こんにちは。薬膳レシピ研究家甲木里枝(かつきさとえ)です。福岡市平尾にあるキッチンから、皆さんの体調やココロを整える薬膳料理を発信しています。コラムでは、季節の過ごし方、体調別のおススメ食材、ご家族で美味しく食べることのできるカンタン薬膳レシピをお伝えします。今回のテーマは「春のダイエット薬膳」。薬膳料理でカラダとココロを整えて、美味しく楽しい生活を送りませんか?
4月に入りぐっと温かくなりましたね。桜も満開になり、お天気の休日はお出かけすることも増えたのではないでしょうか。
昼間は薄着でも過ごせる、気持ちの良い季節です。そこで気になるのが、薄着になったときの腕やお腹のお肉やたるみ。こっそり気になっている方も多いのではないでしょうか。
私の周りでも「リモートワークで自宅にいることが多くて、お腹のお肉がすごいことになっています。」「春になって衣替えをしたのですが、二の腕が太くなったのでもう出せません。」といったお悩みの声を耳にします。
本来、私たちは「痩せている」ことが良いことではなく、自分のカラダが心地よいと感じる「適正体重」でいることが一番大事です。このため、薬膳のダイエットとは、自分本体のカラダに戻るために、それを阻んでいる根本原因を整えることから始めます。
いわば、自分に合った食材を「食べる」ことで体質を改善して適正体重に戻すのです。それでは、私たちが本来の適正体重から離れて太ってしまう原因とは何でしょうか。
薬膳では、体重増加の原因は大きく分けて、次のA,B,Cの3つに分類されます。皆さん、チェックしてみてくださいね。
A 気が不足していて代謝が落ちているタイプ
(具体的な症状)
□ 同じものを食べていても自分だけ太る
□ やる気がわかない
□ カラダが重だるい
□ 下半身がむくむ
□ ときどきお腹をこわす
B 気が巡っていないタイプ
(具体的な症状)
□ 食欲がアップダウンする
□ ときどき気持ちが落ち込む
□ 肩が凝っている
□ 朝起きづらい
□ イライラするときがある
C 食生活の乱れ(脂質の多い食事・飲酒)から「痰湿(たんしつ)」が溜まっているタイプ
(具体的な症状)
□ 普段の食事の味が濃い、揚げ物が多い
□ ケーキやお菓子など間食が多い
□ お酒をよく飲む
□ 運動はあまりしない
□ いびきをかいたり歯ぎしりをしたりする
ご自分の当てはまるタイプはありましたか?
太る体質そのものを改善することで、私たちは体重の増加に悩まされることはなくなります。
今日は、A,B,Cそれぞれの太る原因を解消するための薬膳料理をご紹介します。
ぜひ一度ご自宅で作ってみてくださいね。
Aにあてはまった方におススメの薬膳レシピ
【レシピNo.1】高麗人参新芽と南瓜粥
【材料(4人分)】
南瓜・・・・・・・・・160g
高麗人参新芽・・・・・4本
白米・・・・・・・・・160g
水・・・・・・・・・・1800cc
【作り方】
1 南瓜は皮をむき、2センチ角に切る。
2 高麗人参新芽は、葉茎部分を切り落とし、白い根の部分は薄く輪切りにする。葉茎部分は包丁で半分に切る。
3 土鍋に分量の南瓜、白米、水を入れ、強火→(沸騰したら)弱火で15分たく。途中でかき混ぜながら南瓜をつぶしていく。15分たったら高麗人参新芽(葉茎以外)を加え、さらに15分炊く。
4 火を止めたら、蓋をしたまま30分蒸らす。
5 お粥を器に盛り、高麗人参新芽の葉茎を飾る。
【レシピの効果】
高麗人参新芽や南瓜には気を補充し代謝を高める効果があります。しかも、お粥なので低カロリー。「家族で同じものを食べていても自分だけなぜか太るんです!」という方におススメです。高麗人参新芽のほろ苦さと南瓜の甘さが絶妙にマッチしています。
皆さんの中には、「高麗人参新芽」という食材にびっくりされた方もいるのではないでしょうか。実はこの食材、福岡で販売されているのですぐ手に入ります。まずはネットで検索してみてくださいね。
Bにあてはまった方におススメの薬膳レシピ
【レシピNo.2】紫キャベツのラビゴットソースあえ
【材料(4人分)】
紫キャベツ・・・・・・・220g
(ラビゴットソース)
A
マスタード・・・・・・・4g
レモン汁・・・・・・・・15cc
オリーブオイル・・・・・30ml
塩・・・・・・・・・・・2g
B
玉ねぎ・・・・・・・・・120g
ピクルス・・・・・・・・25g
ケイパー(酢づけ)・・・・12g
【作り方】
1 (ラビゴットソース)Bの材料のうち、玉ねぎは薄切りにして水にさらした後にみじん切りにする。ピクルスとケイパーもみじん切りにする。
2 ボウルに(ラビゴットソース)Aの材料を全て加え混ぜ合わせる。そこに1を加える。
3 紫キャベツは一口大に切り、たっぷりの湯で2分茹でる。ザルにとり、水けを良く切る。
4 2の(ラビゴットソース)に3を加えてあえる。
5 器に彩りよく盛る。
【レシピの効果】
気の巡りが滞り、食欲にアップダウンがある方におススメの薬膳レシピです。玉ねぎには気を巡らせる効果があり、それを酢やオリーブオイルの血を巡らせる作用がサポートしてくれます。食べると気血の巡りがよくなり、気持ちも安定していきます。
ちなみに、キャベツは紫でなくても大丈夫です。春キャベツの甘さと合わせてお楽しみくださいね!
