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男性の「得意」を生かした片付け|健康的に暮らせる住まいづくりのポイント

コロナ禍の長い「おうち時間」を過ごす中で、日本中が家を片付け始めたことが話題になりましたが、それは思いがけず「住まい」や「暮らし方」を見つめなおすきっかけになり、男性も家事や片付けについての意識や行動が変わってきたのではないでしょうか。

テレビのバラエティ番組、「家事ヤロウ!!!」が好評なようですが、これまで家事をしたことがなかった男性3人が「主婦が夫にやってほしい家事」について学習する、というコンセプトが男女ともに共感を呼んでいるのではないでしょうか?

テレビドラマ「私の家政夫ナギサさん」や「家政夫のミタゾノ」は、家事のプロフェッショナルとしての仕事ぶりが爽快で、リアルなヒントを探しながら視聴する人も多いと聞きます。

男性の得意を生かした片付け方法とは?

「家事を手伝う」という意識からの脱却

これまでも、仕事で様々なご家庭を訪問するたびに、育児やゴミ出し・料理などの家事をする男性が少しずつ増えてきていると感じていました。特にコロナ禍の現在では、おうち時間が長くなることに伴って夫が買い物や掃除をするようになったなど、「たまにおこなう手伝い」レベルから「日常的な行動」へと意識が変わりつつあるように感じています。

では、整理収納や片付けについてはどうでしょうか?

男女関係なく片付けに苦手意識を持つ人は9割いると言われています。スムーズに家事を進めるためには、整理収納し誰でも簡単に片付けることができる環境作りがとても重要です。

片付けはセンスではなくロジック

論理的な整理と数的管理でスマートに片付け

整理や収納は理論的な思考が必要です。男性は論理的な傾向が強いという話をよく耳にします。したがって、「男性は家事に向いているのでは?」と考えられます。この考えを裏付けるようなエピソードを一つご紹介します。

あるご家庭にはじめて訪問したときのことです。普段の初回訪問時は、「どこから始めてどのように収納を完成させるか」「それはなぜか」などをヒアリングした後、ご提案・片付けに移ります。このご家庭でも同様の流れを経て、奥様と一緒にキッチンの片付けをおこないました。ご主人は、その様子を観察していました。

翌日、奥様曰く「これまで自分から片付けたことなんてなかった」ご主人が、自主的にパントリーの中をキレイに片付けしたとのこと。

ご主人は「観察」を通じてこれらのヒントを得たことによって、片付けを実行することができたようです。

  • 食器や調理器具を全部出し、要否を判断し、整理をおこなうといった一連の流れ

  • 「この空間には〇〇が奥からX個、Y列分並べられますね」といった会話

  • スペースに対する適正量や、収納指数というアクション数など、数字に基づいた管理

論理的な考え方ができるからこそ、このように片付けができたのだと感じました。

片付けに対する考え方を家族で共有化しよう

さて、整理収納の相談・依頼をいただいて初めて訪問する日は、出来るだけ夫婦そろっての在宅をお願いしています。子どもがいる場合も、同様に在宅していただくのが好ましいと考えています。それは家族全員から様々なお話をお聞きするためです。

長く一緒に暮らしていても、お互いの片付けに対する考え方が異なっていて「え?そんなふうに考えていたの?」など、思いがけない発見があります。こういった発見を通じて、問題点が浮かび上がってくるものなのです。

先ほどのエピソードも、ご主人が在宅して同席したことがキーポイントだったと言えるでしょう。

収納スペースの俯瞰から現実的な空間を考える、これって男性の特徴?

片付けをすることに男女差はないと思いますが、「特徴」の違いはあると思います。

棚の数や奥行の寸法を計測したり、物の大きさに合わせて空間の高さを変えたり、いくつ収納できるかなど 数値化しながら現実的な空間把握をできたりするのは比較的男性が得意とすることのようで、ときめきなど感情に重きをおく傾向にある女性とは違いがあるようです。

男性の「得意」を活かした片付け

「うちの夫は片付けを全くやってくれなくて…」という妻は、試しに以下のような整理を頼んでみてはいかがでしょう。

1)配線コードの整理

配線コードの整理が必要です、タコ足配線は危険

家庭ではさまざまな充電器、便利なスマート家電など増え続けています。テレビの裏側やパソコンデスクの裏側など、どのコードが何とつながっているのか配線の知識がなくてという理由で整理ができないまま、何年も差し込んでいるのは危険です。「掃除もしにくく火災の心配もあるからやって欲しい」と理由も合わせて伝えると良いでしょう。

