しょうゆ・・・・・・・・・小さじ1
豆板醤・・・・・・・・・・小さじ1/4
【作り方】
1 豆もやしは水洗いし、湯から3分茹でる。残り30秒のところで、セリを加え一緒に茹でる。
2 1の水けを良く絞る。セリは3cm長さに切る。
3 ニンニクはすりおろす。ボウルにA(合わせ調味料)を加えてよく混ぜる。そこに、2の豆もやし、セリ、コーンをくわえ、混ぜ合わせる。そのまま15分ほどおき、味をなじませる。
4 器に3を盛る。
【ワンポイント解説】
セリ、(豆)もやし、コーンの3つは、カラダから余分な「水湿」を排出してくれる代表的な食材です。特に、最近は近くのスーパーでも皮付きのとうもろこしが売られていますね。皮付きのとうもろこしが手に入ったら、実のほかに、ヒゲの部分もみじん切りにしてこのレシピに加えてくださいね。とうもろこしのヒゲは実よりもデトックス効果が強い部分です。むくみとりに効果的ですよ!
Cにチェックが多かった方
⇒気が巡らなくて、気持ちが落ち込んでしまうタイプ
【説明】
このタイプの方は、忙しかったり、環境の変化が大きいことで、気の巡りが悪くなっているタイプです。特に梅雨の時期は「気が結びやすい」季節と言われます。気が結ばれると結び目が重くなって下に落ちます。そのため、梅雨はどうしても気持ちが落ち込みやすいと言われます。気の巡りを良くすることで、ココロの重さが取れて気持ちもすっきりしますよ!そのためのおススメの薬膳料理はこちらです。
【レシピNO3】鯛のターメリック風 気巡り野菜ソース添え
【材料(2人分)】
鯛(切り身)・・・・・・・2切れ(各160g)
ターメリック(粉)・・・・・・・小さじ1
片栗粉・・・・・・・・・・大さじ1
塩・・・・・・・・・・・・少々
イタリアンパセリ・・・・・適量
大豆油・・・・・・・・・・大さじ3
A(野菜ソース)
紅花・・・・・・・・・・・1g
黒木耳(きくらげ)・・・・・・・・・・2g
玉ねぎ・・・・・・・・・・1/4個
韮・・・・・・・・・・・・30g
赤ピーマン・・・・・・・・1/2個
B(あん調味料)
鰹出汁・・・・・・・・・50cc
酢・・・・・・・・・・・・大さじ3
黒砂糖・・・・・・・・・・大さじ1
塩・・・・・・・・・・・・小さじ1/2
水溶き片栗粉・・・・・・・水大さじ1:片栗粉大さじ1
【作り方】
1 黒木耳は水につけて戻す(約30分)。
2 黒木耳はいしづきをおとし、みじん切りにする。玉ねぎ、韮、赤ピーマンもみじん切りにする。
3 鯛に塩をふっておく。片栗粉とターメリック(粉)をあわせ混ぜる。
4 フライパンに大豆油大さじ1を熱しA(野菜ソース)の材料を炒める(このとき紅花は最後に入れる)。そこにB(あん調味料)を鰹出汁→黒砂糖→塩→酢の順に加え、3分煮る。水溶き片栗粉を加えとろみをつける。
5 鯛に片栗粉とターメリック(粉)をあわせたものをまんべんなくまぶす。フライパンに大豆油大さじ2を熱し鯛の皮目から焼き入れ、8割程度火が入ったら裏に返し裏面を焼く。
6 4のソースを器に丸く敷き、その上に5の鯛を盛り付ける。イタリアンパセリを飾る。
【ワンポイント解説】
薬膳の世界では、ターメリックは「キョウオウ」という気・血を巡らせる生薬として知られています。そして、韮や玉ねぎも巡りを良くする食材です。今回のレシピでは「気」と「血」両方の巡りを良くする食材を使いました。気を巡らせるときは血も一緒に巡らせるのが効率的だからです。楽しくお料理して美味しく食べて、梅雨の時期特有の気持ちの落ち込みを解消してくださいね!
【まとめ】
皆さん、いかがでしたか。カラダもココロも重くなりやすい梅雨の時期、どんな食材をとって、どんな料理を作ればいいか、少しでも参考になれば私も嬉しいです。
「薬膳料理で楽しく美味しく体質改善」。ご自宅でも作れるカンタン薬膳料理。蒸し暑い梅雨の時期、今年は薬膳でデトックスしてみませんか。
SATOE
薬膳料理研究家。国際薬膳師。「薬膳ハウス金木犀」主宰。株式会社金木犀代表。株式会社LeQUALIA共同代表。
約12年にわたり公務員として勤務。自身の体調不良をきっかけに薬膳と出会い、薬膳料理家に転身。福岡市内の料理教室「薬膳ハウス金木犀」を主宰。メディア出演や情報誌などでもコラムを掲載。「楽しく美味しく体質改善」をテーマに、ハーブやスーパーフードも取り入れた新たな薬膳料理を提案。