自動車は高額な買い物です。一括で購入する人もいるかもしれませんが、この記事をご覧の皆さまは「マイカーローン」の利用を検討している人も多いでしょう。マイカーローンにはいくつか種類があり、銀行やディーラー(自動車の販売会社)で提供している商品を比較検討するケースが一般的です。同じマイカーローンでも、銀行ローンとディーラーローンでは金利や諸条件に違いがあるので、自動車購入を検討する段階でそれぞれの特徴を押さえておきましょう!
マイカーローン(自動車ローン)とは
マイカーローンとは、自動車を購入する際に利用できるローンのことです。
自動車を購入するにはまとまったお金が必要ですが、マイカーローンを利用すれば、自動車の購入代金を分割で支払うことができます。自動車の本体価格のほかに、カーナビなどのオプションもローンに組み込むことが可能です。
マイカーローン(オートローン)の種類
マイカーローン(自動車ローン)はオートローンとも呼ばれ、主に以下の2種類があります。
マイカーローンの種類①:フルローン/フルクレジット
フルローンとは、車両価格の全額を支払うローンのことで、フルクレジットとも呼ばれます。一般的には、マイカーローンといえばフルローンを意味することが一般的です。
フルローン/フルクレジットの特徴
フルローン(フルクレジット)は車両価格の全額を分割して支払うので、仕組みがシンプルでわかりやすいのが特徴です。ローン返済額には利息が含まれますが、繰上返済をすれば利息分だけ総返済額を減らすことが可能です。
マイカーローンの種類②:残価設定型ローン/残価設定型クレジット
残価設定型ローンとは、車両価格から一定期間使用した後の推定下取り額(残価)を差し引き、残りの部分について分割で支払うローンのことです。残価型クレジットを略して「残クレ」と呼ばれることもあります。
残価設定型ローン/残価設定型クレジットの特徴
残価設定型ローン(残価設定型クレジット)は、推定下取り額を差し引いてローンを組むので、毎月のローン返済額を抑えられるのが特徴です。ローンの返済完了後は、「残価部分を払いながら同じ車に乗り続ける」「新しい車に乗り換える」「売却する」といった選択肢があります。
ただし、残価設定型ローンは比較的利息が高く、事故などで査定額が下がると追加の支払いが発生することがあるので、注意が必要でしょう。
マイカーローン選びで確認しておきたいポイント
マイカーローンは金融機関やディーラーによって諸条件が異なるため、自動車の購入にあたってマイカーローンを選ぶときは、以下のポイントを確認しておくことが大切です。
適用利率、金利の種類(変動・固定)
マイカーローン選びで必ず確認しておきたいのが適用利率(金利)です。毎月の返済額や総返済額は適用利率によって大きく変わってくるので、低金利で借りられるローンを選ぶことが大切です。また、金利には「変動金利」と「固定金利」の2種類があります。
変動金利
変動金利は、ローンの適用利率が定期的に見直される金利タイプです。固定金利に比べて適用利率は低くなりますが、返済の途中で市場金利が上昇すると、適用利率も高くなって返済額が増える可能性があります。
固定金利
固定金利は、全期間を通じて適用利率が変わらない金利タイプです。返済の途中で市場金利が上昇しても、適用利率や返済額が変わらないのが特徴です。ただし、返済中に市場金利が上昇しなければ、変動金利よりも返済総額が増えてしまう可能性があります。
金利タイプの選択に正解はありませんが、返済期間が短い場合は変動金利、長い場合は固定金利を選ぶのがおすすめといえます。
繰上返済手数料
マイカーローンを選ぶときは、繰上返済手数料も確認しておきたいポイントの一つです。ローン返済中に繰上返済をすると、利息分だけ総支払額を減らすことが可能です。
ただし、マイカーローンの種類によっては繰上返済手数料がかかったり、回数に制限が設けられていたりするケースもあります。繰上返済を視野に入れているなら、繰上返済にかかる手数料などについてもチェックしておきましょう。
手続きのしやすさ
マイカーローンは、種類や金融機関によって「必要書類の数」「審査にかかる時間」といった手続きのしやすさが異なります。従来は窓口で手続きするのが一般的でしたが、最近ではパソコンやスマホアプリからマイカーローンの申込みができる金融機関が増えている傾向にあります。
マイカーローン選びでは、金利や手数料に加えて、こういった手続きのしやすさにも注目しましょう。
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マイカーローンを提供している金融機関の違い
