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【法人カードの基礎知識】ビジネスカード・コーポレートカードの特徴&個人カードとの違いとは?

By 河野 雅人

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2021.01.18
【法人カードの基礎知識】ビジネスカード・コーポレートカードの特徴&個人カードとの違いとは?

「法人カード」を利用すると、経費精算の簡略化などが期待できます。法人カードは大きく分けて「ビジネスカード」と「コーポレートカード」に分類できますが、それぞれどのような特徴を持っているのでしょうか?今回は、各カードの特徴や個人カードとの違いなどについて詳しく解説します。

法人カードとは?

法人カードとは?

法人カードとは、ビジネス用のクレジットカードのこと

個人が保有するクレジットカードはよく知られていますが、ビジネス専用のクレジットカードもあります。

ビジネス専用の法人名義のクレジットカードのことを「法人カード」といいます。個人事業主の場合でも、事業用として利用されるクレジットカードのことは「法人カード」と呼んで差し支えありません。

法人カードの申し込み・審査の流れ

オンラインで法人カードの入会申し込みをおこなう場合、まずはウェブサイトの申し込みフォームに必要な情報を入力します。後日送られてくる申し込み用紙に必要事項を記入し、通帳やキャッシュカード、運転免許証などの身分証明書のコピーを添付して返送します。

審査を通過すれば、カードの発行・発送が行われます。申し込みから発送までは2週間~3週間程度かかるのが一般的です。

申し込み審査における注意点

法人カードの審査では、代表者個人の信用情報も重要な項目といえます。個人カードの使用において、直近で複数回にわたって支払いが遅れていたり、個人カードを多数契約していたりすると、審査においてネガティブな印象を与えてしまうかもしれません。

法人カードの年会費は経費になる

法人カードを事業用として使用している限り、年会費は全額経費として扱うことができます。ただし、法人カードを会社用と個人用(プライベート用)で兼用している場合は、利用割合に応じて年会費を按分して計上する必要があります。勘定科目は、「支払手数料」または「諸会費」として計上します。

法人カードの名義は個人名になる

法人カードの名義は、一般的に法人名義ではなく代表者の個人名になります。

法人の場合は会社の代表者、個人事業主の場合は事業主本人です。カード会社によっては、個人名だけでなく会社名(屋号)が併記されるものもあります。

法人カードでキャッシュレス決済を利用した場合は領収書が不要

2020年10月の電子帳簿保存法改正により、会計処理をより簡便に済ませられるようになりました。従来、デジタルカメラ・スマートフォン等で撮影した領収書のデータ保存が可能でした。それに加えて、キャッシュレス決済の場合は紙の領収書は不要になり、利用明細データを用いた経費精算が可能になりました。法人カードを用いることで、ペーパーレスになるのです。

法人カードと個人カードの違いは?

法人カードと個人カードの違いは?

法人カードと個人カードは、どちらもクレジットカードという意味では大きな違いはありませんが、いくつか異なる点があります。

違いその1:法人カードは個人カードよりも利用限度額が高い

クレジットカードには利用限度額があるのが一般的です。法人カードの利用限度額は、個人カードに比べて高く設定されています。契約当初は個人カードと同じくらいに設定されていることもありますが、使用頻度や決済状況によっては限度額を大きくすることも可能です。

違いその2:法人カードは法人口座からの引き落としが可能

個人口座を引き落とし先に指定する個人カードに対し、法人カードは法人口座(事業用口座)を引き落とし先に指定できます。たとえば個人事業主の場合、会社の経費とプライベートの支出が混同せず、経費処理の際に会社用と個人用を振り分けなくて済むというメリットがあります。

違いその3:法人カードはビジネス向けの付帯サービスが充実している

個人カードとの違いとして、法人カードはビジネス向けの付帯サービスが充実している点が挙げられます。海外損害保険付帯サービスに加え、オフィスの事務用品に対する保険もあります。

他にも健康診断の受診、スポーツクラブの優待制度などの付帯サービスもあり、従業員への福利厚生としても利用することができます。

違いその4:法人カードにはキャッシングサービスがない

法人カードにはキャッシングサービスがないのが一般的です。これは、法人カードは利用金額が大きく、カード会社にとって回収できないリスクが高いためだと考えられます。ただし、会社や代表者個人の信用力によってはキャッシング枠を設定できる場合もあります。

