子どもの自信を育てる!【前編】オススメのほめ方・NGなほめ方

前川 由希子

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2020年5月21日 (木)

新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響で、2020年になって子どもと過ごす時間がより一層増えた、というお父さんお母さんも多いのではないでしょうか。一緒にいる時間がかけがえのないものとわかりつつ、急な生活の変化にストレスを感じたり、体力が有り余る子どもたちのストレスが日々増す中でついついイライラしてしまったり疲弊してしまったり…、そんな余裕のなさを感じてしまうという人もいらっしゃるでしょう。

 

子どもをほめていますか?叱っていますか?

突然ですが、質問です。子どもをほめていますか?叱っていますか?

ほめすぎるのは甘えに繋がるから、子どもにとってよくないのではないか。

ついダメなところが目について、何をほめていいのかわからない。

今のほめ方が合っているのかわからない。

そんな声がある一方、叱るのが苦手、ついつい感情的になってしまって叱った後に自己嫌悪に陥ってしまう、という声もあります。子どもをほめる・叱るって、難しいですよね。

ほめることは、おだてることや甘やかすこととは違います。躾(しつけ)は大事だし、妥協はできません。良いことは良い、悪いことは悪い、と教えることは大切なことです。

それを踏まえた上で、子どもたちの健やかな成長を促すために、子どもの生きていく力となる「自信」を養うために、親子の良い関係性と絆を築くために、効果的なほめ方・叱り方をお伝えしましょう。

 

自信とは?

自信とは自分を信じること

自信とは、その字が表すように「自分を信じる」ことをいいます。

自信には大きく2通りがあると言われています。

1. 能力に対する自信

「能力に対する自信」とは、「〜ができる」「〜を持っている」と能力に対して自信を持つことです。

2. 存在に対する自信

「存在に対する自信」とは、「自分は大丈夫」「やればできる」「まだまだ頑張れる」「自分は自分でいいんだ」と自分のあり方に対して強く信じる気持ちを持つことです。

これからを生き抜くために、「やればできる」と自分自身を信じる気持ち、確信できる強さを育てたいものです。

そのためには、自分という存在にきちんと価値を感じることが必要です。「愛されている」「認められている」「見てもらえている」「気にかけてくれている」と実感できることで、「自分に価値がある」「自分は自分でいいんだ」「ここにいる価値がある」と思えるようになります。

 

自信を持つことでどんなメリットがある?

自信を持つということは、自分の価値を実感できているということです。自分の可能性を信じることができているということです。

ですから、チャレンジ精神が養われ、失敗したり落ち込んだりしても「どうすれば乗り越えられるか」を自分で考える自主性や、自ら立ち直る力をつけることができます。

また、自分に価値があると感じられるからこそ、人に助けを求められるようになりますし、他人の気持ちを想像したり共感したりという力も養われます。

子どもたちが社会性を身につけながら、周囲と協調しながらも自分らしく生きていく上で支えとなる「自信」をぜひ育みたいですね。

 

ほめ方次第で「存在に対する自信」の源はつくれる!

ほめ方次第で「存在に対する自信」の源はつくれる!

「大丈夫!」「やればできる!」「自分は自分でいいんだ」という「存在に対する自信」。この人生を生き抜く上で必要な、根拠のない自信の源になるのが、「自尊心」です。

自尊心は、プライドや自惚れと同一視されがちですが、別物です。ここでいう自尊心とは、「自分の在り方(ありさま)を大切に思う気持ち」のことを指し、それを満たすためには、次の3つが必要だと言われています。ほめ方に取り入れてみましょう。

1. 自己重要感

「自己重要感」とは、自分のことを大切な存在として周囲から認めてもらいたい欲求のことを指します。

この「自己重要感」とは、「ありがとう」と言われることによって満たされる欲求です。存在してくれていることが、どういう感謝につながっているのかを「ありがとう」という言葉で伝える。そのことで満たされます。

子どもに「ありがとう」を伝えていますか?

