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電気代の高騰はいつから?大胆な値上げの原因と今後の見通しを予想

最近は物価の上昇で、家計への負担が大きくなっています。物価上昇のなかでも、電気代の高騰は気になる項目のひとつです。電気・ガス代の緩和措置があるものの、今後、どのくらい負担が増えるのか心配している方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、電気代はいつから値上がりするのか、なぜ電気代が高騰しているのか、今後の見通しとともに解説します。

電気代はいつから値上がりする?

まずは、電気代が上がる時期と、電気代の推移から負担が重くなる時期を考えていきます。

電気代は、2024年5月から値上がり

電気代は、2024年5月から値上がりしています。値上がりした一番の要因は、後述する「電気・ガス価格激変緩和措置」の縮小・終了にあります。実際の電気代が値上がりするかどうかは、電力の使用量次第です。エアコンをあまり使用しない方は、値上がりの実感はないかもしれません。

しかし、緩和措置があった昨年の5月と比べると、電気代の負担が重くなりました。

福岡市の電気代の推移

ここで、総務省が公表している「家計調査」(2022年1月~2024年4月)をもとに、福岡市の電気代について確認してみましょう。

出典:総務省「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 都市階級・地方・都道府県庁所在市別(福岡市)」をもとに筆者作成

月ごとの電気代を見ると、3月と9月の電気代が高くなっていることがわかります。一般的には使用月の翌月に電気代を支払うため、2月と8月に電気使用量が増えている可能性があります。

また、2023年3月の電気代が突出していますが、全体的に右肩上がりに高くなっている傾向は見られません。なお、電気・ガス価格激変緩和措置は2023年1月使用分から適用されています。

電気代が値上がりしている原因

電気代が値上がりしている原因は、いくつかあります。世界的なエネルギー需要の増加や、ロシアのウクライナ侵攻による供給不安などが背景にあり、エネルギー価格の高騰につながっているのです。

ここでは、世界情勢が、日本の電気代にどのように影響するのか、電気代の内訳とともに詳しく解説していきます。

電気・ガス価格激変緩和措置の縮小・終了

ロシアによるウクライナ侵略などの影響でエネルギー価格が上昇していましたが、電気・ガス価格激変緩和対策事業の一環として一定価格を値引きする政策が行われていました。経済産業省は2024年8月、9月及び10月使用分の電気・ガス料金支援も実施することを発表しましたが、海外の影響などから今後も高騰が続くと予想されます。

値引き単価

  • 2024年4月使用分まで:電気(低圧)3.5円/kWh/都市ガス15円/㎥
  • 2024年5月使用分:電気(低圧)1.8円/kWh/都市ガス7.5円/㎥
  • 2024年8月9月使用分:電気(低圧)4.0円/kWh/都市ガス17.5円/㎥
  • 2024年10月使用分:電気(低圧)2.5円/kWh/都市ガス10円/㎥ 

出典:経済産業省「電気・ガス価格激変緩和対策事業」「2024年春までの電気・ガス価格激変緩和対策の継続に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可を行いました」「2024年8月、9月及び10月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可を行いました

電気代の内訳と料金単価の上昇

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「月々の電気料金の内訳

電気代は、「基本料金」「電力量料金」「再エネ賦課金」で構成されています。基本料金以外は使用電力量によって変動しますが、3種類の単価(電力量料金単価、燃料費挑戦単価、再生可能エネルギー発電促進賦課金単価)が上がれば、使用電力量が同じでも電気代は上がります。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

基本料金

九州電力の場合、10アンペアから60アンペアまで7区分あり、アンペア数が大きいほど、同時に使用できる電気機器数(電力量)が増えますが、基本料金は上がります。

なお、2024年4月からの九州電力における50アンペアの基本料金は、1,581.20円です。家庭に合った適切なアンペアか確認してみるといいでしょう。

電力量料金単価

九州電力では三段階料金を採用しており、使用電力量が増えるほど単価が高くなります。最初の120kWhまでは18.37円/kWhですが、120kWh超300kWhまでは23.97円/kWh、300kWhを超えると25.87円/kWhとなります。なお、電力量料金単価は、2024年4月から値上がりしています。

2024年4月1日からの電力量料金単価

  • 最初の120kWhまで:18.28円/kWh→18.37円/kWh
  • 120kWh超300kWhまで:23.88円/kWh→23.97円/kWh
  • 300kWh超:25.78円/kWh→25.87円/kWh

