高卒フリーターから福岡で起業。やり抜く覚悟が動かす信念 | トイポ 村岡拓也さん

Go!Go!ワンク編集部

|
2021年4月7日 (水)
トイポ

人は「十人十色」と言われるように、起業のかたちも人それぞれ。「MY FOUNDING STORY」シリーズでは、さまざまな企業の創業ストーリーを紐解き、これから起業しようとしている方々の参考や励みにしてもらいたいと考えています。

2020年11月26日に開催されたスタートアップのピッチイベント『Startup Go!Go!』。7回目を迎えた同イベントは初のオンライン開催ということもあり、国内外から約40社が集い大盛況のうちに幕を閉じました。そんな中、同イベントにて西日本フィナンシャルグループのスポンサー賞を獲得したのが今回お話しを伺った株式会社トイポの村岡拓也さん。2019年の当時22歳という若さで起業した背景には、華々しい経歴があるのでは?と思っていたところ、起業するまでは高卒のフリーターだったとのこと。そんな村岡さんが起業した経緯や目標、ぜひご覧ください。

トイポ・村岡拓也

■プロフィール
株式会社トイポ 代表取締役CEO
村岡拓也(むらおかたくや)さん

1996年、福岡県飯塚市生まれ。高校卒業後に福岡市内でのフリーター生活を経て株式会社トイポを創業。中小規模店舗向けのアプリ「トイポ」の運営、開発を行う。

挫折からの起業

――まずは事業内容についてお聞かせください。

村岡:中小規模の店舗向けに、アプリを活用することで簡単に常連さん向け集客を行えるプラットフォーム「トイポ」を提供しています。通常アプリ開発には高額な初期費用とランニングコストが必要となりますが、「トイポ」の場合、アプリ上にアプリを構築することで導入から運用までスムーズにかつ月額1万円という低コストではじめることができます。

トイポ

――アプリで月額1万円というと、一般的なイメージからするととても手頃な感じがするのですが、なぜ「トイポ」というサービスをはじめられたのですか?

村岡:大学受験の頃に遡るのですが、当時好きな女の子がいて、彼女には2回振られていたんですが、なんとか振り向かせるために学年で一番頭のいいやつになって振り向かせようと勉強をはじめたんです。結果、彼女と付き合うことはできたのですが志望校には落ちてしまって。私大とか他の大学には合格していたものの、やはり志望校以外だとモチベーションが上がらず、高校卒業後は福岡市内で一人暮らしをしていました。

――福岡市内での一人暮らしも何か目的があってのことですか?

村岡:特にこれといった目的はなかったですね。受験の時は短期間でどれだけ学力を上げ、彼女を振り向かせられるかというところに熱量を持っていたので、次の新しいこととして、飯塚市出身ということもあり、家から出て一人暮らしをしてみたかったという感じです。なのでその間はいろいろなところでアルバイトをして職を転々としながらお金が貯まったら2週間くらい海外旅行を楽しむみたいな暮らしを2,3年続けていました。いま振り返ると志望校に進めず、目標を見失って挫折みたいなところもあったのだと思います。若干逃げるような形で福岡市に住んで、その生活が定着しちゃったという感じです。

――そういった挫折があったのですね。そこから起業に至るまでについても教えていただけますでしょうか?

村岡:高校卒業後3年くらい経つと、周りの同世代が就職活動をはじめるじゃないですか。仲の良かった友人たちは大手企業に内定もらったとか、そういった声を聞いているうちに自分の将来を本気で考えるようになって、自分もどこかの会社で大きい仕事をやりたいとか、自分のやりたいことを大きいスケールでやりたいと思うようになったんです。しかしどうしても最終学歴が高卒ということもあって選択肢が限られる。その中で起業というのが一つの答えなんじゃないかと思い、失うものもないのでやってみようと起業しました。

お店を通じて生活を便利に

――起業のアイデアについてはどういった経緯でしょうか?

村岡:アルバイトを転々として貯まったお金は海外旅行に使うといった生活を繰り返していたので、ほんとお金がなかったんです。そういう生活をしていたので特典のある会員カードとか銭湯の回数券とかを活用していたんですが、それらは財布に入れると嵩張ったりして不便なんです。5GやAi技術が発達している中で自分が使っている周りのお店もアナログなままで、こういったところを解決できたら、もっとお店を使いたくなりますし、お店を通じて自分たちの生活自体が便利になるのではないか、これをビジネスにできないかと思ったのがきっかけです。

――はじめるといってもアプリ開発はスキルが必要になると思いますが、その点はどうされたのですか?

村岡:もともとインターネット、特にハードの方が好きでデスクトップのパソコンなんかは自分で組み立てるくらいでした。ソフトウェアの方も一定の理解はありました。しかし、やはり一人では厳しいと思いまずは仲間を集めました。起業の形は人それぞれだと思いますが、僕は自分が勉強するよりもできるエンジニアを連れてきた方が早いと思ったんですよね。いまうちのCTOがたまたま高校時代の同級生で九工大のアプリコンテストで優勝とかしていたので、思い切って声をかけたら賛同してくれて、そこからさらに周りの人に声かけて動き出したという感じです。

――仲間を集めてスタートとなるとお金が必要になってくると思いますが、そのあたりはどのような準備をされましたか?

村岡:スタート時の資本金は300万円なのですが、みんなの貯金を寄せ集めて用意しました。売り上げもない中やれたのは、スタッフが大学院生や学部生だったということが大きいと思います。親からの仕送りがあったスタッフもいて、若いからこそがむしゃらにやれたと思いますが、それぞれが社会人の立場だったら厳しかったと思います。

――そうしてスタートした「トイポ」ですが、徐々に進歩している背景には何があるのでしょうか?