お手伝いをしてくれたとき、にっこり笑ってくれたとき、美味しそうにご飯を食べてくれたとき……。そんなのやって当たり前!と思いますか?自分にとって当たり前は、子どもにとって当たり前ではないかもしれません。子どもと言えども、あなたとは別個体。「言わなくてもわかるだろう」は通じません。

思いはストレートに言葉に出して伝えましょう

「ありがたいな」「嬉しいな」と感じたら、ストレートに言葉に出して表現してみてください。「お片付けて手伝ってくれてありがとう。お母さん、すごく助かったわ」「ご飯をきれいに食べてくれたね!ありがとう!一生懸命作ってよかったなぁ、嬉しいな」大きなことでなくていいんです。毎日の些細なこと、ほんの小さなことに、「ありがとう」を感じたままに伝えてみましょう。

2. 自己有能感

「自己有能感」は、自分ができる人間であること、成長していることを実感したい、という欲求です。これは周囲から「すごいね」「成長したね」と言われたときに満たされます。

人には成長欲があります

大人はもちろん、子どもにも成長欲はあります。成長欲を満たし続けられるからこそ、何事においてもモチベーションを高く持続していけます。子どもが「すごい?」「ねぇ、見て見て」と声をかけてくること、ありませんか?そう、「できるようになったよ!」と認めて欲しいのです。

子どもの「1ミリ」の成長を探し、声をかけましょう

子どもの成長を感じたとき、頑張っている姿勢を感じたとき、すかさず「すごいね」「頑張ってるね」「成長したね」と伝えましょう。ただし、「ほめるところが見当たらない……」というときもあるかもしれません。人は、毎日グングン成長し続けるわけではないですから。

そんな時には、「1ミリの成長」に注目してみましょう。ほんの1ミリの変化でいいんです。「ほんの少し前向きになったな」「昨日よりちょっとだけできるようになったな」「変化の兆しが見えてきたかも」そんな些細な変化を探そう、という気持ちで子どもを観察してみてください。

3. 自己好感

「自己好感」は読んで字のごとく、相手から好意・好感を持たれたい欲求です。

子どもは無条件に愛されたい

嫌われたくない、できれば好きでいて欲しい。大人でもそう思います。子どもたちはもっと素直に「愛されたい!」と思っているものです。全力で「好きだよ」「何があっても大好きだよ」と伝えましょう。

時には手を握りながら、ハグをしながら、無条件に愛している、ということを伝えてあげましょう。それだけで気持ちが満たされ、安心して、自分の存在を認められた、自分は価値ある存在なんだ、という実感を得られるはずです。

 

いいほめ方・良くないほめ方

ほめ方にも良い・悪いがあるのをご存じですか?

興味深い実験をご紹介しましょう。スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授が小学生数百人を対象に行った実験です。

まず、生徒たちにテストを受けさせます。その後、A・Bの2グループに分けました。この2グループの成績はほぼ同じです。

それぞれ、テストについてほめます。

Aグループ:「よくできたね。頭がいいのね」と能力をほめる

Bグループ:「よくできたね。頑張ったのね」と努力をほめる

そして、2回目のテストを受けさせるのですが、その際、「1回目と同レベルのテスト」か「より難易度の高いテスト」のどちらを受けるか選択させました。

すると、

Aグループ:1回目と同レベルのテストを選択

Bグループ:9割がより難易度の高いテストを選択

という結果が出ました。

さらに、3回目のテストを受けさせます。そのテストは、生徒たちにはなかなか解けない難問です。そのテストに挑戦後、生徒たちに感想を聞いたところ、

Aグループ:フラストレーションを感じ、こんな問題を解いても楽しくない、「自分は頭が悪いんだ」と感じた

Bグループ:難しい問題の方が面白い、「もっと頑張りたい」と思った

というのです。つまり、以下のように結論付けられます。

能力だけをほめると、できなかったときや失敗したときに「自分には能力がない」と自信を失ってしまい、失敗することを恐れる気持ちがチャレンジしようという意欲を妨げてしまう。

努力した過程や姿勢をほめると、子どもは努力すること自体に喜びを感じ、価値あることだと考えるようになり、「やればできる」という自信が育まれ、意欲的になる。

その後の実験テストでも、驚くべき結果が出ています。

Aグループの成績はガクンと落ち、易しい問題を再び出しても解けなくなっていたのです。自分に自信がなくなってしまったのです。

一方、Bグループの成績は、難問に挑戦したことでさらに磨きがかかり、グングン伸びていき、再び易しい問題を出すとスラスラ解けるようになっていました

自信を持って、努力を楽しめるかどうか、意欲的に取り組めるかどうか、ということは、成績にも影響を及ぼすのです。

 

子どもの自信を育むオススメのほめ方5つのポイント

子どもの自信を育むオススメのほめ方5つのポイント

1. 「ありがとう」「すごいね、頑張ってるね、成長したね」「あなたが好き」の3要素を伝えよう

ほめることは、認めることです。何も、毎日毎日大袈裟にほめる必要はありません。子どもを観察しながら3つの要素を探し、気づいたことをそのまま伝えましょう。それで十分、自分に価値を感じられるはずです。

