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教員のボーナスと平均給与はいくら?学校による違いとあわせて紹介

教員は授業以外にも子どもの生活面での指導や部活動の顧問など多忙な業務をこなしていますが、給与面ではどのような状況なのでしょうか。本記事では、公立教員を中心に給与の仕組みや実際の給与・ボーナス額について詳しく解説します。教員を目指している人や転職を考えている人は、ぜひ参考にしてください。

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教員の給与のしくみ

一口に教員といっても、教諭や講師といった名称の違いやさまざまな勤務形態があります。ここでは、基本的な給与のしくみについて解説しますので、民間企業との考え方の違いやルールを押さえておきましょう。

雇用・勤務形態

公立・私立で名称が異なる場合もありますが、教員には専任・常勤・非常勤といった雇用形態があります。違いをわかりやすくするために、雇用期間や勤務内容ごとに以下の表にまとめてみました。

「学校の先生」のイメージは専任教諭ですが、それ以外に非正規雇用の講師も勤務しています。

給与体系

公立教員は公務員のため、給与は基本給に該当する給料と手当に分かれます。手当には以下のようなものが例として挙げられますが、これらは条件により個別に支給されるものです。

  • 寒冷地手当
  • 退職手当
  • 扶養手当
  • 地域手当
  • 単身赴任手当
  • へき地手当 など

その他、教育職だけにあるのが義務教育等教員特別手当、定時制通信教育手当、産業教育手当です。また、期末手当・勤勉手当が夏・冬に支給されますが、これは民間企業のボーナスに該当します。

教職員調整額

教員の給与は人材確保法で一般の公務員よりも優遇することが定められており、教育職だけに支給される手当もあります。その一方で、勤務時間の内外の切り分けが難しいことから、時間外手当は支給されません。

これについては、1971年(昭和46年)の給特法で定められています。時間外勤務手当を支給しない代わりに、給料月額の4%が教職員調整額として本給に支給されることとなっているのです。

参考元:文部科学省「教職員給与に関する諸制度等について」 

公立と私立の違い

公立教員の給与は、都道府県ごとに基本給が一律になっています。私立の場合は、学校ごとに給与体系が異なります。また、公立は時間外手当が支給されませんが、私立は時間外勤務による手当が支給されます。

簡単にいえば、公立は公務員と、私立は民間企業と給与の考え方が同じということです。公立は年功序列制度で、勤務年数が長くなると給与も上がります。私立は公立より給与条件が良いケースもありますが、良くも悪くも経営状況の影響を受けやすいです。

教員の給与・ボーナスはどこで変わる?

教員の給与・ボーナスは、区分により支給額が変わります。厚生労働省の資料をもとに、学校区分・年齢・経験年数による違いをまとめましたので、どのくらい差があるのかチェックしてみてください。

学校区分

学校区分は小・中学校、高等学校、大学教授(高専含む)の3つに大きく分かれます。大学は教授以外に講師という区分を追加し、比較しました。

なお、数字は国立・公立・私立も合わせた平均額となっています。

出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 (職種)第1表 職種(小分類)、性別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)

小・中学校と高等学校では、それほど大きな差はないことがわかります。大学は教授になると大きく上がりますが、講師・助教の段階では小・中学・高校教員との差は大きくありません。

年齢

20代~70代までを11に分け、小・中学校、高等学校、大学ごとの年齢による、所定内給与額・年間賞与その他特別給与額の推移をグラフ化しました。

出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 (職種)第5表 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」をもとに筆者作成

どの学校区分でも20万円台からスタートし、定年を迎えるまでは給与・賞与額が着実に上がっていることがわかります。小・中学校と高等学校の給与額の差はほとんどなく、どちらも50代・50万円台がピークです。

出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 (職種)第5表 職種(小分類)、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)」をもとに筆者作成

年間賞与(ボーナス)は60歳の定年を過ぎると下がりますが、それまではほぼ一定の割合で上がり続けます。大学教授は、65歳くらいまで年間賞与が高水準のままです。

経験年数

教員としての経験年数が、給与・ボーナスにどう影響するか見てみましょう。0年~15年以上を5段階に分けた経験年数による違いを比較してみました。所定内給与額と年間賞与、その他特別給与額に分けています。

