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【完全保存版】シングルマザーが受けられる支援制度&申請手続きを徹底ガイド

離婚してシングルマザーになると、経済面や生活面で困難な状況になることがあります。母子家庭になっても困ることが少ないよう、国や自治体ではさまざまな支援制度を用意しています。

本記事では、シングルマザーが受けられる主な支援制度について、概要や申請手続き方法を説明します。

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国や自治体による母子家庭支援の概要

国や自治体では、母子家庭向けに金銭を給付する形の支援を行っているほか、いろいろな角度からの支援制度を設けています。

手当等の経済的支援

ひとり親家庭に支給される「児童扶養手当」や、子どもがいる家庭に支給される「児童手当」など、条件を満たしていれば毎月現金がもらえる制度があります。そのほかに、医療費や教育費など、暮らしに必要なお金の一部を公費で負担してもらえる制度などもあります。

住宅に関する支援

シングルマザーが子どもと一緒に入居し、自立に向けての支援を受けられる「母子生活支援施設」が全国に設けられています。また、母子家庭は公営住宅に優先的に入居できる取り扱いをしている自治体も多くなっています。一部の自治体では、ひとり親家庭向けの住宅手当や家賃補助の制度もあります。

各種の優遇や減免

シングルマザーは所得税・住民税の計算の際に「寡婦控除」が受けられ、税金面の優遇があります。そのほか、自治体によって国民健康保険料や固定資産税・都市計画税の減免、公的施設の利用料の減免など、ひとり親家庭向けのさまざまな優遇制度が設けられています。

自立支援・能力開発支援

シングルマザーが職業能力を身に付けて就職できるよう、「ひとり親家庭自立支援給付金事業」として教育訓練費用などの支援が行われています。

日常生活のサポート

「ひとり親家庭等日常生活支援事業」として、ヘルパーの派遣などをしてもらえる制度があります。また、病気などで子育てが一時的に困難になった場合には、「子育て短期支援事業」によるサポートを受けられることがあります。

以下、ひとり親家庭が受けられる支援制度の主なものについて、詳しく説明していきます。

母子家庭が受けられる手当と申請手続き

母子家庭では、児童扶養手当や児童手当を受給できる場合があります。いずれも役所で認定請求の手続きが必要です。

児童扶養手当

児童扶養手当は、法律に基づき自治体からひとり親家庭に支給される手当です。全国どこの自治体でも、受給要件や金額などは同じです。

もらえる人は?

18歳になった直後の3月31日までの子どもを一人で養育しているシングルマザーなどです。ただし、受給には所得制限があります。所得に応じて全部支給または一部支給が決まり、所得が多い場合には受給できません。

児童扶養手当における所得の計算方法

児童扶養手当の計算の基準となる所得は、次の計算式で計算します。

所得額=年間収入金額-必要経費(給与所得控除額等)+養育費-8万円(社会保険料相当額)-諸控除

※養育費は受け取った金額の8割を算入します。

※諸控除には、寡婦控除、特別寡婦控除、医療費控除などが含まれます。

所得制限は、税法上の扶養親族の人数によって変わります。扶養親族が0人の場合、全部支給の所得制限額は49万円(年収約122万円)、一部支給の所得制限額は192万円(年収約311万4,000円)となっています[2020年(令和2年)11月現在]。

もらえる金額は?

児童扶養手当としてもらえる金額は、以下の表のとおりです。前年の所得(1月から9月に認定請求する場合には前々年の所得)によって全部支給・一部支給が決まり、一部支給の場合には所得に応じて10円刻みで支給金額が変わります。

児童扶養手当の月額[2020年(令和2年)4月~]

児童の数・加算額

全部支給

一部支給

1人

4万3,160円

4万3,150円~1万180円

2人目の加算額

1万190円

1万180円~5,100円

3人目以降の加算額

6,110円

6,100円~3,060円

支給月

奇数月に2か月分ずつ振込されます。

認定請求の方法

児童扶養手当を受給するためには、市区町村役場の窓口を通じて認定請求の手続きが必要です。認定請求の際には、戸籍謄本や住んでいる家の賃貸借契約書などの提出が求められます。なお、具体的な必要書類は、自治体によっても請求者の状況によっても異なります。

児童扶養手当は認定請求した翌月分から支給されます。離婚届を出した後すぐに認定請求ができるよう、離婚前に役所に事前相談しておくのがおすすめです。

児童手当

児童手当も法律で定められた制度で、自治体から子育て家庭に毎月一定額が支給されるというものです。ひとり親家庭のみを対象とした制度ではありませんが、毎月の収入の一部として確保しましょう。

もらえる人は?

