【個人事業主向け】ふるさと納税控除上限額や計算方法は?納税するメリットも紹介

ふるさと納税は、返礼品をもらえて節税にもなることから近年注目されています。本記事では、個人事業主がふるさと納税をするメリットや納税控除上限額について、手続きの流れや注意点について解説していきます。特に計算方法は、ふるさと納税をするうえでのポイントとなるため、しっかり確認していきましょう。

本記事中に引用しているデータや数値は、出典元の表記がない場合はすべて「総務省・ふるさと納税ポータルサイト」を参照しています。

ふるさと納税とは

ふるさと納税は、好きな自治体を選んで寄付することで地域の応援になり、さらに節税効果もある頼もしい制度です。まずは、ふるさと納税の概要と全体のポイントについて解説します。

ふるさと納税は寄付金控除の一種

ふるさと納税は「納税」という名称がつきますが実際は「寄付」扱いになり、税制上の分類は寄付金控除の一種とみなされます。本来は現居住地に納税する金額を好きな自治体に寄付して、税金の還付や控除を受けられるだけでなく返礼品ももらえる制度です。

ふるさと納税完了までの4ステップ

ふるさと納税の手続きは、大きく分けて4ステップで完了します。それぞれについて補足しながら紹介します。

控除上限額をシミュレーションする

ふるさと納税をする前にもっとも重要なポイントとなるのが、控除上限額のシミュレーションです。ふるさと納税のサイト上には、必ず簡易シミュレーションが設置されています。収入や家族構成、寄付金控除以外の各種控除について入力することで目安となる控除上限額が算出されます。

好きな自治体を選んで寄付

ふるさと納税は、主にふるさと納税のサイトからインターネット経由で行います。サイトによって登録されている自治体の数や返礼品・寄付金の決済方法に違いがあるため、比較して検討しましょう。決済方法は銀行振り込みやクレジットカード支払いのほか、携帯料金と合算して支払うキャリア決済を選べるサイトもあります。ふるさと納税のサイトから希望する自治体へ、自分で選んだ決済方法で寄付してください。またインターネット環境がない場合は、希望する自治体の寄付受付窓口へ直接問い合わせることで、返礼品のカタログを送ってもらえる場合もあります。

すべての自治体がふるさと納税を実施しているわけではないため、必ず「ふるさと納税希望」の申し出をしましょう。総務大臣による指定を受けていない自治体に対する寄付は、ふるさと納税の対象外となります。

返礼品と受領証が届く

寄付金の決済を終えると、返礼品と受領証(寄付金受領証明書)が届きます。まれに返礼品と受領証が一緒に届く場合もありますが、ほとんどは受領証が先に郵送で届いた後に返礼品が届きます。この受領証は寄付金控除を申請する際に必ず必要になりますので、大事に保管しておきましょう。

確定申告で申請

ふるさと納税の手続きの最後は、寄付金控除の申請です。寄付金控除の申請は、確定申告で行います。会社員などの給与所得者は、1年間の寄付先が5自治体以内であれば「ワンストップ特例制度」の利用が可能です。個人事業主の場合は、毎年行う確定申告と同時に寄付金控除の申告をします。

ふるさと納税・確定申告の流れ

ふるさと納税で税制上の優遇を受けるためには、確定申告が必要です。ここからは、ふるさと納税をした際の確定申告の流れについて解説します。

確定申告は翌年3月15日までに行う

ふるさと納税の対象期間は、1月1日から12月31日までです。期間内に行ったふるさと納税に対する還付や控除の申請は、原則として翌年3月15日までに確定申告をすることで完了します。個人事業主の場合は、毎年の確定申告の際に同時に寄付金控除などの申告をすれば、別途手続きを行う必要はありません。

確定申告時の必要書類

ふるさと納税後、確定申告をする場合に必要となる書類は以下のとおりです。ふるさと納税実施から確定申告まで間が空くため、特に受領書などの書類は確実に保管しておきましょう。

  • 確定申告書

  • 寄付先から自治体で発行された受領書・証明書

  • 専用振込用紙の控え(振込扱いの場合のみ)

確定申告書等作成コーナーがおすすめ

国税庁ホームページ内に、「確定申告書等作成コーナー」という特設ページがあります。このコーナーを利用し、確定申告書のフォーマットに従った内容を入力していくだけで確定申告書が完成します。完成した確定申告書は、そのままデータとしてe-Taxでの確定申告に使用可能です。作成した確定申告書は、印刷して持参または郵送での確定申告にも利用できます。これまで手書きで作成していた人でも、簡単に使えて便利なツールのためおすすめです。

いくらまでよい?控除額の計算方法

ふるさと納税の控除額は、年収や家族構成などによって違います。ここからは、ふるさと納税における控除額をどのように計算するのかについて解説します。

2,000円を超える部分が対象

ふるさと納税では、寄付した金額の合計から2,000円の自己負担額を差し引いた金額が控除額となります。2,000円の自己負担額は、誰でも共通の金額です。これ以外の控除額の計算方法については、この後の項目で解説します。

所得や家族構成などから算出

ふるさと納税の控除額の計算は、以下の流れで行います。

  1. ふるさと納税寄付金の合計から、自己負担額(2,000円)を差し引く

  2. 1で算出された控除額のうち、「所得税」「住民税」それぞれの控除を計算する

  3. さらに住民税の控除額では、「基本分」と「特例分」をそれぞれ計算する

所得税からの控除計算

所得税からの控除計算式は、「(ふるさと納税額ー2,000円)×(所得税の税率)」です。なお、ふるさと納税額で控除の対象となるのは、総所得金額等の40%が上限です。所得税の税率は、所得が多いほど高くなる仕組みになっています。詳しくは、国税庁タックスアンサー「所得税の税率」を参考にしてください。

