冬が近づくと、福岡の街はクリスマスムードでいっぱいになります。特に「クリスマスアドベント(旧福岡クリスマスマーケット)」は、毎年多くの市民や観光客を魅了しています。本記事では、この冬の風物詩であるクリスマスアドベントの起源や楽しみ方などを紹介し、皆さんが福岡で過ごすクリスマスシーズンをさらに楽しくするための情報をお届けします。
クリスマスアドベントの起源
アドベントとはクリスマスまでの準備期間のことを指します。ラテン語で「到来」「来臨」を意味する「Adventus(アドベントゥス)」という単語が語源とされており、「キリストの到来(待降節)」を意味する⾔葉です。
その期間は、12月25日から数えて4
週前の日曜日から12月24日まで。期間中は、ツリーの準備をしたり、アドベントカレンダーを用意し、毎日ひとつずつ引き出しや窓を開けながら、クリスマス気分をどんどん高めていきます。身近な人や大切な人に感謝を伝え、ワクワクしながら待ち望むヨーロッパ各地にある風習です。
クリスマスアドベントの特徴
福岡のクリスマスアドベントは、「世界一のクリスマスの街」を目指しています。
今年の開催は11月1日(金)~12月25日(水)の予定です。
天神から中洲を通り、博多、福岡空港までが光の帯となり、イルミネーションやクリスマスマーケットなどでクリスマス一色になります。JR博多駅前広場、貴賓館前広場、天神中央公園、福岡大名ガーデンシティ、福岡市役所西側ふれあい広場が主な会場となり、広場にはクリスマスツリーやイルミネーションが飾られ、各地から集められた伝統的なクリスマスアイテムが販売されます。
特に、ヨーロッパ風のヒュッテ(木の小屋)ではホットワインやクリスマス菓子を楽しむことができ、異国情緒を感じながら福岡でクリスマスを迎えることができます。イベントは、ショッピングの合間に立ち寄ることができる手軽さも魅力の一つです。
ちなみに、2022年までは「福岡クリスマスマーケット」という名称で親しまれてきましたが、2023年11月、このイベントが11年目を迎えるにあたり、「クリスマスアドベント」として進化しました。
クリスマスアドベントの歩み
今年で12年目となるこのイベントのこれまでの歩みをご紹介します。毎年開催テーマと運営方針がたてられてきました。
過去に参加したときのことを思い出してみるのも楽しいかもしれません。
2013年:「はじめまして!」
福岡で「日本一のクリスマスマーケット」となることを目指し、初開催されました。初年度から多くの話題を提供し、注目を集めました。
2014年:「続く」〜カンナ〜
2年目は、「より多くの人々が集える新しい博多の文化の創出」を目指し、初年度の成功を基に、出店内容や会場、催し物がさらに充実。また、イベントが単発ではなく恒例行事として定着していくことが周知されました。
2015年:「根付く」〜ぶどう〜
博多駅と天神を両拠点とし、名実ともに日本一のクリスマスマーケットを目指す年となりました。店舗数と動員数で日本一の規模に成長し、さらに大分や鹿児島にも開催が広がりました。
2016年:「誇り」〜ライラック〜
福岡の街全体をクリスマス色に染め上げ、九州・福岡を代表する冬の風物詩として確立しました。博多と天神という二大拠点の個性が際立った年です。
2017年:「輝き」〜ローリエ〜
博多5周年、天神3周年を迎え、新たな「輝き」が表現されました。この年は、クリスマスマーケットを福岡の風物詩として確立し、点から面へと拡大することで街全体の回遊性が高まりました。
2018年:「新たな夢への挑戦」〜ガーベラ〜
博多駅前広場と市役所前広場以外にも新たな会場を拡張し、福岡の街全体をクリスマスマーケットで染め上げました。さらに、世界に向けて情報発信が強化されました。
2019年:「進化」〜アングレカム〜
博多駅前は芸術性をさらに高め、天神は大丸やイムズスクエアを加えた3か所へ拡張。また、広域的なインバウンド施策やプロモーション施策が強化され、福岡のクリスマスマーケットは国際的な注目を集めました。
