子育てに役立つ 出産・子育て

子どもにかかるお金はいくら?年齢別の費用額や知って得する子育てに使える助成金とは

子ども1人を育てるには、数千万円がかかるともいわれます。ただし、実際には子どもの学校や進路などにより、かかる費用は変わるのです。今回は、年齢別や学校別に、子育て費用の相場を説明します。子育て費用の支援制度についても解説しますので、必要な金額を準備する参考にしてください。

子どもにかかるお金にはどんなものがある?

子どもを育てるのには、お金がかかります。大学等へ進学する子どもは増えており、子育て期間は長くなっています。まずは、子どもが自立するまでに、親が負担しなければならない費用について確認しておきましょう。

子育ての費用は大きく分けて2種類

子育て費用は、養育費と教育費の2つに分かれます。それぞれに明確な定義はありませんが、以下のような意味でとらえるのが一般的です。

教育費

子どもが教育を受けるためにかかる費用です。学校教育のほか、塾や習い事にかかる費用なども教育費に含まれます。

養育費

子どもにかかる費用のうち、教育費以外のものを指します。食費、日用品費、服飾雑貨費、医療費、お小遣いなど、子どもが日常生活を送るうえで必要なお金です。

子どもの年齢によってかかる金額は変わる

親は子どもの養育費、教育費を負担しなければなりません。子育て費用は常に一定ではなく、お金がそれほどかからない時期もあれば多くかかる時期もあります。子どもにお金がかかる時期には、毎月の収入から子育て費用を捻出できないかもしれません。年齢によって子育て費用は変わると認識し、計画的にお金を準備しておくことが大切です。

子育てにかかる費用の年齢別の相場

子育て費用は、子どもの年齢によって幅があります。内閣府が行った調査の結果をもとに、年齢別の子育て費用の相場をみてみましょう。

中学までにかかる年齢別子育て費用の平均額

2010年3月に、内閣府がインターネットで子育て費用のアンケート調査を行っています。この調査によると、0歳から中学を卒業する15歳までの子育て費用の平均額として、次のような結果が出ています。

年齢別年間子育て費用額

年齢

子育て費用額

0歳

93万1246円

1歳

87万8040円

2歳

94万2715円

3歳

104万0577円

4歳

119万7116円

5歳

115万9523円

6歳

121万5243円

7歳

111万2082円

8歳

105万9791円

9歳

113万1097円

10歳

115万2088円

11歳

123万5483円

12歳

126万9053円

13歳

152万7873円

14歳

153万1521円

15歳

161万1802円

出典:インターネットによる子育て費用に関する調査 調査結果の概要

年齢とともに子育て費用の負担は増大

上の表の子育て費用には、養育費、教育費の両方が含まれています。子どもの年齢が上がるにつれて、だんだんと負担が大きくなっていることがわかるでしょう。中学生になると、年間にかかる費用は未就学児の約1.5倍になります。

中学で教育費の負担が大きくなる

内閣府の調査では、未就学児、小学生、中学生という段階別に、年間子育て費用総額と費目別割合も出されています。未就学児で特に負担が大きいのが、保育所・幼稚園児の保育費です。年間約38万円の保育費がかかり、子育て費用の3割を占めます。中学生では教育費(学校教育費、学校外教育費、学校外活動費)が年間で約58万円となり、子育て費用の3分の1以上となっています。親にとっては、年齢とともに増えていく教育費をどう準備するかが大きな課題です。

出典:インターネットによる子育て費用に関する調査

出典:インターネットによる子育て費用に関する調査

子どもの教育費はいくらかかる?

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小学生、中学生と成長していくにつれ、教育費の負担は増大します。中学卒業後は、高校の費用も考えなければなりません。子どもが大学や短大、専門学校などに進学する場合、さらに教育費がかかります。以下で学校の種類別に教育費の相場を説明するので、かかる費用を計算する参考にしてみてください。

幼稚園から高校までの年間にかかる教育費

文部科学省では、2年に1回「子供の学習費調査」を行っています。「学習費」には、学校教育費、学校給食費、学校外活動費が含まれます。2018年度(平成30年度)の調査結果によると、学校種別の学習費総額(年間金額)は、次のとおりです。