住民税からの控除計算(基本分)

住民税からの控除は、「基本分」と「特例分」に分けて計算します。基本分の計算は、「(ふるさと納税額ー2,000円)×10%」です。なお、控除対象のふるさと納税額は、総所得金額の30%が上限です。

住民税からの控除計算(特例分)

特例分の計算ですが、さらに2つに分かれます。1つ目は、住民税所得割額の2割を超えない場合の「(ふるさと納税額ー2,000円)×(100%×10%(基本分)ー所得税の税率)」です。なお、この場合の 所得税の税率は、所得税からの控除で使用した所得税率とは異なる場合があります。次に、1つ目で計算した特例分の控除額が、住民税所得割額の2割を超える場合の計算式として「住民税所得割額×20%」を用います。

簡易シミュレーションを活用しよう

税率計算など少々難しいポイントもあるため、簡易シミュレーションの活用をおすすめします。各ふるさと納税のサイトでは簡易シミュレーションを無料で利用できるほか、総務省・ふるさと納税ポータルサイトでもExcelシートに数値を入力するだけで算出されます。シミュレーション利用時には、給与所得・家族構成・寄付金額などを入力します。

上限額を超えたらどうなる?

万が一控除上限額を超えてふるさと納税をしてしまった場合でも、ペナルティなどはありません。そもそも、ふるさと納税は寄付金控除の仕組みを利用しています。つまり、控除上限額を超えた寄付に関しては、単に税制優遇のない善意の寄付という扱いになります。

ふるさと納税のメリット

ここからは、ふるさと納税をすることで得られるメリットについて紹介します。

税制優遇がある

ふるさと納税の大きなメリットは、税制優遇です。ふるさと納税後に確定申告をすることで所得税分が当年の所得税額から還付され、住民税分は翌年の住民税から控除(減額)されます。なお、優遇される金額については、給与所得や家族構成、寄付金控除以外の控除額や控除の有無によって差があります。

返礼品がもらえる

ふるさと納税のメリットとして税制優遇と共に挙げられるのは、自治体独自のお礼の品(返礼品)がもらえることです。ふるさと納税でもらえるものは、返礼品の返礼割合3割以内かつ自治体の地場産品とするというルールが定められています。このルールを満たす範囲内で、自治体ごとにバラエティ豊かな返礼品を取り揃えています。

好きな自治体の応援になる

通常、所得税や住民税の納付先は現住所地です。一時的な転勤先で出身地ではない地域に居住している場合、生まれ育った市町村などの自治体にふるさと納税することで地域応援になります。さらに寄付したお金の使い道も指定できるため、社会貢献になるという喜びも得られるでしょう。ほとんどすべての自治体で、ふるさと納税をした翌年には前年度に寄せられた寄付金の使い道などを郵送で報告してくれます。

ふるさと納税の注意点

ふるさと納税は大変お得な制度ですが、注意したい点もいくつかあります。ここからは、ふるさと納税をするうえでの注意点について解説します。

ほかの控除との併用で節税効果が減る場合も

ふるさと納税による寄付金控除などの税制優遇と、住宅ローン控除といったほかの控除がある場合の併用には注意が必要です。特に住宅ローン控除が適用される場合は、それ以前の控除上限額と大きく異なる場合があります。寄付金控除以外にも別の控除の適用がある場合はより詳細にシミュレーションへ入力し、メリットをしっかり確認しましょう。

現居住地へのふるさと納税は不可

ふるさと納税は、今住んでいる地域以外へ寄付することで控除が適用になります。たとえ現居住地への納税以外に上乗せして寄付をしたいと考えても、ふるさと納税の適用にはならず当然返礼品ももらえません。ふるさと納税制度は、遠く離れた故郷へ感謝の気持ちや、縁のある自治体への応援ということが前提になっています。このことから、現居住地へのふるさと納税はできません。

控除上限額シミュレーションは毎年行う

控除上限額シミュレーションは、必ず毎年行うようにしましょう。年収が横ばいで増えても減ってもいない場合でも、小さな金額の差で控除上限額に違いが出ます。ふるさと納税のメリットを最大限に活かすためには、シミュレーションで算出された金額内で寄付をするのがベストです。住宅ローン控除など、寄付金控除以外の控除が適用になる場合も同様です。年収が変わらなくても、控除が増えたり家族構成が変わったりした場合には、必ずシミュレーションをやり直すようにしましょう。

期間に余裕を持った手続きを

ふるさと納税の対象期間は、1月1日から12月31日までです。この対象期間内に済ませる必要があるのは、申し込みと決済です。申し込みを12月31日までにしても翌年になってから振り込むと、当年中のカウントになりません。どうしても期間ギリギリの申し込みでふるさと納税をしたい場合は、クレジットカードなどの即時決済を利用するなどの工夫が必要です。

また、自治体へふるさと納税について問い合わせをしたい場合も、注意が必要です。自治体窓口は一般的に、年末年始は休業しています。つまり、市町村役場の御用納め後は対応してもらえないことも考えられるのです。これらのことを考えると、ふるさと納税は期間に余裕をもった手続きが安心といえます。

まとめ

個人事業主がふるさと納税をすることで、住民税や所得税の控除が受けられます。毎年の確定申告と同時に寄付金控除を申告することで手続きが完了するため、事務的な負担は少ないでしょう。ふるさと納税をする前には必ず控除上限額シミュレーションを行い、メリットを最大限活かす金額で実践することをおすすめします。


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