マイカー購入でマイカーローンを利用する場合は、審査に通過しなくてはなりません。審査の基準は金融機関によって異なり、審査が厳しいローンもあれば、比較的通りやすいローンもあります。マイカーローンに申し込む前に、審査に通らない理由や審査に通過するための対策方法を知っておきましょう。
マイカーローンの審査内容
金融機関は、貸したお金を予定通り回収する必要があります。そのため、「申告内容に嘘がないか」「返済能力に問題がないか」といった視点で審査を行います。マイカーローン(オートローン)の主な審査内容は以下の通りです。
基本情報の確認
住所、氏名、勤務先といった基本情報の確認が行われます。在籍確認のために、勤務先に電話連絡が入ることもあります。もし連絡が来ても、質問されたことに答えるだけで問題ありません。
年収
年収が高いほど評価は高くなりますが、安定収入があるかどうかも重要なポイントです。多くのマイカーローンの利用条件には、「安定収入があること」と書かれています。金融機関は返済能力があるかを審査するため、毎月安定した収入を得ていると審査に通りやすくなります。
明確な基準が示されているケースは少ないですが、一般的には「年収200万円以上」が審査に通過できるかどうかの目安といえます。
職業
マイカーローンの審査では、職業も重要視されます。収入が安定している職業ほど、審査に通過しやすいといえます。たとえば、収入が不安定な自営業者よりも、公務員や上場企業の会社員のほうが金融機関の評価は高くなります。ローンの種類によっては、パートやアルバイト、年金生活者は審査に通らないこともあります。
勤続年数
勤続年数が長いほど、金融機関の評価が高くなる傾向にあります。勤続年数が長ければ、ローン返済中に退職する可能性が低く、毎月の給与からローンを返済できると考えられるからです。反対に転職などで勤続年数が短い場合は、審査において不利になる可能性があります。
信用情報
マイカーローンでは、他社の借り入れ状況やローンの延滞歴なども審査されます。他社でまとまった金額の借り入れがある場合は、審査に影響が及ぶのが一般的です。
また、債務整理の履歴やクレジットカードなどの延滞歴があると、信用情報機関にその記録が一定期間保存されます。信用情報に記録されることを「ブラックリストに載る」と呼ぶこともあります。信用情報に記録があると、審査に通過するのは難しいといえるでしょう。
マイカーローンの審査に通らない理由
マイカーローンの審査に通らない主な理由は以下の通りです。
属性の評価が低い
マイカーローンにおける属性とは、申込者の職業や勤務先、勤続年数などの社会的立場や年収などの経済的状況のことです。一般的には、公務員や大企業の社員として長く勤務し、一定以上の安定収入を得ていると、その属性は高く評価されます。
一方で、収入が不安定な職業に就いている場合や、勤続年数が少ない場合は属性の評価が低くなるため、マイカーローンの審査に通らないことがあります。
年収に対して借入希望額が大きすぎる
マイカーローンの審査では、年収を基準に借入可能金額が決定されます。他社で借り入れがない場合でも、年収の金額が借入可能金額の上限となるケースが多い傾向にあります。もし年収が500万円であれば、借入可能金額は500万円が上限ということです。
金融機関によって審査基準は異なりますが、年収に対して借入希望額が大きすぎると、返済が難しいと判断されて審査に通らない可能性があるので注意しましょう。
また、年収だけで審査結果が決まるわけではないため、借入希望額が年収を下回っていても審査に落ちする可能性はあります。
利用条件を満たしていない
金融機関の公式サイトやパンフレットには、マイカーローンの利用条件が記載されています。利用条件を満たしていなければ、申し込みをしても審査に通りません。マイカーローンに申し込む前に、利用条件を満たしているかを確認することが大切です。
他社で借り入れがある
マイカーローンでは、他社の借り入れも含めて借入可能金額が審査されます。他社でまとまった金額の借り入れがある場合、借入希望額によっては審査に通らないことがあります。
また、クレジットカードのキャッシング利用枠は、マイカーローンの借入可能金額から差し引かれます。未使用のクレジットカードが複数ある場合は、マイカーローンの審査に影響を及ぼす可能性があります。
ローンやクレジットカードの延滞歴がある
マイカーローンの審査において、金融機関は信用情報機関に債務整理や支払い遅延・滞納の履歴などの照会を行います。ローンやクレジットカードの延滞歴があると信用情報に記録されるため、「返済能力に問題がある」と判断されます。信用情報に記録が残っている場合は、審査に通過するのが厳しくなるでしょう。
申告内容に嘘がある
申告内容に嘘があることが判明した場合、マイカーローンの審査に通過することはできません。たとえば、実際より年収を多めに申告したり、他社の借り入れを申告しなかったりするようなケースです。
金融機関は個人の融資審査に関する実績・ノウハウを持っているため、嘘の申告をしても発覚する可能性が高いといえます。仮に嘘の申告をして審査に通ったとしても、融資後に嘘の申告をしたことが発覚すれば、融資金の一括返済を求められることもあります。
マイカーローンの申し込みで嘘の申告をするのは、非常にリスクが高い行為です。たとえ審査に通るか不安な状況であっても、嘘の申告をするのは避けましょう。
審査が甘いマイカーローンはある?