マイカーローンは、提供している金融機関によって以下の2種類に分けられます。
銀行ローン(銀行、ネット銀行、信用金庫)
銀行ローンは、一般的な銀行やネット銀行、信用金庫などが取り扱っているマイカーローンです。銀行の窓口やインターネットから申込み・契約ができ、比較的低金利で借りられるのが特徴です。
ディーラーローン(信販会社)
「マイカーローン」と聞くと、ディーラーローンをイメージする人が多いのではないでしょうか。ディーラーローンとは、自動車を購入する販売会社を通して申し込む信販会社のマイカーローンです。
自動車を購入するときに販売会社で申込みができるので、手続きに時間や手間がかからないのが特徴です。
銀行のマイカーローンの特徴
銀行ローンのメリット
銀行のマイカーローンには、以下のようなメリットがあります。
低金利で借りられる
銀行ローンは、ディーラーローンに比べて金利が低く設定されていることが多い傾向にあります。適用利率は、一般的には銀行ローンが1~3%台、ディーラーローンが3~6%台となっています。
自動車は車両価格が高額なので、マイカーローンでは少しの金利差が返済額に大きく影響します。低金利で借りられるのは、銀行ローンの大きなメリットといえるでしょう。
購入者に所有権がある
銀行ローンは、ローン返済中も購入した自動車の所有権は購入者にあります。そのため、ローンを完済していない状態であっても、買い替えや売却の手続きがスムーズに行えます。
資金の使い道が幅広い
ローンで借りたお金は何に使ってもよいわけではなく、使い道は限定されます。マイカーローンの場合、自動車の購入代金に限定されるのが一般的です。
しかし、銀行ローンは資金の使い道が幅広く、新車や中古車、バイクの購入はもちろん、返済中のマイカーローンの借り換えにも利用できます。
銀行ローンのデメリット
銀行ローンには先ほど紹介したメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
自動車の購入とは別に手続きが必要
銀行ローンは、自動車を購入した販売会社で申し込むことができません。銀行の窓口やホームページなどから、自動車の購入とは別に手続きをする必要があります。
そのため、マイカーローンの手続きを簡単に済ませたい人にとっては不便に感じることも考えられるでしょう。
審査に時間がかかる
銀行ローンは、申し込みをしてすぐに借りられるわけではなく、本人確認や申込内容の確認といった審査に一定の時間がかかります。また、必要書類が比較的多く、審査のために直接窓口に出向かなくてはならないケースもあります。
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ディーラーのマイカーローンの特徴
ディーラーローンのメリット
ディーラーのマイカーローンのメリットは以下のとおりです。
自動車の購入と一緒に手続きができる
ディーラーローンは、自動車を購入するときに販売会社でローンの申し込みができます。なるべく早く自動車を使いたい場合、購入と同時に手続きができるディーラーローンは便利といえるでしょう。
審査結果が出るまでに時間がかからない
銀行ローンは審査結果が出るまでに少し時間がかかりますが、ディーラーローンは審査がそれほど厳しくなく、審査結果がすぐにわかる傾向にあります。また、販売会社が信販会社とやり取りするため、購入者本人が準備する必要書類もそれほど多くありません。
ディーラーローンのデメリット
ディーラーローンは手続きが簡単である一方で、以下のようなデメリットがあります。
金利が比較的高い
ディーラーローンは、銀行ローンに比べると金利が高めに設定されています。ローン金利が高くなるほど毎月の返済額や総返済額は増え、多くの利息を払うことになります。
少しでもローンの返済負担を軽減したい場合、ディーラーローンの金利の高さはデメリットになるでしょう。
ローンを完済するまで所有権は信販会社にある
マイカーローンを返済している途中で、「自動車を買い替えたい」「売却したい」と考えることがあるかもしれません。ディーラーローンは銀行ローンとは違い、ローン完済まで自動車の所有権は信販会社にあります。そのため、簡単に買い替えや売却ができず、手続きに時間や手間がかかる可能性があります。
繰上返済手数料がかかることがある
多くの銀行ローンでは繰上返済手数料が無料で、回数に制限もありません。それに対して、ディーラーローンは繰上返済手数料がかかることが多く、回数に制限がある場合もあります。
マイカーローンで繰上返済を行う可能性があるなら、ディーラーローンは避けたほうがよいといえるでしょう。
銀行ローンとディーラーローンはどちらがおすすめ?
