NISAにはさまざまな種類があり、投資を始める際にどれを選べばいいかわからない人も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、一般NISA・ジュニアNISA・つみたてNISAそれぞれの違いについて解説します。メリットとデメリットも詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
NISAとは
まずは、NISA制度の概要を解説します。
投資で得た利益が非課税となる制度
NISAは、投資で得た売却益や配当金が非課税となる制度です。通常、投資で利益を得た場合は約20%の税金がかかります。40万円で購入した商品を50万円に値上がりしたタイミングで売却した場合、発生する税金は約2万円(利益10万円×20%)です。
ただし、NISAを使って投資すれば、2万円の税金がかからずに50万円全額を受け取れます。そのため、効率の良い資産運用が可能です。
NISAには種類がある
NISAの種類は以下の3つです。
それぞれで対象年齢や投資可能枠などが異なります。また、一般NISAとつみたてNISAは併用ができないため、いずれかの選択が必要です。
2024年からは新しいNISA制度が開始予定
2024年からは現行のNISAに代わり「新しいNISA制度」が開始予定です。そのため、現行のNISAで新規買付ができるのは、2023年末(令和5年)までです。
一般NISA・ジュニアNISA・つみたてNISAの違い
一般NISA・ジュニアNISA・つみたてNISAの違いを項目ごとに解説します。
対象年齢
3種類のNISAは、それぞれ対象年齢が異なります。対象年齢の違いは以下のとおりです。
一般NISA:18歳以上
ジュニアNISA:17歳以下
つみたてNISA:18歳以上
一般NISAとつみたてNISAは成人が対象であるのに対して、ジュニアNISAは未成年が対象となっています。そのため、成人がNISAを利用する場合は一般NISAかつみたてNISAのいずれかを選択してください。
また、ジュニアNISAを利用する際は、子どもに代わって口座を運用する「運用管理者」が必要となります。口座開設者本人の二親等以内の親族が、運用管理者になれる対象です。
投資可能額
それぞれのNISAで、年間に投資できる額が異なります。年間に投資可能な金額の比較は、以下のとおりです。
一般NISA:年間120万円
ジュニアNISA:年間80万円
つみたてNISA:年間40万円
非課税期間
一般NISA・ジュニアNISA・つみたてNISAでは、非課税期間にも違いがあります。それぞれの非課税期間は以下のとおりです。
一般NISA:5年間
ジュニアNISA:5年間
つみたてNISA:20年間
投資対象商品
それぞれのNISAでは、投資対象商品も異なります。それぞれのNISAにおける投資対象商品の比較は、以下のとおりです。
一般NISA:投資信託、ETF、株式、REITなど
ジュニアNISA:投資信託、ETF、株式、REITなど
つみたてNISA:金融庁が認めた投資信託のみ
つみたてNISAは長期の積立・分散投資に適した商品となるよう、販売手数料や信託報酬等に法令上の条件が設けられており、金融庁への届出が必要とされているため、購入可能な商品は長期・積立・分散投資に適した商品と言えます。
投資タイミング
3種類のNISAでは、投資商品の買付方法(投資タイミング)が異なります。それぞれの投資タイミングは、以下のとおりです。
一般NISA:積立または一括
ジュニアNISA:積立または一括
つみたてNISA:積立のみ
売買手数料
一般NISAとジュニアNISA・つみたてNISAでは手数料が異なります。それぞれの比較は以下のとおりです。
一般NISA:金融機関によって売買手数料が異なる
ジュニアNISA:金融機関によって売買手数料が異なる
つみたてNISA:売買手数料は原則かからない
一般NISAのメリットとデメリット
ここからは、一般NISAにおけるメリットとデメリットを紹介します。
メリット
一般NISAで投資をするメリットは以下のとおりです。
年間の投資可能額が多い
一般NISAは年間の投資可能額が120万円で、つみたてNISAの年間40万円と比べると、その差は3倍になります。そのため、投資に回せる資金が多くある人はぜひ一般NISAでの投資を検討してみてください。
投資対象商品が多い
一般NISAは、さまざまな商品から投資対象を選べます。投資信託や国内株式にくわえて、海外株式やETF、REITなどに投資が可能です。つみたてNISAの投資対象は投資信託に限られるため、投資信託以外の金融商品に投資したい人は一般NISAの利用を検討してみてください。
デメリット