学校種別の学習費総額


公立

私立

幼稚園

22万3647円

52万7916円

小学校

32万1281円

159万8691円

中学校

48万8397円

140万6433円

高等学校(全日制)

45万7380円

96万9911円

内閣府の「平成21年度インターネットによる子育て費用に関する調査」では学習費について、小学校で約30万円、中学校で約58万円という全体の平均額しかわかりませんでした。文部科学省の学習費調査結果からは、学校が公立か私立かで学習費に大きな差があることがわかります。

公立・私立の違いで教育費の総額は大きく変わる

上の「学校種別の学習費総額」は、1年間にかかる金額です。卒業までのトータルの金額を計算すると、公立か私立かでさらに差が大きくなります。幼稚園を3年保育と仮定し、学校種別にかかる総額を表にしました。

学校種別の学習費・在学中総額


公立

私立

幼稚園(3年間)

67万0941円

158万3748円

小学校(6年間)

192万7686円

959万2146円

中学校(3年間)

146万5191円

421万9299円

高校(3年間)

137万2140円

290万9733円

合計

すべて公立の場合

543万5958円

すべて私立の場合

1830万4926円

高校まででもすべて公立の場合と比べて、すべて私立の場合の教育費は3倍以上の金額です。かかる金額の差は約1300万円に及んでいます。

大学進学した場合に必要な授業料や生活費

高校卒業後、大学に進学した場合には、さらに教育費がかかります。大学の種類別に入学金、授業料などをみてみましょう。

国公立大学でかかる学費

国立大学の入学金・授業料の金額は文部科学省令で定められており、基本的にどこでも同じです。公立大学の授業料は自治体によって定められますが、国立大学と同程度になっています。なお、公立大学では地域内から入学した人の入学金は安くなります。

国立大学の入学金・授業料と、公立大学の入学金・授業料の平均額は次の表のとおりです。合計額は授業料に卒業までの年数をかけ、入学金を加えた簡易的な計算になります。

国公立大学の入学金・授業料


入学金

授業料

4年間の合計

6年間(医歯系)の合計

国立大学

28万2000円

53万5800円

242万5200円

349万6800円

公立大学(地域内)

22万8546円

53万6224円

237万3442円

344万5890円

公立大学(地域外)

36万7779円

53万6224円

251万2675円

358万5123円

出典:国立大学等の授業料その他の費用に関する省令

出典:2021年度学生納付金調査結果(文部科学省)

子どもが国公立大学に進学する場合、学校納付金だけでも、4年間で250万円程度がかかります。もし6年制の学部に進学すれば、350万円程度が必要になります。

私立大学でかかる学費

私立大学の場合、入学金、授業料のほか、施設設備費の負担もあります。私立大学でかかる学部別の学費は、次のとおりです。合計額は、授業料・施設・設備費に卒業までの年数をかけ、入学金を加えた簡易的な計算になります。

私立大学の入学金・授業料・施設設備費


入学金

授業料

施設・設備費

4年間(医歯系は6年間)の合計

文科系学部

22万5651円

81万5069円

14万8272円

407万9015円

理科系学部

25万1029円

113万6074円

17万9159円

551万1961円

医歯系学部

107万6278円

288万2894円

93万1367円

2396万1844円

その他学部

25万4836円

96万9074円

23万5702円

507万3940円

出典:令和3年度私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について(文部科学省)

私立大学に進学すると、国公立大学に比べて負担が大きくなります。4年制の場合、学校納付金の平均額は、文科系学部で400万円程度、理科系学部で550万円程度です。医歯系学部の場合、授業料・施設設備費が高額かつ6年制なので、学校納付金のトータルは2000万円を超えます。

学校納付金以外でかかる学費

大学では学校納付金以外にも、教科書代や教材費がかかってきます。遠方に通学する場合には、交通費も考慮しておかなければなりません。子どもが大学まで進学すると、教育費は爆発的に増えてしまいます。

大学生にかかる生活費

子どもが大学生の間はまだ自立は難しいので、親が生活費を負担するケースが多いです。大学生の学生生活費(学費及び生活費の合計)については、日本学生支援機構が2年に1回調査を行っています。「令和2年度学生生活調査」によると、年間にかかる居住形態別の学生生活費は次のとおりです。