審査が甘くて通りやすいマイカーローンはあるのでしょうか。残念ながら、どんな人でも必ず審査に通るマイカーローンは存在しません。
しかし、マイカーローンはいくつかの種類があり、審査の通りやすさはそれぞれ異なります。マイカーローンの審査に通過するには、マイカーローンの種類や特徴を理解しておくことが大切です。
マイカーローンの種類
マイカーローンの種類は、提供している金融機関・会社によって以下の3種類に分けられます。
銀行ローン
銀行ローンとは、一般的な銀行や信用金庫、ネット銀行などが取り扱っているマイカーローンです。銀行ローンは自動車販売会社ではなく、銀行の窓口や公式サイトから申し込み・契約を行います。
自動車の購入代金だけでなく、車検・修理費用やマイカーローンの借り換えなど、幅広い使い道に対応しているのが特徴です。審査結果が出るまでに少し時間がかかりますが、比較的低金利で借りられます。
また、ローン返済中も自動車の所有権は購入者にあるので、返済途中に車を売却・買い替えすることになった場合でも手続きがしやすいというメリットがあります。
ディーラーローン
ディーラーローンとは、自動車販売会社が提携している信販会社のマイカーローンです。自動車を購入するときにその場で申し込みができ、審査結果も短時間でわかるため、手続きに時間や手間がかからないのが特徴です。
ただし、金利は銀行ローンよりも高めに設定されていることが多い傾向にあります。また、ローン返済中は自動車の所有権が信販会社にあるので、ローンを完済するまでは売却・買い替えに手間がかかります。
自社ローン
自社ローンとは、自動車販売会社が独自に提供しているマイカーローンです。金融機関が提供するローンではなく、販売会社が独自の基準で審査を行い、自動車を分割払いで販売するサービスです。
基本的に金利は0%ですが、金利相当分が自動車の購入代金に上乗せされます。そのため、実質的な金利は、銀行ローンやディーラーローンより高くなることが一般的です。
銀行ローンの審査は比較的厳しい?
3種類のマイカーローンのうち、審査が比較的厳しいのは銀行ローンだと考えられます。金融機関によって審査基準に違いがあるものの、債務整理の履歴やローンの滞納歴などで信用情報に問題がある場合、銀行ローンの審査に通過するのは難しいでしょう。
ディーラーローンは銀行ローンよりは通りやすい
ディーラーローンは自動車販売会社の提携ローンなので、銀行ローンよりは審査に通りやすいといえます。ただし、比較的審査に通りやすいとはいえ、債務整理の履歴やローンの滞納歴などがある場合は、審査において不利になる可能性があります。
ローンが組めない人は自社ローンを検討する
信用情報に記録があり、銀行ローンやディーラーローンが組めない人は、自社ローンを検討しましょう。自社ローンは自動車販売会社が独自の基準で審査を行うため、通常のマイカーローンよりも審査に通りやすいのがメリットです。
販売会社によっては、「自己破産などの履歴や滞納歴があっても申込可能」と説明している自社ローンもあります。ただし、自社ローンは返済期間が短期間であったり、保証人を立てる必要があったりするケースもあるので注意が必要です。
審査が甘くなるほど金利も高くなる
マイカーローンは「自社ローン > ディーラーローン > 銀行ローン」の順番に審査が甘くなる傾向にあります。しかし、審査が甘くなるほど金利も高くなるといえます。
マイカーローンの金利は、一般的には銀行ローンが年1~3%台、ディーラーローンは4~6%台です。自社ローンの金利は0%ですが、金利相当分が購入代金に上乗せされ、実質的な金利は銀行ローン・ディーラーローンよりも高くなる傾向にあります。
まずは銀行ローンを検討するのがおすすめ
マイカーローンでまとまったお金を借りる場合、少しの金利差で返済総額は大きく変わります。少しでも返済額を減らしたいのであれば、安易に審査が甘いローンを利用せず、まずは銀行ローンを検討するのがおすすめです。
銀行ローンは、購入する車種が決まっていなくても相談できます。銀行ローンを利用したい場合は早めに相談して仮審査を受け、金利や借入可能金額などを確認しておくといいでしょう。
>>中古車ローンの金利相場の目安・選び方の基礎知識まとめ【中古車検討中の人は必見】
