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額面・手取りとは?意味はどう違う?給与に関する基礎知識~年収の計算方法まで解説

By 庄子 歩

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2020.11.11
額面と手取りの違いを解説

「額面」「手取り」など、給与に関する言葉の意味をなんとなくは分かっていても、いざ説明するのは難しいと感じる人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、言葉の定義や正しい年収の計算方法など、給与に関する基礎知識を解説していきます。

額面・手取り・月収とは

手取り・額面・月収とは

額面とは「基本給+各種手当」のこと

額面とは「額面給与」のことで、「基本給+各種手当(残業代や住宅手当・通勤など)」の金額を指します。また、健康保険料や所得税などの各種保険料や税金が差し引かれる前の金額で、簡単に言うと、会社から自分に支払われる全てのお金のことです。

手取りとは

手取りとは、額面から税金などが差し引かれた後に、実際に手にする金額を指します。求人情報に「月給◯◯万円~」といった表記がある場合、月給は手取り額ではないため注意しましょう。実際に手元に残る金額である手取りは、月給額より少なくなります。

月給とは

月給とは「基本給+固定手当」のことです。固定手当とは、通勤手当や役職手当などの手当を指します。業績・成績に応じて貰えるインセンティブは変動手当になるので、月給には含まれません。

(参考)基本給とは

額面は「基本給+各種手当」と説明しました。ここで出てきた基本給とは、通勤手当や残業手当などの各種手当や、歩合給のように業績・成績に応じて変動のある給与を除いた、基本的に支払われる賃金のことを指します。

(参考)月収とは年収を12で割ったもの

年収とは

一般的に年収とは、住民税などの税金や健康保険料などが差し引かれる前の「1年間の総支給額」を指します。つまり、年収は「1年分の額面給与」と同じ意味になります。1年間で会社があなたに支払う全ての金額と覚えておきましょう。

月収とは

一方の月収は、年収(1年分の額面給与)を12か月で割った金額を指します。つまり、「1か月分の額面給与」ということです。

【算出方法を覚えよう】年収・手取りの計算&シミュレーション

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年収の計算方法

年収=月給 × 12か月 + 賞与

年収は「月給×12か月+賞与」で求めることができます。また、企業から毎年12月頃に発行される源泉徴収票の「支払金額」でも年収をチェックすることが可能です。

手取りの計算方法

手取り=額面(総支給金額) ー 控除の合計額

手取りは、「額面」から「各種税金や社会保険料の控除の合計額」を引いた額になります。ただし、控除額は扶養家族がいるかどうかや額面の金額によって異なるため、幅があると覚えておきましょう。額面年収等によって変化しますが、一般的には「手取り額は額面の75~85%程度」と言われています。あくまでも概算ですが、額面年収が100万円増えれば、手取り年収が75万円程度増えるイメージですね。

【給与に関する基礎知識①】手当について理解を深めよう!

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手当には2種類ある

手当には、「法律で決められているため、必ず払わなければいけない手当」と「企業が任意で出す手当」の2種類があります。

必ず払わなければいけない手当については、どれくらい支給をしなければならないかが法律で定められています。一方、企業が任意で出す手当については、支給額を各企業が任意で決めることが可能です。どちらの手当も給料に加算されます。

手当の種類1:法律によって必ず支払わなければいけない手当

まず始めに「法律によって企業が必ず支払わなければいけない手当」の一部を見ていきましょう。

深夜手当

深夜手当とは、午後10時~午前5時まで(厚生労働大臣が必要と認める場合においては午後11時~午前6時まで)の間の労働に対して支払われる手当のことです。法律上では「深夜割増賃金」といいます。

従業員は深夜手当として、基礎賃金(基本給と諸手当の合計額を月の労働時間で割った金額)の25%以上を割増した賃金を貰うことができます。

時間外手当(残業手当)

時間外手当(残業手当)とは、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働をした場合に、原則支払われる手当のことです。従業員は時間外手当として、基礎賃金の25%を割増した賃金を貰うことができます。

休日手当

労働基準法では週1回以上、もしくは4週間に4回以上、法定休日を設けなければならないとされています。この法定休日に労働した場合に、企業より支払われるのが休日手当です。企業は休日手当として、基礎賃金の35%を割増した賃金を支払わなければなりません。

手当の種類2:企業が任意で出す手当

続いて、企業が任意で出す手当の一部を見ていきましょう。

通勤手当

通勤手当は、自宅から勤務地までの通勤費用に対して、企業が支給する手当のことです。企業が任意で出す手当であるため、全額を出す企業がある一方、企業によっては一部支給、もしくは支給しないケースもあります。