所定内給与額

出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 (職種)第10表 職種(小分類)、年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)

年間賞与その他特別給与額

出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査 (職種)第10表 職種(小分類)、年齢階級、経験年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)

ここで注目したいのは、小・中学校は経験年数による給与への影響が大きいことです。高等学校は15年以上の経験があっても、同じ経験年数の小・中学校教員よりも給与・賞与額は低いことがわかります。また、大学教授は経験年数の影響はそれほどありません。

参考元:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査

新人教員1年目の給与・ボーナス

公立学校の教員は新規採用後に1年間の条件付採用期間(民間企業の試用期間)を経て、適性があると認められると正式採用されます。ここでは、そうした新人教員1年目の給与・ボーナスについてまとめました。

公立教員の初任給

総務省の2022年(令和4年)の資料をもとに、公立教員の初任給を学校区分ごとにまとめたのが以下の表です。全て20万円以上で学校区分による大きな差は見られませんでした。ただし、手取り額は20万円を下回る可能性があります。

学校区分別 初任給

参考元:令和4年地方公務員給与の実態「第4表初任給

福岡県の公立教員の初任給の平均はいくら?

福岡県の公立教員の初任給は、学校区分に関係なく同額の210,500円(大学助手はデータ無し)でした。全国平均よりも僅かですが高くなっています。

福岡県の教員の初任給

参考元:令和4年地方公務員給与の実態「第4表初任給

公立教員の1年目ボーナス

公立教員は地方公務員ですが、ボーナス(期末・勤勉手当)については国家公務員に準じるケースが多くなっています。2022年(令和4年)の人事院の勧告に従い、年4.4ヶ月(夏2.2ヶ月・冬2.2ヶ月)で計算してみましょう。

1年目ボーナスで注意したいのは、年4.4ヶ月だったとしても満額は支給されないことです。人事院の定めにより半年勤務の条件を満たしていないため、夏のボーナスは3割支給となります。

公立教員の2022年(令和4年)初任給の数字から約21万円で計算すると、年間のボーナス額は600,600円です。新人1年目教員のボーナスは、60万円くらいということになります。

  • 夏:210,000円×2.2×0.3=138,600円
  • 冬:210,000円×2.2=462,000円
  • 138,600円(夏)+462,000円(冬)=600,600円

福岡県の公立教員1年目のボーナスの平均はいくら?

福岡県の2022年(平成4年)のボーナス支給月数は、6月が2.2ヶ月、12月が2.2ヶ月でした。

福岡県の公立教員の2022年(令和4年)初任給は210,500円のため、公立教員の1年目ボーナスの計算式に当てはめると以下のようになります。

福岡県は全国平均より少し高めです。

  • 福岡県:210,500円×2.2×0.3+210,500円×2.2=602,030円

参考元:

福岡県「令和5年6月期の期末・勤勉手当の支給について
福岡県「令和5年12月期の期末・勤勉手当の支給について

公立教員の平均給与・ボーナス

教員として経験を積んでいくと、仕事・給与も落ち着いてきます。ここでは、平均的な公立教員の月給や夏・冬のボーナス額がどのくらいになるのかをまとめました。民間企業と比較するときの参考にしてください。

平均給与月額

2022年(令和4年)の総務省の資料をもとに、全地方公共団体における教員の平均給与月額を小中学校・高等学校・大学別にまとめると以下のようになります。額面の支給額のため、手取りはこれよりも少なくなると考えてください。

公立教員の平均給与月額

参考元:総務省「第5表 職種別職員の平均給与額

なお、給与項目の計算式は次のとおりです。諸手当の中には扶養手当、地域手当も含まれます。

  • 給与月額合計=給料月額+諸手当月額
  • 平均基本給月額=給料月額+扶養手当+地域手当

平均給与月額は比較すると大学の教員が最も高く、高等学校、小・中学校という順番で低くなります。

福岡県の公立教員の平均月給はいくら?

