車の購入では、車種を決めたり契約の手続きをしたり、支払い方法を検討したりと、さまざまなことを考える必要があります。初めての購入で、それぞれについて調べながら進めるのは大変です。この記事では、車購入のための手引きとして、契約手順や支払い方法の選び方について解説します。
車購入の契約手順
車購入の手順について、車種を選ぶところから納車されるまでを5段階に分けて解説します。
車種を選ぶ
軽自動車やコンパクトカー、ミニバン、ワゴンなど、いろいろな車種から自身の使い方や目的に合わせて選びます。日常生活での利用がメインの場合は、運転のしやすさや燃費を重視することが多いです。旅行や遠出で使うことがメインの場合は、高速道路での運転や積載できる荷物の量が重視されやすくなります。
小回りが利いて維持費が安いのは軽自動車、初心者からシニアまで運転しやすくて燃費がいいのはコンパクトカーです。ミニバンやワゴンは3列シートの8人乗りが一般的なため、ファミリー層や大きな荷物を運ぶ場合に選ばれます。
予算を決める
車種を決めたら、予算について検討します。車の購入にはいろいろな支払い方法があるため、無理のないものを選ぶことが大切です。現金で用意できる金額や、ローンを組んで返済していく計画などについて、購入する車を決める前に予算を設定しておきましょう。
希望の車を探すときに、グレードの高い型式が欲しくなったり、オプションをセットにしたくなったりすると、金額が高くなります。事前に予算を決めておくことで欲しい気持ちを抑えて、必要以上のものを選ばないようにできるのです。
購入する車を決める
購入する車を決めるために、見積もりをとったり試乗したりしておくことが大切です。試乗すると、乗り心地や運転のしやすさなどが確認できます。
予算の範囲内であれば、新車と中古車どちらでも選択可能です。一般的に新車は中古車より高額ですが、新しい状態から使えるのがメリットになります。中古車は新車より割安ですが、エンジンや設備系の劣化、車検までの残り期間によって維持費が高くなりやすいです。新車と中古車はどちらもメリットとデメリットがあるため、比較したうえで検討しましょう。
契約と支払い手続き
購入する車が決まったら書類を持参して契約し、支払い手続きへ進みます。契約する時点で支払い方法を選択する必要があるため、事前に決めておきましょう。予算を決める前後から支払い方法を検討するなど、時間に余裕を持っておくと安心です。短期間で十分に検討できないまま予算や支払い方法を決めると、家計に負担をかけてしまうため注意しましょう。
契約には下記書類が必要です。
運転免許証
実印
印鑑証明書
自動車保管場所証明書
自動車検査証
自賠責保険証など
契約手続きを円滑に進めるため、事前に準備しておきましょう。
納車
契約と支払い手続きが完了したら、購入した車が納車されます。納車されるまでの期間は車種などによって多少異なりますが、一般的には支払いから1~2ケ月後となることが多いです。
納車されたら、外装や内装に傷や汚損はないか、エンジンや設備系は問題なく動作するか確認しましょう。納車された季節によらず、エアコンは冷房と暖房の両方を確認しておくと安心です。ワイパーやヘッドライト、ウィンカーなどが動作していないと事故につながりかねないため、念入りに確認しておきましょう。
車購入の支払い方法
車購入の支払い方法には、ローンや現金などがあります。ローンは複数の種類があるため、自身にとって最適な支払い方法となるか比較しながら検討することが大切です。ここからは、車購入の支払い方法について解説します。
マイカーローン
