立春も過ぎて、早くも春を感じさせるようなあたたかな陽気の日もあれば、まだまだ雲が厚く極寒の日もある2月。みなさま、いかがお過ごしでしょうか?
さて、今回は今が旬の小松菜を取り上げます。
近年はビニールハウス栽培により、年中スーパーでは買えるようになりましたが、小松菜はれっきとした冬野菜。寒さに強く、霜にあたると葉が厚く柔らかくなるうえに、甘みが増すと言われています。
また、小松菜は知る人ぞ知る江戸野菜のひとつであり、小松菜という名称は、江戸時代に小松川(現在の江戸川区)あたりで栽培されていたことから、小松菜と名付けられたそうです。
小松菜はビタミン類が豊富な緑黄色野菜で、貧血気味の方におすすめしたいほど鉄分が豊富。またカルシウムはほうれん草よりもはるかに多く、牛乳に匹敵するほどの含有量なので、育ち盛りの子どもや、中高年の骨粗しょう症予防にもってこいの食材です。
さらにいえば、抗酸化作用のあるβ-カロテンやビタミンCも含まれていますので、風邪予防のほか、美容や老化防止にも一役買ってくれます。
薬膳的な観点から解説してみましょう。
小松菜は気を降ろし、身体にこもった熱を収める特性がありますので、「肝陽亢盛(かんようこうせい)」といって少々肥満気味で顔に赤みがあり、いつもイライラして怒りっぽい方には特におすすめいたします。
その一方で、身体をあたためる力が不足している「陽虚(ようきょ)」の方や、気や血が不足して身体が弱い「気血両虚(きけつりょうき)」の方で胃腸の働きが低下している方や下痢気味の方は、少々控えめにしてください。
小松菜はアクが少ないので、料理の幅も広く、煮物、炒め物、和え物と多岐に及びますが、今回は少し視点を変えた小松菜の使い方のご提案をいたします。
【料理名① 】冷凍パイシートを使った小松菜とベーコンの簡単キッシュ
【材料】(1枚分)
・小松菜…………………4株
・ベーコン………………60g
・卵………………………3個
・豆乳生クリーム………大さじ2
・冷凍のパイシート……1枚
・チーズ…………………好み
・ブラックペッパー……適量
・ココナッツオイル……大さじ2
・ニンニク………………1片
【作り方】
1 .冷凍のパイシートをしばらく常温で置いておき、キッシュの型に合わせて、麺棒
で伸ばした後に型に敷く。縁も丁寧にしっかりくっつけて!
2 .小松菜は50℃洗いした後、4cmぐらいにカットする。株のところは大きければ半
分にカット。ニンニクは粗みじん、ベーコンも食べやすい大きさに切る。
3. 小松菜とベーコンはニンニクを加えて、ココナッツオイルで軽く炒める。小松菜
は火が通りにくい、株、茎、葉の順で入れて、全体に火が通るように。
4 .ボウルに卵3個を入れてかき混ぜ、その中に豆乳生クリームを入れて、軽くまぜ
ておく。
5.1の型に敷いたパイシートの中に、小松菜とベーコンを炒めたものを入れて全体
をならし、その中に4の卵と豆乳の生クリームを加える。その上にチーズをちら
して、ブラックペッパーをかける。
6. あらかじめオーブンを温めておき、200℃で15分から20分焼く。オーブンによっ
ては途中で回したりして、まんべんなく火が通るように。焼き上がったら完成!