出張手当

従業員が出張する際に一律で支払われる手当のことです。出張による従業員の精神的・肉体的疲労などに対して支給される場合があります。

住宅手当

従業員の家賃もしくはローンの負担に対して従業員へ支払われる手当のことです。他の企業が任意で出す手当と同様に、住民手当を支給するかどうか、支給条件や支給額は各企業が自由に決めることができます。

資格手当

資格手当は、取得した資格に応じて従業員に支払われる手当を指します。資格の難易度や企業規模などにより、資格手当の額はかなりの幅があるといえます。

【給与に関する基礎知識②】給与から控除されるお金とは?

【給与に関する基礎知識②】給与から控除されるお金とは?

従業員に給与を支払う際に、企業はさまざまなお金をあらかじめ控除します。控除されるお金は「社会保険」と「税金」の2種類に分けられます。

社会保険

健康保険料

健康保険料は、健康保険に加入するためのお金です。一般的に、健康保険料は企業と従業員が半分ずつ負担します。

健康保険に加入すると、医療サービスを基本的に3割の自己負担額で受けることができます。また、病気や怪我により働けない場合には、手当金を貰うことができるなどのメリットがあります。

介護保険料

40歳以上64歳以下の人が払う義務があるのが介護保険料です。介護保険料は介護保険制度の財源に活用されます。また万が一、自身が寝たきりや認知症などの介護が必要になった場合には、各種介護サービスを受けることができます。

厚生年金保険料

厚生年金保険料は、厚生年金に入るためのお金です。厚生年金は国が定めた公的年金制度で、会社に勤めているサラリーマンは原則加入することになります。

雇用保険料

雇用保険料は雇用保険に入るためのお金であり、企業と従業員が半分ずつ負担します。雇用保険に一定期間加入すると、失業時に失業手当を受けることができたり、育児休業給付や介護休業給付を受給したりすることができます。

税金

住民税

その年の1月1日時点に住んでいる市区町村に納める税金です。税率は市区町村によって異なります。

所得税

1月1日~12月31日の個人の所得にかかる税金です。企業は毎月の給与からざっくりと計算して納付しているため、金額にズレがある場合、払いすぎた分は年末調整で還付を受けることができます。

【給与に関する基礎知識③】同一労働・同一賃金とは?

【給与に関する基礎知識③】同一労働・同一賃金とは?

同一労働・同一賃金とは、「同じ職場で同じ仕事をしている場合、賃金に不合理な差をつけてはいけない」という考え方のことです。同一賃金・同一労働が実現することにより、正社員と非正規労働者(契約社員・パート・派遣社員)の格差を少なくすることが期待できます。

なお、同一労働・同一賃金を定めた「働き方改革関連法案」は、2020年(令和2年)4月より施行されました(ただし、中小企業への適用は2021年(令和3年)4月からです)。

メリット

給与アップにより非正規労働者のモチベーションが維持される

同一労働・同一賃金の施行によるメリットの1つとして、「非正規労働者の給与アップ」が挙げられます。

同一労働・同一賃金では雇用形態に関係なく、どんな仕事をしたかという同じ基準で評価されます。そのため非正規労働者であっても、「仕事を頑張れば給与が上がるかもしれない」という期待を持つことができ、結果としてモチベーションの維持につながるでしょう。

非正規から正規への道が拓ける

同一労働・同一賃金は「仕事ぶり」でその人の能力を測り、賃金に反映させていくという考え方です。言い換えれば「実力主義」とも言えるでしょう。

同一労働・同一賃金が普及することにより、企業は非正規労働者の見方の変革を余儀なくされます。今までは「非正規から正規」へのキャリアアップはハードルが高い傾向にありましたが、今後はよりその人の実力を測る企業が増え、キャリアアップのハードルが下がると考えられます。

デメリット

派遣切りが起こる可能性がある

同一労働・同一賃金によって、企業側としては人件費が高騰する恐れがあります。企業によっては、人件費を抑えるために派遣社員などの非正規労働者を解雇する、もしくは採用を絞る可能性が出てくるでしょう。

まとめ

今回は、「手取り・額面・月収」のそれぞれの意味や、給与に関する基礎知識を解説しました。この記事で紹介した内容を整理するとともに、給与に関する知識を随時アップデートしていきましょう。

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