配線整理方法①:ケーブルボックスを使う方法

コンセントからコードを全て抜き、差込口の接触部分に溜まっているホコリをきれいに取り除きます。絡んでいるコードをほどいてコンセントにラベルを貼ると更によいですね。

電源タップごとすっぽり収納できるケーブル専用ボックスはとても有効です。余裕をもった大きさのボックスを選べばより使いやすく安全です。最近はインテリアを邪魔しないデザインが多いので、使う場所に合わせて選びましょう。

「このケーブルボックスに安全にケーブルを収納するにはどうしたら良い?」と男性に質問を投げかけるのも良いでしょう。問題解決に向けて、論理的思考や俯瞰力を発揮してくれるかもしれません。

絡まったケーブルはきれいに整理しよう
配線整理方法②:テーブルの裏側やサイドに止める方法

テーブルや机の下、そしてテレビの裏側の床に、各種家電やパソコンの配線が集中し、ホコリまみれになっていませんか。これがスッキリ解決するとどれだけ安心して暮らせることか。

そこでご紹介したいのが、突っ張り棒やワイヤーネットを使い空中に収納する方法です。

  • テーブルの裏側に2本渡した突っ張り棒にワイヤーネットを固定する

  • ワイヤーネットを折り曲げて机の裏や壁側に固定し、その上にタップごと乗せる

など、様々な方法があります。「配線コード周りの収納法」と検索すると、たくさんのアイディアが掲載されていますので、各家庭に合った方法を見つけてください。空間を有効に使えるようになるとスッキリしますよ。

作業を一人でおこなうより、二人でおこなった方がより安定した状態で設置ができるでしょう。

注意点:コンセントが熱くなっていたら危険!

触った時に異常に熱くなっていたら、発火や火事につながる危険があります。

コンセントが熱を持つ原因として、曲げなどによる負荷・接触不良・劣化による配線の半断線・錆などが発生している可能性があるそうです。熱く危険なサインが出てきたら迷わず使うことをやめて、専門業者に頼んで修理してもらいましょう。

発熱に関する「ヒヤっとした体験談」をお伝えします。タンスの裏側のコンセントから延長コードを伸ばし、タコ足配線で10年以上使っていたご家庭の話です。片付けをするために家具を動かしたところ、熱で溶け始めていたそうです。これはタイミングが良かった話ですが、火事につながっていてもおかしくないでしょう。

一度、家族で自宅の配線状況を確認してみてはいかがでしょうか?

2)重い物が多い屋根裏・床下・階段下・ガレージ 

重いものを収納しがちな屋根裏・床下・階段下・ガレージ

収納スペース、埋まっていませんか?

屋根裏や床下、階段下、ガレージといった収納スペースは便利な反面、物でいっぱいになりやすいでしょう。

クリスマスやお正月、節句など1年のうちでも限られた期間しか使わないものは思いのほか多くあります。また、夏しか使わないプール用品やクーラーボックス、冬しか使わないストーブやじゅうたん、海外旅行でしか使わない大型スーツケースなど、大きくて重い物も少なくないでしょう。他にも思い出の物や記念品、箱買いしている洗剤やロールペーパーなど、すぐに必要ではない貴重品・日用品もスペースを取る物の代表例でしょう。

高い場所・狭い場所の整理に男性の特徴を生かすには?

屋根裏や床下、階段下、ガレージは、高い場所や入口が狭くて奥行が深い場所、床板を持ち上げる必要がある場所、と女性にとっては厄介でなんとなく避けたい収納場所ではないでしょうか?こういった場所での作業は、家族の中での得意・不得意を活かして役割分担してはいかがでしょうか。

また、せっかくの収納場所が物でいっぱいになってしまうと、リビングや寝室といった生活スペースにまで物があふれ、どんどん散らかってしまいます。収納場所は、いつも7割程度の収納量になるよう管理しておくことがとても大切です。

「より効率的にスペースを使うためには物をどう配置したらよいか?」と男性に問いかけてみると、一緒になって考えてくれるかもしれません。

「そもそも我が家にはどこにどんな広さの収納スペースがあるのか」、「ものがどの程度あるのか」、がすぐに分かるように収納リストを作っておくこともおすすめです。管理がしやすくなります。買い替え時や日用品の使用量分析をすると家計の無駄も省くことができるようになります。

家は家族を守るシェルター

家は家族を守るシェルター

家は家族を守るシェルターの役割も持っています。防犯のためにどんなに最新のセキュリティシステムを入れたとしても、住まいが耐震構造で24時間換気システムが稼働する快適な建物だとしても、暮らしている人の意識によってはその効果は半分に減ることもあるのです。

家は家族みんなで幸せを生み守る大切な居場所。家族で相談をしながら、それぞれの得意分野を活かし健康的に暮らせる住まい作りをしてくださいね。

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著書:『私は整理収納アドバイザー®』(ハウジングエージェンシー)

著者公式サイト:https://house-keep.info/

著者ブログ:https://blog.goo.ne.jp/housekeep-san2009

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