インタビュー

注目の設備機器シェアリングサービス「シェアリングファクトリー」で製造業の環境改善を

By renew編集部

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2021.02.03
シェアリングファクトリー

近年、個人が所有する物・スキル・場所などを、インターネットを介して多くの人と共有・交換して利用する「シェアリングサービス」が注目されています。そこで生まれる新たな経済圏を「シェアリングエコノミー」と呼び、自動車をシェアするカーシェアリングやフリーマーケットアプリなど、さまざまなサービスの台頭によりシェアリングエコノミー市場が拡大しています。
個人間の取り引きが多いシェアリングサービスの中で、新たに企業間で設備機器をシェアリングするサービスとして注目されているのが「シェアリングファクトリー」です。

そこで今回は、同サービスを全国展開する株式会社シェアリングファクトリーの長谷川祐貴社長と、九州エリアを担当する株式会社九州リースサービスの松本力さんに「シェアリングファクトリー」展開における想いを伺いました。

製造業の課題解決からはじめる

――まずは2社それぞれの事業内容について教えてください。

長谷川:株式会社シェアリングファクトリーという会社は、愛知県名古屋市に本社を構える総合セラミックスメーカー・日本特殊陶業株式会社の100%子会社になります。事業内容としては「シェアリングファクトリー」というサービス名の通り、工場の中にある設備機器といった資産を企業間同士でシェア・売買できるプラットフォームを運営しています。最近ですと加工サービスの間に入りお仕事のマッチングをはじめています。

松本:九州リースサービスは1974年設立の総合リース会社になります。社名のとおり九州を主要エリアとして、リースを中心に不動産やファイナンスの領域でお客さまの経営課題をサポートするパートナーとして幅広いサービスを展開しています。最近では投資ファンドへの出資や本件のシェアリングファクトリー様との提携等を通じて新しいビジネスにも力を入れているところです。

九州リースサービス

――株式会社シェアリングファクトリーは100%子会社ということですが、どういった背景でサービス展開がはじまったのでしょうか?

長谷川:もともと弊社は、日本特殊陶業の新規事業プロジェクトとしてスタートしました。構想背景にあったのは取引先である製造業者の課題です。それは初期コストやランニングコストのかかる設備機器などは、すべて自社で所有するといった自前主義がベースになっていたことです。変化の激しい社会の中でこういった状態が続くと、耐えきれず廃業する会社や業務自体が無くなるというところが出てきます。その課題を解決する手段として「シェアリングエコノミー」という新しい価値観の経済圏に注目しました。メルカリさんがイメージしやすいですが個人間のものをシェアする動きは活発で、それを製造業の企業間でも取り入れられないか、このシェアする考え方であれば自前主義がベースにある製造業の課題を解消できると考えました。

シェアリングファクトリー・長谷川社長

――なるほど、課題意識とシェアリングエコノミーが背景にあったのですね。では「シェアリングファクトリー」のようなニーズは高かったのではないですか?

長谷川:そうですね。サービス自体は2018年7月からスタートしていますが、九州リースサービスさんとの提携もあり、2020年12月時点で約900社まで会員企業が増えています。

――その提携についてはどういった背景があったのでしょうか?

長谷川:プラットフォームビジネスはある程度多くの方に知ってもらって、尚且つ使ってもらい改善もする、そうすることで利用者数が広がっていきます。そのためには私たちだけではリソースに限界があり、西日本シティ銀行の方にご紹介いただいて、九州エリアに広めていくにあたり、製造業といったターゲット業界に広いネットワークをお持ちの九州リースサービスさんに協力いただくことになりました。

松本:私たちはリース会社ということもあり、設備機器をはじめさまざまなものを扱っています。そのためリースの営業をしている中で、良い中古機器が余っていたらほしいといった相談を受けることもあり、多くのお客さまが設備更新に課題を抱えているという実感がありました。例えば、「新品の設備機器を導入したいが高額だった」、「購入はできても納期に時間がかかる」、「各業者に中古機械の在庫を問いあわせるのが手間だ」といった声です。私の個人的な経験としてもお客さまからこの機器を探してほしいとか、反対に機器が余っていて必要としている取引先がいないか紹介してほしいといった相談をいただいたこともありました。そのようなご相談に対して「シェアリングファクトリー」というサービスがあれば、お客さまのニーズにも応えられると思ったんです。

九州リースサービス・松本さん

――これまで個別に探していたようなものを「シェアリングファクトリー」というプラットフォームがあることで利用者のニーズにもマッチしていますね。

長谷川:そうですね。貸す側・売る側は私たちがサービスを紹介して出品いただいているということもあり工作機器や金属加工機器、測定器などを出品する製造業の方が多いのですが、買う側の業種が想定していた同業者同士ばかりではなく、大企業の研究開発をされているところから依頼もあり、今後の利用者層の広がりにも期待が持てます。

工場

松本:私たちもお客さまにご案内すると「こういうサービス待ってた」と言っていただくことも多く、すごく反応が良いです。コロナ禍もあって新品の機器の納期に時間がかかっているという話も聞いています。また、中古であってもとても質の高いものも出品されていますので、設備機器を有する、必要とする企業さまにとっては何かしらの価値を提供できるサービスだと思っています。

ものづくりに新しいチャレンジを

――今後「シェアリングファクトリー」が拡大していった先には、社会にどのような未来像を描いていますか?

長谷川:「シェアリングファクトリー」の拡大により、ご利用いただく企業さまにとってのメリットは、「高く売れる」そして「安く買える」ということになります。これによって設備投資の課題が双方に解決できます。そうするとものづくりにおける新しいチャレンジをするきっかけになるのではないか、そういった企業から生まれたサービスが世の中を便利にしてくれるのではないかと思っています。

松本:長谷川社長がおっしゃるように、高く売れて安く買えるというのは大きなメリットです。その手前のところで、中古設備機器の情報というのは各業者さんがバラバラで持っているような状態で集まってないんですよね。そのため情報を一括で閲覧できて、「中古機器と言えばシェアリングファクトリーを見れば解決」というところまで拡大していけば、先ほどの大企業の研究開発事例以外にももっと幅広い企業・団体さまの役に立って、経済活性化の一助になるんじゃないかと思います。
また、このサービスは機器のシェアや売買が主体ではあるのですが、サービス利用者同士で受注発注の関係に発展したというケースも聞いており、企業同士がつながるきっかけにもなっています。連携して社会課題を解決していくという意味で、SDGsの達成に寄与できる部分もあるのかなと思っています。

国内総生産における製造業の割合はサービス業に続き第2位で、全体の2割を占めています。株式会社シェアリングファクトリーにおいては製造業以外の分野でも活用の幅が広がっていきそうですが、日本経済を支える製造業の新たなチャレンジを生むきっかけをつくる企業として今後ますます注目です。

株式会社シェアリングファクトリーについて

■会社概要
会社名:株式会社シェアリングファクトリー
URL:https://sharingfactory.co.jp/
所在地:東京都港区港南1-8-23 Shinagawa HEART 13F
TEL:03-4500-1037
MAIL:info@sharingfactory.co.jp

株式会社九州リースサービス

■会社概要
会社名:株式会社九州リースサービス
URL:https://www.k-lease.co.jp/
所在地:福岡県福岡市博多区博多駅前4-3-18
TEL:092-431-2530
MAIL:support_kls_sf@k-lease.co.jp

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