2020年:「希望 集う喜び」〜マトリカリア〜
コロナ禍の中、福岡から世界へ希望の光を届けるため、中洲に新たなイルミネーションを創出しました。博多・天神を繋ぐ新たなエリア【中洲】で、希望をテーマにした光のイベント「ナカスキボウノヒカリ」が実施されました。
2021年:「to wonderful days 素晴らしい日々へ」
2年目のコロナ禍を乗り越え、クリスマスと共に素晴らしい日々への一歩を目指しました。withコロナの状況下でも、福岡の街が希望を届ける場となり、みんなが新たな未来に向かって歩み出せるようなクリスマスマーケットになりました。
2022年:「光と願い」
福岡クリスマスマーケットは10周年を迎え、世界一のクリスマスマーケットを目指す目標を掲げました。天神中央公園など新たな会場を加え、福岡空港から博多、天神までを光の帯で繋ぐ壮大なスケールで展開しました。
2023年:クリスマスアドベントに改称
「福岡クリスマスマーケット」は「福岡クリスマスアドベント」に改称され、世界一のクリスマスマーケットを目指してさらに規模を拡大しました。天神中央公園の会場規模も拡張され、貴賓館前にも新しいスポットが登場しました。
このように、クリスマスアドベントは年々進化し、福岡の冬の風物詩として確固たる地位を築いてきました。
クリスマスアドベントの楽しみ方
クリスマスアドベントは家族や友人と過ごすのにぴったりのイベントで、子ども向けのワークショップやクリスマス音楽のライブパフォーマンスなど、様々な世代が楽しめるアクティビティが用意されています。
特に今年は「五感に響くクリスマス」というテーマで、「視・聴・嗅・味・触の5つの感覚に響くクリスマス」が演出されます。光、音、芸術の3つの切り口で様々な演出が待ち受けます。冬の福岡を華やかなイルミネーションで結び、歩いて楽しい、まわって楽しいクリスマスの街になります。
イルミネーションを見ながら街を歩くのもよし、開催される音楽イベント「福岡クラシック音楽祭」に参加するもよし、クリスマスマーケットで美味しいものを食べるもよし、100人の作家によるアート作品の展示・販売を楽しむもよしと、まさに光、音、芸術で楽しむクリスマスが過ごせます。毎年大人気のオリジナルマグカップも、もちろん登場しますよ。
お仕事の帰りにふらっと立ち寄ることも、予定を決めておでかけすることもできる、まさに福岡の主要都市部がクリスマスに染まる楽しい期間です。
地域への影響と経済効果
クリスマスアドベントは、単なるイベントにとどまらず、地域経済にも大きな影響を与えています。昨年2023年は、過去最高の動員数を誇る801万人、135店舗にまで拡大しました。
さらに、冬の観光シーズンにおいて、地元の商店街や飲食店が活気づくことにもつながっています。地域住民がこのイベントを通じて交流し、地域全体の絆を深める場としての役割も果たしています。
まとめ
クリスマスアドベントは、「世界一のクリスマスの街」を目標として福岡の冬を華やかに彩る注目のイベントです。
福岡市内でのクリスマスシーズンを存分に楽しむために、ぜひ今年もアドベントの期間中に訪れてみてくださいね。家族や友人、大切な人と過ごす特別な時間が、きっと忘れられない思い出になることでしょう。
細かな日程やイベント情報などは、ぜひ公式サイトをチェックしてみてください。
後藤暢子
株式会社フリーランス 常務取締役、合同会社チノアソビ 業務執行社員
明治学園高等学校(福岡県北九州市)、熊本大学、九州大学大学院を経て㈱リクルートへ。その後地元の出版社などを経て、中小企業向けの広報・PR担当、クリエイティブまわりのディレクター、ライター業を主としたフリーランスとして独立。2017年に㈱フリーランスを創業。2023年、合同会社チノアソビを創業。2022年10月『離島を楽しむ 五島列島』(辰巳出版)上梓。