アフターコロナの日本経済を展望すると | 西日本シティTT証券チーフアナリスト 松本義一郎

アフターコロナの日本経済を展望すると

アフターコロナの日本経済を展望すると | 西日本シティTT証券チーフアナリスト 松本義一郎

 お正月の当ブログで、コロナ後の世界経済を展望して、「つらいコロナ禍の我慢の後は、元の平時に戻るのではなく、反動で明るい経済状況になる」と予測しました。2か月が過ぎて、ワクチンが普及し始めた世界は、まさにその方向に向かっているようです。

 しかし、一番肝心なことは、アフターコロナで日本経済がどうなるかということです。歴史を振り返ると、コロナのようなパンデミックは二つの教訓をもたらしてきました。一つは、パンデミックの後には、それ以前とは大きく異なる社会が訪れること。二つ目は、パンデミックの混乱によりその社会が持つ弱点が表れることです。

 今回のコロナ禍の日本では、まさに二つ目の「デジタルシフトの遅れ」という弱点が露呈しました。しかも一つ目の、コロナ後のこれまでと大きく異なる社会とは、デジタル資本主義の世界です。今まで日本が一番できていなかった方向に世界は向かうことになります。

 それでは、コロナ後の日本経済には期待できないのかと問われれば、私は「NO」と答えます。日本人の特性は目標が決まれば、それを達成するために、一丸で全力を尽くすことにあります。デジタル対応も、明治維新や戦後の復興のように、世界に追いつき追い越すことができるはずです(文系の人間が理系の仕事をなんとかこなすのが、日本人の特性の一つといわれています)。

 デジタルシフトとは別の話ですが、アジアの金融センターとして繁栄してきた香港が、中国化により落日を迎えることも、日本の大きなチャンスになります。ポスト香港を東京が担うことは、世界からの強い要求になるはずです。中国への対抗軸としての日本に対する期待は、米国だけではなく世界の先進国からの願いといえます。

 コロナ後の日本の評価を象徴する存在になると私が(勝手に)思っているのは、一昨年決定した次の紙幣の顔となる三人です。1000円札は破傷風の治療法を確立し、ペスト菌を発見した、日本の医療のシンボル、北里柴三郎です。5000円札は津田梅子で、女性の教育や社会進出、女性が活躍する社会のシンボルです。そして10,000円札は大河ドラマ「晴天を衝け」の澁澤栄一です。澁澤さんは、まさに日本経済の父ですから、アフターコロナの日本経済が再興することを、応援してくれることになります(と私が勝手に思っています)。そう考えれば、2月に日経平均株価が30年半ぶりに30,000円台に到達したことも、アフターコロナの日本経済を前向きに評価してのことと考えられます。

 アフターコロナの日本経済には大きなチャンスが待っていると思われます。しかし、そのチャンスを活かせるかどうかは、私たちのこれからの頑張りにかかっているようです。

FM福岡で毎日放送中!「トゥデイズマーケットインフォメーション」

FM福岡で毎日放送中!「トゥデイズマーケットインフォメーション」

最後に私が毎日マーケットについてコメントをしている、FM福岡の放送内容を紹介いたします。

 今年のNHKの大河ドラマ晴天を衝けが始まりました。日本経済・資本主義の父といわれる渋沢栄一を描くもので、第1回は子役の演技力が話題になっていました。渋沢栄一といえば、3年後から使用される次の1万円札の顔にもなります。次の紙幣は千円札が日本の医療のシンボル北里柴三郎で、五千円札は津田梅子と、女性の教育や社会進出のシンボル、そして1万円が経済の渋沢栄一と、紙幣の顔はまさに、これからの日本が進むべき道を象徴的に物語っているといえます。日経平均が3万円をつけた日本経済には、意外に明るい未来が開けているのかもしれません。(2月17日放送分)

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