相談者:Mさん(福岡県在住)
夫48歳(会社員)、妻52歳(主婦)
Q. 子どもの学費のため、夫名義の保険を解約すべき?
今まで子どもの成長に合わせた働き方を選び、扶養内でパートをしていましたが、異動先の職場環境に抵抗があり、昨年夏に退職しました。この機会なので、家の中のいろいろなことを見直して、生活を整えたいと考えています。
現在は夫婦のみで生活していますが、まだ学生の子どもがおり、他県で一人暮らしをしています。
子どもは、自宅から通える国立大学を志望していたため、相応の学費(400万円)を用意していましたが、勝手に浪人したあげく、1年次は海外研修に参加したり、寮生活の約束でしたが、コロナ禍で一人暮らしをすることになったりして、資金が底を尽きつつあります(子ども郵便貯金)。
学資保険代わりにと勧められた夫名義の変額保険を確認したところ、解約すると260万円になり、学費に充てられます。ただ、変額保険はおおむね8%超で運用されているようで、解約すべきか迷います。家族収入保険は子どもが卒業した時点で解約するつもりです。
私自身は状況が整い次第、仕事を始めるつもりですが、今後、資産形成に有利な選択があれば、アドバイスをお願いします。
A. 解約は運用状況をみて、自己責任で決める必要あり
8本計800万円超の保険は、商品を把握して見直しの有無の確認を
1人目のお子さんはすでに独立なさり、この春大学3年生になるお子さんに、あと2年、経済的な援助をするご予定なのですね。
進路選択や学生生活の送り方が、親御さんからすると想定外だったようですが、なんとも頼もしいお子さんではないですか!
家計簿を拝見すると、学費と仕送り(生活費)が年160万円です。2年分で320万円ですから、子ども名義の郵便貯金70万円では確かに足りません。
でも、ボーナスと給与の黒字分から充当できる金額が年125万円近くあるので、他の貯蓄を取り崩さなくても大丈夫そう。退職なさって家計をきちんと整えた賜物といえましょう。
これから着手すべきは、夫婦名義の貯蓄残高1426万円の運用法の見直しです。とくに、8本合計800万円超と把握しておられる保険は、商品性をしっかり把握し、見直しの必要がないか、一つ一つ確かめることをお薦めします。
家族収入保険については、あなたが復職しているのであれば、お考えのように解約するのも1つの選択です。
月払いの変額保険、10年払込満了の変額保険、いずれも円建てで、特別勘定(運用分)のうち50%が株式、50%が債券です。これまでの運用実績は年率換算8%ですが、預金と違い、将来的に高利回りが約束されているわけではありません。
運用実績は日々変動しますので、解約のタイミングは運用状況をみて自己責任で決める必要があります。有利な運用法、すなわち投資にはリスクがつきもの、と心得てくださいね。
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転載元:
「リビング北九州・熊本・かごしま」2021年3月20日号掲載
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高橋 伸子
生活経済ジャーナリスト
長年にわたり国の各種審議会委員を歴任。消費者の声を国や企業に届ける活動にも注力。2016年に内閣総理大臣より消費者支援功労者表彰を受ける。株式会社西日本フィナンシャルホールディングスの社外取締役監査等委員。