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これからの日本はどうなる? | 西日本シティTT証券チーフアナリスト 松本義一郎

これからの日本はどうなる?

これからの日本はどうなる?

 コロナ禍での2度目の新年度が始まりました。昨年の4月はコロナ第1波の緊急事態宣言下で、博多駅は閑散としていましたが、もはや遠い昔のようにも思えます。
新年度の日本は、まん延防止措置で相変わらずの騒ぎです。しかし、世界を見渡せば、ワクチン接種が進んだ国では、徐々に「アフターコロナ」が意識され、英国のジョンソン首相は「パブでビールを飲もう」と、本人がコロナで重態になったうっ憤を晴らす、リベンジ消費の典型といえる呼びかけをしています。

 4月6日に発表されたIMFの世界経済見通しでは、ワクチンの普及と米国の積極的な財政政策がドライバーとなり、2021年の世界経済は1月の見通しに比べて0.5%上方修正され、前年比+6.0%の高い成長見通しになりました。しかし、肝心の日本経済はわずか0.1%の上方修正で、+3.3%と昨年の▲4.8%の落ち込みを取り戻すことが出来ません。
それでも3%成長は久々の高成長になりますし、日経平均株価が30年ぶりの水準にまで上昇していることもあって、コロナ以前の閉そく感の強い日本経済の状況からは、少し変化の兆しが感じとれるように思います。

 経済の世界では景気には波動があるとされます。40か月のキチンサイクル、10年のジュグラー、20年のクズネッツ、技術革新のコンドラチェフの波は50年です。
日本の場合は社会的にも、15年、25年、30年周期の波動がよく語られます。私は中でも30年周期が、日本の近代社会の変化を良く表していると考えています。

 1900年からの30年間は、日露戦争から始まる「坂の上の雲」に代表される日本の「上り坂」の時代。逆に1930年からの30年間は軍国主義と戦後復興に苦しむ「下り坂」。1960年からの30年間は日本社会が最も輝いていた、高度成長の「繁栄への上り坂」。そして、1990年からの30年間は「失われた20年」を経た衰退と不安の「急降下の下り坂」でした。
2020年は新型コロナウイルスの年として歴史に残りそうですが、今年以降の30年間はどうなるのでしょうか。これまでの交互の順番からいえば、「上り坂」の30年になるはずですがどうでしょう。
これまでも繰り返し指摘されていることですが、成功体験の記憶から抜けきれない戦後システムを、今度こそ本当に変革することが出来るかが、次の30年間の日本社会を決めることになります。
しんどい時代になることは確かでしょうが、新しい時代の芽や次の30年間のヒントは、既に日本経済に見えています。SBGの孫社長の破天荒に世界で戦う姿勢ほどではなくとも、日本企業はハイテク企業だけでなく、内需型企業でも「世界で稼ぐ」実績を積み重ねています。それは貿易黒字に依存していた戦後型の経済から、第一次所得収支(海外子会社からの配当金等)で稼ぐ、現在の日本の海外での黒字形態に如実に反映されています。

 今年2月に日経平均株価は30年ぶりに3万円を付けましたが、日本企業の「稼ぐ力」の強さにより、株価は今の3万円に近い水準でも欧米諸国と比べると、「割安」といえる状況にあります。
「これから30年間の日本は繁栄の時代(上り坂)になる。」と断言したいところですが、今は、(私たちが歯を食いしばって頑張れば)これからの30年は「上り坂になる可能性が高い」くらいには言ってみてもよさそうです。

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