ビジネスカードやコーポレートカードの特徴

ビジネスカードやコーポレートカードの特徴

一般的に、法人カードは「ビジネスカード」と「コーポレートカード」の2種類に分けられます。さらに、それぞれのカードには一般カード、ゴールドカード、プラチナカードなどのランクがあり、ランクが上がるごとに充実した付帯サービスを受けることができます。ビジネスカード・コーポレートカードの特徴を確認しておきましょう。

ビジネスカードとは?

ビジネスカードは、中小企業や個人事業主向けのクレジットカードです。一般的にカード使用者が20名より少ない事業者に発行され、基本的には法人口座(事業用口座)からの引き落としとなります。設立して間もない会社や個人事業主が法人カードを申し込むなら、ビジネスカードの利用を検討してみましょう。

コーポレートカードとは?

コーポレートカードは大企業向けのもので、一般的に20名以上の企業に対応した法人カードです。ビジネスカードに比べ、利用限度額は大企業用に高くなっています。利用限度額を含め、追加カードの発行枚数、カード利用者ごとの利用枠など、企業の状況に応じて幅広い内容を設定することができます。

ビジネスカード・コーポレートカードを利用するメリット

ビジネスカード・コーポレートカードを利用するメリット

個人事業主の場合のメリット

個人事業主が法人カードを利用すると、支払いについて公私の区別ができます。クレジットカードを使う場面は、個人的な利用もあれば、仕事で必要な支払いなどさまざまでしょう。支払いを個人カードでまとめていると、明細を見たときに個人利用のものなのか、仕事上のものなのかわからなくなることがあります。

仕事に関わる支払いは法人カード、個人用のものは個人カードのように使い分けることで、それぞれ区別ができて明細が見やすくなります。

中小企業の場合のメリット

中小企業においては、ビジネスカードを使うことで経理業務の効率化が期待できます。

たとえば、社員が出張経費を現金で仮払いしたとすると、後から差額を精算する作業が必要になります。このとき、法人カードで出張経費を支払うことができれば、「誰が・いつ・どこで・いくら使ったか」を明細で確認でき、現金の受け渡しをする必要がなくなります。

ビジネスカードの明細を経理ソフトと連携させることで、入力する手間を大幅に省くこともできるでしょう。

大企業の場合のメリット

大企業向けのコーポレートカードも、ビジネスカードと同じように経費精算や経理の手間の削減が期待できます。部署ごと、個々の社員ごとに経費の使用状況を把握することも可能です。コスト管理や経費削減など、経営計画を立てるうえでも役立てることができるでしょう。

ビジネスカード・コーポレートカードを利用するデメリット

ビジネスカード・コーポレートカードを利用するデメリット

年会費がかかる

法人カードのデメリットとして、一般的に個人カードよりも年会費が高いことが挙げられます。初年度は年会費無料という場合もありますが、年会費はおおよそ2万円~3万円程度かかります。大企業向けのコーポレートカードになると、年会費が10万円程度になることもあります。

支払方法が一括払いのみ

カード会社によっては分割払いが利用できる場合もありますが、法人カードの多くは一括払いのみとなっています。高額の備品を購入したり、複数の社員が出張したりすると、まとまった金額を請求されることになります。引き落としまでに猶予があるとはいえ、資金管理をしっかりと行わなければなりません。

個人カードと比べるとポイント還元率が低い

法人カードのポイント還元率は、個人カードと比べると低くなっています。法人カードの利用目的はポイントを貯めることではなく、あくまで経理業務の負担を軽くすることだと考えておくのがよいでしょう。

法人カードの選び方のポイント

法人カードの選び方のポイント

法人カードは、カード会社やカードのランクなどにより受けられるサービスに違いがあります。カードを選ぶ際は、会社の規模や利用したいサービスなどによって比較検討しましょう。