銀行ローンとディーラーローンの比較一覧
ここまで、銀行ローンとディーラーローンの特徴をそれぞれ説明しました。両者の違いをよりわかりやすく理解するために、あらためて表にして比較してみましょう。
| 銀行ローン | ディーラーローン |
メリット | ・低金利のため、総支払額を抑えられる ・返済中も所有権は購入者にある ・マイカーローンの借り換えにも利用できる ・繰上返済がしやすい(手数料無料、回数制限なしなど) | ・購入するときに販売会社で申込みができる ・審査に時間がかからない ・必要書類が少なく手間がかからない |
デメリット | ・自動車の購入とは別に銀行で手続きが必要 ・審査結果が出るまでに時間がかかる ・必要書類が比較的多い | ・金利が比較的高く、総支払額が増える可能性がある ・所有権は信販会社にある(返済途中の買い替え・売却は容易にできない) ・繰上返済がしにくい(回数制限があるなど) |
おすすめは低金利の銀行ローン
上記の銀行ローンとディーラーローンの比較から、自動車の購入でマイカーローンを利用する際は低金利の銀行ローンがおすすめといえます。
銀行ローンは金利が有利で、デメリットもカバーされつつある
ディーラーローンは手続きが簡単ですが、銀行ローンに比べると金利が高く、総返済額が増えてしまう可能性があります。
一方の銀行ローンは審査に時間がかかる点がデメリットですが、最近はインターネットから申し込みができる金融機関も増えており、手続きの利便性は向上しているといえるでしょう。
そういったデメリットがカバーされつつあることも考慮すると、総合的には低金利の銀行ローンのほうが有利であると考えられます。
西日本シティ銀行のマイカーローン
例として、低金利のマイカーローンを扱う銀行を紹介します。西日本シティ銀行では、低金利で利用できる「NCB EZマイカーローン」を取り扱っています。
「NCB EZマイカーローン」の特徴
「NCB EZマイカーローン」の特徴は以下のとおりです。
ポイント | 詳細 |
最大1,000万円・最長10年まで申込み可能 | ・申込金額は10万円から1,000万円まで1万円単位で申込み可能 |
収入証明書不要 | 申込金額300万円まで収入証明書の提出は不要 |
WEB契約で書類の郵送・来店が不要 | 使い道が自動車の購入資金の場合、申し込み・契約をWEB上で完結させることが可能 |
繰上返済手数料無料 | 融資金の一部または全額をいつでも無料で繰上返済できる |
一般的なディーラーローンに比べて有利な金利設定
「NCB EZマイカーローン」の適用利率は年1.7~2.9%で、取引状況に応じて最大0.7%の金利割引が適用されます。上述のとおり、一般的なディーラーローンの金利は3~6%台となっているため、「NCB EZマイカーローン」の金利はディーラーローンに比べて有利であるといえるでしょう。
>>中古車ローンの金利相場の目安・選び方の基礎知識まとめ【中古車検討中の人は必見】
まとめ
マイカーローンは、銀行ローンとディーラーローンで特徴が異なります。ディーラーローンは金利が高い傾向にあるため、総支払額を抑えたい場合は西日本シティ銀行のような低金利の銀行ローンがおすすめです。
銀行ローンとディーラーローンのメリット・デメリットを比較して、自分に合ったマイカーローンを選びましょう。
- マイカーローン
大西 勝士
AFP、2級FP技能士
会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て、2017年10月より金融ライターとして活動。10年以上の投資経験とFP資格を活かし、複数の金融メディアで執筆中。