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税理士の費用相場はどれくらい?知っておきたい目安となる金額&選び方

By 河野 雅人

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2020.06.29

事業に欠かせない税理士のはなし|西日本シティ銀行

創業・独立・開業時において税理士を探している人や、創業・独立・開業後に税理士の変更を考えている人の中には、税理士の費用・料金相場がわからず、先方の言い値で契約してしまうといった人もいるのではないでしょうか。今回は税理士費用・料金の相場について、目安となる金額の調査結果をお示しするとともに、税理士を選ぶ際のチェックポイントについても解説していきます。

1.そもそも、顧問税理士は必要なのか?

税理士費用を詳しく見ていく前に、顧問税理士が必要かどうかについて解説します。結論からいうと、筆者は「事業を行う上で税理士は必須」と考えています。

税理士は税金の専門家

税理士は、税金の確定申告や税務書類の作成、税務相談、税務調査の立ち会いなどの業務を行う国家資格保有者です。なかでも顧問となる税理士には、税務に関連する一切の代理権限が与えられ、これによって税務署との対応はすべて税理士が行うことになります。

強力なビジネスパートナーにもなり得る

経営相談や起業時のアドバイスを行うことも

最近では経営相談を行う税理士も増えています。

会社を起業する前には事業計画についてアドバイスがもらえ、助成金や補助金に関する申請書類の作成を依頼することができます。起業前や起業時のように経営についての知識がないような場合でも、ビジネスパートナーとして強い味方となってくれるでしょう。

資金繰りなど、経営の安定にも税理士は必要

創業期を乗り越えて経営を安定化させるためにも、税理士の力が必要になるといえます。経営上の問題や資金繰りなど、常に税理士に相談できる環境を整えておくことが重要です。

2.税理士との契約形態と費用(料金)

税理士との契約形態と費用(料金)

税理士費用(料金)は税理士に対する手数料

基本的に税理士費用は、税理士に対する手間賃と考えていいでしょう。

言い換えれば、自分でしなければならない作業を税理士に代わりにやってもらうことで、手数料が発生すると考えてください。

かかる手間に応じて税理士に支払う手数料は高くなる傾向

たとえば領収書の整理や、それに基づく会計ソフトへのデータ入力などは簡単そうに見えますが、相応の会計知識が必要になります。何の会計知識もない依頼者が行うのは相当の時間と手間がかかるでしょう。

記帳代行の費用は、それらの時間と手間を税理士が代行して行うこと、つまり、税理士に対する代行手数料そのものです。入力する取引データが多くなれば、その分業務が増えるわけですから、代行手数料も高くなるといえます。

税理士費用(料金)は顧問契約かスポット契約かによって異なる

顧問契約

顧問契約とは、特定の税理士または税理士事務所と、年を通して継続的な契約を結ぶことです。一般的に顧問契約では月額料金が発生し、これに決算時における報酬が加わります。

スポット契約

スポット契約とは、決算処理や確定申告、税務調査立ち合いなど特定の業務のみをその都度依頼することをいいます。そしてスポット契約では、その特定の業務に対する料金がかかるのが一般的です。

税理士費用(料金)は「個人」か「法人」かによって異なる

依頼者が個人事業主か法人かによっても税理士費用は異なります。個人事業は一般的に事業規模が小さく作業量が少ないため、税理士費用は比較的安くなる傾向にあります。一方、依頼者が法人の場合は、一般的に取引量が多く、税理士の作業負担も多くなることから顧問料金も高くなると考えられます。

3.税理士費用(料金)の手数料内訳と相場

税理士費用(料金)の手数料内訳と相場

それでは税理士の主な業務と、業務別の手数料相場を見ていきましょう。税理士に依頼することが多いのは主に以下の4つと考えられます。

・記帳代行手数料

・顧問契約料

・申告代行手数料

・税務調査立ち合い費用

(1)記帳代行手数料

記帳代行は必須の業務

記帳代行は、日々の収入や支出(経費)のデータを、請求書や領収証をもとに会計ソフトへ入力する業務をいいます。決算時においての決算書の作成や確定申告につながる必須の業務となります。

記帳代行手数料は顧問先の売上高や従業員数により異なり、一般的には月額5,000円~3万円が相場といえます。

記帳代行に高い専門性は不要

記帳代行は、それほど専門的な知識は必要ありません。実際、税理士の資格を有していないスタッフがデータ入力の担当となることも多いといえます。また、最近ではインターネットを用いたクラウド会計の普及によって、徐々に料金が下がっている傾向にあります。

(2)顧問契約料

顧問契約は税理士の基本的な契約形態

顧問料は、毎月の月次試算表の作成や、依頼者の事業所への年数回の訪問に加えて、税務相談や経営相談を随時行えることも含めた料金設定となっています。税理士の業務に対するイメージとして最も一般的ではないでしょうか。