村岡:当初、アプリという便利なツールを安く提供することができれば、利用してくれる店舗は増えると思っていました。しかしそうではなかったんです。仲間を集め起業した後にプロダクトをつくり、ターゲットとなる店舗にヒアリングに回ったんです。ひとつひとつ手書きで手紙を書いたり、飛び込みでお話しを聞きに行くと結構話を聞いていただけて、そこで印象的だったのが「たしかに安くていろいろな機能が使えるのは大事だけど、実際に運用する担当は忙しい店長になる」ということでした。中小規模の店舗となるとマーケティング担当もいないし、お店全体の体制やITリテラシーレベルもバラバラになるので、そうしたところを考慮しながらアプリを構築しないといけないということに気づきました。そこから何度もヒアリングを重ね、検証を続け改善していっています。

――起業において困ったことはなかったですか?

村岡:起業すること自体は登記するだけなので、調べればできますが、起業して3,4か月目は正直お金も無くなって苦しかったですね。

資金調達することで乗り越えることができましたが、資金調達したのが東京のVC(ベンチャーキャピタル)からで、当初は事業内容をボロカス言われたんですよ(笑)。でも言われたことが明確で、本当に悔しくて指摘されたことをクリアしてもう一度メンタリングすると、「良いね」と言っていただけて、そこから資金調達することができました。

そのVCの方とはいまでも2週に1回は定例会を開いていて、現状のプロダクトのことをよく見てくれていて伴走していただいている感じが本当にありがたい存在です。

――そのVCとはどんなきっかけで出会えたのですか?

村岡:入居している福岡市のインキュベーション施設『Fukuoka Growht Next(以下、FGN)』が定期的にVCとのメンタリングの機会を設けてくださっていて、そこからのつながりで今に至っています。

諦めない、そして行動が大事

――厳しいタイミングもあったかと思いますが、現在まで続けられているのはどういった理由からでしょうか?

村岡:僕は起業するまでFGNに入居しているような起業家や投資家のコミュニティの存在を知らなくて、そういった周りの環境が刺激になっています。

そして、ある投資家から言われた「諦めないことが大事」ということは実感していて、お金が無いとかもっと優秀なスタートアップがたくさんいて閉鎖的になったりとか、苦しい時に辞める理由はいくらでもあったと思います。それでもスタッフはみんな離脱していません。「自分たちがやりたい世界観や、アプリを活用いただくお店を通じて生活を便利にしたい」という想いをやり抜くという覚悟を持って諦めずに続けてきたことが理由にあると思います。

トイポ・村上拓也

――今後の展望についてもお聞かせください。

村岡:プロダクトの検証はもちろんですが、一定数の検証は終わったので、次はアプリの加盟店を増やしていきたいと思います。そのためには組織の強化が必要です。良くも悪くもスタッフは社会人経験のないエンジニアしかいないので、加盟店を増やす営業のような人材を一定数入れていきたいと考えています。

――最後にこれから起業を志す人にメッセージをお願いいたします。

村岡:"行動する"ということです。学生から起業相談を受けることも増えてきましたが、皆さん優秀すぎるなと感じています。「一般企業で勉強してから起業しようと考えています」という話をされますが、2,3年経ってからだとやりたいことも変わっているでしょうし、お金などリスクを考えすぎて結局動けず終わってしまうと思います。
正直、若くして起業するって頭おかしいと思うんですよ(笑)。儲かるかもわからないのに。でも確かな覚悟をもってがむしゃらにやっていると応援してくれる人が必ず出てきます。
僕も登記したばかりでFGNに入居しましたが、きっと事務局の方も僕らがやっていけるのか疑問だったと思います。それでもビジョンを理解いただき、VCの紹介であったりといろいろサポートいただいています。
福岡市の街自体も行政をはじめ、スタートアップを応援しようとする土壌が整っていますし、やりたいことがあれば福岡で起業することをおすすめします。

インタビュー中、村岡さんは自身の性格を「熱しやすく冷めやすい」と話されていたのですが、お金のない時に付いてきてくれたスタッフのため、そして応援してくれた方々のために恩返ししたいとおっしゃっていました。目指す世界観実現のための覚悟はこれからさらに熱く続き、便利なサービスで生活の質が上がる未来が楽しみです。

株式会社トイポについて

■会社概要
会社名:株式会社トイポ
URL:https://toypo.me/
所在地:福岡県福岡市中央区大名2-6-11 FukuokaGrowthNext306
設立:2019年4月
代表取締役:村岡拓也

■事業内容
アプリ開発、運用

■問い合わせ先
Mail:info@toypo.co.jp

お知らせ

▷Fukuoka Growth Nextでは西日本シティ銀行スタッフが毎週水曜日常駐しています。創業に関するご相談も承っていますのでお気軽にお越しください。

▷福岡市と北九州市には創業期のお客さまをサポートする専門拠点『NCB創業応援サロン』を設置していますので、こちらにもお気軽にお越しください。
https://www.ncbank.co.jp/hojin/sogyo/sogyo_plaza/

[NCB創業応援サロン福岡]
福岡市中央区天神2-5-28 大名支店ビル7階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-713-817
[NCB創業応援サロン北九州]
北九州市小倉北区鍛冶町1-5-1 西日本FH北九州ビル5階
平日:9:00~17:00
TEL:0120-055-817