株式市場はバブルか?
コロナ禍による今年の世界経済は、主要都市のロックダウンや日本の自粛要請もあって、戦後経験したことのないほどの落ち込みとなりました。4-6月期の日本のGDPは年率で▲28.1%とリーマンショック時の▲17.8%と比べ10%以上悪いマイナス成長を記録、世界でも国際通貨基金(IMF)は6月に発表した世界経済見通しの表題を「類例のない危機、不確実な回復」として危機感を露わにしました。
一方で「経済を映す鏡」である株価をみると、日本は3月19日の日経平均16,552円が最安値となり、その後は順調に戻り歩調を辿り、既にコロナ急落前の23,000円台を回復しています。主要国の株価もほぼ同様の値動きで、米国のナスダック市場や日本のマザーズ市場など「新しい生活様式」に対応した銘柄が多い市場は、コロナ前の水準をはるかに上回る高値水準に達しています。
主要国の株価が底入れした3月19日前後は世界的にみればコロナ流行初期といえ、イタリアをはじめ欧州諸国がロックダウンに入った時期でしたが、株式市場はその時期に4-6月期の景気最悪期入りと、その後の緩やかな景気回復を織り込んでいたかのようです。
「株価は経済を映す鏡」ですが、実は少しだけ未来の経済を映す鏡であると考えれば、3月中旬の株価底入れや今の緩やかな株価上昇も説明できます。私たちの生活についても、「ウイズコロナからアフターコロナの社会に移行が進む可能性が高い」ことを、株価という未来の鏡が示してくれている、と思えば希望もみえてくると思います。
コロナ禍での株価上昇を「バブルでは?」と聞かれることが多いのですが、私はいつもこの株価と経済の関係の話で説明しています。ワクチン開発や政府・中央銀行の景気対策など、コロナ対策は少しずつ実を結びつつあり、回復が進む近未来の経済を株価は織り込んでいるといえます。
FM福岡で毎日放送中!「トゥデイズ マーケット インフォメーション」
最後に私が毎日マーケットについてコメントをしている、FM福岡の放送内容を一部紹介いたします。
米国の大統領選挙は11月3日ですが、今年は大統領候補の討論会が3回予定されています。中でも最初の討論会はゴールデンタイムの生中継で視聴率が高く、投票する候補を決めていない人に大きな影響を与えます。米国大統領の世界経済や市場への影響力の大きさは、トランプ大統領のおかげで私達も再認識させられました。但し、今回はどちらが選ばれたとしても、就任して最初の目的はコロナの収束と経済を立て直すことしかありません。大統領選挙が終われば不透明感は消え、市場は期待感からプラスの反応をするはずです。(9月30日放送分)
- 金融
松本 義一郎
西日本シティTT証券 チーフアナリスト
大分県出身。西日本シティ銀行入社後、証券市場に興味を持ち、九州で初めての証券アナリスト資格を取得する。 TT証券入社後の2014年からFM福岡ラジゴンやTV・新聞などでマーケット開設を始める。