銀行や信用金庫などから、車購入のために借入をするのがマイカーローンです。マイカーローンは、購入する車が決まっていない状態でも申し込みできます。一般的に審査は厳しいとされていますが、金利が低く設定されていることが多いです。
マイカーローンで借りたお金の用途は、車の購入だけでなく車検費や修理費、消耗品、運転免許取得費用なども含まれます。バイクや船舶の購入費用にあてられるマイカーローンもあり、用途の幅が広いです。マイカーローンで購入した場合、完済までの車の所有者は購入者本人となります。
>>Webで申し込みもOK! 西日本シティ銀行のマイカーローン
ディーラーローン
車の販売業者の提携している金融機関やクレジットカード会社から、車購入のために借入をするのがディーラーローンです。ディーラーローンは、購入する車が決まってから申し込みます。一般的に審査は比較的通りやすいとされていますが、マイカーローンより金利は高くなっていることが多いです。
ディーラーローンで借りたお金の用途は、車やオプションの購入に限られます。ディーラーローンで購入した場合、完済までの車の所有者はディーラーとなるケースが多いです。ディーラーローンは審査結果が早く、即日審査も可能なケースがあります。
残価設定ローン
購入から数年後に売却することを条件に、購入価格と買い取り保証価格(残価)との差額を借りるのが残価設定ローンです。例えば、300万円の新車購入で5年後の残価が100万円と見込まれる場合、差額の200万円をローンでの借入とします。残価設定ローンは、借入金額を低く設定できる支払い方法です。指定した年数後には売却する、新車に乗り換える、残価を支払って買い取る、いずれかから選択します。
残価設定ローンで購入すると、月々の走行距離に制限があったり、事故や傷などで追加費用がかかったりするため、注意が必要です。
現金一括払い
車やオプションなどの合計額を、全て現金で支払う方法です。ローンのような金利が発生しないため、支払総額が安くなります。また、購入した時点で所有者は本人となり、利用方法や売却は自由です。
100万円未満の中古車を購入する場合は準備しやすいですが、数100万円の新車の場合はある程度の貯蓄が必要となります。現金一括払いでは数10万~数100万円が一気に手元からなくなるため、貯金額が大幅に減る場合は注意が必要です。病気やケガ、世帯主の収入減少など不測の事態に対する備えが確保できていると、安心して購入できます。
クレジットカード
車の販売店が対応している場合に、クレジットカードでの支払いができます。クレジットカードでの購入でポイントがもらえるとお得です。金額が大きいため付与されるポイントも高くなり、車用品や旅行などに使えて楽しみが増えます。
ただし、クレジットカードで分割払いにした場合、マイカーローンやディーラーローンより金利が高くなる点に注意が必要です。また、クレジットカードの上限額に引っかかる場合は利用できません。全額ではなく頭金だけクレジットカードで支払うのが可能な場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
カーリース
企業が所有する車を長期間にわたってレンタルし、使用料金を毎月支払うのがカーリースです。購入ではなくレンタルのため、ローンを組んだり頭金を準備したりする必要がありません。また、税金や車検費などの維持費も料金に含まれます。
毎月の支払い額が一定のため、車を利用するための予算が立てやすくなります。ただし、走行距離や車体の傷などがあって契約時の残価を下回ってしまった場合、返却時に差額分の支払いが必要です。自身の利用目的と条件を照らし合わせたうえで、選択するようにしましょう。
自分に合った支払い方法を選ぶには?
