資産運用とは、保有している資産を管理・運用して増やすことです。資産運用と言っても「株」や「投資信託」などは元本が保証されていないため、「なんとなく怖い」と躊躇している方も多いのではないでしょうか。
しかし、リスクを正しく理解して投資に臨めば、恐れることはありません。この記事では、初心者が知っておくべき投資のポイントを、個人投資家の山下 耕太郎さんに失敗事例とともに紹介していただきます。
初心者にお勧めの投資方法
初心者の資産運用には投資信託がお勧め
初心者におすすめの金融商品は「投資信託」です。投資信託とは、投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、複数の株式や債券などに投資・運用する金融商品です。投資信託の主なメリットは、次の3つです。
プロに運用を任せられる
投資信託は、投資のプロであるファンドマネージャーに運用を任せることができます。ファンドマネージャーが銘柄の選定や購入まですべて行ってくれるので、運用の手間がかかりません。ただし、どのファンドを買えばいいのかを見極める力が必要です。
少額から始められる
株式投資では、1銘柄数万円~数十万円の資金が必要で、複数の銘柄を購入しようとすると大きな金額が必要になります。しかし、投資信託なら少額で複数の銘柄に分散投資できるというメリットがあります。
投資信託は「長期・積立・分散」投資に最適
投資は、「長期・積立・分散」の3つを組み合わせることが王道といわれています。それぞれの定義は、以下の通りです。
長期・積立・分散投資による効果は、積立が長期であるほど、投資先を分散するほどリスクを分散できる特徴があります。複数の銘柄を少額でコツコツ購入できる投資信託は、「長期・積立・分散」投資に最適といえるでしょう。
投資信託の失敗例
さまざまなメリットがある投資信託ですが、元本が保証された金融商品ではありません。以下の点に注意して、資産運用に失敗しないようにしましょう。
(失敗例①)焦って投資信託を売ってしまう
投資初心者は長期的な視点で判断することに慣れていないため、日々の値動きに反応してしまいがちです。また、SNSなどで他の投資家の意見も簡単に見ることができるため、人の意見に影響されて冷静な判断ができず、焦って売ってしまう場合があります。
冷静に判断するためには、あらかじめ売却ルールを決めておくことが大切。運用の目標を定めて投資方針を決めておけば、短期的な値動きに惑わされず、長期的に考えて売り時を判断できるのです。
(失敗例②)人気商品ばかり買ってしまう
「人気投信ランキング」や「売れ筋投信ランキング」を参考にしている人も多いでしょう。しかしランキングに入っているからといって、必ずしも利益の出るファンドとは限りません。あくまでも参考程度に留め、購入する投資信託は自分で判断するようにしましょう。
(失敗例③)リスクを取りすぎる
リスクの高い商品に集中投資したり、一度に大きな金額を投資したりしてしまうのも、初心者に多い失敗です。 自分の取れるリスクや投資に使えるお金を知ったうえで、リスクに合ったファンドを選ぶことが大切です。
(失敗例④)買ってほったらかしにしてしまう
投資信託は長期投資が基本ですが、タンス預金のように眠らせておけばいいわけではありません。マーケットは日々動いているので、放置しておくとポートフォリオのバランスが悪くなってしまうからです。
ポートフォリオとは?
ポートフォリオとは金融商品の組み合わせのことで、投資信託でいえば、国内外の株式と債券の比率を何%にするかを決定すること。ポートフォリオは、時間が経つと基準価額(投資信託の価格)の変動によって崩れてくるので、定期的な見直しが必要です。
ですから、定期的に資産を再配分する「リバランス」をする必要があります。ただ、リバランスには手数料がかかる場合もあるので、頻繁に行う必要はありません。通常は、1年に1回行えば十分です。
(失敗例⑤)手数料を意識しない
投資信託には、主に次の3つの手数料がかかります。
購入時手数料(0~3%)
信託報酬(年率0.3~2%程度)
信託財産留保額(0.1~0.5%程度)
特に気をつけたいのが、信託報酬。保有している間、毎日かかるコストだからです。1日にかかるコストはわずかでも、長期間保有すると大きな金額になります。
まとめ
株式やFXはリスクが高いので、投資初心者は投資信託で資産運用を始めるようにしましょう。そして投資の王道は、「長期・積立・分散」投資です。今回の失敗事例に気をつけ、長期運用を行っていきましょう。
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証券会社でマーケットアナリスト・デリバティブディーラーを経て個人投資家に転身。投資歴は20年以上。現在は、日経225先物を中心に、現物株、FX、CFDなど幅広い商品に投資している。