マイカーローンの審査通過の対策方法
ここでは、マイカーローンの審査に通過するための対策方法を紹介します。
頭金を多めに準備する
マイカーローンでは、年収に対して借入希望額が大きすぎないかを審査されます。購入代金の全額を借りるのではなく、頭金を多めに準備すれば、借入金額は少なくなります。よって、希望額が借入可能金額の範囲に収まる可能性が高くなるので、審査にも通りやすくなるでしょう。
購入する車の条件を見直す
購入する車の価格が高いほど、借入希望額は増えていきます。当初の予定より安い車を購入すれば、借入金額を抑えられるでしょう。どうしても購入したい車がある場合は別ですが、審査に通ることを優先するなら、購入する車の条件を見直してみるのがおすすめです。
転職前にローンを組む
マイカーローンの審査では、勤続年数が長いほど評価は高くなります。転職してすぐにローンを借りる場合、勤続年数が短いことは金融機関に良い印象を与えません。転職する予定がある場合は、なるべく転職前にマイカーローンを組んでおくのがおすすめです。
他社のローンを返済する
マイカーローンでいくら借りられるかは、他社の借り入れ状況も含めて判断されます。すでにまとまった金額をローンで借りていると、新たにマイカーローンを組むことができない可能性があります。
他社でローンを利用している場合は、マイカーローンを申し込む前に返済しておきましょう。
使っていないクレジットカードを解約する
クレジットカードのキャッシング利用枠は、マイカーローンの借入可能金額に影響があるといえます。使っていないクレジットカードがたくさんあるとキャッシング利用枠が増えてしまうため、借りられる金額が減ってしまうでしょう。
属性の評価によっては、審査落ちにもつながりかねません。使っていないクレジットカードがある場合は、マイカーローンを申し込む前に解約しておくのがおすすめです。
信用情報が回復してから申込む
債務整理の履歴やローンの延滞歴などがあり、信用情報に記録されてしまっていると、銀行ローンやディーラーローンを借りるのは難しいと考えられます。
内容にもよりますが、信用情報は5年程度で回復するといわれています。信用情報に記録されている場合は、信用情報が回復してからマイカーローンの申し込みを行いましょう。
まとめ
マイカーローンの審査の通りやすさは、ローンの種類によって異なります。また、事前に対策を講じることで審査に通りやすくなる可能性があります。銀行ローンは審査が比較的厳しいものの、低金利で借りられるのが魅力です。審査が甘いローンは金利も高くなるので、利用するマイカーローンは慎重に選びましょう。
西日本シティ銀行のマイカーローン
例として、低金利のマイカーローンを扱う銀行を紹介します。西日本シティ銀行では、低金利で利用できる「NCB EZマイカーローン」を取り扱っています。
「NCB EZマイカーローン」の特徴
「NCB EZマイカーローン」の特徴は以下のとおりです。
ポイント | 詳細 |
最大1,000万円・最長10年まで申込み可能 | ・申込金額は10万円から1,000万円まで1万円単位で申込み可能 |
収入証明書不要 | 申込金額300万円まで収入証明書の提出は不要 |
WEB契約で書類の郵送・来店が不要 | 使い道が自動車の購入資金の場合、申し込み・契約をWEB上で完結させることが可能 |
繰上返済手数料無料 | 融資金の一部または全額をいつでも無料で繰上返済できる |
一般的なディーラーローンに比べて有利な金利設定
「NCB EZマイカーローン」の適用利率は年1.7~2.9%で、取引状況に応じて最大0.7%の金利割引が適用されます。上述のとおり、一般的なディーラーローンの金利は3~6%台となっているため、「NCB EZマイカーローン」の金利はディーラーローンに比べて有利であるといえるでしょう。
- マイカーローン
大西 勝士
AFP、2級FP技能士
会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より金融ライターとして活動。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数の金融メディアで執筆中。