年会費・付帯サービス

法人カードの年会費は、無料のものから10万円を超えるものまで幅広くあります。法人カードを導入する目的が「経費の精算を楽にすること」なのであれば、無料のものでも十分でしょう。

ただし、年会費が有料の法人カードは、保険の補償内容が充実していたり、空港のラウンジスペースを使えたり、無料の法人カードに比べてさまざまな特典が用意されています。カードを比較するときは、年会費をどこまで出せるか、どのような付帯サービスを利用したいかの両方を確認しましょう。

ポイント還元率

ポイント還元率はカード会社やカードのランクによってさまざまで、相場は0.5%~1.0%程度となっています。少しでもポイントを貯めたいなら、ポイント還元率の高さに注目するとよいでしょう。

また、ポイントの有効期限にも注意しなければなりません。有効期限がない場合もありますが、3年から5年程度の期限が設けられていることもあります。貯めたポイントを無駄にしないよう、有効期限はしっかりと確認しておきましょう。

ポイント還元率とは

ポイント還元率とは、カード決済した金額に対するポイント付与の割合をいいます。たとえば、ポイント還元率が1%で、1万円の支払いをカード決済したとすると、100ポイント(100円)が付与されます。

貯まったポイントの利用方法には、次回以降のカード決済時にポイント分が値引きされるなどがあります。

利用限度額

ビジネスカードには、月当たりの利用限度額が設けられているのが一般的です。カードのランクによって限度額が異なり、一般カードでは100万円程度、ゴールドカードでは300万円程度、プラチナカードでは500万円程度が相場となっています。

コーポレートカードは、企業とカード会社の契約により利用限度額を決めることができます。利用限度額が大きくなればなるほど審査も厳しくなる傾向があるので注意しましょう。

発行枚数の制限

法人カードは、代表者以外の社員のために何枚でもカードを発行できるとは限りません。カード会社によっては、追加カードの発行枚数に制限を設けている場合があります。社員用に追加カードを多く発行したいのであれば、追加カードの発行枚数に制限がない法人カードがおすすめです。

ただし、追加カードを発行すると、その枚数に応じて年会費が加算されるのが一般的です。また、従業員が追加カードをどれだけ利用するのかなど、カードの利用限度額にも注意しなければなりません。

会社における法人カードの運用ルールの決め方

会社における法人カードの運用ルールの決め方

法人カードは個人カード以上に管理が重要!

法人カードには経費精算が楽になるというメリットがありますが、カードを複数枚使用する場合は社員の不正利用や紛失のリスクを伴います。そのため、カードの運用ルールを定めてきちんと管理する必要があります。

使用品目の運用ルールを決める

法人カードは会社の法人口座から決済されるため、使用品目は経費として認められるものに限られます。会社の代表者であっても社員であっても、プライベートで法人カードを利用することは許されません。

法人カードを正しく利用するためには、何に対する支払いが経費として認められるのかをきちんと理解しておく必要があります。どのような支出に使用可能なのか、法人カードの使用品目の運用ルールを決めて周知しておきましょう。

社員別に上限額を設定する

法人カードを持つ社員がそれぞれ多額に利用した場合、想定を超える額が引き落とされる可能性があります。たとえば、出張時の交通費や宿泊費、打ち合わせの際の飲食費などは高額になりやすいでしょう。

多額の引き落としとなれば、経理部としては入出金管理が困難となり、最悪の場合は資金ショートを引き起こしかねません。社員ごとに支払額の上限を設定し、想定を超えた引き落とし額にならないよう管理する必要があります。

事前の承認・事後の報告を徹底する

社員が法人カードを利用する場合は、事前の承認と事後の報告の仕組みをルールとして設けるとよいでしょう。「いつ・どこで・何に・いくら」使う予定なのか、実際にいくら使ったのかを報告してもらうことで、社員の不正利用を防止するとともに経理部の経費管理も楽になります。

まとめ

今回は法人カードの基礎知識として、ビジネスカード・コーポレートカードの特徴などをお伝えしました。ビジネスシーンにおいて、今後キャッシュレス化はますます進むことが予想されます。法人カードにはデメリットもありますが、さまざまなメリットももたらします。上手に法人カードを活用してビジネスの成長につなげてください。

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