C 食生活の乱れから「痰湿」が溜まっているタイプにおすすめの薬膳レシピ
【レシピNo.3】鯛のミネストローネ風
【材料(2人分)】
鯛(切り身)・・・・・・・2切れ(各160g)
セルフィーユ・・・・・・2束
オリーブオイル・・・・・大さじ3
塩・・・・・・・・・・・少々
(ミネストローネ)
はと麦・・・・・・・・・・40g
里芋・・・・・・・・・・・60g
玉ねぎ・・・・・・・・・・40g
セロリ・・・・・・・・・・40g
人参・・・・・・・・・・・40g
トマト・・・・・・・・・・200g
ニンニク・・・・・・・・・1片
野菜だし・・・・・・・・・200cc
塩・・・・・・・・・・・・小さじ1
蜂蜜・・・・・・・・・・・大さじ2
【作り方】
<下準備>
1 前日の夜に、セルフィーユとオリーブオイル大さじ1で鯛をマリネしておく。
2 はと麦は、良く洗い、400ccの湯(材料外)に加え、柔らかくなるまで茹でる(約20分)。
3 里芋は皮をむき、1cmの角切りにし、水100ccで茹でる。茹で汁もとっておく。
<作り方>
1 玉ねぎ、セロリ、人参は1cm角に包丁で切る。ニンニクはみじん切りにする。トマトはざく切りにする。
2 鍋にオリーブオイル大さじ1とニンニクを入れて熱し、ニンニクの香りが立ったら1の玉ねぎ、セロリ、人参を加えて炒める。
3 2に野菜だし200cc、里芋の煮汁、トマト、はと麦、里芋、塩、蜂蜜を加え、弱火で15分煮込む。
4 下準備しておいた鯛から、セルフィーユを取り除き、塩をふる。フライパンにオリーブオイル大さじ1を熱し、鯛の皮目から火を入れ、ひっくり返して両面を焼く。
5 器に3のミネストローネを盛り付け、その上に4の鯛を盛り付ける。お好みで、余ったセルフィーユなどを飾る。
【レシピの効果】
普段のお食事に脂っこいものが多かったり、高カロリーなものを摂取して太ってしまった方におススメのメニューです。「ヨクイニン」としても知られるデトックス効果の高いはと麦をはじめ、鯛やセロリには、むくみを改善する効果があります。そこに、里芋、玉ねぎ、ニンニクなど「痰湿」を取り除く作用のある食材を加え、ダイエット効果を高めました。ボリュームもたっぷり。これならたくさん食べても罪悪感なしです。
【まとめ】
薄着の季節に向けた「食べて痩せる薬膳レシピ」、皆さん、いかがでしたか。食事を制限したり無理なダイエットをすると、長期的に見て健康に良くない上、前よりも逆に体重が増加してしまうケースがあります。
それよりも、太ってしまう根本原因を立て直すことで、わたしたちは太らないカラダに自然と変化していくのです。それが薬膳の世界でいうダイエットです。
「薬膳料理で楽しく美味しく体質改善」。ご自宅でも作れるカンタン薬膳料理。本格的な薄着の季節が始まる前に薬膳で「食べるダイエット」をしてみませんか。
SATOE
薬膳料理研究家。国際薬膳師。「薬膳ハウス金木犀」主宰。株式会社金木犀代表。株式会社LeQUALIA共同代表。
約12年にわたり公務員として勤務。自身の体調不良をきっかけに薬膳と出会い、薬膳料理家に転身。福岡市内の料理教室「薬膳ハウス金木犀」を主宰。メディア出演や情報誌などでもコラムを掲載。「楽しく美味しく体質改善」をテーマに、ハーブやスーパーフードも取り入れた新たな薬膳料理を提案。