福岡県酒造組合は毎年10月1日に神社で奉納際を執り行います。ここ数年は櫛田神社で行っており、今年はより一層深い祈りの催事になったのではないでしょうか。編集部が奉納際を取材させていただきました。
日本酒の日の由来とは?
10月1日が日本酒の日というのは知っていますか?
10月は新米のできる時期で、また酒造りが始まる時期であることから、10月1日を日本酒の日に制定しています。(1978年日本酒造組合が設定)また十二支の「酉」からの由来もあるといいます。「酉」は十二支の10番目、月にすると10月です。「酉」の字は象形文字で酒壺を表すもので、さんずいをつけると「酒」になるのです。
例年10月1日には全国でさまざまな日本酒のイベントが行われていました。コロナ禍で約1年半は蔵元にとって大変厳しい歳月となっています。
奉納際での願い深く
2021年10月1日(金)16時、昼間の蒸し暑さから少し風が乾き高い空が秋を感じる福岡市。福岡の蔵元27蔵が櫛田神社へ奉納際のために集いそれぞれの蔵の法被を着て厳かに境内へ入ります。
例年では清酒奉納はそれぞれの蔵元が行うのですが、神殿にはすでに各蔵の清酒が祭られていました。新年度の清酒醸造に向けての醸造祈願の後、江崎俊介会長が代表で榊を祀り今年は時間短縮での儀となりました。
祭のあとの直来もなくし、蔵元もより深く頭を下げコロナの終息への祈りを込めているように感じる厳粛な奉納祭が行われました。
福岡県酒造組合 江崎俊介会長 コロナ禍の1年半について
「昨年から続くコロナ禍での蔓延防止措置や自粛要請で飲食店での酒の提供が規制されて、忘新年会や歓送迎会、結婚式、お花見、夏祭りなどことごとく酒の席がなくなり日本酒の消費は激減しました。
家飲みが増えたといっても、世の中は明日への不安から、増えたのは酎ハイや発泡酒など低価格の酒類で日本酒やシャンパンなどではありません。
酒の消費が激減すると、蔵のタンクのお酒は減らず、次にお酒を造って貯めるタンクがなくなります。そうなると酒蔵は造る量を減らすしかない。
米農家さんからお米を買うことができなくなるんです。今年は通常から6割ほどしか買うことができなった。米農家さんにとっても大打撃です。
福岡県はとても応援してくれていて、酒米を買うための補助金やこれから皆さんにお酒を飲んでもらうためのキャンペーンも行われる予定です。今日から酒類の提供が始まり第6波が来ないことを祈りつつ今年12月までの間に少しでも消費を取り戻していきたいと思っています」
博多山笠の前で意気込みを映す蔵元たち
日本有数の酒どころ福岡
福岡県は県内に68件の酒蔵があり、350年続く酒蔵や新たな日本酒の世界を切り開く若い杜氏、世界NO1に輝く日本酒など個性が豊かで誇れる蔵元が多い県でもあります。また質の高い日本酒を造るための酒造好適米の山田錦の生産が長年上位5位以内に位置付けている酒どころです。
日本酒は國酒
酒類にはウイスキー、ワイン、ビール、ジンやブランデーなど様々ありますが国の名前が直接ついている酒は珍く日本酒は日本の酒まさに國酒です。近年は海外でも高い評価を得ている日本の酒、日本の歴史と文化、伝統の尊さを改めて思う日本酒の日かもしれません。
まとめ
奇しくも10月1日から福岡県内は酒類提供の解禁日です。飲食店の営業時間短縮要請は10月14日まで継続。店舗により午後9時までと午後8時までと異なりますが、酒類が県全域で提供となるのは8月1日以来2カ月ぶりです。日本の文化として誇るべき日本酒の危機、酒米農家、酒蔵、飲食店が元気になるためにまだまだ、気を抜くわけにはいきませんが私たちができることをしたいものです。