2. プロセスや努力にフォーカスしよう

結果や成績、能力だけをほめると、「結果をださなければ意味がない」「成績さえ良ければいい」と考えるようになります。

結果を出せない自分は価値がない、能力がない、と自信を喪失しがちで、チャレンジしたり主体的に動いたりすることを嫌う子どもになってしまいます。

自分に自信を持って、学ぶことを楽しみ、チャレンジ精神や立ち直る力、主体的に考え動く力を身につけてもらいたい。そのために、努力したこと、チャレンジした過程を認め、ほめましょう。

3. 具体的に伝えよう

ほめられた子ども自身が、自分の成長や変化、何が認められているのかを実感できることが大切です。ですから、ただ「すごいね」「頑張ったね」「成長したね」ではなく、何がどうなったのか、どんな行動(取り組み、姿勢、態度など)が素晴らしいのかが分かるように、具体的に伝えましょう。

4. "I Message" で伝えよう

伝え方には、"You Message" と "I Message" があります。

"You Message" は、「あなた」が主語となり、「○○ちゃんは〜〜がすごいね」「△△くん、頑張ったね」という伝え方です。

"I Message" は、「私」が主語で、「お母さんは、○○ちゃんが〜〜を手伝ってくれて助かったよ、ありがとう」「お父さんは、〇〇くんがこんなに集中して▲▲を頑張れるなんて知らなかった、驚いたよ」という伝え方です。

I Messageで伝える Messageでは、事実に加えて、あなたの感情や意見も一緒に子どもに伝わります。ほめられることを含めたコミュニケーションの中で、子ども時代に育んで欲しい能力の一つが共感力。自分の行動が誰かに影響を及ぼすことを学ぶことで、自分の存在意義を感じたり、自然と他人を思いやる力が育まれます。子どもたちにとって一番身近で大切な存在であるお父さんお母さんの感情も一緒に伝えてあげましょう。

5. 全身で伝えよう

ほめているとき、表情と言葉は合っていますか?ずれていると、どう受け取っていいのか、と子どもが混乱してしまいます。また、伝えたいことが十分に伝わらず、もったいない!ぜひ、言葉だけでなく、表情や態度を含めた全身で表現しましょう。

 

要注意!これは避けたいNG・要注意なほめ方

要注意!これは避けたいNG・要注意なほめ方

1. 他の子と比べるのはNG

兄弟を含めた他の子と比較して「○○くんよりすごいね」「△△ちゃんより頑張ってたね」というほめ方、していませんか?「競争しないといけない」「負けると嫌われる」「○○くんとは仲良しなのに……」と知らず知らずのうちに子どもの胸を痛めているかもしれません。

比較するのであれば、相手は子ども自身!人との比較で評価するのではなく、子ども自身が成長したのか、頑張ったのか、という絶対評価を意識したほめ方をしてみましょう。

2. ほめるついでにプレッシャーをかけるのはNG

「頑張ったね、これもできるんじゃない?」「わぁ、すごいね。あれもできるようになったら、もっとかっこいいんだけどな」なんて、ほめるついでにプレッシャーかけていませんか?もっともっと、と期待する気持ちはよくわかります。

ただ、「できた!」と思ったけど、まだダメなんだ…、もっと頑張らないといけないんだ…、と子どもの気持ちを重くさせているかもしれません。できたことはできたこととしてほめましょう。いいところはいいところとして認めましょう。次の期待をするのは、それからです。

3. 条件付き・ごほうび付きは要注意

「お手伝いできてすごいね」「我慢できたね、がんばったね」と、「何かしたから」ほめるばかりになっていませんか?そればかりになると、「お手伝いしないとダメなんだ」「我慢しないとほめてもらえない」と自分の価値を感じられない子どもになってしまう危険性があります。何かしたらからほめるのではなく、子ども本人の持っている良さをどんどん言葉で伝えましょう。

また、「がんばったからごほうびね」「お菓子はちゃんとできたら」とモノで釣ると、お菓子やモノが一番のごほうび、と捉えるようになります。ごほうびは、たまに。お父さんお母さんが心から喜んだり、ほめたりすることが一番のごほうび!そう感じられるようになれば、「誰かのために」という気持ちも育まれます。 

 

まず、ほめてみよう

ほめるって難しい。そう感じた方もいらっしゃるかもしれませんね。

でも、大丈夫!子どもが失敗したり成功したりしながら成長するように、親だって失敗したり成功したりしながら成長するんです。

人に好みやタイプがあるように、どんな言葉が響くかは言葉をかけてみなければわかりません。

まずは、今日、一つほめてみましょう!プラスのコミュニケーションは親子の絆を深めてくれるはず。どんどんほめてみましょう! 


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