顧問料の月額相場

顧問契約の料金は、税理士の知識レベルや訪問頻度、依頼者の年間売上高などによって決められます。創業して間もない依頼者などは月額2万円~、年商1億円を超える会社は月額5万円以上というところもあります。

上記に加え、通常は次に説明する申告代行手数料も併せて依頼することになるので、決算報酬として月額顧問料の4か月分から6か月分が加算されます。

トータルすると年間費用は40万円以上となるでしょう。

(3)申告代行手数料

申告代行のみなら費用を極力安く抑えられる

申告代行は、一年分の記帳と決算書の作成まではクライアントで行い、申告書の作成のみ税理士が行うサービスです。最低限のサービスとなるため、費用を安く抑えられるでしょう。

申告内容によっては費用がかかることも

ただし、不動産の譲渡所得など申告内容によっては複雑で難易度の高い業務が含まれます。そういった場合は、別途手数料がかかることもあります。

年間費用は8万円〜30万円ほどが相場と考えられます。

(4)税務調査立ち合い費用

見落としがちな「税務調査」

上で述べた税理士費用以外に、見落としがちなのが税務調査立ち合い費用です。税務調査は税務署が任意に納税者を抽出し、その納税者が申告した内容が適正かどうか、調査官が実地調査し判断することをいいます。数日間の税務調査の結果、場合によっては申告内容を修正しなければならないこともあります。

税理士に立ち会いを依頼するのが一般的

税務調査は毎年同じ納税者の調査が行われるわけではなく、数年に一度くらいの頻度で行われます。この税務調査が行われる場合、依頼者だけでは対処が難しく、税理士に立ち合いを依頼するのが一般的です。税務調査の立ち合いのための費用は、1日当たり3万円~5万円が相場となります。

4.日本税理士連合会の顧問料金実態調査

2014年(平成26年)4月に日本税理士連合会が行った「第6回税理士実態調査報告書」によると、月額顧問料は個人、法人いずれも「1万円から3万円以下」の割合が最も多いという結果でした。また、決算報酬については個人の場合は「5万円以下」、法人の場合は「10万円から20万円以下」の割合が最も多くなっています。

月額顧問料


個人事業主

法人

1万円以下

34.7%

7.7%

1万円~3万円以下

50.9%

52.5%

3万円~5万円以下

10.0%

27.7%

5万円超

4.4%

12.1%

決算報酬


個人事業主

法人

5万円以下

49.6%

7.6%

5万円~10万円以下

29.6%

20.3%

10万円~20万円以下

15.1%

42.5%

20万円~30万円以下

3.6%

18.2%

30万円超

2.1%

11.4%

上記の報告から、実態として個人事業主や中小企業では月額顧問料が3万円以下、決算料が5万円から20万円程度と考えることができるでしょう。

5.売上の金額別の費用・相場

売上の金額別の費用・相場

売上高が高いほど税理士の負担は増える

上でも述べましたが、税理士の顧問料は、一般的に依頼者の規模(年間売上高や従業員数)をベースに決定されることが多いといえます。

なぜなら、売上が増えるほど取引量も増えて会計データも多くなり、税理士の作業負担が増すからです。多くの税理士事務所が、顧問先の売上高を基準に顧問料を設定しています。

中小企業などの一般的な売上金額別の税理士費用相場

一般的な相場は、年間売上高が1,000万円未満の中小企業でおおよそ月額2万円から、売上高が5,000万円から1億円で月額4万円から、売上高5億円を超えるような企業の場合は月額10万円以上と考えられます。

6.「自計化」により税理士費用を抑える

自計化によるメリット

税理士費用を抑えられる

自計化とは、日々の取引記帳を自社で行うことを指します。データを会計ソフトなどに入力していく作業を伴います。

自計化することで、税理士に対して記帳代行を依頼する必要はありません。その分、税理士の作業が少なくなるため、税理士費用を安くすることができると考えられます。記帳を自計化することで、おおよそ5,000円から1万円ほど費用を抑えることができるでしょう。

経営状況を把握しやすくなる

記帳を自ら行うのは大変な作業で時間もかかりますが、自社の経営状況をタイムリーに把握できるというメリットがあります。

費用対効果を考えて自計化するかを検討

自社内で作業を担当するスタッフの給料と照らし合わせたうえで、費用対効果が見込めるのであれば、税理士事務所に相談し、自計化の指導を仰いでもよいのではないでしょうか。

一方で、自計化を行わないことによるメリットも考えられます。記帳作業や決算書類の作成といった経理作業を税理士に依頼することで、本業の仕事に集中でき、より多くの売上を上げることが可能となる場合もあるでしょう。