大学生(昼間部)の居住形態別の学生生活費


自宅

アパート等

学費

121万5000円

104万3000円

生活費

38万7000円

110万8000円

合計(学生生活費)

160万2000円

215万1000円

出典:令和2年度学生生活調査結果

ここでは生活費に注目してみます。1か月あたりの生活費は、自宅通学生約3万2000円、自宅外通学生約9万2000円です。子ども本人が学業と両立しながら生活費すべてをアルバイトで稼ぐのは、困難でしょう。自宅外通学になってしまう場合、親はある程度の仕送りを覚悟しておかなければなりません。

子育ての費用を軽減する制度や助成金

ここまで説明してきたとおり、子どもを育てていくにはトータルでかなりのお金がかかるのが現実です。負担ばかりを強いられるようなら、子どもを産んで育てようと思う人も少なくなるでしょう。そこで、国や自治体でも子育て支援の制度を用意しています。ここからは、子育ての費用負担を軽減するための制度について説明します。

児童手当

中学卒業までの子どもがいる世帯には、児童手当が支給されます。支給の窓口は市町村ですが国が設けている制度なので、内容は全国共通です。児童手当の金額は、子どもの年齢などによって変わり、次のようになっています。

児童手当の支給額

子どもの年齢

1か月あたりの金額

3歳未満

一律1万5000円

3歳以上小学校修了前

1万円(第3子以降は1万5000円)

中学生

一律1万円

児童手当には所得制限があり、世帯主の年収が約960万円以上になると対象外となります。ただし、特例給付として、所得制限を超える世帯にも月額5000円が支給されています。2022年(令和4年)10月以降は、世帯主の年収約1200万円を超える世帯の特例給付が廃止になる予定です。

子ども医療費助成制度

子どもが病院にかかった場合の費用については、自治体から一部が助成される制度があります。対象となる年齢や助成の内容は、自治体によって異なります。自己負担なしの場合や、一部自己負担として通院1回が500円程度になる場合などがあるのです。

幼児教育・保育の無償化

2019年(令和元年)10月、幼児教育・保育の無償化の取り組みがスタートしました。現在は3歳から5歳までの子どもは、保育所や幼稚園を無料で利用できます。また、住民税非課税世帯で0歳から2歳の子どもを保育所に預ける場合にも、保育料が無料になります。

高校生への就学支援制度

高校の授業料負担軽減のために、高等学校等就学支援金制度が設けられています。この制度は、国が授業料の一部または全部を支援するものです。

支援金額は世帯年収によって変わり、公立高校なら年収910万円未満、私立高校なら年収590万円未満で実質的に無償化となります。無償化の基準となる年収は、家族構成などによって変わります。

大学生向けの奨学金・授業料減免制度

大学の学費を支援する代表的な制度が、日本学生支援機構の奨学金制度です。日本学生支援機構の奨学金には、給付奨学金と貸与奨学金の2種類があります。2020年度(令和2年度)からは、大学での授業料減免制度もスタートしています。

給付奨学金

返還不要の奨学金で、世帯収入等の要件をみたせば利用できます。給付奨学金の上限額は、次のとおりです。

出典:日本学生支援機構 高校教員向け「進学マネー・ハンドブック」 (2022年度版)

貸与奨学金

将来的に返還が必要な奨学金で、第一種(無利子)と第二種(有利子)の2種類があります。第一種では下の表の金額、第二種では学校等の区別なく月額2~12万円の貸与が受けられます。

出典:日本学生支援機構 高校教員向け「進学マネー・ハンドブック」 (2022年度版)

授業料減免制度

日本学生支援機構の給付奨学金の対象者については、進学した大学など(認定校のみ)で入学金や授業料の免除・減額も受けられます。入学金の支援額は国立大が約28万円、私立大は約26万円が上限です。授業料については国立大が約54万円、私立大は約70万円が支援額の上限になります。

まとめ

教育費は子どもの将来への投資なので、減らすことよりも必要な金額を計画的に準備することを考えましょう。教育費を長期的に積み立てて準備したいなら、つみたてNISAやジュニアNISAの活用がおすすめです。西日本シティ銀行でもつみたてNISA・ジュニアNISAの口座開設ができるので、ぜひ検討してみてください。

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