車の購入では、さまざまな種類の支払い方法から自分に合ったものを選ぶことが大切です。ここからは、支払い方法を選ぶためのポイントについて解説します。
買うか借りるか検討する
車を利用する頻度や行先など、どういった目的で必要なのか整理したうえで、買うか借りるかを選ぶことが大切です。ローンの種類によっては、完済までは金融機関が所有者となったり、走行距離や利用方法の条件があったりします。車を買うといっても、何でも自由に利用できるとは限らない点に注意が必要です。
利用する頻度が多くない場合は、カーリースやレンタカーなどでも対応できます。自分の車が欲しい気持ちと、買うための予算があるか、支払いや返済の計画に無理がないかなど、条件を整理して検討しましょう。
準備できる現金を確認する
車を現金一括払いで買う場合だけでなく、頭金や維持費などにもお金が必要となります。また、車購入後の万が一への備えなど、現金としてある程度は手元においておくと安心です。車を買うときのお金だけではなく、その先の流れも考慮して検討しましょう。
車を買うまでの期間で準備できる金額が変わってくるため、適切な購入時期となっているかについても考えておくと確実です。購入までの期間が短かったり、準備できる現金が少なかったりする場合、対応できる支払い方法か十分に検討しておきましょう。
借入可能額を調べる
マイカーローンやディーラーローンを利用する場合、審査に通過する必要があります。欲しい車を購入するためのお金が準備できるかは、ローンで借入ができる金額によって決まるのです。
ローンの審査に通過するためには、年収や雇用形態、勤続年数、債務履歴などの条件を満たす必要があります。ローンを支払い方法として決める前に、審査の流れや必要な条件を満たしているか確認しておきましょう。
ローンの返済計画を確認する
ローンで車を購入した場合は契約時の計画に沿って返済していくため、滞りなく支払えるか確認しておきましょう。ローンの返済期間は一般的に3~5年程度となることが多いため、その期間で他に大きな出費がないか確認しておくことが大切です。
住宅購入でローンを組むための審査では、他の借入額との合算が条件となる場合があります。車の購入からローン完済までの期間で、他の支払いへの影響がないか検討することが大切です。車購入のローンと他の大きな出費の流れについても、計画しておきましょう。
生活費とのバランスを考える
ローンを組んで車を購入した場合は毎月の支出が増えるため、生活費を圧迫する可能性があります。返済のために生活費を削るなどして、バランスが崩れてしまわないよう注意しましょう。
欲しい車が手に入っても、日常生活で我慢することが増えると楽しみも感じにくいです。家計簿などで毎月の支出を確認して、生活に無理が生じないか確認しておきましょう。
車購入で気をつけるポイント
車の購入では支払い方法だけでなく、維持費や処分方法についても考えておくことが大切です。車購入で気をつけるポイントについて解説します。
車の維持費を把握する
車の購入で生活費に上乗せされるのはローンの返済だけではなく、駐車場代なども含まれます。また、車検費や税金、修理費が定期的に必要となることも考慮しておくことが大切です。ローンの返済計画は借入先から提示されますが、維持費や自身の生活費については自己管理が必要になります。希望の車が決まったら、車検や税金、修理にかかる費用についても調べておきましょう。
メリットとデメリットを比較する
さまざまな種類の支払い方法から1つに絞るためには、メリットとデメリットを比較することが大切です。メリットだけで比較すると、購入後にデメリットが生じて困ってしまう場合があります。メリットを選ぶと同時に、それによって生じるデメリットを許容できるかの判断も必要です。支払い方法や購入までの流れを確認しながら、メリットとデメリットを比較して検討しましょう。
無理のない計画を立てる
車の購入ではまとまった現金を支払ったり、長期的なローンで返済したりするため、無理のない計画を立てることが大切です。購入時の状況だけでなく、完済までの期間を含めた計画を確認しておきましょう。
引っ越しや住宅購入、結婚や出産、子どもの教育費など、将来必要なお金のプランを整理して、計画を立てておくと安心です。マイカーローンは一時的に必要な現金が少なく金利は低いため、長期的な返済に向いている支払い方法となります。
売却や買い替えについて考えておく
車が不要になって売却したり、利用目的が変わって買い替えたりする場合を考えておくことが大切です。売却すると利益になることが多いですが、買い替えでは予算が必要な場合もあります。車を購入する時点から売却や買い替えについて考えておくことで、支払い方法を選ぶときの検討材料になるのです。
マイカーローンは車購入の時点で自分が所有者となるため、自由に売却できます。購入した車を将来どう扱うかに合わせて支払い方法を選ぶと、手放すときにスムーズです。車を買う段階から、将来の売却や買い替えについて検討しておきましょう。
>>Webで申し込みもOK! 西日本シティ銀行のマイカーローン
まとめ
車を購入するときは、最初に予算を決めましょう。その際、維持費も考慮しながら負担にならない範囲となるように設定することが大切です。支払い方法には、さまざまな選択肢があります。それぞれのメリットやデメリットを比較しながら、自分に合った支払い方法を選ぶ参考にしてみてください。
岩崎祐二
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP(日本FP協会認定)
ライフとキャリアを総合した視点で、人生設計をマンツーマンでサポート。日々の家計管理から、数十年先に向けた資産設計まで実行支援しています。