中学3年生までの子どもがいる家庭に自治体から支給されます。結婚している間は、通常は夫婦で収入が多い方が受給者になりますが、離婚後は子どもと一緒に暮らす方が受給者となります。離婚時に父親から母親に受給者を変更しなければならないケースが多く、手続きをしないともらえなくなってしまうので注意しましょう。

なお、児童手当にも所得制限がありますが、児童扶養手当と比べて高額に設定されているので、ひとり親家庭であれば受給できる可能性が高いといえます。

もらえる金額は?

児童手当の金額は、全国一律で次のようになっています。

児童の年齢

一人あたりの月額

3歳未満

1万5,000円

3歳以上小学校修了前

1万円
※第3子以降は1万5,000円

中学生

1万円

支給月

6月、10月、2月に4か月分ずつ振込されます。

受給者変更の方法

受給者を父親から母親に変更するには、原則として父親からの受給資格消滅届、母親からの認定請求書が必要になります。ただし、父親の関与なしに手続きできることもありますので、必要書類と合わせて役所に確認しましょう。

その他の母子家庭向けの経済的支援

医療費や教育費などに充てるお金が必要な場合にも、支援制度が設けられています。また、母子家庭向けの貸付制度もあります。以下で代表的なものについて説明しますが、詳しい内容や申請方法については自治体や関係機関で確認してみましょう。

ひとり親家庭医療費助成制度

ひとり親家庭の子どもや親が通院・入院するときにかかる医療費の一部を、自治体が払ってくれる制度です。助成の内容は自治体によって異なりますが、通常はひとり親家庭でも所得が多い場合は対象になりません。また、対象となるのは、子どもが18歳になった直後の3月31日までです。

就学援助制度

低所得家庭に対し、小・中学校でかかる給食費や学用品費などを援助してくれる制度です。具体的な内容は自治体によって異なりますが、ひとり親家庭になれば対象となるケースが多い傾向にあります。

奨学金制度

奨学金制度は、進学したいけれど経済的に困難な状況にある学生を支援するためのものです。都道府県や市町村で奨学金や進学費用の貸付制度が設けられていることがありますが、公的団体や民間団体が実施している奨学金制度もあります。

なお、奨学金には、借りたお金を返還しなければならない貸与型奨学金以外に、返還義務のない給付型奨学金もあります。

日本学生支援機構の給付奨学金

大学生の2人に1人が利用している日本学生支援機構の奨学金にも給付型のものがあり、成績や保護者の収入等の要件を満たせば利用できます。ひとり親家庭の場合には収入要件を満たすケースが多いので、経済的な理由で進学を諦めないよう積極的に利用を検討しましょう。

母子父子寡婦福祉資金貸付金

母子父子寡婦福祉資金貸付金は、シングルマザーの経済的自立やひとり親家庭の生活の安定のために、無利子・低利子で各種資金を貸付してくれる制度です。

どんな目的なら借りられる?

技能習得のための資金、医療介護のための資金、引越し資金、進学時の準備資金、高校や大学でかかる学費など、さまざまな目的に使える資金を借りられます。市区町村が窓口となっているので、貸付を希望する場合には相談してみましょう。

国の教育ローン

「国の教育ローン」とは、日本政策金融公庫が行っている教育一般貸付のことです。入学金や授業料だけでなく、定期代やパソコン購入費などさまざまな用途に利用できます。国の教育ローンは、インターネットや郵送でも申し込みが可能です。

シングルマザーには優遇がある

ひとり親家庭の場合、金利が通常より低くなったり、返済期間を通常より長くできたりする優遇があります。また、連帯保証人を立てられずに保証機関を利用する場合にも、保証料が通常の3分の2になります。