一般NISAのデメリットを紹介します。
非課税期間が短い
一般NISAは、非課税期間が5年間と短いです。5年間が過ぎると、売却するか課税口座に移す必要があります。長期的な運用をしたい人にとっては、一般NISAの非課税期間の短さはデメリットでしょう。
売買手数料のかかる商品がある
一般NISAには、売買手数料のかかる商品があります。また、売買手数料は金融機関や金融商品によってさまざまです。売買手数料が無料で信託報酬(保有により生じるコスト)も一定以下のつみたてNISAと比べると、コストが高いのが一般NISAのデメリットといえます。
ジュニアNISAのメリットとデメリット
ここからは、ジュニアNISAで投資をするメリットとデメリットを紹介します。
メリット
まずは、ジュニアNISAのメリットを解説します。
相続税や贈与税の節税対策に使える
ジュニアNISAは、子どもや孫への相続や贈与に利用できます。ジュニアNISAで贈与したお金には、贈与税が発生しません(ほかの贈与と合わせて年間110万円以内の場合)。相続対策で子どもへの贈与を考えている人は、ぜひジュニアNISAでの贈与も検討してみてください。
※個別の税務については税務署や税理士にご相談ください。
投資対象商品が多い
ジュニアNISAは、一般NISAと同様にさまざまな金融商品へ投資が可能です。投資信託以外にも、国内株式や海外株式、ETF、REITなどへ投資できます。
デメリット
ジュニアNISAで投資をするデメリットを紹介します。
非課税期間が短い
ジュニアNISAの非課税期間は、5年間と比較的短いです。ただし、2023年(令和5年)のジュニアNISA制度終了時点で18歳になっていない人は、2024年以降も18歳になるまで非課税で金融商品を保有し続けられます。まだ子どもが小さい場合は長期的に非課税で運用できるため、非課税期間が短いデメリットは軽減されるでしょう。
売買手数料のかかる商品がある
ジュニアNISAは、一般NISAと同様に売買手数料のかかる商品があります。コストを抑えて投資したい人にとっては、売買手数料の発生はデメリットです。
つみたてNISAのメリットとデメリット
つみたてNISAで投資するメリットとデメリットを解説します。
メリット
つみたてNISAのメリットを紹介します。
非課税期間が長い
つみたてNISAは、非課税期間が20年間と長いことが特徴です。長期投資をしたい人は、ぜひつみたてNISAの利用を検討してみてください。
確実に積立投資ができる
つみたてNISAは、買付方法が「積立」のみです。そのため、一度積立の設定をしたら自動で毎月投資ができます。強制的に毎月投資する仕組みを作れることは、つみたてNISAのメリットです。
販売手数料がかからない
つみたてNISAで投資可能な商品は、販売手数料(売買手数料)が原則無料です。コストを抑えて投資をしたい人にとって、販売手数料がかからないことは大きなメリットとなっています。
デメリット
つみたてNISAで投資するデメリットを解説します。
年間の投資可能額が少ない
つみたてNISAは、年間の投資可能枠が40万円と一般NISAと比べて少額です。年間40万円を超えるまとまった資金を投資したい人にとって、投資可能額の少なさはデメリットとなっています。
投資信託以外に投資できない
つみたてNISAで投資できる商品は投資信託のみのため、株式やREITなどの購入ができません。さまざまな投資商品へ投資したい人は、一般NISAを検討してみてください。
スポット購入ができない
つみたてNISAの買付方法は積立のみです。そのため、原則スポット購入はできません。自分の好きなタイミングに一括で購入(スポット購入)をしたい人は一般NISAの利用を検討してみてください。
まとめ
一般NISA・ジュニアNISA・つみたてNISAは、投資可能額や非課税期間、対象商品などが異なります。それぞれの特徴を理解して、自分に合ったNISAを利用しましょう。また、西日本シティ銀行では一般NISAやジュニアNISAにくわえて「つみたてNISA専用ファンド」もご用意しています。NISA口座を開設する際には、ぜひ西日本シティ銀行での口座開設をご検討ください。
*投資信託のご留意事項について
商号等:株式会社西日本シティ銀行 登録金融機関 福岡財務支局長(登金)第6号
加入協会:日本証券業協会、一般社団法人金融先物取引業協会
苛原 寛
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本商工会議所 簿記検定試験 2級
大学卒業後、東京海上日動火災保険株式会社に就職。法人営業部で保険提案を3年間行ったのちに独立。現在はフリーランスとして、お金に関するWeb記事の執筆や個人のライフプランニング作成、実行支援を行っている。