つまり、税理士と顧問契約を結ぶことで、本業の売上にどの程度の影響があるか費用対効果を検討し、自分の事業に合った契約形態を選択することが重要といえます。

7.顧問税理士の選び方

顧問税理士の選び方

税理士にも得意・不得意分野がある

あらゆる税法に詳しい税理士はいない

税理士は税金の専門家ではありますが、ひとことで税金と言っても、その範囲は広く複雑であるため、すべての税法について深い知識を有している税理士はなかなかいないといえます。一般的に、税理士個人によって得意分野があるものです。その中でも、「この業界に詳しい」など業種別に豊富な経験を持つ税理士に分けられます。

たとえば、個人の所得税や法人税の申告業務に豊富な経験を持つ税理士には、決算・申告業務とともに、節税のアドバイスを受けることができるでしょう。また、贈与税や相続税に詳しい税理士には、相続対策についてアドバイスをもらうことができるでしょう。

資金調達が得意な税理士もいる

本来、資金調達について税理士は専門家とはいえません。しかし、業務を行う上で顧問先からの相談が一番多いのが資金調達関連です。それゆえ、資金調達方法について実務で学び、高い知識を有するに至った税理士がいるのは確かです。そのような税理士なら、経営に関しても有益なアドバイスをしてもらえるでしょう。

資金調達についてサポートまで希望するなら、資金調達を専門とする税理士に依頼するのもおすすめです。

税理士との相性

税理士と顧問契約したのはいいものの、お付き合いが進むにつれ税理士に対して不満が出てくる場合もあるでしょう。筆者がよく耳にする「税理士への不満」は以下のようなものがあります。

・高圧的で、コミュニケーションがうまく取れない

・仕事が遅い

・業界知識に乏しい

・具体的なアドバイスが何もない

・決算書の見方など教えてくれない

円滑に話を進められるかどうかに関わるため、ビジネスを進める上で税理士との相性は重要なポイントです。このような不満を抱えているのであれば、ほかの税理士への変更を検討した方がよいでしょう。

税理士選びのチェックポイント

事前に見積もり金額を提示してもらえるか?

まずは、事前に料金体系がはっきりしているかどうかを確認しましょう。料金体系をホームページ上で公表していることは、その会計事務所のサービスの品質が確保されているかどうかの目安にもなります。

そして、しっかり料金体系が示されているなら、見積もりを出してもらうことが大切です。見積もりを出してもらった上で、その内訳などをしっかりと説明してもらいましょう。

設立手続きから代行してもらえるか?

税務業務以外に、会社設立も代行している事務所を選んだ方がトータルコストを安くできると考えられます。会社設立については、行政書士や司法書士の独占業務で、税理士は設立代行ができないことになっています。ですが、会社設立代行サービスを請け負っている税理士事務所は、行政書士や司法書士と業務提携しているため、設立代行業務を引き受けることができるのです。

実際に会って確かめる

担当税理士や事務所所長との相性が合うかどうか、実際に会って話してみるのも大切です。どれほど質の高いサービスを提供していてもそりが合わなければ、税理士をうまく活用できないことになりかねません。

8.税理士を探す方法

税理士紹介会社の利用を検討する

税理士紹介会社は利用者のニーズをもとに、最適な税理士とのマッチングサービスを提供する会社です。

クラウド会計の導入やテレワークの促進など、税理士業界も急激な環境の変化に対応していかなければなりません。現在契約中や契約を検討している税理士が、そういった環境変化に対応できているかを見直してみましょう。

税理士の変更が必要と感じた場合には、より良い税理士に出会うために税理士紹介会社のサービスを利用してみてはいかがでしょうか。

自分で税理士を探す

税理士検索freee

税理士検索freee」では、freeeというクラウド会計を利用している全国の税理士事務所の一覧が載っています。それぞれの事務所は、自分の事務所の特徴や得意分野、得意業種を記載していますので、自分の事業に合った事務所を探し、直接問い合わせることができます。

クラウド会計の導入には「freee for 西日本シティ銀行」がおすすめ

自分で税理士を探すとともに、クラウド会計の導入など、経理作業の自計化によって税理士費用を抑えられるか検討してみましょう。

特に、現在西日本シティ銀行を利用していて、クラウド会計の導入を考えている人には「freee for 西日本シティ銀行」というサービスが便利でしょう。

西日本シティ銀行の口座やクレジットカードから入出金明細を自動で取り込めるなど、経理に関する業務を効率的に進めることが可能になります。

まとめ

今回は、税理士報酬・費用の相場や税理士の選び方についてご紹介しました。事業を行うにあたって、税理士は欠かせない存在といえます。

また、税理士にも得意分野があります。自分の属する業界に詳しい税理士なのか、節税方法や経営相談まで依頼できる税理士なのか、自分との相性はどうかなど、今回の記事を参考に検討してみてください。


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