公正証書作成・養育費保証支援事業補助金

養育費の取り決めについて公正証書を作成する場合の公証人手数料等の費用や、養育費保証会社に保証を依頼する場合の保証料に関して、自治体が補助金を交付するという制度です。

全国に制度が拡大中

公正証書や養育費保証等に関する補助金は一部の自治体で導入されていましたが、徐々に全国に広がってきており、2020年(令和2年)6月には福岡市でも制度が導入されました。養育費を確保して毎月の生活の安定を図るために、積極的に制度を活用するのがおすすめです。

税金・保険料等の減免や優遇

ひとり親家庭の場合、税金や社会保険料などの払わなければならないお金についても減免してもらえることがあります。また、ひとり親家庭であれば優遇が受けられるサービスもあります。

寡婦控除

「寡婦」とは、夫と離婚または死別して再婚していない女性を意味します。寡婦控除は、税金を計算する際に所得から差し引きできる「所得控除」の一種です。

控除額

寡婦控除は、「通常の寡婦」と「特定の寡婦」の2つに分かれ、それぞれ控除額が違います。シングルマザーの場合は「特定の寡婦」に該当し、35万円を控除できます。

控除を受ける方法

年末調整の際に提出する「扶養控除等(異動)申告書」の「C 障害者、寡婦、寡夫又は勤労学生」の欄にある「特別の寡婦」にチェックを入れておけばOKです。確定申告をする場合には、「寡婦、寡夫控除」の欄に控除額として35万円と記入します。

国民健康保険料の減額

勤務先の社会保険に入れない人やフリーランスの人は、国民健康保険に加入しなければなりません。国民健康保険の保険料や減免の仕方は自治体によって異なりますが、ひとり親家庭であれば一律で減額となる自治体もあります。

国民年金保険料の免除・猶予制度

国民年金保険料を払わなければならない人が、経済的に保険料を納めるのが困難な場合に、保険料の納付を免除または猶予してもらえる制度があります。

免除等の申請方法

市区町村役場の国民年金係で免除等の申請手続きができます。なお、免除を受けられる場合には、前年の所得によって全額免除か一部免除かが決まります。

JR定期乗車券の特別割引制度

児童扶養手当を受給中のひとり親家庭の世帯員がJRを利用して通勤している場合、通勤定期乗車券を3割引で購入できる割引制度があります。

割引購入の方法

割引制度にて購入する場合は、証明書等の必要書類をJRの窓口に提示しなければなりません。事前に役所に問い合わせて手続きをしましょう。

少額貯蓄非課税制度(マル優制度)

児童扶養手当を受給している人は、郵便貯金や銀行預金等の元本350万円までの貯蓄について、利子に通常課税される約20%の税金が非課税となる優遇を受けられます。

優遇を受けるには?

児童扶養手当証書等の必要書類を金融機関の窓口に提示する必要があります。

シングルマザーの自立支援のための制度

シングルマザーの経済的な自立支援のために、厚生労働省と自治体が協力して、「ひとり親家庭自立支援給付金事業」を行っています。対象となる資格や給付金額、申請手続きについては自治体ごとに異なりますので、事前相談をしてから手続きをしましょう。

受給できる給付金は、以下のようなものがあります。

ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金

パソコン、医療事務、簿記、ホームヘルパーなどの資格を取るためにスクール等の講座を受講する場合に、受講費用の60%の給付金が支給されます。

ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金

看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、保育士等の資格を取得するために学校に行く場合に給付金がもらえる制度で、次の2種類があります。

高等職業訓練促進給付金

学校に通っている期間中の生活費の支援として、月額10万円程度が支給されます。

高等職業訓練修了支援給付金

学校を卒業するときに一時金としてもらえる給付金で、住民税非課税世帯には5万円、住民税課税世帯には2万5,000円が支給されます。

まとめ

シングルマザーにはさまざまな支援制度が用意されています。ただし、離婚すれば自動的に支援を受けられるわけではなく、ほとんどの支援には申請手続きが必要です。申請方法は自治体によって異なるものが多いため、役所に問い合わせて手続きをとるようにしましょう。

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