【レシピ考案の裏話】
当初はキッシュの定番である、ほうれん草とベーコンのキッシュを作っていたのですが、ある時、うっかりほうれん草を買い忘れてきた時がありました。その時、たまたま冷蔵庫に小松菜があったので、ほうれん草のかわりに小松菜を使ったのが始まります。小松菜の株や茎のシャキシャキ感がたまらず、以来、我が家では小松菜が定番になりました。
【料理名②】小松菜のジェノヴェーゼパスタ 目玉焼き添え
【材料】
<小松菜のジェノヴェーゼ>
・小松菜…………………………………3株
・胡桃(もしくは松の実)………………30g
・ニンニク………………………………1片
・塩………………………………………小さじ1/2
・パルミジャーノ・レッジャーノ…… 大さじ4
・オリーブオイル………………………大さじ5
<パスタ>(1人分)
・スパゲッティーニ……………………100g
・オリーブオイル………………………大さじ1
・ブラックペッパー……………………少々
・パルミジャーノ・レッジャーノ…… 大さじ1
【作り方】
1. 小松菜は50℃洗いをした後、フードプロセッサーに入るぐらいにカット。
2. フードプロセッサーに小松菜、胡桃、ニンニク、塩、パルミジャーノ・レッジャ
ーノ、オリーブオイルを入れてミキシング。
3 .鍋に多めの湯をわかし、塩をひとつまみ入れて、パスタを茹でる(茹で時間はメ
ーカーにより異なるので、表示を参考に)
4. 少しのアルデンテを残して茹であがったら、大さじ1、2ぐらいの湯を残して水
分を切り、パスタを鍋に戻す。
5 .4に1のジェノヴェーゼを大さじ3と茹でた湯を大さじ1ほど入れて、手早く混
ぜる。
6 お皿に5を盛って、ブラックペッパーとパルミジャーノ・レッジャーノ
を削りかけたらできあがり。お好みで目玉焼きやクレソンなどを添えてもよい。
【レシピ考案の裏話】
今から3年前に佐賀の武富勝彦さん(2002年にイタリアのスローフード協会で、アジア人で唯一受賞なさった方)と私の薬膳料理とコラボさせていただいた食事会を催しました。この時に生み出したのが小松菜のジェノヴェーゼソースです。というのも、武富さんが畑から無農薬の立派な小松菜をとってきてくださったので、咄嗟に思いついたのでした。この時にジェノヴェーゼはバジリコ(バジル)でなくても何でも代用できると確信。以来、クレソン、ミント、大葉、ほうれん草となんでも試していますが、それぞれに個性があって楽しいですよ。みなさまもぜひ!
【料理名③】小松菜ジェノヴェーゼソースの応用編! 山芋カップのちょっとおしゃれな蒸し料理
【材料】(2人分)
・山芋……………………………………輪切りを10cmぐらい
・味噌……………………………………小さじ1/2
・クコの実………………………………4個
・②で作った小松菜のジェノヴェーゼ…大さじ1~2
【作り方】
1 . 山芋は50℃洗いした後、スプーンなどでカップ状になるように中身をくり抜く。
2 . 1のくり抜いた山芋は粗みじんに切る。
3 . 2に、小松菜のジェノヴェーゼと隠し味の味噌を加えて、全体がなじむように混
ぜる。
4. 1の山芋カップに3を入れて、クコの実をのせて蒸籠で10分ほど蒸す。火が通っ
たのを確認できたらできあがり!
【レシピ考案の裏話】
昔、友人が作ってくれた思い出の一品です。味噌を入れたり、クコの実のトッピングは私のアレンジですが、当時は山芋をくり抜いて蒸すというアイデアが斬新でとても感動した記憶があります。友人のレシピはもう昔すぎてよく覚えていませんが、隠し味に味噌を入れたり、チーズを加えたり。いろんなアレンジをして楽しんでいます。山芋カップも蒸して柔らかくなっていますので、丸ごと食べることができますよ。
まとめ
一般的に小松菜といえば、お浸しだったり、煮物や炒めものに使うことが大半だと思いますが、小松菜はクセもなくアクも少ないのでちょっと視点を変えると、レシピは無限大に広がリます。今回はその一部をご紹介いたしました。ぜひご自宅でも作っていただけるとうれしいです。
最後にみなさまにご報告があります。残念ながら私のレシピコラムは、今回で終了いたします。「Go!Go!ワンク」では引き続き、みなさんの身体を元気に、心を豊かにする情報が配信されますので今後ともご覧ください。ありがとうございました。
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名原 和見
ライター・エディター・薬膳料理研究家
独立して26年。拠点は福岡だが、全国誌・地方誌を中心に雑誌、新聞、書籍、企業の印刷物, webを中心にインタビューや取材&執筆を行う。最近では企画から編集、ライティング、キャス ティング、調理、スタイリングを含めたディレクション全般を請け負っている。得意分野は食、健 康、美容等。2013年に薬膳アドバイザー、中医薬膳師の資格を取得。長年、食の取材をしてきた 経験値と、薬膳の知識を融合させたオリジナル薬膳料理教室「薬膳うちごはん」を主宰。■https:// yakuzenuchigohan.com