出典:九州電力「おすすめの料金プラン

燃料費調整単価

原油・LNG・石炭それぞれの3か月間の貿易統計価格にもとづき算出された「平均燃料価格」と「基準燃料価格」との差分にもとづいて算定される単価です。電気・ガス価格激変緩和措置により、2023年1月使用分から割引が適用されている単価ですが、緩和措置の終了により、値上がりしています。

燃料費調整単価(特定小売供給約款)

  • 2022年12月使用分:1.86円/kWh
  • 2024年4月使用分:-1.63円/kWh
  • 2024年7月使用分:1.86円/kWh
  • 2024年10月使用分:-2.12円/kWh

出典:九州電力​​「2022年12月分電気料金の燃料費等調整単価をお知らせします」「2024年4月分電気料金の燃料費等調整単価をお知らせします」「2024年7月分電気料金の燃料費等調整単価をお知らせします」「2024年10月分電気料金の燃料費等調整単価をお知らせします

上記の単価を見ると、緩和措置前の2022年12月使用分と、緩和措置終了後の2024年7月使用分の単価が同じであることがわかります。これは、緩和措置期間中、3.5円/kWhの割引が行われたことを意味し、2024年10月使用分では国の支援として4.0円/kWhの割引が行われたことを意味します。

なお、上記に加え「離島ユニバーサルサービス調整単価」が加算されることがあります。離島ユニバーサルサービス調整単価とは、離島が主としている火力発電にかかる火力燃料費の変動に合わせて、電気料金を調整した単価のことです。

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価

再生可能エネルギーで発電された電気を電力会社が購入する際に要する費用を負担するために、毎年度、経済産業大臣が決定する全国一律の単価です。2024年5月分~2025年4月分は前年度の約1.5倍に値上がりしています。

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価

  • 2023年5月分~2024年4月分:1.40円/kWh
  • 2024年5月分~2025年4月分:3.49円/kWh

出典

九州電力「再生可能エネルギー発電促進賦課金について
新電力ネット「再生可能エネルギー発電促進賦課金の推移」「燃料費調整単価の推移

世界的なエネルギー需要の増加

2020年は新型コロナウイルスに伴う渡航や行動の制限によりガソリンや燃料などの需要が減少しましたが、2021年には新型コロナウイルスによる制限が緩和され、エネルギー需要が急拡大しました。一方で、十分な供給体制が整わなかったことから、エネルギー価格の高騰が続いています。天然ガス・LNG、石油、石炭の価格はいずれも高騰しており、世界的に大規模停電や需給ひっ迫状況が発生しています。

ロシアのウクライナ侵攻

新型コロナ禍からの経済回復等の影響でエネルギー需要が高まっているなか、2022年2月にはロシアのウクライナ侵攻によりエネルギー供給の安定化は不透明となり、エネルギー価格は高い水準で推移しています。エネルギー価格の高騰は電気代だけでなく、さまざまな物価を押し上げる要因となっています。

出典

資源エネルギー庁「エネルギー需要の概要
資源エネルギー庁「世界的なエネルギー価格の高騰とロシアのウクライナ侵略

今後の電気代はどうなるのか

ここからは、電気・ガス代の緩和措置の動向とともに、今後の電気代の動向と負担を軽減するための方法について解説します。

電気代の値上がり要因は解消されていない

2024年8月使用分から3ヶ月間、電気・ガス代の補助金が再開されましたが、世界的なエネルギー需要の増加は続いており、ロシアによるウクライナ侵攻が停止される気配もありません。これから冬に向けての電気代がどうなるかは不透明です。

根本的なエネルギー需給のバランスが解消されない限り、エネルギー価格の負担が軽くなることは考えにくいのが現状です。

節電・省エネによる電気代の節約が必要

納得できる電気代になるまでは、節電や省エネによる電気代の節約が必要不可欠です。使用しない電気機器をオフにし、スタンバイ電力を回避しましょう。冬はエアコンの設定を1度下げる(夏は1度上げる)だけでも、節電につながります。

節電による節約に限界があれば、省エネ製品への買い換えで、中長期的に電力消費を抑える方法もあります。照明をLED電球にしたり、エアコンを省エネタイプにしたりなどで、維持費である電気代を節約できます。

まとめ

2024年の電気代について、緩和措置が行われました。夏季における電気代の大きな負担は回避できたものの、再び緩和措置が終了すれば、電気代の負担は大きくなると考えられます。

電気代の高騰により家計に大きな影響を及ぼす場合は、省エネタイプの電気機器に買い換える方法があります。今後に向けて、節電方法を検討してみてはいかがでしょうか。

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