こんにちは。薬膳料理研究家・SATOEです。福岡市平尾にあるキッチンから、皆さんの体調やココロを整える薬膳料理を発信しています。コラムでは、季節の過ごし方、体調別のおススメ食材、ご家族で美味しく食べることのできるカンタン薬膳レシピをお伝えします。今回のテーマは「梅雨の薬膳料理」。薬膳料理で身体とココロを整えて、おいしく楽しい生活を送りませんか?
梅雨に入り、雨模様だったり、曇り空の多い日々が続きますね。カラダもココロも、なんとなくすっきりしないという方も多いのではないのでしょうか。個人的には、頭の重だるさを感じていますが、ふと見上げると紫陽花が咲いていたり、雨の後の新緑が輝いていたりして「梅雨も悪いことばかりではないなあ」と思う今日この頃です。
でも、どうしても不調を訴える方が多くなるのが、この梅雨の時期。
「雨が続くせいか、気持ちがすっきりしないです」
「一度ソファに座ると、そこから動きたくなくなるんです」
最近、そういった声をよく聞きます。
それもそのはず、
梅雨は「湿」が満ちる時期なので、それがカラダに侵入することで、次のような症状を引き起こしやすいんです。
□ 食欲がわかない
□ やる気がわかない
□ 頭が重だるい
□ 下半身がむくむ
□ 皮膚湿疹がなかなか治らない
□ お腹をこわしている
みなさん、心当たりはありませんか?
こういった症状をお持ちの方は、梅雨の影響で、五臓六腑のうち消化器系である「脾・胃」の働きが低下しています。
そこで、梅雨の時期は、カラダに溜まってしまった余分な「湿」を体外へ排出する食材や、脾・胃の働きそのものを強くする食材がおススメになります。
【利尿去湿】 利尿作用により湿の排出を促進します。
はと麦、冬瓜、小豆、そら豆、黒豆、はも、金針菜、とうもろこしのヒゲ
【補気脾胃】 脾・胃の働きを強化し、消化機能を促進します。
椎茸、山芋、かぼちゃ、インゲン豆、ナツメ、鶏肉、牛肉、タラ、すずき
そして、梅雨の時期は精神的には風通しを良くし、楽しむことを心がけることも養生のポイントです。そこで、気持ちをすっきりさせてくれる「理気類」の食材もおすすめです。
【理気解鬱】気の停滞を改善し、気の巡りを良くして気分をすっきりさせます。
玉ねぎ、蕎麦、グリーンピース、オレンジ、グレープフルーツ、ローズ
では、これらの食材を使った、梅雨のおすすめ薬膳レシピを3つご紹介します!
【レシピNO1 】インゲンと山芋の陳皮あえ
【材料(2人分)】
インゲン・・・・・・8本
山芋・・・・・・・・40g
なつめチップス・・・・2g
A(合わせ調味料)
陳皮(みかんの皮)・・・・2g
花椒(パウダー)・・・・1g
黒砂糖・・・・・・・・・小さじ1/2
酢・・・・・・・・・・・小さじ2
塩・・・・・・・・・・・小さじ1/2
ごま油・・・・・・・・・小さじ1/2
【作り方】
1 陳皮は約1時間水に浸す。柔らかくなった状態で、みじん切りにする。
2 なつめチップスは軽く砕いておく。
3 インゲンは筋を取り両端を切り落とし、湯から3分茹で、3等分に切る。
4 山芋は皮をむき、インゲン豆と同じ長さの短冊切りにする。
5 A(あわせ調味料)を合わせる。
6 ボウルに、インゲン、山芋を入れ、A(合わせ調味料)を混ぜる。砕いたなつめチップスを加え、あえる。
【レシピの効果】
インゲンや山芋には、消化機能を正常に整える効能があります。そして、なつめは消化を促進すると同時に、気(エネルギー)を高めてくれるパワフルな食材です。梅雨に「脾・胃」の機能が落ちたり、やる気がおきないときにおススメのレシピです。最近、薬院のとあるスーパーに行くと、なつめチップス、陳皮(みかんの皮)など薬膳で使う食材が中華コーナーにありました。新しい食材をご家庭にも取り入れてみてくださいね。
【レシピNO2】すずきとトウモロコシのパエリア風
【材料(2人分)】