同じ総務省の資料で、福岡県の平均基本給月額がわかります。全地方公共団体平均と比較したものが、以下の表です。

福岡県の公立教員の平均基本給月額

全地方公共団体と比較した場合、福岡県の小・中学校の平均基本給月額はやや低め、高等学校はやや高めとなっています。

参考元:総務省「第5表 職種別職員の平均給与額

夏・冬のボーナス平均額

公立教員のボーナスは、期末手当・勤勉手当を確認します。2022年(令和4年)の総務省の資料では夏・冬に分かれていないため、確認できるのは年額のみです。

公立教員の平均ボーナス年額

大学の教員はボーナスの年額が200万円台になりますが、小・中学校・高等学校では170万円前後です。手取り額については8割程度になるため、140万円弱くらいを考えると良いでしょう。

参考元:総務省「第5表 職種別職員の平均給与額

福岡県の公立教員のボーナスの平均はいくら?

福岡県の公立教員のボーナス額については、各自治体が報道資料として公開しています。2023年(令和5年)分について、福岡県は教員のボーナス支給額を数字で発表しています。

福岡県の教員ボーナス平均

参考元:

福岡県「令和5年6月期の期末・勤勉手当の支給について
福岡県「令和5年12月期の期末・勤勉手当の支給について

民間企業と教員の平均給与・ボーナス比較

教師か会社員かで迷っている人にとって、教員と民間企業のどちらが高い給与・ボーナスをもらえるか気になるところです。そこで、民間企業の平均給与・ボーナス平均額の調査データを紹介します。

民間企業の平均給与

2022年(令和4年)の国税庁のデータによると、年間の平均給与は4,576,000円でした。これは給与所得者全体の数字で、正社員は5,233,000円です。正社員以外は2,005,000円ですので、雇用形態でかなり変わります。

教員の月額給与は小・中学校が408,337円、高等学校が432,201円です。ボーナスを考慮せず、単純に12ヶ月を掛けても500万円前後になることを考えると、平均額では教員の方が高くなるといえるでしょう。

民間企業の夏・冬のボーナス平均額

国税庁の2022年(令和4年)のデータによれば、民間企業のボーナス平均額は716,000円です。これに対し、公立教員のボーナスは小中学校・高等学校の勤勉手当だけで同程度の金額になり、さらに90万円程度の期末手当が支給されます。

民間企業にもさまざまあり、公立教員のボーナスを上回るところもあります。しかし、統計上の数字においては教員のボーナスの方が高いといえるでしょう。

参考元:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査

教員の給与・ボーナスを上げるためにできることは?

年収を上げるために教員が心がけたいことや、具体的な行動についてまとめました。少しでも給与・ボーナスを上げたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

できるだけ長く教員を続ける

教員は年齢や経験年数に伴い、少しずつですが給与・ボーナスが上がっていきます。したがって、教員であり続けることが確実に年収をアップする方法です。

特に公立の教員は短期間で給与が大きく上がる可能性は低いため、近道というのはありません。教師としてのやりがいを見つけ、長く働くことを考えましょう。

管理職を目指す

公立の教員は公務員のため、各自治体の給料表の「等級」と「号給」で給料が決まります。号給は基本的に1年ごとに上がりますが、等級は職務レベルが反映されるもので、役職のようなものです。

教員の場合は1級「講師」、2級「教諭」、3級「教頭」、4級「校長」というように分かれています。したがって教員が昇給を狙うのであれば、一般企業の管理職にあたる3級や4級を目指すことが必要です。

給与・待遇面が良い私立の学校で勤務する

公立の教員は基本的に公務員の規定通りに給与体系が組まれているため、勤続年数が長くなれば、徐々に給与はアップしていきます。どうしても給与面に不満がある場合は転職を検討するのも解決策の一つです。

教員の仕事が好きで続けたいという場合は、給与・待遇面が良い私立の学校に勤めましょう。時間外手当も支給されますし、学校ごとに給与体系が異なるため自分に合った学校が見つかればやる気にもつながります。

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まとめ

教員の平均給与・ボーナスは、民間企業に比べると高いことがわかりました。しかし、業務に対する報酬として妥当かどうかは、実際に勤務してみないとわからないことも多くあります。教員の給与・ボーナスのしくみをしっかり理解し、長い目で年収アップを考えることが大切です。

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