すずき・・・・・・・・・400g(2切れ)
バジルソース・・・・・・大さじ1
小麦粉・・・・・・・・・10g
オリーブオイル・・・・・大さじ1
三つ葉・・・・・・・・・適量
<とうもろこしご飯>
とうもろこし(皮付)・・1/2本
もち米・・・・・・・・・0.5合
<パエリア風の具材>
パプリカ(赤、橙)・・・・各20g
ズッキーニ・・・・・・・40g
玉ねぎ・・・・・・・・・40g
バジルソース・・・・・・大さじ2
カルダモン(小豆?)・・・小さじ1
オリーブオイル・・・・・大さじ1
【作り方】
1 とうもろこしは、皮をはぎ、立てに包丁を入れて軸から実を外す。ひげのきれいな部分はみじん切りにする。ざるに入れ、もち米とよく混ぜ水洗いする。
2 とうもろこしともち米を炊飯器で炊く(1合分の水)。
3 すずきをバットに並べ、バジルソースを塗る。
4 パプリカ、玉ねぎ、ズッキーニは、1cm角の角切りにする。
5 フライパンにオリーブオイルを熱し、4の具材を炒め、バジルソース、カルダモンで調味する。
6 ずすきに軽く片栗粉をはたき、フライパンにオリーブオイルを熱し、皮目から火を入れる。皮目に焼き色がついたら、ひっくり返して仕上げる。
7 とうもろこしご飯を、器に円柱形に盛る。そのうえに5の<パエリア風具材>をのせ、すずきを置き、三つ葉を散らす。
【レシピの効果】
バジルやカルダモンには、消化器官に停滞している余分な湿を取り除く効果があります。そこに、とうもろこしの利尿効果を合わせることで、デトックス効果を高めました。モチモチした食感のとうもろこしご飯に、パリッとした皮目のすずきが食欲をそそります。ぜひご家族で食べていただきたい一品です。
【レシピNO3】柑橘ジャスミンTea
【材料(2人分)】
ジャスミン茶葉・・・・・・4g
グレープフルーツ・・・・・2/3個
オレンジ・・・・・・・・・2/3個
薄荷(ミント)・・・・・・・2~4枚
蜂蜜・・・・・・・・・・・30g
水・・・・・・・・・・・・600cc
【作り方】
1 グレープフルーツ、オレンジは、皮をむき果肉を取り出し一口大に切り、蜂蜜でマリネする(約1時間)。
2 水600ccを沸かし、火を止めたらジャスミン茶葉を加え、そのまま2分ほど蒸らす。茶葉を濾して、常温に冷ます。
3 器に、マリネしたグレープフルーツとオレンジ、ミント、マリネ液大さじ1を加え、そこに2のジャスミンTeaを注ぐ。
【レシピの効果】
ジャスミン茶をはじめ、グレープフルーツやオレンジなどの柑橘類には、気を巡らせて気持ちをスッキリしてくれる効果があります。ほのかな甘みと柑橘類の酸味のバランスの良い一品です。雨で外出がおっくうな日は、こんなデザートをつくって家でゆっくり読書をするのはいかがですか。
【まとめ】
梅雨の時期は余分な湿がカラダに入りやすく、重だるい症状を感じやすい時期です。そして、環境もココロも、ついジメジメしやすい時期だとも言えます。こんな時期こそ薬膳料理でカラダもココロも軽くしましょう!消化機能を高め、気を補充して巡らすことで、梅雨の時期を快適に乗り切ることができます。
「薬膳料理で楽しく美味しく体質改善」。ご自宅でも作れるカンタン薬膳料理。梅雨の時期のジメジメ対策に薬膳を取り入れてみませんか。
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SATOE
薬膳料理研究家。国際薬膳師。「薬膳ハウス金木犀」主宰。株式会社金木犀代表。株式会社LeQUALIA共同代表。
約12年にわたり公務員として勤務。自身の体調不良をきっかけに薬膳と出会い、薬膳料理家に転身。福岡市内の料理教室「薬膳ハウス金木犀」を主宰。メディア出演や情報誌などでもコラムを掲載。「楽しく美味しく体質改善」をテーマに、ハーブやスーパーフードも取り入れた新たな薬膳料理を提案。